自民　埼玉県知事選で陛下執刀医の天野篤教に出馬要請

順天堂大医学部の天野篤教授 Photo By 共同

　自民党埼玉県連は１３日、８月９日投開票の埼玉県知事選で、天皇陛下の心臓手術を執刀した順天堂大医学部の天野篤教授（５９）に出馬を要請したと発表した。

　記者会見した前総務相の新藤義孝県連会長は「本人が（要請を）受けるかの最終判断はまだだが、政治に対する興味は高い」と述べた。天野教授は共同通信の取材に対し「ノーコメント」と話した。党関係者によると、明確な返答はないものの、前向きな感触を得ているという。

　新藤会長は「埼玉県政最大の課題は急速な高齢化に対する医療、福祉の充実で、専門家として最適な資質を備えている」と説明。「必ず受けてもらえるよう環境をつくりたい」と強調した。

　天野教授は同県蓮田市出身で県立浦和高校卒。心臓を動かしたまま冠動脈のバイパスを作るオフポンプ式手術の世界的な第一人者。１２年２月、天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。

　手術の後、動画サイト「覚悟の瞬間」のインタビューで、今後の目標を「小学校の時に政治家になるという夢がありました」「同年代の政治家の方との出会いで、自分があの道にいたらという考えを糧に、今の自分を高めることができると思う」などと語り、かねて政界に興味を持っていることをうかがわせた。

　現職の上田清司知事（６６、写真）は、４期目に出馬するかどうかは６月に表明するとしている。１３日、報道陣の取材に応じ「（現段階で）言うつもりはない。必要とあらば自ら手を挙げることもある」と述べるにとどめた。天野氏については「（天野氏のほかにも）知事をやる人はたくさんいるが、天野さんの代わりに手術をできる人はさほどいない。もったいない」と話した。

　自民党関係者によると、新藤氏と県議らが独自候補の擁立を模索。候補者の中には女性キャスターや、県出身の官僚の名前も挙がっていたという。天野教授について永田町関係者からは「医師としての実績は高くても、政治手腕は未知数」と不安視する声も上がっている。

　◆天野　篤（あまの・あつし）１９５５年（昭３０）１０月１８日生まれ。日大医学部卒。８３年、医師免許を取得し、亀田総合病院（千葉県）、新東京病院（同）などに心臓血管外科医として勤務。０２年、順大医学部心臓血管外科教授に就任。医療ドラマ「医龍」や医療映画「チーム・バチスタの栄光」の監修にも携わっている。

　【医師出身の政治家】
　▼公明党特別顧問・坂口力氏（８１）　三重大など卒。７２年衆院選で初当選。厚生労働相などを務める
　▼民主党・桜井充氏（５９）　東京医科歯科大など卒。９８年参院選（宮城県選挙区）で初当選
　▼共産党・小池晃氏（５４）　東北大卒。９８年参院選（比例区）で初当選
　▼民主党・阿部知子氏（６７）　東大卒。００年衆院選（神奈川１２区）で初当選