日本経済新聞

5月13日(水曜日)

日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
  • ヘルプ

コンテンツ一覧

トップ > 社説・春秋 > 記事

ネット時代の新しい働き方を育みたい

2015/5/11付
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント
共有

 個人が企業からインターネット経由で仕事を受注する。そうした在宅での働き方が増え始めている。企業と個人を仲介するサイトで仕事を見つけて契約する。

 仕事量の割に低賃金の場合があるなどの指摘もあるが、就労機会を広げる面があるのは確かだ。仲介サイトの運営会社や発注元の企業には労働者保護の徹底を求めたい。問題点は改善しながら、IT(情報技術)を活用した新しい働き方を浸透させていくべきだ。

 ネットを使った仕事の発注は「クラウドソーシング」と呼ばれる。受注する個人は現在、150万人にのぼるとみられている。

 受注する内容は企業のホームページに載せる商品紹介文の作成や、広告チラシ、製品のデザインなどさまざまだ。仕事に充てる時間帯を自分で決められるため、子育て中の女性なども働きやすい。定年退職者も経験を生かせる。

 人口減少で労働力不足が深刻になるなかでは、女性や高齢者の活用が欠かせない。クラウドソーシングによる働き方は、そうした潜在的な労働力を生かせる。

 仕事の少ない地方に住む人も大都市の企業から受注できる。宮崎県日南市など、この働き方の普及に力を入れる自治体もある。地方の就業促進効果も見逃せない。

 一方で新しい働き方なだけに、懸念も少なくない。仕事ごとの契約になることもあって、収入が不安定になりがちともいわれる。健康管理を心配する声もある。

 受注する人は発注元に雇用されているわけではないため、最低賃金法は適用されない。このため仲介サイト運営会社の間では、個々の仕事に最低保証額を設ける動きもある。待遇改善につながろう。

 サイト運営の大手企業リアルワールドは今夏にも、仕事を受注した人が使う情報機器の稼働状況から労働時間をつかむなど、健康管理の支援を始める。ITを健康確保に十分に生かすべきだ。

 同業のクラウドワークスは仕事の受注者が掛け金を積み立て、病気や出産時にお金をもらえる共済の制度を検討している。働く人の生活の安定の助けになりそうだ。技能向上の支援もみられ、ランサーズ(東京・渋谷)はホームページなどのデザインの講座を割安で受けられる制度を設けている。

 クラウドソーシングは働き方の選択肢を広げる意義がある。新しい働き方を安心して選べるよう、労働者保護に力を尽くしたい。

社説をMyニュースでまとめ読み
フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント
共有

【PR】

【PR】



主な市場指標

日経平均(円) 19,624.84 +3.93 12日 大引
NYダウ(ドル) 18,068.90 -36.27 12日 10:49
ドル/円 119.97 - .00 -0.01円高 12日 23:44
ユーロ/円 134.92 - .94 +1.06円安 12日 23:44
長期金利(%) 0.445 +0.055 12日 16:33

保存記事ランキング

5/12 更新

1位
上場企業、今期も最高益 [有料会員限定]
2位
人間ドック活用のコツ [有料会員限定]
3位
電子カルテ1200万人集約 [有料会員限定]
日経Gooday(グッデイ)カラダにいいこと、毎日プラス

日経ウーマノミクスプロジェクト
GlobalEnglish 日経版
CollegeCafe 日本経済新聞社の学生向け情報サイト

モバイルやメール等で電子版を、より快適に!

各種サービスの説明をご覧ください。

TwitterやFacebookでも日経電子版をご活用ください。

[PR]

ページの先頭へ

日本経済新聞 電子版について

日本経済新聞社について