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【中高生のための国民の憲法講座第92講】憲法9条を読んで湧く疑問 奥村文男先生 

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【中高生のための国民の憲法講座第92講】
憲法9条を読んで湧く疑問 奥村文男先生 

 この条文をざっと読んだだけでも、「国際紛争を解決する手段」とはどういう意味なのか、2項にいう「前項の目的」とは何をさすのか、「戦力」とは何か、「交戦権」とはどういう意味なのか、等々の疑問が自然に湧き起こってくるでしょう。

◆9条解釈の対立

 そこで、これらの点に関する見解の対立は、主に自衛戦争や自衛隊を認めるか否かをめぐっての対立なので、主要な見解について解説します。

 (1)放棄された戦争の範囲について

 (1)甲説 この説は9条1項が戦争を放棄している以上、2項を議論するまでもなく自衛戦争は認められないとし、自衛戦争も結局は国際紛争を解決する手段として用いられる場合が多いから、「国際紛争」の用語には解釈上特に意味がないとする見解です。

 (2)乙説 この説は1項では自衛戦争は禁止されていないが、2項が戦力の不保持を謳(うた)い、交戦権を否認している以上、結局自衛戦争も認められないとするものです。現在でも学説の多くはこの説を採用しているものと思われます。この説によれば、「前項の目的」は広く解釈され、1項の戦争放棄に至った動機を指すものと理解されています。

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