【断末魔の中韓経済】中国が躍起になって日本をAIIBに招き入れようとする背景と窮状 (2/2ページ)

2015.05.14


AIIB設立記念式典で記念写真におさまる、習主席(中央)と各国代表ら=2014年10月24日、北京(ロイター)【拡大】

 問題は、中国で財政出動を実施する場合、主役となるのはあくまで「地方政府」であるという点だ。中国は09年の経済危機に際し、中央政府が地方政府に財政拡大を命じた。とはいえ、当時の中国地方政府は地方債を発行することが不可能だったため、融資平台(地方の投資会社)などの活用、すなわち「シャドーバンキング」(影の銀行)を通じて資金を調達し、域内の不動産プロジェクトや公共インフラに投資した。

 バブル崩壊が始まり、地方政府が資金を投じたプロジェクトは「不良債権」と化した。地方政府のデフォルト(債務不履行)が始まり、中央政府は地方政府に地方債発行を認め、さらに地方政府債務の債券への交換(=いわゆるデットエクイティスワップ)を容認するなど、救済に躍起になっている。

 いずれにせよ、中国は地方政府の負担で財政出動し、景気を下支えするというカードを、すでに09年危機の際に切ってしまっているのだ。

 そう考えたとき、中国共産党政府があれほどまでにAIIB(アジアインフラ投資銀行)に固執し、執拗(しつよう)に日本を招き入れようと試みている理由が理解できる。

 中国共産党政府は、景気下支えに必須な財政出動の資金を、今度は「外国(日本など)」から調達することをもくろんでいるのだ。

 ■三橋貴明(みつはし・たかあき) 1969年、熊本県生まれ。経済評論家、中小企業診断士。大学卒業後、外資系IT業界数社に勤務。現在は「経世論研究所」所長。著書に『2015年 暴走する世界経済と日本の命運』(徳間書店)『中国との貿易をやめても、まったく日本は困らない!−中国経済の真実』(ワック)、『繁栄の絶対法則』(PHP研究所)など多数。

 

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