安保法案:自衛隊活動、大幅に拡大 平時から戦時まで

毎日新聞 2015年05月11日 22時03分(最終更新 05月11日 23時46分)

安全保障法制整備に関する与党協議会後、記者の質問に答える高村正彦自民党副総裁(手前)。右から2人目は北側一雄公明党副代表=衆院第2議員会館で2015年5月11日午後1時50分、後藤由耶撮影
安全保障法制整備に関する与党協議会後、記者の質問に答える高村正彦自民党副総裁(手前)。右から2人目は北側一雄公明党副代表=衆院第2議員会館で2015年5月11日午後1時50分、後藤由耶撮影
安保法制の整備で想定される自衛隊の活動
安保法制の整備で想定される自衛隊の活動

 自民、公明両党は11日、安全保障法制整備に関する与党協議会で、今国会に提出する安保関連法案について正式に合意した。昨年7月の閣議決定で憲法解釈を変更して容認した集団的自衛権の行使は、日本の存立が脅かされる「存立危機事態」が起きた際に可能になるよう武力攻撃事態法などを改正する。海外での戦争で自衛隊による米軍などへの後方支援活動の条件を緩和するほか、迅速な自衛隊派遣も可能になり、平時から戦時まで自衛隊活動を大幅に拡大することになる。

 安倍晋三首相は11日の政府・与党連絡会議で、「与党から示された方向性に従い、法案作成を進めてきた。与党での審査をお願いし、了承され次第、閣議決定し、国会に提出する」と述べ、今国会での法案成立に意欲を示した。

 自民、公明両党は協議会の後、それぞれの党で関連法案について説明。自民党は合同部会で法案を了承した。両党は14日午前までに、党内の了承手続きを終える予定。政府は同日午後、法案を閣議決定し、首相が記者会見して法整備の必要性を国民に訴える予定だ。

 安保関連法案は多岐にわたるため、既存の法律10本を束ね一括して改正するための「平和安全法制整備法案」と、他国軍への後方支援のための新法「国際平和支援法案」の2本として国会に提出する。

 集団的自衛権の行使に関しては、武力攻撃事態法などを改正し、日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される事態を「存立危機事態」として明記し、同事態に際して集団的自衛権を行使できるとした。

 「日本周辺」での米軍支援を想定していた周辺事態法は改正し、事実上の地理的制約を撤廃。日本に重大な影響を及ぼす事態(重要影響事態)で、米軍や友好国の部隊を後方支援するための重要影響事態法案とする。

 脅威を取り除くための国際的な活動で日本が協力する必要がある事態は「国際平和共同対処事態」と定義し、他国軍を後方支援するための国際平和支援法案としてまとめた。「現に戦闘が行われている現場」でなければ、広く補給や輸送などの任務が担えるようになる。

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