──
箱根では噴火の予兆のようなものが窺えるが、実際に噴火するかどうかはわからない。では、どうやって予想するか?
「ビッグデータを使え」
というのが、私の提案だ。
──
これは、(前に述べた)次のことと合致する。
「噴火の予兆を知るために、低周波や高周波のマイクで音を拾え」
→ 水蒸気爆発を予測するには?(火山噴火)
→ 噴火は予知できる
噴火の前には、マグマ溜まりや水蒸気溜まりができる。その際、地殻がクラックする(ひび割れる)ので、音や振動が発生する。それをマイクで検知すれば、噴火の予兆を知ることができて、噴火を予測できる。数時間前〜数日前に、噴火を予測できるだろう。
※ マイクで音を拾うだけでなく、電磁波の周波数帯域もセンサーで検出する。
なお、現状では、地震計だけが使われている。しかし地震計は、低周波だけだ。遠い地点でも検出できるという利点があるが、その分、減衰しやすい高周波は検出できていない。データに制約がある。
そもそも、前兆となるクラックは、地震計では見つかりそうもない周波数帯域だ。地震計なんかに頼っている現状は、お寒い限り。
──
さて。データを得るだけでなく、このデータの処理のために、コンピュータを使うといい。人間がデータを調べるのでなく、コンピュータにデータ処理をさせるといい。
そうすると、何らかの異常の兆候が見つかるはずだ。こんな感じで。
こういうふうに、あるとき急激に音や震動が急増したら、それは、噴火の予兆と見なしていいだろう。
ただ、このようなデータは、たくさんあるはずだ。地点ごとや周波数ごとで、違いも出るだろう。そこで、そういう多数のデータを調べることを、コンピュータにやらせるといい。
そうすれば、次のヘマがなくなる。
「データの処理を人間がやったら、処理に5時間かかった。5時間たったら、4時間後に噴火しそうだ、という結論が出た。それは、処理ができた時点の1時間前だ。実際に、1時間前に、噴火が起こった。こうして、データ処理の正しさが証明できたので、論文が書ける」
まあ、学者ならばそれでいいかもしれない。だが、「すでに起こった過去の時点への予測」「過去への予測」なんて、いくらやっても、世間にとっては意味はない。
だから、こんな馬鹿げたことにならないように、データの処理は、人間でなくコンピュータに任せるべきなのだ。
※ さっさと観測器を設置して、ソフトを開発せよ、という趣旨。
[ 付記 ]
ソフトの開発については、次の二つの本が参考になる。これらは、人工知能の現状について解説した本。
東大准教授に教わる「人工知能って、そんなことまでできるんですか?」
人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの
前者も後者も、Amazonのカテゴリでベストセラー1位。(それぞれカテゴリは違う。)
後者は、朝日の書評欄(本日)でも取り上げられていた。その趣旨はこうだ。
「人工知能は現在、大進歩の時代。その鍵は、ビッグデータとディープラーニング。これまでのコンピュータは、人間がすべて教えてやらなくてはならなかったが、上記二つを利用すると、コンピュータが自分で考えて見つけるようになる」
私が事例で示すと、次の二つ。
・ 将棋ソフトでは、局面の評価関数を、ソフトが自分で学習して決める。(人間が指定するのではない。)
・ さまざまな画像から、猫の画像をソフトが自分で見つけて、猫というのはこういうものだという基準を自分で打ち立てる。
もっと詳しい話は、上記の本を読むとわかる。
【 補説 】
関連する話題。
箱根と富士山は近いので、箱根が噴火しそうであるなら、富士山も噴火してもおかしくない。……という話を、得々として書こうかと思った。しかし念のためググってみたら、同趣旨の見解はすでにたくさん出ていた。 (^^);
→ 箱根山噴火秒読み “兄弟山”富士山も危ない
→ 箱根山の大涌谷周辺で火山性地震が多発 富士山噴火につながる可能性も?
→ 箱根山が噴火したら富士山も噴火するという噂の真相は?
一方、富士山と大地震は関連している、という話もある。東日本大震災の数年後に富士山噴火があってもおかしくない、という話。
→ 富士山噴火 過去の前兆や大地震との連動について
→ 近年予想される大地震と富士山噴火予想図
富士山が噴火した場合の想定もある。
→ 富士山が噴火したら東京はどうなる?
なお、規模で言うと、富士山噴火よりも、箱根噴火の方が、ずっと大規模になる可能性があるそうだ。(意外ですね。)
→ 富士山の10倍以上!過去の噴火にみる箱根山の威力
以上、いろいろとリンクを示した。
私が書くまでもないので、リンク先を読めばそれで十分。
しかしながら、噴火予知においては、「異常をみつけられない」というより、むしろ「異常があっても噴火が起こらないことが多い(どのような異常が本当に噴火につながるのかが分からない)」というほうが、問題なのです。
現状で、異常に対する感度をソフトウェアによって向上させても、空振りの噴火予報が増えるだけでしょう。
噴火の前にどのような異常を示すかは、火山によってクセがあります。しかも、同じ火山が常に同じような前兆を示すわけでもありません。有珠山のように、分かりやすい一定のクセがある火山は、ごく一部なんです。
箱根のように有史噴火がない火山では、データをかきあつめてソフトウェアで解析しても、役に立たないでしょう。数回の噴火記録しかない御嶽山も、同じことです。
もちろん、データを集めておけば、(比較的遠い)将来には役立てられるでしょうけれど。
ついでに、リンク先で紹介されている木村政昭氏ですが、ほとんど予測的中実績がなく、むかしから不安を煽り続けているだけの信用に足りない方ですので、ご注意ください。
http://blog.goo.ne.jp/geophysics_lab/e/52cba93ffed88b04708c54d4da51cbe3
いや、少なくとも御嶽山では、検出できたはずだし、それならば、あれほど多大な被害は出さなかったはずです。それが私の主張です。冒頭の二つのリンクを参照。
なお、空振りがあったって、問題はない。その証拠に、現在の箱根の規制を、誰もが受け入れている。
そちらの主張は、「空振りになるかもしれないから、箱根の規制をやめろ」というのと同様です。私は同意できません。
> 異常に対する感度をソフトウェアによって向上させても、
私の主張はソフトウェアではなくて、センサーの設置です。ソフトウェアは、センサーの設置の後の話です。
もちろん、センサーなしでソフトウェアだけがあっても、ろくに意味はないでしょう。それは同意できますが、そのような方針は私の主張ではありません。「地震計だけでは駄目だから、さまざまな周波数のセンサーを地中に設置しろ」というのが私の主張です。
だいたい、日本の地震学者は、地震計ばかりを見ていて、他のセンサーをないがしろにしすぎる。そこが最大の問題。ほとんどは地震学者のせい。
(予算を出さない国が根源かもしれないが、そもそも地震学者が予算を要求していない。元になる学説が日本では支持されていない。地震に関して何度も述べた通り。 → http://is.gd/v3vz1m )
>少なくとも御嶽山では、検出できたはずだし
いえ、御嶽山では異常を検出してたんです。
2014年の御嶽山噴火の前にも、火山性地震の増加は観測できていました。ですが、1992年や1995年に、御嶽山で火山性地震の増加や、火山性微動すらあったのに、結局はまったく噴火しなかったという経緯があるのです。なので、2014年に観測された程度の異常では、噴火にいたるとまでは事前に予測できなかったのです。
こういうのでいちいち噴火予報を出していては、空振りが増えます。空振りが増えれば、噴火予報が信用されなくなり、規制を破る人間が出てきます。温泉をはじめ観光業にも大きな打撃となります。
もちろん、安全側に倒して、空振りが増えても良い、というご主張にも一理あります。ですが、狼少年になっては結局は安全に寄与できないので、わたしは個人的には賛同できません。
>日本の地震学者は、地震計ばかりを見ていて、他のセンサーをないがしろにしすぎる
「地震学者」ではなく「火山学者」の間違いだと思いますが、火山学者は地震計ばかりをみているわけではありません。ほとんどの常時観測火山には、地震計だけではなく、傾斜計、歪計、GNSS観測点が設置されていて、山体膨張を観測しています。赤外線カメラで、噴火口の温度を常時観測しています。定点カメラで、噴煙の増長を監視しています。火山性ガスの成分変化もみています。
報道では火山性地震が取り上げられることが多いですが、噴火予報は、地震よりもむしろ山体膨張などの観測が決定打になることが多いです。
> 御嶽山では異常を検出してたんです。
ここで言う異常とは「何らかの小さな異常」ではなくて、水蒸気爆発が確実に起こりそうだと見なせる急激かつ大幅な異常です。「数時間以内に爆発が起こりそうだ」という異常です。
「火山性地震」なんてのは全然ダメです。そんなのは今回も見つかっていますが、噴火の予兆とは言えません。
私の言っていることとは全然別のことばかり論じているようですね。冒頭のリンク先2項目をお読みください。読んでいないでしょ?
※ 詳しく言うと、火山性地震や山体膨張はマグマ溜まりの膨張に相当し、クラックの大幅な拡大は噴火に相当する。後者を検知するセンサーを設置せよ、というのが、私の主張。
図で言うと、 σ のような形の o の部分でなく ' の部分を検出せよ、という趣旨。
なかなか興味深いのですが、そもそも、
>前兆となるクラックは、地震計では見つかりそうもない周波数帯域だ
という根拠(つまり、従来の地震計にひっかからないような周波数になるはずだという根拠)が、何かあるのでしょうか?(リンク先の前記事もみたのですが、みつけられませんでした、すみません)
現状で観測している火山性地震の周波数は、一般的な地震波の周波数よりも、かなり高いです。発生要因は、マグマ上昇等による岩盤でのクラック発生だと考えられてます。当然ですが、火山観測網での地震計は、ふつうの地震計よりも高い周波数を捉えられるよう、すでに設定されてます。
管理人さんの言う噴火直前のクラックによる周波数は、何Hzくらいなんでしょうか? そしてその数字の根拠は何でしょうか?
元記事を読めばおわかりになると思いますよ。
>数十〜数百ヘルツ
とありましたね。根拠はよくわかりませんが。
地面という圧力下で水蒸気が沸騰する際の振動の周波数がどうなるかは、よくわかりません。何か定量的なデータをお持ちでしょうか?
現状の火山観測網でも、高周波数の振動はとらえられています。火山に設置されている地震計の感度は、おおむね10Hzから100Hzで、たしかに数百までは届きません。
ですが、過去の噴火前の地震波のスペクトル分布をみると、100Hzに向かうにつれて強度がかなり下がるので、数百Hzの帯域にまでに有意なスペクトルがあるかは、ちょっと疑わしいですね。
もしあるとして、感度の高いセンサでとらえようとしても、ノイズに埋もれてしまうようなレベルだろうと思います。
>クラックができてその衝撃が岩盤を振動で伝わってきたもの
それは火山性地震そのものですけど…
と書きましたが、感度のウィンドウとしては、低周波側ももちろん拾えるので、0.5Hzから100Hzくらいでした。すみません。
ビッグデータと示しているように、全データ、つまり、すべての周波数です。具体的には、低い値で1ヘルツぐらい。高い値で、メガヘルツやギガヘルツ。そのすべてに渡ってセンサーで検出すべきだ、という趣旨です。すでに書いた通り。
> 数十〜数百ヘルツ とありましたね。
そのすぐあとに、電磁波と書いてあるでしょ。そっちも読んで。
基本的にはマイクですが、予算があればマイク以外に電磁波センサーも併用したい。マイクの帯域は 20〜20,000 ヘルツぐらい。それより上は、別のセンサーが必要でしょう。
> その数字の根拠は何でしょうか?
ほんの一部の周波数帯域を調べるより、全部の周波数帯域を見る方が、多くのデータを得られる、ということ。
「地震だって電磁波センサーが有効だ」とも書いたはず。この件、リンクも示しました。本項のコメントの 2015年05月10日 11:29 の箇所。
(このリンク、文字化けしていたので、リンクを修正しておきました。)
> 感度の高いセンサでとらえようとしても、ノイズに埋もれてしまうようなレベルだろうと思います。
だから、センサーを現場の地下に設置する、と書いています。
センサーの設置位置は、なるべく震源に近いところ。(今回の例で言えば、大涌谷の地下が最適だが、それができなければ、小涌谷の地下。)
また、ノイズキャンセラーについても説明済み。
すべて説明済みのことなので、ちゃんと読んでください。
ご返答、恐縮です。
ノイズキャンセラについて、共通部分だけを抽出する方式を考察されているようですが、そんなのでノイズが除去できるんでしょうかね…。
極端な言い方ですが、意味のある信号の変動が0〜1で、ノイズ変動が0〜100くらいあると、共通部分を抜き出しそうとしても、結局はノイズに埋もれてしまいます。
実は、現在の火山性地震や火山性微動でさえ、波形の抽出に手の入ったノイズの除去が行われてます(だからこそ、なかなか速報が出せないのです・・・)。地震波って単純な正弦波ではないので、ノイズの除去が実は結構むずかしいのですよ・・・。もっともっと微小となりそうな音や振動について、単純な共通部分抽出だけでノイズが除去できるようには、ちょっと思えないです。
とはいえ、これは単なる個人的な印象にすぎず、水蒸気噴火の直前の音を集音した経験はないので、「根拠なし」と無視していただいても結構なのですが。
地震波(地下における音波も同じ)において、天文台方式(共通部分抽出方式)によるノイズキャンセルが難しいのは、媒質が不均一な弾性体であるからです。
たとえば、A地点で或るピークを観測したとして、理論的に予想される時刻に、B地点にそのピークが到達しないのです。そもそも、A地点とB地点とでは、元の地震波形自体も違います。なので、共通部分を抽出すること自体が、そもそも難しい(波形が弱いとほぼ不可能)わけです。
こうなってしまう理由は、岩盤が不均一であること、途中にクラックなどがあって地震波形が複雑に屈折や減速をしてしまうこと、断層やクラック壁面などの界面で波が反射しマルチパスが生じること、地震波源である岩盤のズレの方向に対する観測点の位置によってそもそも地震波形が違うこと、…等々いろいろある、非常に複雑な現象です。
というわけで、天文台方式のノイズキャンセルは、微小地震波(音波)のノイズキャンセルには応用できないと思います。
> 微小地震波(音波)のノイズキャンセルには応用できないと思います。
微小じゃないです。巨大なクラックの音を、音源のすぐそばで聞くんだから、耳のそばで怒鳴られているようなものです。
地表で聞くなら、ノイズが多いでしょうが、地中深くでは、地表のノイズは遮断できます。
地表に置く地震計とゴッチャにしないで下さい。箱根なら、温泉井戸を掘った穴がたくさんあるので、そういうのを利用すれば、何とかなりそうだ。使わなくなった温泉もありそうだし。
>山体膨張は、普通の噴火の予測には役立ちますが、水蒸気爆発の予測は無理でしょう。
そんなことはありませんよ。
実際、(起こるとすれば)水蒸気爆発が予想されている大涌谷でも現在、干渉SARで山体膨張が観測されてます。
「水蒸気爆発」が「普通の噴火」ではないというのも、火山学の常識に照らして変な言い方ですねえ。水蒸気爆発は、ごく普通の噴火タイプの一種です。
>私の言っていることとは全然別のことばかり論じているようですね。
「現状では、地震計だけが使われている」「日本の地震学者は、地震計ばかりを見ていて、他のセンサーをないがしろにしすぎる」などといった、明らかな間違い(少なくとも誤解を招く表現)を、管理人様がハッキリ「言っている」のを見たので、ちょっとコメントした次第です。
私が言っているのは、「そのうちいつか」という曖昧な予測ではなくて、「もうすぐ確実に」という明白な予測のことです。それは、山体膨張からはわからない。
> 普通の噴火
これは、私も用語を迷いました。水蒸気爆発以外のことを何と呼ぶのかわからなかったから。どう呼べばいいのでしょう?
> 地震計ばかり
地震に関しては、電磁波による計測はすごくないがしろにされていますよ。一部では やっているけど。主流派は、電磁波による予測ではなく、「前兆を地震計で計測する」という方式ばかり。
イタリアでも同様だったでしょ? ラドンの計測をしたら、主流派が全否定して、その直後に、地震が起こった。
http://is.gd/Ih0zR1
そうですか。それでは、「山体膨張が普通の噴火には役立つ」とおっしゃった意味は、「山体膨張があれば普通の噴火がもうすぐ確実に起こると明白な予測ができる」という意味になりますね。
箱根では山体膨張が起きてますが、確実にもうすぐ噴火が起きるんでしょうか? …いささか自己矛盾しているようにお見受けします。
>水蒸気爆発以外のことを何と呼ぶのかわからなかったから
噴火の形態としては、「水蒸気爆発(水蒸気噴火とも)」、「マグマ水蒸気噴火」、「マグマ噴火」の、大きく3つに分けられます。水蒸気爆発は、ごくありふれた噴火の種類のひとつです。
>電磁波による計測はすごくないがしろにされていますよ
これ、噴火前兆観測のことですか? 地震前兆観測のことですか?
噴火前兆のことでしたら、たしかに電磁波は使ってないですが、管理人様は「地震計だけ」「他のセンサーをないがしろにしすぎる」と言っていたので、火山観測者に非常に失礼な表現だと思い、「いえ、他の観測もちゃんと色々してますよ」とコメントしました。
地震のことでしたら、電磁波の異常が地震の前兆として起こるというのは、偶然を有意に超えるレベルでの実例が、実は事実上ほとんどないのです。
あくまで、「電磁波を使えば地震前兆が分かる」と主張している一部の研究者が、自己に都合のよいような発表を繰り返している、というのが現状です。たとえば、以下のサイトの分析が、客観的で分かりやすいです。
「地震解析ラボ、126件の地震予測のうち、震度5弱以上の地震発生は2件のみ」
http://blog.goo.ne.jp/geophysics_lab/e/769947f136e4213a97a893881671af87
「VAN法を信頼できない理由の一例」
http://blog.goo.ne.jp/geophysics_lab/e/17276d90b8a0555a5cd901cd6fca0ad1
「全く信頼できない、「地中の微弱電流」による地震予知研究」
http://blog.goo.ne.jp/geophysics_lab/e/0d0f590001e4433fdc2786a3e6e32933
なりません。「水蒸気爆発についてクラックを検知せよ」という話と、他の話とは、別です。
「山体膨張が普通の噴火には役立つ」というのは、私の説ではなくて、あなたの説です。それを認めてもいい、というだけです。
私があなたの話に同意したら、それを私の説だと見なして、それを批判するというのでは、自家撞着では?
> マグマ噴火
一つ知識を得ました。ありがとうございます。
> 火山観測者に非常に失礼な表現
逆でしょ。「センサーを設置したいのに、政府が予算をくれないから、困っている。もっと予算を出せ」という研究者の後押しをしているんです。私の意見を聞いたら、「ありがとう」と喜ぶはずです。
私は、研究者を批判しているんじゃなくて、予算を付けない政府を批判している。お間違えなく。
そもそも「センサーを設置」というのは、私のアイデアじゃない。そのくらいは誰でも思いつきます。足りないのは、アイデアではなくて、予算です。私は「予算を付けろ」と言っているわけ。研究者にとって失礼なはずがない。
> 全く信頼できない、「地中の微弱電流」による地震予知研究
私が聞いた範囲では、いくらか役立ちそうな電磁波研究は、空中電磁波であるようです。地震雲が生じたり、鳥が変な動きをしたり。いずれも地中ではなくて空中の電磁波に影響しています。
地中の微弱電流という研究は、聞いたことがありません。(あるかもしれないが、記憶にない。)
──
なお、本項の主張は、「センサーを設置して調べろ」ということです。これは政府への予算付け or 臨時支出を意味している。(研究者への悪口ではない。)
一方、噴火の予知については、冒頭の二項目の話題となっており、本項とは別の話。
また、地震の予知については、下記項目で論じている。そちらを参照。
→ http://openblog.meblog.biz/article/18203446.html
→ http://openblog.meblog.biz/article/12158604.html
うーん・・・。わたしとしては、そんなことを言った覚えは全くないんですが・・・。そうなんですか・・・。
>研究者を批判しているんじゃなくて、予算を付けない政府を批判している
管理人様はコメントで、「日本の地震学者は、地震計ばかりを見ていて、他のセンサーをないがしろにしすぎる。そこが最大の問題。ほとんどは地震学者のせい」と書いてあります。
「地震学者のせい」という強い記載を書く方が、研究者を批判しているのではないとは・・・それはちょっと読めませんでした・・・。
あとですねえ・・・リンク先で紹介されている、GPSで地震予測をしている村井俊治氏なんですが、このひとは非常に分かりやすいトンデモ学者です。GPSの測位ノイズを地殻変動と勘違いしているという、極めてレベルの低いインチキ研究者です(もちろん、村井氏はGPSの専門家では全くありません)。
同じサイトの引用ばかりで恐縮ですが、以下のリンクなどを読むと、よく分かると思います。このリンク先にもありますが、国土地理院も最近、直々に、彼らの手法がデタラメであると注意喚起を始めています。
http://blog.goo.ne.jp/geophysics_lab/e/7a3f181f5622f9f323b7dddb4f9eef4d
http://blog.goo.ne.jp/geophysics_lab/e/b863d7dee6e846a6d562de0689b6400c
http://blog.goo.ne.jp/geophysics_lab/e/47e78b9471e8cbc740b0c0efa0ef710a
単純に白黒を分けると、美人の大木聖子さん(など)を支持していて、主流派を批判している。
→ http://openblog.meblog.biz/article/12158604.html
──
このページを見たら、次の文句があった。
> 主流派の手法(精密な地殻観測による手法)
主流派は、地震計じゃなくて、地殻観測でしたね。間違えた。ごめんなさい。批判すべきは、地震計の方じゃなくて、地殻観測の方でした。大木さんが批判しているのも、地殻観測の方。
私の見解では、電流ではなくて、電磁波です。
また、離れた地点における微弱なものではなく、現場における強度のあるものです。たとえば、大涌谷の地下にセンサーを置く。一方、大涌谷から遠く離れた東京あたりにセンサーを置いて微弱電流を検出しても、何もわからないでしょう。そういうのは、私の主張とは関係ない。
仮に三陸沖地震を検出したいのであれば、三陸沖の地中にセンサーを置くべきです。(海底ではちょっとまずい。海中のノイズを拾うので。現場の地中であることが必須。)
管理人さんは、クラックができたときのエネルギーが岩盤を伝わってきた振動、音を観測せよとおっしゃっておられます。
その音は地震波そのもので、マイクで拾えるような高周波成分は岩盤のような媒体ではあっという間に減衰してしまって、伝わるのはおそらく数十メートル程度(正確に計算はしたことがないですが)ではないかとか、数十メートルの岩盤を通して音が聞こえるような状況なら、数千キロを伝わる低周波成分の音である地震波はおそらくとんでもない異常値を示すはずだとか、そんな物理的に常識なことは十分熟知のうえで、マイクを設置せよと新たな視点を与えてくださっているわけです。
管理人さんの意図を十分に理解する必要があると思います。
>クラックができたときのエネルギーが岩盤を伝わってきた振動、音を観測せよとおっしゃっておられます。
管理人さんがリンク先で示した以前の記事では、「水蒸気の発生する音(水の沸騰する音)を検知」しろと言っていて、クラックの音を聞けとは言ってないんですよね。
今回の記事では、「地殻がクラックする(ひび割れる)」ときの音や振動を検知しろと言っていて、ちょっとブレがあるわけです。
まあ、いずれにしてもですね。
いま箱根で300回/日くらい火山性地震がおきてますが、あれも要するに水蒸気が沸騰することで岩盤を押してできるクラックが原因なわけですよ。2001年にも、1000回/日を超える火山性地震(クラック発生)がありました。
で、昨年の御嶽山の水蒸気爆発のときには、噴火直前に、火山性地震はむしろ減ったわけです。ご存知ですね?
つまり、御嶽山のときは、沸騰もクラックも、噴火直前には、その数日前よりも減ったんです。
噴火直前には、地震計で捉えられない高周波音だけを出す沸騰やクラックが増える(しかも噴火直前には必ず)という、まったく聞いたこともないような理論が正しいというなら、管理人さんの主張も受け入れられるんですが。
いずれにしても、水蒸気爆発の直前には前兆と明確にわかるクラックの発生があるに決まってるだろう、それを捉えようとしないなんて火山学者は愚かで怠慢だ・・・という意見には、私は与しません。
あなたはやっぱり、私の話を全然読んでいないようですね。
サイト内検索で「クラック」を検索しましょう。すぐにわかりますよ。
> 決まってるだろう、それを捉えようとしないなんて
それも悪意ある曲解。クラックがあると断定してはいません。クラックがある可能性が高いので、それを検知する努力をするべき、という趣旨。
一方、あなたは、「クラックがあるかもしれないが、クラックが絶対にあるという証拠はないのだから、何も努力しないで、地震計だけにするべきだ。他の努力は一切放棄するべきだ」という主張。そうですね?
これは、意図的な無為無策でしょう。そのせいで人が死ぬかもしれないのに。
これは「愚かで怠慢」ということはありません。いわば「賢明で勤勉な殺人者」という態度。
>あなたはやっぱり、私の話を全然読んでいないようですね。
いいえ。
管理人さんが検知周波数の根拠を示しておられるリンク先記事「水蒸気爆発を予測するには?(火山噴火)」のなかでは、管理人さんはクラックの音を聞けとは全く言っておらず、「沸騰音を聞け」としか言ってない、という意味です。
つまり「水蒸気爆発を予測するには?(火山噴火)」と、「噴火の予測はビッグデータで」とでは、ご主張にブレがあるわけです。
>クラックが絶対にあるという証拠はないのだから、何も努力しないで、地震計だけにするべきだ。他の努力は一切放棄するべきだ」という主張。そうですね?
クラックがないかも知れないなんて言ってませんよ。あるに決まってます。失礼ながら、管理人さんこそ、わたしのコメントをよく読んでください。
火山性地震の起源は、まさしく、マグマ起源の熱によって地下水が沸騰して膨張し、周囲の岩盤を押してクラックを生じさせることなんですから。いまの箱根でも、御嶽山でも、もちろん観測されてます。いっぱい。
このクラックが地表に届くと、一気に圧力が解放されて噴火に至ります。噴火に至るかは、クラックが増えるかどうかじゃないんです。
現状、地震計で火山性地震を捉えているということは、地下水の沸騰やクラックを、管理人さんが心配するまでもなく、もうすでに捉えているということなんです。
御嶽山のときは、噴火直前に火山性地震(=沸騰とクラック)は、むしろ減少したんです。減少はしたけど、少しずつ進行して、たまたま地表にクラックが届いときに噴火となった。しかも、そういう例は、昨年の御嶽山だけじゃない。
わたしは、こうした火山学の常識や、過去の事例を鑑みて、地震計では捉えられない沸騰音やクラックを観測するように努力することが、いまの火山性地震をとらえることに加えて頑張る意味を(ほぼ全く)感じない、と言っているわけです。
有望そうだと思えば、あっさり放棄するべきだなんて言いませんよ。
まったくもう。「サイト内検索してください」と書いたんだから、サイト内検索すればすぐにわかるのに。その項目じゃなくて、もう一つのリンク先ですよ。リンクした二つのうちの、もう一つの方。わかった?
> クラックが増えるかどうかじゃないんです。
そうです。だからクラックの有無を調べる現状の方法では駄目なんです。私の話を理解できていないですね。
クラックの有無を調べるのではなくて、クラックが地表に近づいたことを調べるために、現地の地下にセンサーを据えるわけ。音の大きさは、距離の2乗に反比例するから、地表のそばのセンサーにクラックが近づけば、センサーに感知できる音が急増する。このことで、クラックが地表に近づいたことがわかる。
地震計では、クラックの数がわかるだけであり、クラックが地表に近づいたことが検知できない。だからこそ現地にセンサーを設置するんですよ。
> 減少はしたけど、少しずつ進行して、たまたま地表にクラックが届いときに噴火となった
そうです。だからこそそれを検知するために、現地の地下にセンサーを設置するべきなのです。なのにそれを否定するあなたは、現在の地震学を否定しているんですよ。
> 地震計では捉えられない沸騰音やクラック
これは「微小な音」という意味ではなくて、「地表に近づいた音」のことです。それをあなたは曲解している。「なぜ現地の地下に据えるのか」ということを、ちゃんと理解しましょう。
感度を高めるだけなら、地震計の感度を高めればいい。しかし、それじゃ、正しいデータは得られないんです。だからこそ、現地の地下にセンサーを設置するべきなんだが。
ただ、あなたは、私の話を読んでいないから、まったく見当違いのことばかりを書いている。ちゃんと「これを読んで」とリンク先を二つ示したのに、一つだけを読んで、それで全部だと思っている。
「相手を批判するときは、まずは相手の話を読んでから」
という最低の節度を守りましょう。相手の話を読まずに批判しても、藁人形論法になるだけです。
それにしても、「これを読んで」と何度も何度も示したのに、どうして読まないの? 読むのを絶対的に拒む理由があるの?
映画ツイスターでトルネードハンターの学者が竜巻の中にたくさんのセンサーをばらまく感じでしょう。
それをやれという趣旨。
山体越しのニュートリノとかの宇宙線観測とかも有効かもしれませんね。
>クラックは、地震計では見つかりそうもない周波数帯域だ
とハッキリ言っていますね。地震計で計測している火山性地震も実はクラック起源であることを、ご存知なかったんでしょう?
火山性地震もクラック起源だと指摘されて、あわてて主張を修正して、
>クラックが地表に近づいたことを調べる
んだと言い出したように見えます。リンク先を含めて、サイト内検索しても本文に「地表」等の言葉すら1回も出てきませんから。
しかも、コメント欄で、
>地表で聞くなら、ノイズが多いでしょうが、地中深くでは、地表のノイズは遮断できます。
と言っていて、地表付近ではなく「地中深く」で聞くんだと言っている。主張に全く一貫性がありませんね。
あと、
>地震計では、クラックの数がわかるだけであり、クラックが地表に近づいたことが検知できない。
は大間違いです。地震計は複数個設置されているので、震央も深さも、かなり正確にわかります。
・・・前も指摘しましたが、噴火直前の前兆は、一定じゃないんですよ。前回の噴火より圧倒的に多い火山性地震でも噴火が起きなかったり、その逆もある。むしろそれが当たり前。
深い位置から突然大きくクラックが割れ、一瞬で地表に到達することだってあるんです。そのような場合には、管理人様の言う「クラックが地表に近づいたことを調べる」方式では、全く歯が立たない。
有珠山みたいに、いつも決まった前兆が出るような特殊な火山はないんですよ、ほかに。火山をナメないほうがいいですよ。
いや、前から思っていて、書くつもりだったんだけど、あんまりコメントがたくさん来ているので、それに返事をしているうちに、書くのを忘れちゃったんです。本来ならば本項を書いたすぐあとに追記しておくはずだったんだが。
もう、余計な勘違いコメントが多すぎると、その対応にかまけて、肝心のことがおろそかになってしまう。困りもの。
> 主張に全く一貫性がありませんね。
誤読でしょ。私は首尾一貫して、「地中に設置」と主張しています。「地表では駄目」ともたびたび書いた。何をまた誤読しているの?
> 震央も深さも、かなり正確にわかります。
じゃあどうして御嶽山ではわからなかったの? 変でしょ。
しかも、KuiKuga さんは「ノイズがいっぱいあるからわからない」と主張している。
地震計だけですべてわかるのか、それともノイズがあってわからないのか、二人で対決してください。お二人が極論で正反対のことを言っているのだから、二人で対決すればいい。
私は、その中間に位置していて、「わかることもあるし、わからないこともあるが、センサーを設置した方が良くわかる」という趣旨です。お二人のように、「全面的にわかる」「全面的にわからない」というような極論は取りません。私は科学主義なので。
> 噴火直前の前兆は、一定じゃないんですよ。
だからこそたくさんのセンサーが必要だ、というのが私の主張です。
あなたがどうして観測の充実に反対するのか、理由がわかりません。地震観測の予算を縮小して、財政を健全化したい、という主義ですか? それならまだわかるが。
> 深い位置から突然大きくクラックが割れ、一瞬で地表に到達することだってあるんです。そのような場合には、管理人様の言う「クラックが地表に近づいたことを調べる」方式では、全く歯が立たない。
まったく非論理的ですね。
「深い位置から突然大きくクラックが割れ、一瞬で地表に到達する」のならば、極端に大きなクラック音が発生するので、まさしく検知できます。しかも、音がだんだん大きくなるのが、克明に観測されます。(クラックの速さが音速を越えない限りは、音速センサーの方が高速です。)
いったんクラックができたあとで、そこを水蒸気や噴気が通りますが、それには数分間〜数十分間の時間がかかります。とすれば、まさしく、センサーによって危険を警告する時間が生じるわけです。
私の言っているとおりでしょ? 私の言っていることを証明しているだけじゃない。
> 火山をナメないほうがいいですよ。
なめているのはそちらでしょ。
私は火山に対して謙虚であるから、「火山の動きを刻々とモニターせよ」と言っているのです。人間の力の非力を感じているから、こちらが全力を出すべきだ、と述べているのです。
なのにあなたは、「地震計さえあれば全部わかる」という驕った見方をしている。「地震計ですべてを知る自分たちは全知全能であり、これ以上のセンサーの拡充はまったく必要ない」と驕っている。
火山をナメないほうがいいですよ。
いや、これ書くの忘れちゃダメでしょう・・・。
地震計でも立派にクラックが検知できるんだから、これを書かないと既存の方式と何が違うのか分かりませんよ・・・。
>じゃあどうして御嶽山ではわからなかったの? 変でしょ。
なぜ分からなかったかというと、震源分布が深く数も少ない状態から、一瞬で突然クラックが地表に到達して噴火になったからです。
>一瞬で地表に到達する」のならば、極端に大きなクラック音が発生するので、まさしく検知できます
一瞬で噴火になるんですよ? 検知できても間に合わないでしょ・・・
>あなたは、「地震計さえあれば全部わかる」という驕った見方をしている。
何度言ったら分かるんですかね。地震計以外にも、傾斜計、歪計、赤外線センサ、火山ガス成分計、GNSS、噴煙増長、干渉SAR、・・・を全部みてるって言ってるでしょう? これらを整備して刻々とモニタするほうが有益です。現状では数や精度が足りてません。
御嶽山のときにいたっては、歪計がゼロで、GNSS観測点も少なくて、地震計すら壊れてたんです。
・・・ところで、もう1回聞きますけど、
>クラックは、地震計では見つかりそうもない周波数帯域だ
というのは、地震計で計測している火山性地震も実はクラック起源であることを、ご存知なかったてことですよね? そんな状態からじゃ、そりゃ議論が噛み合いませんよ・・・。