現在の中学1年生が高校に入ってから使用する韓国史の教科書では、近現代史の部分がこれまで以上に大幅に減る見通しになった。歴史教科書の中でも政治的、あるいはイデオロギー的対立が特に激しい近現代史が占める割合を減らすことで、無用な混乱を抑え込むのが狙いだ。韓国教育課程評価院は12日、延世大学で開催された「2015年度・歴史教育課程の試案討論会」でこの方針を公表した。教育部(省に相当)はこの方針に基づいて改定される新たな教育課程を今年9月に最終確定し、告示する計画だ。
■近現代史の項目を縮小
今回の試案における最も大きな特徴は、高校の韓国史において近代以前と近現代が占める割合を現在の5対5から6対4へと見直すことにある。これについて研究チームは「『現在の教育課程は近現代史が多すぎる』との指摘を受け入れ、近現代史以外の部分と近現代史の割合を適正化した」と説明した。
また全体の量も減らすことになった。研究チームは「高校の韓国史については以前から『量が多すぎる』との声が現場で上がっていた。今回それらの指摘を受け入れ、核心的な内容は残しつつも全体の量は大きく減らした」とした上で「政治史を中心に構成するが、経済や社会、文化などに関する記述も過度にならないよう基本的な内容は押さえた」と説明した。この方針を受け、高校における韓国史の単元数は現在の37から26(近代以前15、近現代史11)に減少する。
これまで歴史教科書における近現代史に関する記述は、常に問題の種となってきた。2013年に検定を通過したばかりの高校韓国史教科書においても、やはり左翼的な観点からの記述が大きな問題となっている。例えば「哨戒艦『天安』撃沈事件や延坪島砲撃事件などが起こり、南北関係が硬直化した」との記述はあるが、これらを引き起こしたのが北朝鮮であるとは明記されていない。検定の際、教育部も「主語が省略されているため、(事件を起こした)主体が明確でない」と指摘したが、執筆陣は「主体が北朝鮮であるという事実をあえて明確にすれば、生徒たちは北朝鮮について『敵対して倒すべき勢力』としか認識しなくなる恐れがある」と反論した。