<東芝>粉飾決算疑う声も 営業益500億円下方修正へ
毎日新聞 5月14日(木)21時59分配信
インフラ工事を巡って東芝で過去に不適切な会計処理が行われていた問題で、同社は13日夜、2012年3月期〜14年3月期の営業利益が累計で500億円強減少する見通しであると発表した。海外も含めた複数のインフラ工事で、将来の売り上げを前倒しして計上したり、コストダウン効果を過剰に見積もって一時的に利益を増やしたりするなど、専門家からは「意図的であれば粉飾決算だ」と批判の声があがっている。
社内の特別調査委員会の調査で、原子力・水力などの電力システム事業、送配電設備などの社会インフラシステム事業、エレベーターやビル管理などコミュニティ・ソリューション事業の3分野で不適切な会計処理が行われていたことが判明している。
問題になっているのは、数年にまたがるインフラ工事の進捗(しんちょく)に応じて、売り上げを毎年度ごとに計上する「工事進行基準」の計上の仕方で、工事が実際よりも進んでいるように見せて、将来の売り上げを前倒しして計上していたケースもあった。
また、同社は将来的に可能と判断したコストダウン分をもとに、工事や資材などの費用を見積もっていたことが社内調査で判明。同社幹部は「我が社ならばここまでのコストダウンができると見込んだもの。故意ではなく会計技術の問題」と弁明した。
だが、会計の不正処理に詳しい公認会計士は「事業部が本社に報告する業績を良くみせるため、不適切な会計処理をしていた可能性も否定できない」と話す。
同社は3分野の会計処理だけでなく、子会社も含めて全社的な調査が必要だと判断。弁護士や会計士などの第三者委員会を15日にも設置し、さらに詳しく調査をする方針だ。結果次第では、決算の下方修正額がさらに膨らむ懸念もある。
東芝は室町正志会長をトップとする特別調査委員会でこの問題を調べていたが、工事原価の過少見積もり以外にも、調査が必要な案件があったことが判明。15年3月期の決算発表を6月以降に先送りした。【片平知宏】
【キーワード】開示ルール
株式市場を円滑に運営するには、投資家への正確な情報提供が不可欠。このため、証券取引所は上場企業に対し、経営にかかわる決定や株価に影響を与える情報の開示ルールを設けている。例えば、決算は期末日から45日以内に発表するよう求めており、3月期決算の場合は5月15日が期限。売上高や利益などの業績予想を大幅に変更する場合や、代表取締役の異動、増資などを行う際は、その都度公表する必要がある。罰則はない。取引所の開示ルールのほかに、金融商品取引法は企業の事業内容や財務状況を詳細に記した有価証券報告書を期末日から3カ月以内に開示するよう義務付けている。うその記載や期限内に提出できない場合は上場廃止になる可能性がある。
最終更新:5月14日(木)22時55分
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