日本人の持つスマホの過半数がiPhoneになっていますね。都内の電車でスマホを触っている乗客を見ると体感では7割程度に上るようにも思います。bambinoのようにAndroidを使っていると「なんで?」と聞かれるほどですので、このブログもやはり皆さんiPhoneで閲覧されているのでしょうか。
iPhoneばかりが売れる結果、国内メーカが苦境に立たされており、その背景に言及した記事が注目を集めているようです。
詳細は記事を読んでほしいのですが、要はdocomoがAppleに屈して「スマホ新規販売台数の4割をiPhoneにする」という不平等条約を呑み、ようやく念願のiPhone販売にこぎつけたということらしいです。また、その煽りをうけ国内スマホメーカはいずれも苦境に立たされ、総撤退もありうるぞとの内容です。
うーん、まぁ大筋で間違ってはいないのですが、
docomoはiPhoneを販売するしかない状況に追い込まれていましたし、
国内メーカを限界まで守っていました
というのがbambinoの感想です。
日本の大手通信会社は言うまでも無く、docomo、KDDI、Softbankの3社です。
ご存知のとおり2008年にSoftbankがiPhoneを販売し驚異的な勢いで新規とMNPの獲得を伸ばし続けていました。Softbankがこれだけの成長を見せる原動力は間違いなくiPhoneであるにも関わらず、何故docomoはiPhoneを取り扱わないのかと不思議に思われた方も多いことでしょう。自社製品とサービスによる囲い込みにこだわり過ぎて周りが見えていないとの批判も非常に強かったですね。
ちなみに、KDDIはCDMAにiPhoneが対応したのが2011年ですのでそもそも取り扱いできなかったという背景がありました。
もちろん、想定以上に販売台数を伸ばすSoftbankを横目に、docomo内でもiPhoneを販売すべきという議論はかなり早い段階からありました。しかし次の理由からずるずると見送り続けたというのが実情です。
・iPhoneは儲からない
・SoftbankだけがiPhoneを取り扱っている状況においてはAndroidでも戦える
・docomoがiPhoneを販売すると国内メーカ数社を廃業に追い込むことになる
■iPhoneは儲からない
これが、docomoが取り扱いを見送り続けた決定的な理由です。3キャリアの対応を注意深く見ていれば、Appleがキャリアに要求している「iPhone販売の為の条件」がいくつも透けて見えてきます。
・調達台数
上述の記事では「スマホ新規販売台数の4割」と出ていますが、これは正確ではなく、単純に台数です。しかも、機種単位ではなく、年間にiPhoneを調達する台数について数百万台単位での調達を契約で約束する必要があります。「4の次機種の5が出ると思い契約したら、販売直前に4Sであると知らされた」ということも現実的に起きています。キャリアはそんなことも知らされずに、自分が買うものが何かすら分からないまま契約させられているという状況であり、これがいかに異常なことかは言うまでもありません。
キャリアは在庫を抱えると次に出る最新のiPhoneにも影響が出るため、販売後しばらくすると0円で投売りを始めるしかないのです。調達価格はキャリアにより異なりますが、調達価格8~9万円のものを0円でバラまく必要があるわけですから、キャリアの持出し費用は1,000億円単位に上ります。
・料金プラン
3キャリアともAndroidの料金プランよりもiPhoneの料金プランの方が安く設定しています。データ使い放題についてAndroid4,980円、iPhone4,480円といった風に明確に差がついています。これは偶然ではなくAppleが各キャリアにAndroidよりも安い月額費とすることを要求していると推察できます。
・販売促進
3キャリアどのショップでもiPhoneは入口の目立つ位置に白い什器(展示台)にディスプレイされていますね。これもAppleから細部にいたるまで指示が出ており違反するとiPhoneを卸して貰えなくなります。iPhoneと一緒に渡す冊子やチラシにまで規定があり、厳密には、例えば「iPhoneスタートアップガイド(docomo)」 等の設定ガイドを作成することは禁止されており、Apple Japanが黙認しているだけという状態です。また、その理由というのが、「iPhoneは誰にとっても最高に分かり易い設定を用意しているので、設定ガイドなど不要であり、むしろiPhoneのブランディングを阻害する」との一方的なものです。しかしながら、どんなに理不尽な条件であろうと呑むしかない、というのが今のキャリアとAppleの力関係なのです。
・プロモーション
iPhoneのCMを見ていて不思議になることはないでしょうか?どのキャリアのCMも同じようなAppleテイストのものでひたすらiPhoneを持ち上げ、最後の一瞬だけにキャリアのロゴを表示するというスタイルです。これって誰がCM費用を支払っているのでしょうか?もう言うまでもないですよね。
docomoがiPhoneをなかなか出すことができなかった理由は上記の中のある一つに集約されるわけですが、それはまたの機会にで
さて、次回の更新では次の二点について引き続き書いていきたいと思います。
・SoftbankだけがiPhoneを取り扱っている状況においてはAndroidでも戦える
・docomoがiPhoneを販売すると国内メーカ数社を廃業に追い込むことになる