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【日本の議論】これは一体どこの国の教科書なのか…新参入『学び舎』歴史教科書、検定前“凄まじき中身”と“素性”

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【日本の議論】
これは一体どこの国の教科書なのか…新参入『学び舎』歴史教科書、検定前“凄まじき中身”と“素性”

中学校教科書検定の結果が公開され、慰安婦問題について記載された教科書(大西正純撮影)

 もう一つは「岡まさはる記念長崎平和資料館」。長崎の朝鮮人被爆者の調査に取り組んだ岡正治氏の調査資料を集めた施設で、「朝鮮半島や中国からの強制連行、韓国・朝鮮人被爆者の問題、南京事件などの資料を展示しています」と紹介した。この項目は、再申請した教科書ではすべて削除された。

教員有志ら「中学生が読みたくなる教科書を」

 学び舎の教科書は、どんな人たちが書いたのか。学び舎の所在地は東京都立川市のマンションの一室にある。学び舎によると、平成21年、東京を中心とした社会科教員有志の授業研究サークルで「今の教科書は使いづらい。現場の教員で子供たちのための歴史教科書をつくろう」という声が出たのがきっかけだった。

 有志らは共産党と友好関係にあるとされる「歴史教育者協議会」(歴教協)の元中学教員、安井俊夫氏(80)に相談を持ちかけ、翌年、「子どもと学ぶ歴史教科書の会」(学ぶ会)を設立。安井氏が代表となった。執筆者は全国の20代から70代までの現役と元職の社会科の中学教員。

 コンセプトは「中学生が読みたくなる教科書」。これまでの歴史教科書は、出来事などの重要語句を太字にし、暗記させるスタイルが主流だった。だが「これでは生徒は乗ってこない」として、「生徒たちが次のページもめくってみたくなる教科書」を目指した。

 単元の始まりは出来事の具体的な場面やエピソードから始まる。例えば、「日本列島の旧石器時代」の書き出しは「長野県北部の野尻湖の岸辺で、1948年、不思議な化石が見つかりました。長さ30センチをこえる、湯たんぽのような形のものでした」。

 多くの教科書が書き出しから意味や目的を淡々と記述する中、独特である。編集担当者は「歴史の具体的場面は、生徒に驚きや発見を呼び起こし、疑問が生まれ、さらに調べてみたくなる」と狙いを話す。暗記中心の歴史学習にならないよう重要語句をあえて太字にしなかった。

 4年半もの時間をかけて書き上げたのが今回の「ともに学ぶ人間の歴史」だ。平成25年に学ぶ会のメンバー約20人が退職金などを持ち寄り、教科書発行のための出版社として学び舎を設立し、検定に臨んだ。

 確かに説明調の記述が中心となっている従来型の歴史教科書とは大きく異なり、エピソード中心で興味深く読める部分も数多い。

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