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【経済】

浜岡維持、年1000億円 停止4年、消費者へ転嫁

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 中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の三基が政府の要請で全面停止してから十四日で丸四年を迎えた。この間、中部電力が再稼働を前提にした浜岡を維持するために年間一千億円規模、四年間で約四千億円の費用を投じていることが分かった。発電しなくても生じる巨額な原発の維持費は電気料金に上乗せされ、家庭や企業が負担している。 

 一方、中部電力は供給力に余裕があり、五年連続して「浜岡抜き」で夏場を乗り切れる見通しだ。

 原発は配管や機器などの部品は一千万点を超えるとされ、いったん原発が完成すると、その補修や点検、除染などに毎年多額の費用がかかり、電力会社は毎年の企業決算で「原子力発電費」として計上している。

 中部電力が四月に発表した二〇一五年三月期決算によると、原子力発電費は千八十億円。主な内訳は浜岡の耐用年数に応じた減価償却費(二百十八億円)、下請け企業への業務委託費(百四十六億円)、修繕費(百三十八億円)、原発部門の社員への給与などの人件費(七十四億円)など。

 中部電力の有価証券報告書によると浜岡が運転していた一一年三月期は千二百八十億円で、その八割に相当する年間一千億円が停止後も維持費として使われていた。これらは最終的に家庭や企業がまかなっている。

 中部電力広報部は本紙の取材に「原子力発電費は今後の浜岡原発運転に向けての必要な維持管理費だと考えている」とコメントした。

 中部電力管内(愛知、岐阜、三重、静岡、長野各県)では浜岡停止後の過去四年間、供給に目立った支障は出ていない。今夏も供給余力を示す予備率は例年並みの暑さで9・6%と安定供給の最低ラインとされる3%を大きく上回る計画。

 

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