韓国南部の慶尚南道統営市にある城東造船の従業員は最近、「うちの会社はどうなってしまうのか」と不安感をしきりに口にしている。債権団による管理下にある同社は、今月中に債権団から4200億ウォン(約460億円)の支援が得られなければ、法定管理(会社更生法適用に相当)に移行するとの観測が高まっている。ウリィ銀行、貿易保険公社など債権団の一部は支援に難色を示しており、受注残高基準で世界9位の造船所が閉鎖に追い込まれる可能性が出てきた。
近隣の慶尚南道泗川市、固城郡に造船所があるSPP造船も事情は似ている。先月新規受注時に債権団の承認を受ける条件で4850億ウォン(約530億円)の追加支援を受けたからだ。安値受注を防ぐための措置という説明だが、新規受注を事実上禁止し、合併や清算に追い込む手順ではないかという不安感を抱く従業員が多い。
城東造船、SPP造船、大鮮造船などの中小造船所は今、存亡の危機に直面している。最近世界市場で大型船舶に発注が集中し、大規模造船所は生き残れるとの見方が有力だが、中小造船所の立つ瀬は徐々に狭まっている。
懸念されるのは、韓国の中小造船所が廃業に追い込まれた場合、隻数基準で世界の商船市場の半分を占める中小型商船市場を韓国が逃すことになりかねない点だ。専門家は「いつか造船業の好況が訪れても、中国と日本だけが中小型商船を受注する状況をそばで眺める立場になる」と指摘する。
その上、中小造船所が1-2カ所廃業しただけで、造船資材業者の連鎖倒産が避けられない。資材業者は大半が中小企業であり、船舶の大きさよりも建造船舶数が重要だが、最悪の場合には資材市場自体が消滅する恐れさえある。ある国策シンクタンクの研究者は「底が抜けたかめに水を注ぐ債権団の立場も理解できるが、韓国造船業の将来のためにもある程度の基盤は維持しなければならない。韓国政府も業界の現状に積極的に関心を示すべきだ」と話した。