連続講座[3]
     
韓国併合100年と現在の植民地主義――生き続ける「植民地支配
○コーディネーター:上村英明、大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員、恵泉女学園大学教授
○開 講 日:11月19日(金)、11月26日(金)、12月3日(金)
○開講時間:午後7〜9時

2010年は韓国併合から100年に当たり、植民地主義が改めて問われる年となった。日本は第2次世界大戦の敗戦によってすべての植民地を失い、民主国家に変貌したという幻想が、この時期からふりまかれるようになった。また、この認識を前提に、植民地主義の残滓が残る社会について、ポスト・コロニアルという言説も注目を集めている。しかし、植民地主義と植民地支配の問題は、それぞれの社会に依然深刻な問題を引き起こしている。現在の植民地主義が、とくに東アジアの社会にどのような影響を及ぼしているかを改めて考えてみたい。

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第1回 11月19日(金) アジア太平洋戦争と植民地問題――侵略と解放のねじれ
講師:内海 愛子(大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員教授)

《講義内容》
「アジア解放」をスローガンにして戦ったアジア太平洋戦争、日本はこの戦争をどのように国民に宣伝したのか。東南アジア解放をテーマにしたアニメ「桃太郎 海の神兵」(松竹動画研究所制作・海軍省後援、 1945年封切)と 朝鮮の志願兵制度をテーマにした「銃後の朝鮮」(朝鮮総督府制作、1937年)「朝鮮時報」(朝鮮映画制作株式会社制作、1943年)をとりあげ、一部、鑑賞しながら戦争と宣伝をとりあげる。戦後、このような植民地主義がどのように論議されたのか。東京裁判での審理とその問題もとりあげながら、現在に続く問題を考える。

 

《講師プロフィール》
内海愛子(うつみ・あいこ/大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員教授)
大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員教授。1970年代からインドネシアを中心に東南アジアを歩く。そのなかで日本の戦争と戦争裁判やプロパガンダの問題などを取りあげて調査した。1980年代には「エビ研究会」の一員として東南アジアの海辺を歩いていた。『マンゴーのみのる村から――東南アジアのなかのニッポン』現代書館、『戦後補償から考える日本とアジア』山川出版社、『日本軍の捕虜政策』青木書店、『キムはなぜ裁かれたのか――朝鮮人BC級戦犯の軌跡』朝日新聞出版など著書多数。

 

第2回 11月26日(金) 朝鮮半島の民主化と日本の植民地主義
講師:李 泳采(恵泉女学園大学専任講師)

《講義内容》
韓国社会は主に三つの矛盾-植民地支配、分断体制、反共社会-を持っている。軍事独裁政権に抵抗してきた韓国の民主化運動は、この三つの矛盾を乗り越えるための過程であったともいえるだろう。しかし、李明博保守政権を生んだ現代の韓国社会は、その民主化過程とは矛盾しているようにも見える。金大中・盧武鉉政権に代表される民主化政権の10年間に、韓国の民主化勢力は、日本の植民地主義をどう清算したのか?ニューライトに代弁される新しい保守政治勢力の登場を迎えた韓国の政治情勢を中心に、民主化と植民地主義の関係を考えてみたい。

《講師プロフィール》
李 泳采(イ・ヨンチェ/恵泉女学園大学専任講師)
1971年、韓国生まれ。恵泉女学園大学教員。98年来日。慶應義塾大学大学院法学研究科単位取得退学。専門は日韓・日朝関係。日韓市民交流のコーディネーターや、韓国語、韓国映画や映像を通して現代を語る市民講座の講師も務めている。著書に『「初恋」からノムヒョンの死まで』(梨の木舎)、『なるほど!これが韓国か--名言・流行語・造語で知る現代史』(朝日新聞社、共著)など。

 

第3回 12月3日(金) 植民地主義から見たアイヌモシリ(北海道)、琉球(沖縄)
講師:上村 英明(恵泉女学園大学教授)

《講義内容》
韓国併合100年の年を考える中で、植民地問題はすでに過去のものとなったのだろうかという問いは重要である。それは、米国との間で「普天間基地」問題はなぜこうした政治決着の形になったのだろうか、あるいは、ロシアとの間で「北方領土」問題はなぜ解決しないのだろうか、という問題にもつながっている。日本政府が否定し、日本固有の領土の一部だと主張し続ける沖縄と北海道が、なぜ「植民地」とみなされるのかを考え、韓国の事例も学びながら、これら近代国家日本の植民地から、現在も生き続ける植民地主義を検証してみたい。

《講師プロフィール》
上村英明(うえむら・ひであき/恵泉女学園大学教授)
1956年熊本市生まれ。1979年慶応義塾大学卒、1981年早稲田大学大学院経済学研究科を修了。修士論文では植民地・北海道を扱う。1982年先住民族の権利問題と取り組むNGO・市民外交センターを設立して、以後代表。現在、恵泉女学園大学教授。 同大学平和文化研究所所長。主要著書に『先住民族の「近代史」−植民地主義を超えるために』(平凡社)

 


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(※この講座は東京麻布台セミナーハウスで開催される講座です)

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<お問い合せ先> 大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター
〒106-0041 東京都港区麻布台1-11-5 東京麻布台セミナーハウス
TEL:03-5545-7789 FAX:03-5545-7788 E-mail:capp@keiho-u.ac.jp