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 久保田五十一(いそかず)さん(72)。イチロー選手(マーリンズ)や松井秀喜さん(元ヤンキース)ら、長年多くのプロの野球選手のバットを作ってきた名職人だ。その久保田さんがいま、滋賀県で「そば」に第二の人生を賭けている。そば打ちに使う麺棒はもちろん、バット作りで技を培った、自身のお手製だ。

 信楽高原鉄道の信楽駅(滋賀県甲賀市)前にあるそば店「山久(さんきゅう)」。店を共同で営む、いとこの山口道雄さん(65)の「山」と、久保田さんの「久」を合わせた。2012年にオープン。山口さんがそばを打ち、久保田さんは主に調理と接客を担当している。

 久保田さんは、03年に厚生労働省の「現代の名工」にも選ばれたバット作りの名人だ。昨春、ミズノテクニクス(岐阜県養老町)を退職するまで55年間にわたり、主にプロ野球や大リーガー向けに数十万本を手がけた。そばとの接点ができたのは、09年。そば打ちをたしなむスポーツ用品店主から、こう声をかけられた。「バットが作れるなら、麺棒も作れるんじゃないの?」