ららら♪クラシック・選「未来への贈り物〜フランクのバイオリン・ソナタ〜」 2015.05.02


あのクラシックの名曲をあなたのものに。
人生を豊かにしてくれる一曲を一緒に見つけませんか?「ららら♪クラシック」今日はバイオリンの名曲です。
今年発表の「好きなバイオリン独奏曲ランキング」。
こんな大作曲家たちを抑えて堂々の第1位に輝いた曲は?
(「バイオリン・ソナタ」)初めてこの曲に触れた中村江里子さんは…。
世界で活躍するバイオリニストたちにとってもこの曲は…。
この曲のデビューは結婚式。
ひょんな事から幸せな2人への贈り物となったんです。
作曲したフランクは名教師。
実は究極のお手本としてこの曲を作りました。
バイオリン好きをとりこにする名曲中の名曲。
その誕生秘話に迫ります!「ららら♪クラシック」今日はフランクの「バイオリン・ソナタ」。
あのベートーベンやバッハを抑えて人気第1位の曲なんです。
本当にいい曲ですよね。
私も大好きな曲なので。
今日はちょっと表情が違います。
今日は是非皆さんにも好きになってほしいなと。
それでは本日のゲストをご紹介しましょう。
中村江里子さんです。
よろしくお願いいたします。
はじめまして。
中村さんはクラシックの方はお好きなんですか?好きなんですが全く詳しくないですね。
ほとんど何も知らないといってもいいぐらい知らないんですがただ実家が実はずっともう140年音楽に関わる仕事をしてきているのに…。
ご実家は楽器屋さん。
そうなんです。
なので常に音楽がある中で育ってきているんですけれども残念ながら私は…っていう感じで。
ちなみに今日の名曲はフランクの「バイオリン・ソナタ」なんですがこの曲ご存じでしたか?実は名前も知らなかったんですがただ今流れてきたのを聴いていて「あ!聴いた事ある」って思いました。
それではこのスタジオでこの曲大好きになって頂きましょう。
こちらをご覧下さい。
(鐘の音)人生で最高に輝く時結婚式!そのお祝いの席でプレゼントされたのが今日の名曲フランクの「バイオリン・ソナタ」です。
プレゼントを受け取ったのはイザイ。
当時ヨーロッパ中を熱狂させたバイオリニストでした。
一方この曲を作ったのは…作曲家としてよりも教育者オルガン奏者として名が知られていました。
1886年の夏。
フランクは63歳にして初めて「バイオリン・ソナタ」を作曲します。
それを知った友人は間もなく結婚するイザイにこの曲をプレゼントしないかと持ちかけます。
フランクは「心から喜んでイザイの結婚祝いのプレゼントにしましょう!」と出来上がったばかりの「バイオリン・ソナタ」を友人に預けたのです。
結婚式で楽譜を受け取ったイザイ。
そこにあったのはとても美しいメロディーでした。
一目でこの曲を気に入りその場ですぐに演奏したのです。

(「バイオリン・ソナタ」)イザイはこんな言葉を残しています。
イザイはこのソナタのとりこになりました。
そしてこの曲を褒めたたえ感謝の気持ちを伝える手紙をフランクに送っています。
その後イザイはヨーロッパだけではなく各地でこのソナタのすばらしさを伝えました。
この曲が世界的な名曲となったのは彼の力も大きかったと思います。
結婚式の2か月後イザイはベルギーのブリュッセルで開かれた演奏会でこの曲を正式に披露します。
その後もイザイは言葉どおり生涯にわたってこの曲を演奏し続けました。
フランクが一人の音楽家に贈ったプレゼント。
それは音楽を愛する全ての人々への贈り物となったのです。
すごいすてきですね。
なんかこうほんとに何気なく贈ったのをすごくしっかりと受け止めてくれたって。
すごいすてきだなと。
それが全世界に広がるなんて本当にすごい。
ほんとですね。
でもイザイが当時スーパースターですからたくさん「この曲演奏してくれ」っていう楽譜が送られてくるじゃないですか。
その中でこれをパッと見てこれが大傑作であるっていうのを無名のうちに見抜いたところもすばらしいですよね。
しかも作品が良くてもやっぱりその陰にしっかりとこの名演奏家がいなければこれだけ世界には広まってないでしょうからね。
一生の宝物になるようなプレゼントを中村さんはもらったりあげたりなんていう事は?もらったというか物ではなくてなんかちょっと変なんですけど我が家は実は4世代明治大正昭和が一つ屋根の下に同居していてそれってすごい贈り物だったなと。
やっぱり家族の中でちっちゃなほんと社会が出来てていろんな役割があるので同じように私が子供たちとやりたいと思ってもまた形が変わるのでほんとに唯一無二のものだなと思うんですね。
だからちょっと物じゃないんですけど。
僕はつい最近サイン会があったんですけれど「うちの引きこもりの息子が石田さんの本を読んで外に出るようになりました」とかって言われるとああいうのはうれしいですね。
こちらは意識しない贈り物なんですけど。
すごいそれをがっちりその子が受け止めたって事ですよね。
すごい。
何かちょっとフッとその人の人生の背中を押したりとか慰める事ができたりってなったらすてきですよね。
そうですね。
このフランクという作曲家は不思議な人で彼の代表作と言われる作品は60歳を過ぎてから作曲をされてるんですね。
晩年に傑作が固まっていてその数は少なめでなんとバイオリン・ソナタ弦楽四重奏曲交響曲とクラシックの主流になるようなジャンルの曲を1曲ずつしか書いてないんです。
普通例えば交響曲でもソナタでもありますよねもっと。
書いていくうちにまた書きたい世界が広がって…。
そうではない。
そうなんです。
なぜなんですか?その辺りはなぜなんでしょうね。
フランクがなぜ代表曲を1曲ずつ書いているのかこちらをご覧下さい。
ベルギー東部の都市リエージュに生まれたフランク。
父親は息子を作曲もできる一流ピアニストに育てひともうけしようと夢みていました。
そんな父親に強いられフランクは作曲を学びピアニストとしてパリで活動を始めます。
しかしその生活に耐えられず父親の下を飛び出してしまったのです。
怒った父親は「音楽家に育てるために使ったお金を全て返せ」と要求。
フランクは父親への支払いで常に金銭的に苦しい状態となるのです。
教会でオルガンを演奏し個人レッスンや学校で生徒を教える。
家族を養うために時間を費やす日々は20年以上続きました。
しかし悪い事ばかりではありませんでした。
フランクの熱い指導の評判は高まり若い音楽家が作曲を習いに多く集まってきたのです。
彼らは尊敬の念を込めてフランクを「天使のような父」と呼びました。
その後彼らは「フランク派」と呼ばれる後のフランス音楽界を担う存在となったのです。
フランクは教え子たちから望まれてこうすればいいんだよというお手本を示したのです。
それがこのソナタや交響曲などでした。
既に50半ばを過ぎていたフランクでしたが弦楽四重奏曲や交響曲そして今日の名曲「バイオリン・ソナタ」などそれぞれのジャンルで1つずつ作品を書きました。
それらは彼の教えが余す事なく詰め込まれた究極のお手本となったのです。
「バイオリン・ソナタ」作曲の4年後フランクは亡くなりますが彼の作品は今も若い作曲家を教え導いています。
ほんとにびっくりですね。
こんなにでも大変な思いをされてたんですね。
ちょっとねお父様が…。
お父さんねひどいよね。
でもフランクの偉いところはちゃんと自分の教育費を返したうえに生活費の面倒まで見ていたっていうね。
きっと生まれもってそういう気持ちの方だったのかなと。
「天使のような父」と…。
慕われる。
中村さんは忘れられない先生っていらっしゃいます?私先生というよりも小さい時にちょっと面白いクラブに入っていて子供だけど鬼ごっことかじゃなくてだったら子供たちで集まって家を建てちゃおうよとかその先生というかそのチーフの事が今でも忘れられないっていうのは。
大きなガキ大将だったんだと思うんですね。
30近い男性が小学生から大学生ぐらいまでの子供たちを集めて取りまとめてみんなが頑張ろうっていう気持ちになる指導者だった。
みんな大好きだった。
ああいう人になりたいってみんなが思ってたんですね。
フランクはね間違いに対しては烈火のごとく怒ってでもすばらしいところを見つけると子供のように喜んでくれる先生だったようでやっぱり全力で教え子と向き合うような姿勢というのはね。
ほんとに先生どういう人と出会うかで全然きっと変わるんですよね。
だからその時の生徒さんたちは非常にきっとハッピーというか満たされた気持ちで勉強ができたのかなって。
でねまたすごくいい事を言ってるんですけども教え子にねフランクは…重みのあるすばらしい言葉だと思いませんか?僕もほんとこれからはね2年に1冊にします。
(笑い声)ほんとによく考えて書きたい。
受け止め方が違うと思うんですが大丈夫でしょうか…。
1年考えて1年書くっていうその繰り返しで死ぬまでいきたいなぁ。
クラシックにまつわる素朴な疑問にお答えしま〜す!答えて下さるのは楽器の事なら何でもお任せ!これが現代のピアノの白と黒の関係につながっています。
鍵盤にこんな歴史があったなんて堀さんびっくりですね〜!番組ではクラシックにまつわるあなたの疑問・質問をお待ちしていま〜す!結婚のお祝いに贈られたフランクの「バイオリン・ソナタ」。
偉大なバイオリニストによって世界に羽ばたく名曲となりました。
「天使のような父」と慕われたフランク。
60歳を過ぎて書いたこの曲は弟子のための究極のお手本でした。
お手本には一体どんな教えが詰まっているのでしょうか?作曲家の美濃さんが解説します!さあ究極のお手本という事でね私も学生時代はソナタを書くといったらまずはこの曲をしっかり勉強しなさいと言われてフランクの「バイオリン・ソナタ」を勉強するというような本当にお手本中のお手本という曲なんですけれどもどこがお手本になっているのかご紹介したいと思います。
フランクの「バイオリン・ソナタ」は4つの楽章で出来ていますけれども今日はね第4楽章に絞ってご紹介していきたいと思います。
カノンはお聴きになった事あります?あります。
ちょっとね分かりづらいかもしれませんけれども一番身近なのは「かえるのうた」。
ではここでちょっと実験をしてみたいと思います。
カノンではない方法で演奏するとどんな感じになるのか。
メロディーがいいですから聴けますけれどなんか普通ですね。
サラッと。
普通。
うん。
でもまあきれいに成り立って…。
きれいです。
柔らかく聴こえます。
ではこれをメロディーを追いかけるカノンという手法で演奏すると一体どんな変化があるのか。
いかがですか?なんか楽しいじゃないですけどもすごくリズムが…。
追いかけっこをしているので…。
なんかこうおしゃべりをしているような会話をしているようなより複雑で。
そして追いかけっこをしている事によって逃げても逃げても進んでいくわけですよね。
もうずっと追いつかない感じっていうのが音楽的には…前へ進むパワーが作品に出てくるという事でこのカノンはとても重要なのでこのソナタの第4楽章にカノンという形式をバチッと表示して「これがソナタ。
お手本です」というふうになっているんですね。
これはね私も学生の時に習ったんですけれどもカノンなどで最後に向かってより盛り上げていくなんていう時にテッパンで使われる技なんですね。
どういう事かというとでは衣良さんお願いいたします。
こちらですね。
曲の最初ではまずピンクのメロディーがスタートすると追いかけっこのメロディー黄色い部分は音の5つ目でスタートします。
ところが終わりの方で出てくるこの「ストレット」っていうのは追いかけるメロディーのタイミングブルーの所がピンクの3つ目から出ていますね。
という事で早まるわけなんですねスタート位置追いかける位置が。
「かえるのうた」でいえば追いかけるメロディーが「かえ…」と言ったところでもうドーンとスタートしてる。
そう。
ここで出てくる予定の音がストレットという技術を使う事によって…。
どうでしょうちょっと印象変わりました?変わります。
そうなんですよね。
こんなふうにしてこれを曲の終わりの方で使う事によってより盛り上がりがグググッと増していくという。
ほんとに教科書に使えるように基本を守って書かれてるんですねこの曲。
そうなんですよね。
フランクが「たくさん書く必要はない。
よく考えて書け」ってお弟子さんに言ってたじゃないですか。
その言葉のとおりやっぱりね考え抜かれた美しいメロディー。
選びに選んだ作品ではないかなと。
そうですね。
でもシンプルなものほど本当はすばらしく仕上げるのって難しいじゃないですか。
だからこのメロディー見つかった時はフランクやっぱうれしかったろうな。
今日の演奏ゲストはアラベラ・美歩・シュタインバッハーさん。
ドイツ人の父と日本人の母のもとに生まれ世界で活躍するバイオリニストです。
本日演奏して頂くアラベラ・美歩・シュタインバッハーさんです。
どうぞよろしくお願いいたします。
4楽章の冒頭のメロディーはどんなイメージを持って演奏されてるんですか?ちょっと子供の歌みたいな感じ。
最初のメロディー私思ってますけど…。

(拍手)すご〜い!もう感動してなんか…。
そうですね。
ほんとにいろんなお話聞いてたからなんかこう背筋を正して聴きたいけど心がもうどんどん先を聴きたいってなる。
すごいすばらしい。
大丈夫?ウルウルしてる。
すごいすばらしかった。
もうね…。
感動がねほんとに共感。
私たちもなんか空気が…。
すばらしかったですね。
そうですね。
本当に人生をソナタ一曲で描いている大作ですけど最期になんかこういうふうに自分の子供の頃を思い出しながらこんなふうに笑顔で天国にいけたら幸せなんだろうなという気持ちが沸々と湧いてしまうような深い演奏でしたね。
生徒のためにお手本としてこんな曲を書けて友達に「これイザイにあげるよ」って言ったらポイッとあげてしまえるこの恬淡とした…。
なんかもう仙人みたいですもんねフランクが。
ほんとに純粋な方なんですね。
本当にお好きなのがすごく分かりました。
何度も何度も繰り返して聴きたいなって思います。
是非人生のテーマ曲の一曲に加えて頂きたいような作品ですね。
はい。
思わぬきっかけで一生の宝物に出会う事も…。
今日の名曲もそんな宝物になりそうですか?中村さん。
申し訳ありませんでした!2015/05/02(土) 21:30〜22:00
NHKEテレ1大阪
ららら♪クラシック・選「未来への贈り物〜フランクのバイオリン・ソナタ〜」[字]

今回の名曲は、フランクの「バイオリン・ソナタ」。結婚のお祝いに贈られた曲が、世界中で愛される名曲となった理由とは?フランクがこの曲に込めた思いとは?再放送。

詳細情報
番組内容
今回の名曲はフランクの「バイオリン・ソナタ」バイオリンを愛する人たちの間で人気ナンバーワンのこの曲は、名バイオリニスト、イザイの結婚のお祝いに贈られました。作曲したフランクは「天使のような父」と呼ばれた教育者で、ある思いを胸にこの曲を書きました。その思いとは?【ゲスト】中村江里子【曲目】バイオリン・ソナタ(フランク)【演奏】アラベラ・美歩・シュタインバッハー(バイオリン)林絵里(ピアノ)再放送。
出演者
【ゲスト】中村江里子,バイオリン…アラベラ・美歩・シュタインバッハー,ピアノ…林絵里,【司会】石田衣良,加羽沢美濃,【語り】服部伴蔵門

ジャンル :
音楽 – クラシック・オペラ
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
劇場/公演 – ダンス・バレエ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0x0808)
EventID:26059(0x65CB)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: