土曜ドラマ 64(ロクヨン)(3)「首」 2015.05.02


(効果音)休之助くんをかわいがっている人じゃないとわくわくしないみたいですね。
次回もお楽しみに!
(飼い主)おいでよ〜。
(鳴き声)・
(三上)あゆみ。
あゆみなんだろ?どこにいる?何も心配するな。
今すぐ帰ってこい。
帰ってきてくれ!あゆみ!あゆみ!
(電話が切れる音)・
(不通音)回想
(諏訪)美雲の志願です。
どうしてもと言うから連れてきたんです。
だから秋川も来たんです!みんなボイコットはやり過ぎだなと思ってるんですよ。
(秋川)我々は今後一切県警に協力しない。
来週の長官視察の取材はボイコットする!広報から記者対策を取ったら雑用しか残りません。
分かって下さい。
美雲が望んでるんです。
おはよう。
(蔵前)おはようございます。
おはよう。
(美雲)おはようございます。
おはよう。
(美雲)広報官ゆうべは申し訳ありませんでした。
かなり酔っていました。
言った事を覚えてないのか?…いいえ。
回想あの部屋にいれば広報官が今どれだけ大変か分かります。
きれい事で済まない事も…手を汚さなければならない事も…。
だからといって私だけ汚さないようにしてきれいなとこ全部押しつけてそれでもまだ自分に汚れてない気持ちがあるってそんなのずるいです!撤回したいのか?…いいえ。
なら謝る必要がない。
自分の仕事をしてくれ。
コーヒーを入れてきます。
広報官例の銘川亮次の件ですが…。
銘川…?交通事故で死亡した老人です。
回想
(鼻歌)
(ブレーキ音)
(衝突音)事実関係を押さえておくように言われましたので。
ああ…。
それで?出身は北海道でした。
苫小牧です。
え〜家が貧しかったため小学校もろくに出られなかったらしいんですが二十歳前にこっちに出てきて練り物の食品加工工場に40年間勤めえ〜72歳ですから定年になってもう12年です。
8年ほど前に妻と死に別れこっちには身寄りもなく年金を頼りに長屋のような自宅で独り暮らしをしていました。
あっ土地は借地で上物だけ銘川名義…。
・もういい。
はい三上です。
・漆原だ。
ちょっと待って下さい。
報告書にまとめてくれ。
はい。
何でしょう?幸田に何をした?回想
(柿沼)出します!出すな!
(柿沼)三上さんもういいでしょう!・
(漆原)会ったんだろ?おい答えろ!
(漆原)しらばっくれる気か。
柿沼が見てんだよお前を!回想
(柿沼)やめて下さい!波風を立てないで下さい。
幸田に何もしゃべらせないで下さい。
スーパーの駐車場で見かけただけです。
「元気か?」と声をかけましたが忙しそうだったんで話はできませんでした。

(漆原)うそはためにならんぞ。
警務部が幸田を隠したのか?幸田が姿を消したんですか?いつです?昨夜からですか?・
(漆原)お前幸田に何を吹き込んだ?本当に幸田は飛んだんですか?女房子どもがいるでしょう。
聞いてんのはこっちだ!私が何を話せば幸田は飛ぶというんです?お前じゃなきゃ二渡か?・
(漆原)二渡もたまたま駐車場で見かけたっていうのか!話が見えませんね。
部長に会え。
は?何です?・
(漆原)部長に会えって言ってんだよ!どっちの部長ですか?
(漆原)部長といえば俺にもお前にも一人だろうが!会ってどうするんです?会えば分かる。
すぐ刑事部へ上がれ!
(電話が切れる音)広報官。
諏訪。
はい。
昨日はすまなかった。
引き続き何社が会見ボイコットの撤回に応じるかを探ってくれ。
勝てる数をそろえて明日クラブ総会を開かせるんだ。
分かりました。
こっちからは何を差し出しますか?俺の謝罪だ。
それしかないだろ。
警務部の命運が懸かってる。
頼んだぞ。
回想
(柿沼)幸田は報告書に録音ミスの事を書いて刑事部長の官舎に投げ込みました。
当時の刑事部長も知ってた…。
組織ぐるみの隠蔽じゃないか!
(柿沼)県警刑事部トップだけの極秘です。
歴代刑事部長の申し送り事項になっているそうです。
申し訳ございません!出直してまいります!
(雨宮)東京から偉い人が来るという話ですよね?私の方は構いませんよ。
来てもらって下さい。
おはよう。
おはよう。
呼ばれたんだ。
(ノック)失礼します。
広報官が来ました。
失礼します。
(荒木田)幸田はどこだ?知りません。
お前は知らなくても二渡は知ってるのか?分かりません。
だったら聞き出してこい!悪い事は言わん。
こっちのために一肌脱げ。
赤間と差し違えても刑事に戻してやる。
少しはそれを期待してここに来たんだろ?違います。
呼ばれたから来ただけです。
2つ目の用件だ。
ブン屋とさんざんもめたあげくに大立ち回りを演じて長官の会見をボイコットすると言ってるらしいじゃないか。
あれは不可抗力でした。
意図した訳ではありません。
意図してやるんだ。
もっともめろ。
とことん連中を怒らせて必ずボイコットに落としこめ。
何をおっしゃっているのか…。
そうする必要がどこにあるんです?撤回の可能性は高いのか?低いのか?打つ手がない訳ではありません。
打たんでいい。
静観してろ。
それならお前の心も痛まん。
できません。
古巣がどうなってもいいのか?刑事部がどうなるというんです?本庁に召し上げられるんだ。
刑事部長のポストをキャリアに奪われる。
この県警刑事部は…東京の天領になるんだ。
それを長官はロクヨンのてこ入れ策としてその会見で表明する気だ。
そのための視察なんだよ。
回想
(松岡)本庁から…長官が来るその理由を考えてみるんだな。
(石井)長官が視察でお見えになるっていうんだよ。
何の視察でしょう?
(赤間)ロクヨンですよ。
ロクヨン?
(赤間)14年前昭和64年にこの県警で初めて起きた本格的な誘拐事件。
(犬の鳴き声)視察は1週間後の木曜を予定していましてこちらで翔子ちゃんのお参りをさせて頂きたいと考えております。
遠慮します。
赤間部長は?東京行ったよ。
急用が出来たとかで。
本部長に取り次ぎ願います。
急ぎの用件があります。
本部長?急用って何だよ。
僕が聞くよ!直接お話ししたく。
三上君おい!ちょっと手伝えよ。
ちょっちょっちょっと待って。
三上君待ちなさい!ちょっちょっとまずね私が聞いてそれから本部長に報告する事になってるだろ。
ちょっちょっと。
ちょっちょっと待て!おい!ちょっとと…止めろ!止めろ!早くおい!お待ち下さい!失礼します。
(石井)本部長大変失礼致しました。
今退出させますので。
三上君だったよね?広報官の。
はい。
大事なお話があります。
どうか人払いを。
(石井)君!おお石井君は下がってていいよ。
(石井)いやしかし本部長…。
いやいいんだ。
たまには君たち以外のこういう生の声も聞きたい。
(石井)分かりました。
では5分だけという事で。
終わったらブザー鳴らすよ。
(石井)はあ。
では!・…でどんな話?無礼を承知で単刀直入にお伺いしたい儀があります。
あんまり無礼は困るけど僕が知ってる事なら答えよう。
木曜日に長官が視察に来られます。
「当地の刑事部長に本庁の資格者を据える」。
そう発表される予定だと聞きました。
そのとおりだ。
それがどうかした?あの…理由をお聞かせ願えませんでしょうか?理由は〜ほら例の少女誘拐だよ。
最後まで諦めないというアピールだね。
では誘拐事件が解決をみた場合刑事部長ポストは当地に戻されると理解してよろしいのでしょうか?それは分からないな。
まあ本庁から来る人材次第だろうけどね。
でも何でそんな事聞くの?その事で刑事部が強く反発しています。
ふ〜ん。
でも何でもうそれが分かったんだろ?本部長が二渡に下命されたからではないでしょうか?
(内)二渡君に?何を?近頃彼に会ってないけど…。
本部長。
刑事部長は県警にとって山の頂です。
私の前でよくそんな事が言えるね。
我々ノンキャリアが上がれる最高の山です。
地方警察にとってそのポストは大切なものです。
刑事はホシを挙げたいという気持ちだけで動いています。
そこに中央の理屈は通じません。
刑事部長は地元生え抜きの刑事にとって頂なんです!その誇りを奪われれば刑事たちは混乱し消沈します。
(内)なるほど。
自分たちが上がれるという希望のポストを残しておきたいと?そういう訳では…。
あさましい道理だよ。
その地方の理屈とやらで広報官の君が刑事部長のためにこんな無謀な事までやってのけるんだからね。
面白い所だね。
楽しかったよ。
(ブザー)本部長!
(石井)三上君!この件は再考すべきかと!
(石井)おい三上!下がれ!本部長!おい!三上!本部長!
(石井)おい出せ!出せ!本庁に…どうかご再考を!
(石井)出せ!本部長!本部長!大変申し訳ありませんでした!二度とここに入れるな!はあ!おい!何のつもりだ!本部長怒らせてどうすんだよ。
我々全員が…。
ああいいいい。
あの2人同期だから二渡君に任せよう。
(二渡)今度は何をした?ちょっと来い。
(二渡)刑事のクセがまだ抜けてないのか?これが小事か!?これが小事ならお前の大事とは何だ?何の話だ?東京の魂胆は聞いた。
そのために貴様は幸田メモなんていう言葉をちらつかせて刑事部の反発を抑えつけてるんだろうが!言ったはずだ。
「警察は一つの生き物だ」と。
東京も地方もない。
それは東京のヘリクツだ!刑事部長ぶんどられて地方が地方と言えるか!誰が上でも刑事は動く。
違うのか?ひとつきで慣れる。
ふたつきで染まる。
人事は例外なくそうだ。
お前がいい例じゃないか。
それは自分が信ずるものがあってこその話だ!なら俺の言う事を信じろ。
お前怖いのか?怖い?刑事部長の椅子がだ。
刑事の「ケ」の字も知らないお前でも最後に座るポストは刑事部長以外にはない。
陰の人事権者の生き方が染みついて表の刑事部長になるのが怖いんじゃないのか?くだらん妄言を吐くな。
県警のエースならエースらしく腹をくくれ!キャリアが刑事部長に座るぐらいならお前が座った方がマシだ。
俺でいいのか?俺と一緒に刑事部に来い。
今すぐだ!一人で県警をしょって立ってるような顔するな!現実を…受け入れろ。
どちらへ?小用だ。
何かあったか?明日なんとかクラブ総会を開く事だけは全社に承諾させました。
そうか。
その前に…謝罪して下さい。
今は会見ボイコットを回避する事に全力を注ぎましょう。
広報室にとってものるかそるかですから。
(諏訪)広報官?ん?ああ分かった。
あっこれは例の銘川老人の続きというか補足です。
重要な事か?いえその…。
重要かどうかそれはちょっと分かりませんが…。
しかし…本人にとっては重要な事ではないでしょうか。
回想本人にとっては重要な事ではないでしょうか。
加藤委員の娘がはねた老人ですが1時間ほど前に亡くなりました。
これもまた記者から聞かれなければ話す必要はないと所轄の方には伝えてあります。
私だけ汚さないようにしてきれいなとこ全部押しつけて…。
私も…外に向かって警察の窓を開きたいんです!
(秋川)警察が勝手に判断して名前や住所を隠すのがおかしいと言ってるんですよ。
本当にどうかしちゃったんじゃないですか三上さん。
そうなった理由は一体何なんですか?三上さんお疲れさまです。
あれ?珍しいですね。
そんなに飲んだんですか?酒を飲んだら悪いのか?いや〜そういう訳じゃないですけど。
ねえ三上さん。
ねえ三上さん!あゆみちゃん…ここ何か月も部屋に明かりがないみたいですけど。
勘違いするな!記者ならデカの家を当たれ!こんなところにネタをたかりに来るんじゃねえ!大丈夫?
(あゆみ)またそんなに酔っ払って。
今日な犯人が捕まったんだ。
フフフッ。
…だと思った。
よかったね。
よかったね!
(美那子)大丈夫?えっ?すまん。
先に…休んでるね。
おはよう。
(2人)おはようございます。
みんなちょっといいか?話がある。
はい。
話って何ですか?美雲。
(美雲)はい。
アミーゴに行った感想を聞かせてくれ。
え?記者対策をやってどう思ったかを率直に聞きたいだけだ。
はい。
広報室はマスコミ対応を一手に引き受けています。
記者の側からすれば広報室は単なる窓口ではなく警察の代表として映る事も多いのではないかと思います。
その広報室にマスコミをコントロールするための戦略しかなければそれが警察の本質として受け取られてしまいそうで怖いです。
記者対策はもっとおおらかというか不器用でいいのではないでしょうか?本当に窓を開こうとするなら必要以上に戦略を立てない事が最良の戦略のような気がしてなりません。
何だか人が殺された現場で人を殺してはいけないって聞かされた気分だな。
そんな事言ったらさ今日のクラブ総会だって開かせられなかったんだよ?広報官の謝罪で済んだのも綿密な戦略の上で成り立ってるんだから。
窓が開くかどうか分からんが…匿名問題にケリをつけようと思う。
何ですか?「ケリ」って。
会見ボイコットも本を正せば匿名が原因だ。
だからそれを切る。
「切る」とは?匿名はやめるんだ。
今後は原則として実名で記者発表する。
そんな事したら上が…。
上がそう言ったんだ。
本当ですか?赤間部長が実名でいいと?「ボイコットを回避するために空手形を切れ」と言った。
じゃあ…クラブをだますんですか?だまさない。
原則実名でいい。
俺はそう思ってる。
えっ…クラブではなく上をだますんですか?そうだ。
理解できません。
なぜ上をだましてまでそんなムチャする必要があるんです?何でも実名で発表するなんて無責任すぎますよ!だから広報室があるんだろ。
そこからが俺たちの仕事だ。
俺たちが筋の通った広報をしている限り人権やプライバシーにうるさい彼らが大きく逸脱するはずがないんだ。
いや…それ願望でしょう?信じてみたいんだ。
…信じる?連中をですか?そうだ。
匿名に関しては彼らを信じて戦略を捨てる。
破れかぶれで言ってるとしか思えません。
立場を考えて下さい。
今後実名で発表すると広報官が言ってしまえばそれは県警が言った事になるんですよ?無論だ。
あなたはいいですよ!自分の意見通して満足でしょ?しかし今後は?来春以降我々広報の人間はあなたの言った言葉にずっと苦しめられ縛られる事になんですよ。
俺は春までか?とぼけないで下さい。
そう見切ったから実名なんて言いだしたんでしょう?それとも刑事部に戻るめどでも立ったんですか?あんたたち刑事は刑事以外の仕事は全て見下してるんだ。
鼻で笑ってるんですよ。
ある意味キャリアとおんなじですよ!俺は刑事に戻れるとは思っていない。
刑事部に「ボイコットを成功させろ」と言われたが断った。
え?どういう事ですか?うちの刑事部長ポストが本庁人事になる。
ロクヨン視察は目くらましだ。
こっちで発表するために長官が来る。
そのための会見だ!じゃあ…ボイコットを回避すると…刑事部を見殺しにするって事になるんですか?俺は隣に行ってくる。
戻るまでは待機してろ。
広報官。
あなたの覚悟は分かりました。
でも本当にそれでいいんですか?刑事部は愛着のある職場でしょ?それをキャリアなんかに好き勝手させ…。
俺の職場はここだ。
キャリアにも刑事部にも好き勝手にはさせない。
元気だな朝からお前は本当に…。
話がある。
各社そろってるか確認してくれ。
どこ行くのよ宇津木ちゃん。
広報官が「話がある」って言ってるじゃない。
(宇津木)ボイコットやめてくれって話だろ?俺はそんなのにつきあってる暇ないよ。
ネタ嗅がした記者だけでやればいいじゃないですか。
まあ謝罪を聞くだけ聞こうよ。
いや謝罪しに来た訳じゃない。
じゃあ何ですか?部下に手を出すなとでも言いに来たんですか?匿名問題の新たな方針を伝えに来た。
(宇津木)新たな方針とは?今後広報の発表事案は実名を原則とする。
(秋川)条件は?ない。
長官会見のボイコットを撤回しろって事なんじゃないですか?無論期待はするが交換条件ではない。
それはまたどうした事です?上の判断ですか?俺の判断だ。
じゃあ覆りますよね。
上がノーと言えば。
それはない。
三上さん。
「原則」という含みを持たせているのはなぜですか?クラブと合意の上で匿名発表になるケースがありうるからだ。
俺はレイプ被害者の名前だけは口が裂けても発表できない。
(秋川)我々が良識と判断した場合ですか?そうだ。
そっちが県警の良識を全く信じないというならこのルールは作れない。
証拠を見せて下さい。
そっちも私たちの良識を信じるというのであれば今ここで発表して下さい!大糸市の交通事故です。
妊婦の名前と住所!この場で発表して下さい!この件を放置したままで今後を語る資格なんてないんじゃないですか?そうだそうだ!そのとおりだ!では各社改めて妊婦の実名発表を広報室に要求する。
異議ありませんか?
(記者たち)異議なし!まずはそちらの良識を見せて下さい。
…分かった。
要求をのむ。
今資料を取ってくる。
やっぱりやめましょう。
レイプ被害者も妊婦も一緒だと言い張って下さい!それじゃ永久に終われない。
それをやったらクビになってしまいます!
(美雲)広報官やめて下さい!私が余計な事を言いました。
広報官。
私はこの先も引き続き広報官の下で働きたいと思っています。
蔵前そう思うなら行かせてくれ。
自分の仕事を信じろ。
お前ら今度は待機を守れ。
では発表する。
「大糸市における人身事故の第一当事者菊西華子」。
雛菊の菊に東西の西華やかな子ども。
32歳。
「住所大糸市佐山町1丁目15の3」。
普通の菊の花の菊に東西南北の西中華の華に子どもの子。
菊西華子32でいいですね?そうだ。
補足がある。
菊西華子はキングセメント会長加藤卓蔵の娘だ。
おいキングセメントの加藤って…。
公安委員ですよね?おい公安委員の娘ってどういう事だよ!
(どよめき)だが俺の判断基準は変わらない。
妊娠8か月。
事故を起こしたショックで錯乱状態に陥った。
だから改めて申し入れる。
報道に際し菊西華子の名前と住所は伏せてもらいたい。
隠しておいて詭弁を弄するな!もう一つ補足がある。
「大糸市における事故の第二当事者銘川亮次は事故の翌々日の5日収容先の病院で死亡した」。
(宇津木)隠してたのかよそれも!想像に任せる。
これだよ…これが正体でしょクソ県警の!くさってますね…。
やはり我々はあなた方を信用できない。
まともに交渉できる相手ではない。
残念ですがそれが結論です。
あ〜あやってらんねえよ!お前らおかしくないか!何がおかしいんですか?実名発表をもぎ取ったのになぜそれは簡単に捨てようとする?県警が汚いから信用できないからと白紙に戻してまた一からこの不毛な闘いを繰り返したいのか!俺は県警を脱ぎ捨ててここに来ている!そっちも新聞社の看板をおろして俺を見ろ!それでも俺を信用できないというなら組織の上に抗議しろ。
すぐに新しい広報官が来る。
そいつと匿名実名の議論を最初からやり直せ。
以上ですか?いや…もう一つ補足がある。
死亡した銘川亮次に関する情報だ。
「死因は内臓破裂による失血死。
銘川亮次は北海道苫小牧の出身。
家が貧しく小学校もろくに通えず職を求めて二十歳前に本県に出てきた」。
「練り物の食品加工工場で定年まで40年間勤務。
以来年金暮らし。
8年ほど前に妻と死別。
子どもはいない。
土地は借地で上物だけ本人名義。
趣味は自家菜園での野菜作り。
ギャンブルやパチンコはせず月に一度のぜいたくと称して近くの立ち飲み屋『むさし』に行き焼酎を2杯飲むのが常だった」。
「店主の話によると銘川は『これまでで一番の幸運は女房と出会った事だ』と言っていた。
『ずっと安月給で2度の大病を患い苦労をかけっ放しだったが文句一つ言わず尽くしてくれた。
温泉巡りはしたがとうとう海外へは連れていってやれなかった。
墓は立派なものを建てた。
人生で家の次に大きな買い物だ』と言っていた。
事故当日の銘川は上機嫌だった。
数日前買い物から帰ると留守電のランプが点滅していた」。
「メッセージは何も吹き込まれていなかった。
最近はめったに電話が鳴る事はなかったそうだ」。
「『誰かな?誰だろう?』と盛んに首をかしげていた。
その様子がいつになくうれしそうだ」。
「北海道に照会したところ銘川の遠縁の者と連絡がついたが遺骨の引き取りは拒否された」。
頼みがある…。
長官視察の取材をしてもらいたい。
遺族の雨宮さんが報道による情報の掘り起こしに期待しているかどうかは分からない。
だが慰問と取材を承諾した。
その事実をどうか忘れないでもらいたい。
頼む。
…チクショー!広報官。
広報官。
広報官。
記者たちが来てます。
(秋川)長官ぶら下がりの予定質問です。
「新しい広報官は必要ない」。
それがクラブの総意です。
それと…これはお返しします。
これは我々の仕事ですから。

(物音)すいません。
蔵前。
記者たちに取材のやり方教えてやれよ。
いいえ…。
・はい三上です。
・あもし…もしもし?あなた?ああ。
どうした?ねえあったの!またあったの無言電話!番号が出てたの!市内よ…。
・ねえあゆみこの近くにいるんだと思うの。
分かった。
あとでかけ直す。

(呼び出し音)・はい日吉でございます。
回想あなたたちがさんざん息子を無能呼ばわりしたからじゃありませんか!警察に人生を台なしにされたんですよ!・…もしもし?どなた様ですか?…ああ。
申し訳ございません。
県警の三上です。
先日お邪魔しました。
・ああはい。
何のご用でしょう?電話を頂いたようなので折り返し電話をかけました。
・どういう事でしょう?私は夕方買い物に出ていて…。
ずっといらっしゃらなかったんですか?息子さんじゃないですか?・この電話を取り次いでもらえませんか?それは…。
私からの電話だと声をかけて下さい。
お願いします。
分かりました。
これ持っていけますので。
・浩ちゃん電話よ。
県警の三上さんから。
浩ちゃんと話したいって。
出られる?・ここに置くから。
切らずに置いとくから。
ね。

(ドアの開閉音)…もしもし?日吉君か?・そこにいるんだろ?手紙を読んでくれたんだろ?・ロクヨン。
あれは本当に不幸な事件だった。
だが君のせいじゃない。
確かに録音ミスはあった。
だがミスは一つじゃない。
・あの事件の捜査ミスは掃いて捨てるほどあった。
うそじゃない!
(スピーカーに切り替える音)・我々は少女を救えなかった。
ホシを挙げてもいない。
・その責任を一人で感じるのはいい。
だが一人で組織の責任を背負う事はできない。
それは無理だ。
ちゃんと分かち合うべきなんだ。
・捜査に関わった一人一人が痛みも負い目も分かち合うべきなんだよ。
・だから話してくれ。
何でも話してくれ。
14年だぞ…。
俺には分からない…。
14年もそこにいられる訳がないと考えちまう。
だから手紙を書いたんだ。
君はどこにいる?そこはどこなんだ?・なぜ一人でいる?分かるように話してくれないか?俺はそこには行けないのか?家族でも駄目なのか?どうやったら会えるんだ?行き方を教えてくれ…。
君の苦しみを救いたいんだ…。
そこは一体どこなん…。
(電話が切れる音)・
(不通音)大丈夫よ。
きっと…あなたの気持ちに応えてくれたんだと思う。
あゆみにも…あなたのような人がいてくれたらいい…。
どういう意味だ?家族じゃ駄目な事もあるの。
(はなをすする音)
(ブザー)
(石井)遺族と連絡がつかない?朝から何度も確認の電話を入れているんですがつながりません。
自宅にも行ってみましたが雨宮さんの行方がつかめません。
(石井)明日の慰問が嫌になったんじゃないだろうね?それで逃げたとか。
それなら私に断るでしょうから。
逃げる理由はないかと思います。
(諏訪)ルートの確認ね。
(美雲)はい。
(諏訪)12月12日木曜日。
10時警察庁出発。
12時に警察本部に長官到着。
(美雲)はい。
本部長と昼食。
はい。
15時…。
(美雲)お帰りなさい。
うん。
雨宮さんから連絡はあったか?ありません。
あっけどちょっと気になる事が…。
何だ?捜査一課の電話がつながらないんですって。
どういう事だ?記者たちが「ずっと話し中だ」ってブツブツぼやいてました。
刑事企画の電話は?どの課も次席が出ないんですって。
刑事部何やってるんですかね。
まさか雨宮さんにどうこうしたとは思わないけど。
広報官?あ…係長?ちょっちょっ頼む…。
・はい。
ちょっと分からないです。
おい!はい。
課員はどこ行った?ああはい。
(電話を切る音)ちょっと何するんですか!部長はどこだ?ああ知りませんって。
参事官は?知りません!ほかの連中はどこ行ったんだ!はい…。
仕事ですよ!何をたくらんでる!広報官!捜査二課も鑑識も空っぽです。
蔵前と美雲に刑事部関係の車庫を見に行かせろ。
誰のがあって誰のがないか詳細に報告させるんだ。
はい。
刑事部が丸ごと消えた。
回想本庁に召し上げられるんだ。
必ずボイコットに落としこめ。
講堂か…。
広報官!幹部車以外出払ってます!美雲は広報室に戻れ!蔵前は捜一に張り付いてる諏訪と代われ。
諏訪には「講堂に来い」と言え!はい。
すみません。
ここまでです。
マル暴の係長が門番か?部外者は通すなと言われてます。
誰が部外者だ!上に取り次げ!お前ら何をしてるか分かってるのか!お前ら…!おい!籠城を現認したぞ!広報官!諏訪!ボスを連れて帰れ!芦田何やってんだよ?同期か?お前ら。
諏訪こいつ倒せ!無理です。
何でもいいからぶん殴るもん持ってこい!広報官に話があります。
何だ?部長から伝えるように言われ2015/05/02(土) 22:00〜23:00
NHK総合1・神戸
土曜ドラマ 64(ロクヨン)(3)「首」[解][字]

三上(ピエール瀧)は、警察庁長官視察に隠された真実を突きとめる。そのとき新たな誘拐事件が発生。犯人はサトウと名乗り、現金2000万円を要求。ロクヨンがよみがえる

詳細情報
番組内容
警察庁長官の視察が迫る中、取材ボイコットを唱える秋川(永山絢斗)ら記者クラブの勢いは収まる気配がない。しかも、三上(ピエール瀧)は刑事部長の荒木田(中原丈雄)から、長官視察を混乱させるようにと命令される。一方、ロクヨン事件の真相を知る幸田(萩原聖人)が失踪。さらに、新たな誘拐事件が発生する。犯人はサトウと名乗り、現金2000万円を要求してきた。それは、昭和64年の誘拐事件と全く同じ手口だった
出演者
【出演】ピエール瀧,木村佳乃,新井浩文,永山絢斗,山本美月,高橋和也,きたろう,古今亭菊之丞,入山杏奈,吉田栄作,中原丈雄,段田安則,柴田恭兵
原作・脚本
【原作】横山秀夫,【脚本】大森寿美男
音楽
【音楽】大友良英

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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