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【政治】

広がる「反対」平和の危機 安保法案きょう閣議決定へ

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 政府は14日、臨時閣議を開き、安全保障関連法案を決定する。成立すれば、他国を武力で守る集団的自衛権を行使したり、地球規模で他国軍の戦闘を随時支援できたりするようになる。憲法の平和主義の根幹が大きく揺らぐことから、市民らの間に危機感が拡大。さまざまな手段で成立阻止を目指すうねりになっている。

 集団的自衛権に関しては、法廷闘争に持ち込む動きがある。

 解釈改憲に反対する市民団体「ピースウイング」(代表・山中光茂三重県松阪市長)は、集団的自衛権行使を容認した昨年七月の閣議決定は憲法違反として、無効確認を求めて提訴する方針。これまで賛同する市民四百十四人(四月二十二日現在)が委任状を寄せた。安保法案が成立した場合も「戦争の不安の中で暮らすことになり、(憲法前文にある)平和的生存権が侵害される」としてさらに違憲訴訟を起こす方針だ。

 地方議会では意見書を可決する動きが続いている。

 衆院事務局には、集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回や、安保法案への反対などを盛り込んだ意見書が、今月八日現在で計三百三十三本届いた。本紙が以前集計した三月十三日時点と比べても三十一本増えた。

 反対の民意を数で示そうと、署名活動も広がる。

 日本弁護士連合会が昨年十一月から集めている署名は、四月一日現在で四万一千三百三十二人に。宗派を超えた宗教関係者でつくる「宗教者九条の和」にも約八千五百人分が寄せられた。

 多くの市民団体や労働組合が加わる「戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会」も署名を集めているほか、十四日午前八時から首相官邸前で抗議集会を開く。

 とっつきにくい安保法案の危険性を、分かりやすく伝える取り組みも。弁護士有志による自由法曹団は、イラストや写真入りのリーフレットを五万部作成した。全国の女性団体でつくる「国際婦人年連絡会」に加盟する新日本婦人の会は紙芝居を制作。護憲団体「九条の会」は「(戦場に)ゆくのは、わたしら」と若者が訴えるポスターを販売する。

 有識者らでつくる「国民安保法制懇」は、十五日に緊急声明を発表する予定。

 安保法案は、武力攻撃事態法など十本の現行法をまとめて改正する法案と、他国軍の戦闘を支援するために自衛隊を随時派遣できるようにする新法「国際平和支援法案」の二本。政府は十五日に衆院に提出する方針。

 

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