大阪都構想:維新の勢力どうなる? 兵庫でも注視
毎日新聞 2015年05月11日 12時02分(最終更新 05月11日 14時46分)
大阪市を廃止して五つの特別区に再編する「大阪都構想」の賛否を問う住民投票(17日投開票)の行方を兵庫県の政党関係者が注視している。都構想を進める橋下徹・大阪市長が最高顧問を務める維新の党は、4月の統一地方選で滋賀を除く近畿各府県議会で議席を獲得したが、特に兵庫では躍進し、最近の国政選挙でも党勢拡大が顕著だ。来夏の参院選では兵庫の改選議席を1増とすることも検討され、住民投票結果は兵庫の勢力争いに影響する可能性もはらむ。
「維新が住民投票に勝ったら、兵庫まで食われてしまう」。自民党県連のある幹部は警戒する。維新は4月の県議選(定数87)に擁立した11人中9人が当選し、神戸市議選(同69)でも公認した10人全員が当選した。県議選では大阪に近い阪神間だけでなく、姫路など足場のなかった地域でも当選し、別の県連幹部も「維新の広がりは想定外」と驚く。4月の府県議選で維新は京都(定数60)2▽奈良(同44)5▽和歌山(同42)1−−の各議席を得たが、兵庫の伸長ぶりは際立つ。
維新は前身の日本維新の会当時から、兵庫で地場固めを進めてきた。2012年衆院選では政権を奪還した自民党を差し置き、県内の「比例第1党」に。13年4月の宝塚、伊丹両市長選挙は公認候補が落選したが、同年夏の参院選では大阪以外で唯一、選挙区で議席を得た。14年衆院選の小選挙区でも議席を獲得した。
県内の政党関係者は次の参院選に注目する。参院では「1票の格差」是正に向け、与野党間で選挙制度の見直しが進む。議員1人当たりの人口が最多(14年1月1日現在)の兵庫は「1増」となる可能性がある。
改選対象の2議席は現在、自民と民主が分け合う。民主党県連の幹部は「現行の2議席なら維新に議席を取られてしまう。3に増えて、うちが入れるかどうか」。自民党県連の幹部は「都構想が住民投票で通らなければ、維新の勢いはしぼむのでは」と見立てる。
維新県総支部の幹部は「維新への支持は実力を超える期待をもらった結果。都構想が否決された場合にどう影響するか、正直読めない」と明かす。【井上元宏、久野洋、石川貴教】