平松前市長インタ「大阪都構想」妄想、ハシモトトリック

2015年5月12日11時0分  スポーツ報知
  • 橋下氏の主張を「イリュージョン、妄想」と切り捨てた平松邦夫氏
  • 橋下氏の主張を「イリュージョン、妄想」と切り捨てた平松邦夫氏

 大阪市を廃止して5つの特別区に再編する「大阪都構想」の賛否を問う住民投票が17日に迫った。反対派で2011年の大阪市長選で橋下氏に敗れた平松邦夫前市長(66)がスポーツ報知のインタビューに応じ、「都構想ならぬ都妄想だ」と批判した。

 ―賛成派の主張をどう見るか。

 「維新のホームページには市がなくなるとは書いてないけど、誰がどう見たってなくなるんですよ。まさしく詭弁(きべん)。なぜなくすのか、説明するべきメリット・デメリットをうやむやにしている部分が、一番の維新のウィークポイント」

 ―維新が強調する二重行政の解消については。

 「二重行政って何?って聞いたら、いまだに出てくるのは(経営破綻した)ワールドトレードセンター(南港)。何十年前の話やねん、と。あれは政策の間違いであって、二重だったからというものではない」

 ―「大阪都構想」ならぬ「大阪都“妄想”」と痛烈に批判している。

 「制度を変えれば全てうまくいく、というイリュージョン。妄想です。最初は『年間4000億の利益が出る』と言い張っていたが、精査していくと市単独で市政改革をやればいいものまで含まれていて、効果は1億円しかない。ただ、立て板に水でしゃべるから、最初に聞いたことと全く違う話になっているのに気付かせない。そういうトリックの天才。私は『ハシモトリック』という名前を付けています(笑い)」

 ―いったん市が分割されれば、修正は難しい?

 「二度と戻らないでしょうね。賛成が上回ったとしても、財源など先のことが何も決まっていない。後々、いろんな問題が噴出してくると思います。(都構想は)今の暮らしを守る行政のあり方にリセットをかける。ゲームならやり直せるが、この街にリセットボタンを押したら、どないなるか分かりませんよ」

 ―橋下氏は「ラストチャンス」と訴えているが。

 「むしろ市民にとって、この野望をくじくためのラストチャンスやと思います。そのためにも、迷っている人はいったん止まって、時間かけて考えてほしい。126年の大阪市の歴史が皆さんの1票でなくなってしまう、ということを考えていただかないといけない」

 ―これまでの橋下市政は、前市長にはどう映っていたのか。

 「この3年数か月、大阪市をなくすことだけに精力を傾けてこられた。誰のために市長やってはるの?ということを一番感じます」

 ―今年12月には橋下氏が任期満了。次期市長選に出馬するつもりは。

 「17日に反対票に入れていただくために全力を尽くしていますから。全く考えてません」(聞き手・種村 亮)

 ◆「橋下VS平松」因縁の歴史 2007年12月、毎日放送でアナウンサーなどで活躍した平松氏が、同局を退職し、大阪市長に初当選。08年1月に橋下氏が大阪府知事に初当選した。当初は蜜月だったが、府市で進めていた水道事業の統合が頓挫したことなどから関係が悪化。10年に橋下氏が「大阪都構想」を掲げて大阪維新の会を旗揚げし、対立が決定的に。11年11月、くら替え出馬した橋下氏が再選を狙った平松氏を破り、市長に就任した。

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