東京・渋谷区議:情報請求「制限」敗訴したのに継続
毎日新聞 2015年04月14日 07時30分
東京都渋谷区議会が議員個人による情報公開請求の制限を申し合わせ、統一地方選の区議選で当選した新人議員向けの説明会資料に盛り込む方針であることがわかった。「改選前の議会が新議員への説明を名目に、議員の活動を制限しようとしている」との声が上がっている。【近藤浩之】
同区の条例では、住民は誰でも情報公開請求ができると定められている。毎日新聞が入手した資料は、選挙後の28日にある当選者説明会の場で、新議員に配布される予定で議会事務局が作成した。
区議の情報公開請求権については、委員会などで審議を尽くすことを前提とし、「区からの十分な対応が得られず、それ以上の審議が不可能と思われるときに、原則として情報公開請求を行う権利を有する」などと規定。委員の割り当てがない無所属や少数会派の区議が、情報公開請求をすることを実質的に締め出すような内容になっている。
同区議会では、区議の情報公開請求を制限する慣行を2012年6月に「申し合わせ」として明文化。これを野党区議が「議員であることを理由に情報公開請求を放置された」として、区などに損害賠償を求めて提訴した。控訴審で東京高裁は13年4月、「申し合わせには合理性がない」と判断し、区側敗訴の判決が確定している。
議会事務局は「選挙直後のため、本来は議長が知らせるべきところを事務局が伝えることにした。制限だと受け止める方には、丁寧に説明したい」と話しており、資料から区議の情報公開請求権の項目を削除しない方針。