(テーマ音楽)日本最北の大河北海道天塩川。
冬120キロにわたり氷で埋め尽くされます。
そして訪れた春。
氷は一気に流れ下ります。
川岸の木々はなぎ倒され巨大な氷が至る所でひしめきます。
日本でここでしか見る事ができない荒々しい光景。
壮大な自然の営みを天塩川に見つめます。
北海道の北部全長256キロの大河天塩川。
山あいの平野を縫うように流れやがて日本海へと注ぎます。
流域は北海道でも最も寒さが厳しい地域です。
川岸に寒さが作り出した独特の造形を見つけました。
川から立ち上る水蒸気がそのまま結晶となった氷の花「フロストフラワー」です。
晴れ渡った日の夜から朝天塩川は放射冷却によって一層冷え込みます。
こんな日には不思議な現象が現れます。
流れる水の下川底に白いものが見えます。
石を覆っているのは氷です。
冷えきった川底の石に流れる水がぶつかり直接凍りついて生まれました。
やがて氷は石から剥がれ川の表面に浮かび上がります。
天塩川を覆う氷は表面で凍るだけでなく川底からも作り出されていたのです。
次第に水面を埋めていく氷。
一日で数キロにわたり川が凍りつく事もあります。
どこまでも真っ白な道が続きます。
幅100メートル長さ120キロにも及ぶ氷の大河です。
オオワシとオジロワシを見つけました。
川魚などを獲物とするワシたちもこれではどうする事もできません。
氷と雪に閉ざされた天塩川の冬は生き物にとって厳しい季節です。
3月下旬。
日ざしが日一日と強まってくると天塩川の雪解けも間もなくです。
結氷していた川面に水の流れが生まれていました。
氷が動き出します。
いよいよ雪解け水と氷が作り出す壮大な自然の営みの始まりです。
(水音)ゆっくりと氷全体が動き始めました。
(木が折れる音)辺り一帯に響く音。
(木が折れる音)流れ下る氷が岸辺の木々をなぎ倒していきます。
雪解け水が作り出した激しい流れ。
巨大な氷がぶつかり合います。
(水音)あらゆるものを押し流すかのような自然の力。
水の勢いはひとつき以上も衰える事はありません。
冬の間120キロにわたって川を覆い尽くしていた氷はやがてはるか北の海へと流れ去ります。
季節が巡る度に繰り返されてきた天塩川の営みです。
静けさを取り戻しつつある春の天塩川。
厳しい冬を乗り越えた動物たちが一斉に動き始めます。
川岸の林に集まっているのは日本各地に見られるカワウです。
カワウは鋭いくちばしで魚を捕らえます。
おや?くわえているのは魚ではなく木の枝です。
どうするのでしょうか?オスが枝を運んでいった先ではメスが巣作りの真っ最中。
春は子育ての季節です。
2羽が協力して水につかって軟らかくなった枝を器用に編み込んでいきます。
実はカワウが水中から木の枝を集める行動は観察された事がないといいます。
天塩川の独特の環境を巧みに利用するようになったと考えられるのです。
こうした環境を利用しているのはカワウだけではありません。
大量の雪解け水が流れ込む天塩川。
増水によって本流からあふれ出す大量の水は周囲の森に網の目のような流れを生み出します。
その流れの中に巨大な魚を見つけました。
イトウです。
体長1メートルを超える日本最大の淡水魚。
体が赤く染まっているのは繁殖の時期がきた事を示しています。
(水音)天敵である大きな魚が少なく卵が流されにくい浅瀬で産卵を行うイトウにとってここは格好の産卵場所です。
産卵を終えると親たちは再び本流へと戻ります。
生まれてくる稚魚たちはここでしばらくの間成長していきます。
日本最北の大河で繰り広げられる壮大な自然の営み。
その中で生き物たちは懸命に命をつなぎます。
2015/05/03(日) 07:45〜08:00
NHK総合1・神戸
さわやか自然百景「北海道 天塩川の春」[字]
北海道の北部、天塩川は冬の間全面結氷する大河。雪解けの春、その氷は全長120キロにわたって一気に崩壊。環境を激変させる。その変化の中で生きる動物たちとともに紹介
詳細情報
番組内容
北海道の北部、日本海に注ぐ全長256キロの天塩川。冷え込みの厳しい北海道の内陸をゆるやかに流れ、冬の4か月間は河口から120kmに渡って凍りつく。春、雪解け水が増える頃、その氷が一気に崩壊。「大解氷」と呼ばれる。氷は川岸の木々をなぎ倒し、100mの川幅いっぱいになって、ぶつかり合いながら海へ。わずか数日ですべてが流れ去り、天塩川の環境は激変する。この変化の中で生きる動物たちの暮らしとともに伝える。
出演者
【出演】松岡忠幸
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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