【ニューヨーク=高橋里奈】米通信大手のベライゾン・コミュニケーションズは12日、インターネットサービスのAOLを約44億ドル(約5280億円)で買収することで合意したと発表した。ベライゾンはAOLが手掛ける携帯電話向けの動画サービスやインターネット広告、メディア事業を強化する。競争が激しい米携帯業界で首位の地位を固める考え。
ベライゾンはAOL1株あたり50ドルで買収することで同社と合意した。買収は今夏に完了する見通し。AOLはベライゾンの完全子会社となる。
ローウェル・マクアダム会長兼最高経営責任者(CEO)はAOLの買収で、「(パソコンやテレビなどをつなぐ)マルチスクリーン視聴ができるネットワーク環境に基づく、最高のデジタル生活を消費者に提供できる」と期待を述べた。消費者がスマートフォン(スマホ)やパソコンなどあらゆるデジタル機器をインターネットにつないで動画を視聴する機会が増えていることに対応する。
AOLのティム・アームストロング会長兼最高経営責任者(CEO)は買収後もAOL事業の運営を引き継ぐ。アームストロングCEOは、「ベライゾンとAOLという組み合わせは、携帯と動画を通してメディアの次世代を生み出せる」と語った。
米通信業界では顧客の争奪戦が激化し、値下げ合戦など消耗戦が続いている。主力の携帯電話事業では4位のTモバイルUSがベライゾンやAT&T、スプリントから携帯電話の契約者を奪い、大手3社を追い込んでいる。一方で米国ではインターネットで映画やテレビ番組を見る動きが広がっており、インターネットとメディア事業を強化して差別化を図る戦略だ。
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