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【芸能・社会】柚希 笑顔の退団 宝塚星組サヨナラ公演千秋楽2015年5月11日 紙面から
宝塚歌劇団星組トップスターの柚希礼音が10日、東京・有楽町の東京宝塚劇場でサヨナラ公演「黒豹の如く」「Dear DIAMOND!!」の千秋楽を終え、退団した。最後の作品のタイトルにちなみ、「柚希礼音の宝塚人生は皆さまのおかげで最高のダイヤモンドタイム、ダイヤモンドロードになりました」と誇らしげに、幸せいっぱいに16年の宝塚人生の幕を下ろした。 劇場前のサヨナラパレードには過去最多の1万2000人のファンが集結。正装した柚希が姿を現すと、地鳴りのようなどよめきと歓声が上がった。「ちえちゃん(柚希の愛称)大好き!。本当にお疲れ様でした」とファンが一斉に掛け声をかけると、柚希は何度も手を振り、別れを惜しんだ。 「10年に一人、いや20年に一人の逸材」と言われた柚希は、卓越したダンスで早くから注目され、弱点を克服しながらめきめき実力をつけ、スケールの大きさ、お茶目な素顔の魅力も相まって、「トップ・オブ・トップ」と言われるまでに。宝塚100周年記念イヤーをけん引、在任期間は平成以降では和央ようか(6年1カ月25日)に次いで2番目に長い6年14日に及んだ。 トップスターの退団では恒例になったサヨナラショーのライブビューイングは、初めての会場さいたまスーパーアリーナのチケットが即完売、台湾でも初めて行われ、48カ所で過去最多の2万6000人が鑑賞した。 サヨナラショーでは宝塚への感謝を込めて自身が作詞した「For Good」など思い出深い曲を披露。最後は紋付きはかまで大階段を降り「柚希礼音は全ての皆さまの愛によって育てていただきました」と感謝を伝えた。 会見では「本当に幸せで充実した気持ち」と涙は見せず、清々しい表情。「レジェンド」と呼ばれたことについては「いつまでも自分のことじゃない感じがしたほど、ありがたいことでした。『レジェンドと呼ばれていたこともあるんだぞ』と生きていきます」とおどけてみせた。 ◆やっぱり夢のような場所だった 退団会見一問一答会見の主なやりとり。 −宝塚はどんな場所だったのか 夢を見ているだけではとうてい歩いて行けないような場所ですが、いっぱい戦って過ごした後は、やっぱり夢のような場所かな。 −今後の予定は 今日までは夢中だったので明日から考えます。 −追求してきた宝塚の男役とは? ファン時代がなかったので、どういうものが格好いいのかわからず苦しみましたが、最終的には男役だからこうだととらわれず、女性でも男性でもない心の部分だけで演じることを目指してきました。 −女性としての新しい生活、結婚の予定は? 女性として生きていくのが信じられない。何を着ていいやら(笑)。でもまあ、徐々に考えましょう。なので結婚の予定も、ちっともないです。 −涙が出ることはなかった? 「For Good」は危なかったというか、ちょっと泣きましたけど、やはり「最高に幸せだったな」という気持ちが込み上げてきて、宝塚大劇場の千秋楽よりさらに清々しい気持ちでした。 −これからの宝塚に残す言葉は 100年続いたのは厳しい上下関係が重要だったと思う。厳しく温かく、お客さまへの感謝の気持ちを持って清く正しく美しく進んでいってほしい。 ◆宝物残りました 同時退団の夢咲ねねトップ娘役の夢咲ねねも退団。舞台上のセレモニーでは、「宝塚で過ごした12年は夢のような時間でした。今日で終わると思うと怖くて考えないようにしていました」と声を詰まらせた。そして「心から愛する柚希礼音さん率いる星組でたくさんの作品を生み出すことができ、相手役を務めさせていただいて、たくさんの宝物が私の中に残りました」と万感の思いで語った。 サヨナラショーでは「オーシャンズ11」の楽曲「楽園を出た二人」をソロで歌い、柚希とのデュエットダンスでファンを魅了した。 ◆「スターになると思った」 東京宝塚劇場支配人感慨深げ入団当時から「スターになるな」と思っていたという東京宝塚劇場の小川甲子(かつこ)支配人(72)も感慨深げ。自身も「甲にしき」として一時代を築いただけに、「感じるものがあった」という。「実力もあるしオーラもある。エネルギーを惜しまず出し切って、全力投球する姿がお客さまに伝わったんでしょう」としみじみ。柚希に星組全員があこがれ「近づこうとした」ことが組の結束とレベルアップにつながった。「トップが引っ張っていい組に育て上げた。普段の行動が大事で、みんなが尊敬しないと、ついていきません」と小川支配人。 ◆最後まで自然体の人<記者の目> これまでどんなに多忙を極めても、インタビュー取材を断られたことはなかった。記事の向こうに多くのファンがいることを知っていたし、「一人でも多くの人に宝塚を知ってほしい」との思いがあったからだろう。 最後の取材で、退団後は、「イタリアでワインを飲みながら美味しいものを食べて、ダラーッとしたい」と明かした柚希。日本の温泉もいいね、と言いながら、「でも話し掛けられるのは困る」。以前、あられもない姿の時にファンに声をかけられたことがあったらしく、「服を着ているときにしてほしい」。こんなことをサラリと話す、最後まで自然体の人だった。お疲れ様、柚希! (本庄雅之) <柚希礼音(ゆずき・れおん)> 6月11日生まれ、大阪市出身。四天王寺学園出身。172センチ。9歳からクラシックバレエを習う。海外留学を夢見ていたが、高校時代にバレエの道を断念。父の勧めもあって宝塚を受験。1999年4月「ノバ・ボサ・ノバ」で初舞台。同年10月、星組に配属。2000年ベルリン公演、02年中国公演に参加。03年「王家に捧ぐ歌」から5作連続で新人公演主演。09年「太王四神記Ver.II」で星組トップに。「ロミオとジュリエット」「眠らない男・ナポレオン」など。13年に初の台湾公演。14年に真矢みき以来16年ぶりに日本武道館公演を行った。 PR情報
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