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中国の輸出が大幅に減少している。中国税関総署によると、2015年3月の米ドルベースの輸出額は、前年同月比15%減、4月は同6・4%減であった。特に、日本向け(4月は12%減)と、EU向け(同0・7%減)が、中国の輸出減少を牽引している。
さらに、現在の中国は輸入も落ち込んでいる。3月の米ドルベース輸入額は、対前年比12・7%減、4月は16・2%減。前回取り上げた、韓国の貿易収支同様に、中国もまた、「輸出が減少しているにも関わらず、それ以上のペースで輸入が減り、貿易黒字が拡大する」という、「経済縮小型黒字拡大」に陥っているのである。
加えて、15年4−6月期に入って以降の中国経済は、内需の不振も表面化してきた。
4月の中国国内における新車販売台数は、前年同月比で0・5%減と、ついにマイナスに転じたのである。連載第1回で指摘したように、中国は自動車産業が完全な供給能力過剰に陥っている。総需要予測の2倍の生産能力を抱える中国自動車産業において、現実の需要が縮小を始めたのだ。中国国内で自動車の「安値乱売」が始まるのは、確定的である。
また、米国の調査会社IDCの最新リポートによると、15年1−3月期の中国国内のスマートフォン出荷台数は対前年比4・3%減と、6年ぶりに減少に転じた。
中国の経済不振を食い止めるためには、政府の財政出動しかない。実際、李克強首相は2月25日の時点で、減税、中小企業支援、公共投資などの積極財政が必要であるとの見解を示している。