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軍民両用研究は公開を原則に

2015/5/11付
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 科学者は軍事研究にどう向き合うべきか。古くからある問いだが、日本において今年はこの問題を考えるうえで節目の年になりそうだ。防衛省が大学の基礎研究に資金を出す制度を初めて設けるからだ。

 新制度には自衛隊が将来使う画期的な新技術の芽を掘り起こす狙いがある。日本の大学の研究が防衛目的に役立てられるのは悪いこととは言えない。ただ防衛省が助成する研究であっても大学の研究に必要以上の秘密があるのは望ましくない。研究成果などの公開を原則に進めてもらいたい。

 コンピューターや全地球測位システム(GPS)は軍事目的で開発され、今や生活や産業にも欠かせない。液晶ディスプレーやセンサーは家電にも兵器にも使われる。科学技術に本来、軍民の隔てはない。近年は基礎研究から軍事的にも重要な成果が生まれており、軍民両用(デュアルユース)の研究を後押しする動きが世界的に広がっている。

 日本では第2次世界大戦への反省から軍事研究を禁じている大学や学会がある。科学や技術は人々の福祉や社会の安全のために使われるのが望ましい。ただ軍事転用を避けたいあまり過剰な自己規制を課すと、自由な発想や研究の妨げにもなりかねない。

 そのさじ加減がむずかしく、判断は個々の科学者に委ねられているのが現実だ。それだけに、科学者には研究が社会でどう利用されうるのかについて十分な注意を払って研究を進める責任がある。

 大事なのは透明性だ。科学研究はその手法や成果が論文誌や学会での発表を通じて公開され、科学者同士の検証と批判にさらされることで健全に成長するものだ。また国民には国公立大学の研究に関して知る権利がある。

 論文発表まで秘密にしたり知的財産権を得るため公開を延ばしたりするのはありうる。しかし大学の研究はあくまで公開が原則である。研究を委託する側もそこをしっかりわきまえてほしい。

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