(ナレーション)
明治の元勲山縣有朋は郷里の長州下関に草庵を建てた
草庵の名前の由来は「隣に家がなかったから」だという
高瀬川二条苑は戦国時代の豪商角倉了以によって造られた庭園
明治になって山縣有朋がここを別邸として買い取り第二無鄰菴とした
庭を流れる川は高瀬川の源流で七代目小川治兵衛の改修
森鴎外の小説「高瀬舟」の舞台にもなっている
木屋町二条にある高瀬川二条苑は桃山末期高瀬川を開削した角倉了以が造った庭園である
高瀬川源流庭苑とも呼ばれ高瀬川はこの庭園から始まる
江戸時代に当店の庭園は角倉了以素庵という親子がですね鴨川の治水ならびに運搬を兼ねて開削したのが高瀬川やといわれております。
ちょうど昨年が開削400年という年でもあったんですが庭園について設けられたのが当店のお屋敷になります。
庭園の入り口からがちょうど高瀬川になります。
水は鴨川の分流みそそぎ川から取り込まれて苑内を通り高瀬川となるのである
「船入」とは荷物の積み下ろしや船の方向転換をした船溜まりのこと
水深が浅いことから底が平らな高瀬舟が使われたのが川の名前の由来である
角倉了以の屋敷は現在の日本銀行京都支店の場所にあった
向かいが別邸の高瀬川二条苑である
明治24年山縣が第二無鄰菴を造営して以降日本銀行総裁川田小一郎総理大臣阿部信行実業家大岩徳次郎と所有者が変わり改修を重ねてきた
現在は日本料理店となっている
苑内
自然を主題にし作庭されたのが山縣の庭である
自然の景観を取り入れた…
明治に能舞台として使われていた名残の欄干
水の流れで虎模様が出来た滋賀県瀬田川の「虎石」
「誰が袖のつくばい」。
同じものが清水寺の方に…対のものがあるというふうにいわれてるんですけど。
着物の袖の形に似ているつくばいということで設置されております。
鳥取産…
黒竹の奥に茶室
(伊藤さん)中板三畳。
太閤秀吉が好んだ木の茶室と同じ造りのお茶室であります。
明治時代に山縣有朋の方がですね海外からのお客様をご招待する…体の大きな方をお招きするにあたってちょっと大きめの入り口にされたというふうにいわれております。
にじり口はなく立ったまま入れる貴人口になっている
せせらぎの音を作る…
細かく打ち砕いても必ず角が取れたような形になるのが特徴の石で水の音色が心地よく聞こえるということで敷き詰められております。
庭園は七代目小川治平衛の作庭といわれておりますが一角茶人の小堀遠州に由来のある露地…茶庭がございます。
いちばん古い部分でありますね。
江戸の初めに小堀遠州によって造られた
小堀遠州の特徴でありますお庭の中をこうぐねっと曲がるような形でゆっくりと散策しながらの飛び石というような形になっております。
加茂七石のうちの一つ真黒石を利用したつくばいもございまして「朝鮮燈籠」には森鴎外の小説「高瀬舟」の初版の表紙になったといわれておりますレリーフもございます。
森鴎外の方もそちらの地の方に訪れていただいたのかなというふうに思います。
橋は吉野石が使われている
大小さまざまに32基の燈籠の方がございましていちばん古いといわれておりますのが「日月の燈籠」というものが川のほとりにございます。
角倉了以が朱印船貿易の中国…明の方から持ち込んでこちらの庭園に設置されたものであるというふうにいわれております。
所有者が変わる度に山縣の自然主義的庭園にさまざまなものが財を投じて付け加えられていった
福を呼ぶとされる…
自然石を組み合わせた…
日本最大の燈籠である
東山から川が流れ出す見立て
数寄屋造りの主屋
欄間の透かしは雀であろうか
ここは茶室としても使われた
蔵は味わいを生かしながらモダンに改装されている
高瀬川の対岸には…
山縣は凶刃に倒れた大村の後継者となって陸軍卿となり軍閥の祖となる
同じく長州藩出身の伊藤博文も暗殺されたが山縣は大正まで生き延びて公爵陸軍元帥内務卿枢密院議長総理大臣も二度歴任
「元老中の元老」として君臨した
一方で山縣は和歌をたしなむなど風流な文化人でもあった
特に庭園を好み作庭普請道楽を極めた
無鄰菴と名付けられた山縣邸は3つある
最初の無鄰菴は…
現在は残っていないが山縣はここに新婚生活を送る草庵を建てた
第二無鄰菴は高瀬川二条苑
そして第三無鄰菴が南禅寺参道前に造営した別邸である
秀吉でも運び出すのを諦めた巨石を牛24頭を使って醍醐の山からここへ運んでいる
今に伝わる山縣の名園には京都の第三無鄰菴東京…
などがあり「山縣三名園」とされている
高瀬川二条苑の向かい高瀬川一之船入
森鴎外の小説「高瀬舟」はここの描写から始まる
「林太郎」は鴎外の本名である
「高瀬舟は京都の高瀬川を上下する小舟である。
入相の鐘の鳴る頃に漕ぎ出された高瀬舟は黒ずんだ京都の町の家々を両岸に見つつ東へ走って加茂川を横ぎって下るのであった」
宵を迎える頃高瀬川二条苑はまた違った表情を見せる
春の暖かさのなかせせらぎから涼やかな空気が立ち上ってくる
実は桜の木が一本もないお庭でして…。
といいますのは山縣有朋に非常にゆかりがあるんですがはらはら散る桜っていう部分をひとつ嫌っておったというふうにも聞いておるんですね。
樹齢250年といわれてます紅梅がございまして3月の時期になるとお庭の主役は紅梅になります。
山縣は「国軍の父」といわれたが武士が嫌った椿や日本古来の梅を好んだ
派手に咲き誇って潔く散りゆく桜よりも雪を割って寡黙に香りを発する梅に幕末を駆け抜けた志士たちとは違う自らの姿を重ねていたのであろうか
月折々でですね主役が変わってまいりますといいますかそれぞれの言葉で伝えていくっていうのが我々の仕事であり実際働かせていただきながら楽しんでる部分でもあります。
街中にありながら高瀬川源流のせせらぎに生き生きとした自然の息吹を感じさせる庭
時の所有者に愛され脈々と受け継がれてきた風情
それが高瀬川二条苑なのである
2015/05/03(日) 06:15〜06:30
MBS毎日放送
美の京都遺産[字]
「高瀬川二条苑」
詳細情報
◎この番組は…
古都1200年の歴史の中で守り続けられてきた寺社仏閣・祭り・伝統工芸などの中より「美の再発見」をテーマに、ハイビジョン撮影による高画質映像でお送りする「映像美術館」。
音楽
久石譲
公式HP
【番組HP】
http://www.mbs.jp/kyoto/
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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