遠足
 今日は末っ子アスペルガーアオの保育園の親子遠足でした。この怪我ですが、昨年からアオが楽しみにしていた行事だったのでお休みだったとーちゃんか私、どっちかが行こうと相談しました。二人で行くのが望ましいのですが、両方不在になると長男のユウの送迎ができなくなってしまいます。(一人で行き帰りできますが、時間がわからないため放置はできません)
 健常と言っても限りなく自閉に近いとーちゃんのこと、保育園の父兄との付き合いがとてつもなく億劫な様子。まして、自分一人でとなるとまったく知らない人達の中にいなくてはなりません。アオが
 「とーちゃんとは行ったことないからね、ママとは一回行ったけど。だからとーちゃんと行きたい。」
 と言ってましたが明らかに憂鬱な顔をしています。ちょっと気の毒になってしまい
 「じゃあ私が行くからいいよ。ユウをよろしくね。」
 ということになり、怪我を押しての遠足となりました。昨日の作業所見学といい、今日の遠足といい、怪我したって安静にしているひまなど私にはないのです。朝から怪我をした所全部に痛み止めを貼り、病院から出たガッチリした包帯で固定し、これまた処方された痛み止めを服用して万全の出発です。
 私も人付き合いはかなり苦手ですが、何年も顔を合わせているお母さん達ですからなんとか判別がつくようになりました。子供達の顔もだいぶわかるようになってきました。ユウやアイの子育て中は、私はいつもみんなより若いお母さんでした。ところがここではかなり年配の方になります。子供が14歳も離れていれば当然のことですが、最初は違和感がぬぐえなかったものです。それにもだいぶ慣れましたが。
 せっかくのチャンスなので、よその子供をじっくりと観察してきました。最近では軽度まで含めて100人に6人の割合で自閉症児がいるというデータがありますが、アオのクラスでも怪しい兆候を見せている子が何人かいます。そのほとんどは気づかれないまま大人になるであろうタイプの子達です。あえて口に出しませんが、
 「あの子はグレー、あの子はクロ」
 と心の中でカウントしてたりします。最近では微妙な傾向もわかるようになり、彼らがつまずいていることを早くクリアできますように、と心の中で祈っているしだいです。
 ところでスーパーアスペルガーのアオが友達づきあいをどんな風にしているのかというと、これが驚くほど見事に4,5歳児に溶け込んでいます。家の中で見せるこだわりや独り言、弾丸トークは微塵も見せず、見事なまでにふつ~にやってます。付き合いは限られた人数に絞られますが、その中ではよく笑い、走り回り、おしゃべりもそこそこ一方的にはならずにしています。というかあの年齢の子はみんな一方的なので目立たないだけかもしれません。
 「この子は知能が高くて頭がいいから、家と外で使い分けをします。だから見逃されて大人になっていてもおかしくなかったですよ。お母さん、よく気がつきましたね。」
 と主治医の先生が言っていたことがありますが、まさにその通りのことが目の前で進行しているわけです。
 5歳くらいでその使い分けを見事にしていることに感心したり薄気味悪かったりしているわけですが、何はともあれ彼女が生きて生きやすいように対人関係のスキルを着実に学んでいることは喜ぶべきことですね。
 さて、痛む足を引きずり打撲の腕で重たい荷物を持って一日付き合ったママにアオからご褒美です。
 「やっぱり今日はママと来てよかったな~」
 と独り言を言ってました。直接言ってくれるともっと嬉しいんだけどね