バチカン:「パレスチナ国家」承認 条約に調印へ

毎日新聞 2015年05月14日 18時45分(最終更新 05月14日 20時17分)

 【ローマ福島良典】キリスト教カトリックの総本山・バチカン(ローマ法王庁)は13日、パレスチナ自治政府との間で、「パレスチナ国家」の正式承認を盛り込んだ協定について最終合意したと発表した。欧米諸国などに対するバチカンの影響力は大きく、国際社会に国家承認の潮流を広めたいパレスチナ側にとって弾みになりそうだ。

 バチカンが13日、「パレスチナ国家」との連名で、最終合意を伝える共同声明を出した。協定はパレスチナにおけるカトリック教会の活動と信仰の自由を保障するのが目的で、イスラエルとパレスチナの「2国家」樹立による紛争解決への支持をうたっている。バチカン、パレスチナ双方の当局によって近日中に調印される。

 国連総会は2012年11月にパレスチナの地位を「オブザーバー機構」から「オブザーバー国家」に格上げし、国家として承認する決議を採択。決議を受けバチカンはこれまでもパレスチナを「国家」として扱ってきた。協定はパレスチナ解放機構(PLO)との基本合意(00年)に基づくもので、国家として正式に承認する文書となる。

 AP通信によると、アッバス・パレスチナ自治政府議長の側近は「バチカンの政治的な地位は大きく、承認は非常に重要だ」と歓迎、他の欧州諸国がバチカンに続くよう期待を表明した。これに対し、イスラエル外務省は「和平交渉を前進させる動きではない」と批判した。

 パレスチナを国家として承認しているのは世界で135カ国。欧州ではスウェーデン政府が昨年10月、国家として承認した。英国、フランス、イタリア、スペイン、アイルランドの各国議会も自国政府に国家承認を促す決議を採択している。

 フランシスコ・ローマ法王は昨年5月の中東歴訪時、「パレスチナ国家」の樹立を支持する立場を表明した。法王は16日、バチカンにアッバス議長を迎え、会談する。17日には、19世紀にオスマン・トルコ帝国時代のパレスチナで活動していた修道女2人をカトリックの「聖人」と認定するミサをささげる。

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