NHKニュース おはよう日本 2015.05.04


おはようございます。
5月4日月曜日、朝7時になりました。
みどりの日のNHKニュースおはよう日本です。
神奈川県の箱根山の大涌谷付近で、今後、規模の小さな噴気などが、突発的に噴出する可能性があるとして、気象庁は注意を呼びかけています。
地元の箱根町は、けさ5時から、大涌谷周辺のハイキングコースへの立ち入りを禁止しました。
箱根山では、先月26日から山の浅い場所での地震が増えているほか、大涌谷で温泉の蒸気が勢いを増すなど、変化が観測されています。
このため気象庁は、今後、大涌谷付近で規模の小さな噴気などが、突発的に噴出する可能性があるとして、注意を呼びかけています。
大涌谷は、箱根を代表する観光地で、この大型連休の期間中も、連日、大勢の観光客が訪れていました。
地元の箱根町は昨夜、記者会見し、けさ5時から大涌谷周辺のハイキングコースや散策路への立ち入りを禁止にすることを明らかにしました。
立ち入り禁止になったハイキングコースは、大涌谷に通じる赤い線で示した所です。
半径およそ3キロの範囲に当たります。
箱根町は、地震の回数など、一連の変化が収まるまで、立ち入り禁止を続けることにしています。
一方、気象庁はきょう、担当者を現地に派遣し、大涌谷周辺の地熱の温度や噴気などを確認し、火山活動の状況を、詳しく調べることにしています。
ネパールでは、地震の発生から1週間余りがたちました。
現地では倒壊した建物の大量のがれきが、被災者の生活の再建を困難にしています。
今回の地震で、壊滅的な被害を受けた町、サクーです。
テント暮らしを強いられている住民たちは、危険を冒して、がれきの山と化した自宅の上に登り、れんがなどを手作業で取り除きながら、食料や生活用品を取り出そうとしています。
ネパールでは、建物の被害が32万棟余りに上り、人口の1割に当たるおよそ280万人が、屋外での避難生活を強いられています。
倒壊した建物の大量のがれきが、被災者の生活の再建を困難にしています。
建物の被害状況を、詳しく把握しようという動きも出ています。
被害が大きかったカトマンズ郊外のバクタプルです。
こちらでは地元の学生たちが、建物への被害の調査を行っています。
調査を始めたのは、大学の工学部の学生30人。
地震工学が専門の講師と共に、住宅などの被害を一軒ずつ確認しました。
調査は、今後2週間かけて行われ、その結果を地元の行政に提供し、今後の町の再建に役立ててもらうことにしています。
地震の発生から1週間余り。
ネパールと周辺国では、これまでに合わせて7300人以上が死亡しました。
生存者の発見の可能性が低くなったとして、外国の援助隊が帰国する動きが出始めていますが、日本など20か国は、捜索活動を続けています。
イギリス王室のウィリアム王子夫妻に誕生した女の子の赤ちゃんのもとには、祖父母に当たるチャールズ皇太子夫妻と、キャサリンさんの両親が訪れ、家族そろって、水入らずのひとときを過ごしました。
ウィリアム王子と妻のキャサリンさんは2日、第2子となる女の子が生まれたあと、その日のうちにロンドン市内にある住まいのケンジントン宮殿に移りました。
3日には、チャールズ皇太子夫妻と、キャサリンさんの両親のミドルトン夫妻が宮殿を訪れて、生まれたばかりの王女と対面し、親子3代、両家そろって、水入らずのひとときを過ごしたということです。
王室の広報官は、ウィリアム王子夫妻は、国内外から多くの祝福のメッセージを受け、とても喜んでいると、談話を発表しました。
一方、ロンドン市内のティールームでは、王女の誕生を受けて、ピンク色のケーキを飾り、小さな靴の形の砂糖菓子をあしらった、マカロンをメニューに加えました。
また、子ども服専門店では店頭に展示する洋服を、女の子向けに切り替えました。
イギリスの飲食店や商店の間では、お祝いムードにあやかる動きが広がっています。
地中海では、混乱が深まる北アフリカや中東からヨーロッパを目指す、難民や移民が増え続けています。
北アフリカのリビア沖合では、難民らを乗せた船が相次いで見つかり、およそ4100人が救助されました。
難民や移民を乗せた船は、2日から3日にかけて、リビアの沖合で相次いで見つかり、イタリアの沿岸警備隊や、EU・ヨーロッパ連合の国境を管理する部署の船などが、これまでにおよそ4100人を救助しました。
一方、付近の海域では少なくとも10人が死亡しているのが見つかっています。
イタリアの当局は救助された人たちを、国内の施設で保護し、どの国の出身かなどを確認することにしています。
北アフリカや中東の混乱が深まる中、地中海では、悪質な密航組織のあっせんで、ヨーロッパに渡ろうとする難民などが増え続けていて、イタリアやギリシャなど、北アフリカに近い国だけでは、対応が難しくなっています。
内陸にあるオーストリアのファイマン首相は、3日付の地元新聞とのインタビューで、EUのすべての国を対象に、難民や移民を受け入れる人数の枠が割りふられるべきだと述べるなど、EU全体で負担すべきだという声が高まっています。
次に、民主党は夫婦がそれぞれ結婚前の姓を名乗ることができる、選択的夫婦別姓制度の導入などを盛り込んだ民法の改正案を、今の国会に提出する方向で調整を進めています。
多様な生き方や、女性の社会進出を後押しする姿勢をアピールするねらいもあるものと見られます。
最高裁判所は、いわゆる事実婚の男女らが夫婦別姓を認めるよう求めている裁判を、裁判官全員による大法廷で審理することを決め、夫婦別姓を認めていない民法の規定が憲法に違反するかどうか、初めて判断が示される見通しになっています。
こうした中、民主党は、夫婦がそれぞれ結婚前の姓を名乗ることができる、選択的夫婦別姓制度の導入などを盛り込んだ民法の改正案を、今の国会に提出する方向で、調整を進めています。
改正案では結婚する際に、夫婦が同じ姓を名乗るのか、結婚前の姓をそれぞれ名乗るのか選択できるとしています。
また、結婚できる年齢を男女ともに18歳に統一することや、女性の再婚を禁止する期間を、現在の6か月から100日に短縮することなども盛り込まれています。
民主党としては、多様な生き方や女性の社会進出を後押しする姿勢をアピールするねらいもあるものと見られます。
さて、就職活動の就活、そして結婚に向けた活動は婚活、こうしたことば、よく耳にしますが、政府はゆう活と名付けた新たな取り組みの実施を、民間企業などに呼びかけていく方針です。
いろいろな意味を込めたというゆう活とは、一体、どんな取り組みなんでしょうか。
政府は、長時間労働の抑制など、働き方改革に国が率先して取り組むとして、ことしの7月と8月に、すべての府省庁で原則として勤務を始める時間を、1、2時間程度早めるとともに、夕方以降は会議を設定しないことで、残業時間の抑制に努めることにしています。
政府は夕方以降の時間を、家族や友人と過ごすなど、生活を豊かにする活動に充ててもらいたいとしていて、こうした取り組みを、ゆう活と名付け、民間企業などにも、実施を呼びかけていく方針です。
政府の担当者は、ゆう活のゆうには、悠々とした時間や、遊ぶ時間が増える遊、家族と過ごす優しい時間の優など、いろいろな意味を込めたと話しています。
中国がAIIB・アジアインフラ投資銀行の設立準備を進める中、麻生副総理兼財務大臣は、日本として、アジア向けのインフラ投資を拡充する方針を明らかにし、各国の経済成長に役立つ良質なインフラの整備に貢献していく考えを示しました。
麻生副総理兼財務大臣は、ADB・アジア開発銀行の年次総会に出席するため訪れているアゼルバイジャンで3日、セミナーに参加し、日本として今後、民間金融機関と連携するなどして、アジア向けのインフラ投資を拡充する方針を明らかにしました。
これについて麻生副総理は、現地で開かれた記者会見で次のように述べ、各国の経済成長に役立つとともに、環境にも配慮した良質なインフラの整備に貢献していく考えを示しました。
また、麻生副総理は、知見や経験を踏まえた提案をできることが日本の最大の強みだと述べ、アジア開発銀行を主導してきたこれまでの実績を強調しました。
質を重視したインフラ投資の拡充を表明した、麻生副総理の一連の発言は、アジアインフラ投資銀行の設立準備を進める中国が、アジア地域での求心力を増す中で、日本としての取り組みを強調したものです。
経済成長が続くアジアのインフラ需要を背景に、中国が設立を主導する、AIIB・アジアインフラ投資銀行。
資金不足からインフラ整備を進められずにいた中国の周辺国では、このAIIBへの期待が高まる一方で、不安の声も出ています。
その一つ、モンゴルを取材しました。
遊牧で知られるモンゴル。
その広大な国土が今、変わろうとしています。
モンゴル南部のゴビ砂漠です。
砂漠の真ん中に建設されているのは、中国に石炭を運ぶ専用の鉄道です。
モンゴルは石炭や銅などの資源が国の経済を支えていますが、その資源を国外に輸送する手段が限られていて、大きな課題となっています。
そこで計画したのが鉄道網の整備です。
長さ5600キロ、日本円で数兆円ともいわれる国家プロジェクトで、完成すれば、一度に大量の石炭を輸出できると、期待が高まっています。
中国とロシアにある既存の鉄道につなげ、国外に石炭を輸出する計画です。
その第一歩として、おととし建設が始まったのが、炭鉱から中国国境までを結ぶ225キロの区間です。
ところが、その後、鉄道網の整備は、思うように進んでいません。
原因は資金不足です。
そこに降って湧いたのが、中国が主導するAIIB・アジアインフラ投資銀行です。
モンゴル政府は参加の呼びかけに真っ先に手を挙げ、鉄道建設の資金源として活用する方針です。
中国にとっても、モンゴルの重要性が高まっています。
中国は、AIIBの資金で、モンゴルなど、周辺国の鉄道や道路を整備し、ロシアやヨーロッパとをつなげる、巨大経済圏を作り上げたいねらいです。
中国と世界各地を結ぶ一帯一路と呼ばれる国家戦略の一環です。
ところが、モンゴルにとっては予想外の事態が起こりました。
中国の投資を受けるためには、鉄道のレールの幅、軌道を、中国と同じものに変えなければならなくなったのです。
こちらはモンゴルの鉄道の軌道です。
これより9センチ短いのが、中国の鉄道の軌道です。
中国企業にとっては、スムーズな輸送が可能になる一方、モンゴルにとっては国内に2種類の規格が混在し、運用が複雑になります。
それでもモンゴル政府は、結局、去年10月、投資と引き換えに中国の規格を受け入れることを決めました。
しかし、市民の間では大国、中国の影響力が強まることへの不安が高まっています。
モンゴル議会でも、中国がAIIBの融資を通じて自国の基準を押しつけてくるのではないかと懸念が強まっています。
周辺国のインフラ整備を通じて、影響力拡大を目指す中国とどう向き合うべきか。
モンゴルでは国民的な議論が続いています。
では続いてスポーツ、向井アナウンサーです。
おはようございます。
まずは大リーグの速報からですね。
気が早くてすみません。
きょうは早い話ですから、ジャイアンツの青木宣親選手が現在行われているエンジェルス戦に先発。
今シーズン初の、ホームランを打ちました。
5試合連続ヒットと好調の青木。
1回、初球でした。
大きい当たり、これが?
これが。
入った。
やりましたね。
やりましたね。
大歓声。
沸いてますね。
もう一度。
青木、移籍後初めての一発は、先頭打者ホームラン。
完璧に捉えていました?
ですね。
このあと6回の初球。
青木はデッドボールで出塁。
ここまでホームラン1本、試合は今も続いています。
イチローは今シーズン初の1番バッター。
1回の第1打席はフォアボールで出塁します。
続くバッターの打席。
今シーズン1つ目の盗塁を決めました。
さらに。
3塁も狙った。
連続の盗塁。
一気にチャンスを広げます。
俊足!
イチローは犠牲フライで先制のホームを踏み、1得点を挙げました。
3回にはイチローらしさが光ります。
俊足が生きて内野安打。
連続試合ヒットを4に伸ばしました。
そしてここでも。
おっ、また走った。
3つ目の盗塁はなりませんでしたが、イチロー、1番バッターの役割をしっかりと果たしました。
そして、ボクシングの世紀の一戦ですね。
ですね。
メイウェザー選手が勝ちましたね。
勝ちましたね。
パッキャオ選手の攻撃を鉄壁の防御でかわして、的確にパンチを繰り出す、メイウェザー選手のうまさがありました。
2人合わせたファイトマネーが、少なくともおよそ300億円に上るといわれる一戦。
メイウェザーは前半、ロープ際に追い込まれますが、パッキャオのパンチをしのいで冷静にチャンスを待ちました。
中盤以降は、左のジャブを打ち続けて自分の間合いを保ったメイウェザー。
防御を固めてカウンターを狙うファイトスタイルを最後まで貫き、判定で栄光を手にしました。
いやあ。
手数ではほぼ互角だったんですけれども、ヒットした数や、的確さはメイウェザー選手が勝っていました。
これでメイウェザー選手は、48戦全勝。
負けなし。
次の試合に勝てば、1940年代から50年代の伝説のヘビー級チャンピオン、ロッキー・マルシアノに並ぶことになります。
伝説になるわけですね。
もうすでに伝説になっていると思うんですけどね。
あと、パッキャオ選手の試合後の穏やかな表情も印象的でしたし、あと果敢に前に攻めてましたよね。
そうでしたね。
印象的でした。
戦いぶりは激しく、そして試合前も、カメラが正面に来ると穏やかな笑顔を見せていまして、終始、フィリピンの方たちが、自分を見ているんだと、子どもたちが見ているんだというようなことを意識しているようにも、私には見えたんですけれども。
フィリピンの英雄ですもんね。
ですね。
あとカウンターのうまい選手に飛び込んでいくというのは怖いはずなんですけれども、最後まで攻めて、そして致命的なパンチはもらわない。
その勇気と技術、見事だったと思います。
以上、スポーツでした。
続いて気象情報です。
南さんです。
おはようございます。
きょうは雨の降る所が多い見込みです。
午前3時の天気図です。
日本海の北に低気圧、そして西日本の南に前線があって、現在、西日本や東海、北陸などを中心に雨が降っています。
夜になると、低気圧は発達して北海道に接近する見込みです。
また、寒冷前線が北日本から東日本を通過するでしょう。
この寒冷前線や低気圧が通過する際には、雷を伴った激しい雨の降る所もありますので、落雷や突風、一時的に降る激しい雨にご注意ください。
現在の雨雲の様子です。
現在、雨雲が中国、四国から、そして近畿、東海、北陸などに広がっています。
また、北海道の北部にも、一部、雨雲が見られます。
きょうのこのあとの雨の移り変わり、天気の移り変わりです。
きょうは中国、四国など西日本は主に午前中を中心に、雨が降るでしょう。
近畿は日中は雨が降ったりやんだりの天気が続き、東海、北陸も日中は雨が続くでしょう。
新潟から北海道にかけての日本海側は夕方前後から雨が降り、雷を伴いながら激しく降る所もある見込みです。
東北の太平洋側や関東は夜を中心に雨が降るでしょう。
あすになると、雨雲自体は東の海上へ抜けていきますので、あすの朝までは雨の降る所はありますが、日中は天気は回復に向かう見込みです。
ではきょうの各地の予報です。
2020年、東京オリンピックとともに行われるもう一つの大会、パラリンピック。
パラリンピック東京大会が始まったのです。
パラリンピックが始まったのはおよそ半世紀前のこと。
そして今、障害者アスリートが大きな飛躍を遂げています。
記録向上の背景にあるのは、義足や車いすなどの進化。
パラリンピアンの潜在能力を最大限引き出す技術革新が起きているのです。
この技術革新は、今、私たちの生活も、変えようとしています。
迫る超高齢化社会を支える切り札として期待が高まっているのです。
きょうはパラリンピアンと技術革新が切り開く、新たな時代に迫ります。
東京で行われるパラリンピックが5年後、そしてリオデジャネイロパラリンピックがあと500日余りに迫っています。
きょうは障害者アスリートが使う義足や車いすなどの技術革新、その最先端をお伝えしていきます。
スタジオにはゲストをお招きしています。
陸上女子100メートル日本記録保持者、高桑早生さんです。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
高桑さんは、3年前のロンドンパラリンピックにご出場。
100メートル、200メートルの2種目で7位入賞を果たしました。
今振り返って、どのようなことが思い出されますか?
そうですね、本当にたくさんのお客さんに入っていただいて、日本ではあまりできない経験だったので、とても、今でもきのうのことのように覚えてます。
またこの舞台へという思いはありますか?
そうですね、一度、あの舞台に立ってしまったので、もう一度、チャレンジしたいなって思ってます。
そうですか。
そしてスタジオには、もうひと方、お越しいただいています。
デザイナーの佐藤オオキさんです。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
国内外で数多くのデザイン賞を獲得、今、最も注目を集めるデザイナーのお1人です。
佐藤さんは、お年寄りや、車いすの人にも優しいデザインを手がけてこられました。
例えば、こちらなんです。
これはドアなんですけれども、部屋の角から人が出はいりできたら何か便利なんじゃないかということでデザインをさせていただきました。
斬新なアイデアですね。
角にドアって珍しいですよね。
実際に作って、開けてみると、少ない動作でがばっと広く開いたりとか、ドアが手前じゃなくて、横に開くような感覚があることによって、実は車いすを使用している方でも、すごくスムーズに使えるんじゃないかということに気付きまして、今、それでまた追加の研究が進んでいるんですけど、やっぱりみんなにとって使い勝手がいいものを目指すということが、すごく大事なのかなという気はしますね。
きょうはその世界的デザイナーの目線から、技術を分析していただきたいと思います。
よろしくお願いします。
お2人。
よろしくお願いします。
さあ、今、パラリンピアン、次々と記録を伸ばしているんですね。
そこには、アスリートの力を引き出す技術革新がありました。
去年7月、100メートルの日本記録を、実に5年ぶりに更新した、高桑早生選手。
健常者との合同大会でマークした13秒69のタイムは、去年の世界ランキング5位に相当する好記録でした。
この飛躍の裏には、高桑選手の力を引き出した、義足の技術革新があります。
高桑選手が義足を替えたのは、去年2月。
そこから走りに変化が起きます。
歩幅です。
左が従来の義足で走った、3年前のロンドンパラリンピック。
右が新しい義足で走った去年7月の大会です。
従来の義足では100メートルを62歩でしたが、新たな義足では、59歩。
歩数が3歩減った理由は、一歩当たりの歩幅が、平均25センチ伸びたからでした。
理想としていた、伸びのあるフォームが実現したのです。
その大きな理由は、義足の形にあります。
従来の義足は反発力を生み出す板バネが、緩やかなカーブを描いています。
着地したときの曲がりは小さく、踏み込んでも、大きな反発力を得られません。
そのため、一歩一歩が小さい走りしかできませんでした。
一方の新しい義足。
特徴は、板バネの大きな湾曲です。
着地したとき、湾曲した部分が大きく曲がります。
これにより、強く踏み込んだ分だけ大きな反発力が生まれるようになりました。
この大きな反発力が歩幅の大きな走りを後押ししたのです。
大きなたわみを生み出す秘密は、最新の加工技術にあります。
板バネはカーボンファイバーで作られています。
鉄の10倍の強度がありながら、とても軽いため、ロケットや、航空機の機体にも用いられる繊維です。
この繊維をシート状にしたものを、最大で80層を圧着、張り合わせているのです。
こうして、より軽く、より強い反発力を生み出す義足が生まれました。
この技術革新が、高桑選手が追い求めてきた、伸びのあるフォームを実現させたのです。
今、高桑選手は、新しい義足を自分の体の一部になるよう、練習に工夫を重ねています。
義足の反発力を最大限引き出す、繊細なポイントをつかむため、縄跳びを繰り返します。
これは、強い反発力を、前への推進力に変えるトレーニング。
何度も踏み込む角度を変え、強い推進力が得られる最適な角度を探ります。
高桑選手の目標は、来年のパラリンピックで表彰台。
そして、2020年東京大会での金メダル。
理想のフォームをさらに進化させるべく、みずからの体と義足に向き合い続けています。
スタジオには、高桑さんがVTRの中で使用していた、競技用の義足を持ってきていただいて、佐藤さんに今、持っていただいています。
見てみて、触ってみて、どうですか?
初めて持ってみたんですけど、これほどまで合理的に、人の体とこういった人工物が一体化されたってことはかつてなかったんじゃないかというふうな印象でした。
本当に究極のプロダクトなんじゃないかなという気はするんですけども、持っててちょっと気になったんですけど、さきほど反発力って話が出てたんですけど、これって、実際、着地するときっていうのはその反発力が、邪魔することってないんですか?安定しないとか、ぶれちゃったりとか?
その位置を見つけるのがすごく難しくて、私が立ったいい位置を見つけてそこで、沈んでいければ、自分のうまい具合に前に進む力に変えられるんですけれども、そのどこにつけばいいのかっていうのを探るのが、一番難しいですね。
探るとありましたけれども、縄跳びもされてました。
その技術に、人のほうを合わせていくその努力がまた、大変ですよね。
そうですね。
これを履いて誰でも速く走れるというわけでは、必ずしもないので、うまくこれを使いこなさなければいけない。
そのためのトレーニングっていうのは、すごく重要になってくると思います。
そして高桑さんはご自身で義足のデザインをされてるんですよね。
こちらをご覧ください。
東京大学の研究室と共同でせいさくなさってるんですかろろ…、?
私がデザインしているというよりかは、先生が描かれたスケッチをもとに、プロジェクトのメンバーや、先輩方と一緒にかっこいい義足っていうのを作ってきました。
ここで作った義足で、実際の試合でも走られたり。
そうですね。
2013年のシーズンは、このプロジェクトで出来た義足で戦ってました。
そして今持ち替えていただいた佐藤さんの手にあるのが、高桑さんがみずからデザインした義足ですね?
私がデザインしたわけではないんですけれども、先生のスケッチで。
意見が取り入れられたと。
そうですね。
声が取り入れられたと。
佐藤さん、どうですか?
もちろん、デザインというのは、物事を改善していったり、便利にしていくっていう役割があるんですけれども、やっぱり、印象度というか情緒的な部分ってすごく大事なんですよね。
情緒的?
速そうに見える形っていうのがありますし、体が大きそうに見える色使いとか、やっぱり、その競技自体が魅力的に見える、そういう助けをしてくれるのがデザインだったりするので、そういった意味でも、高桑さんがこういったピンク、すごい激しいですけど。
かわいいですよね。
そうですね、こういった色を取り入れたりする、かっこいいってすごいやっぱり大事なんですよね。
このピンクは高桑さんが選んだんですか?
そうですね。
これを作っていた当時の私の好きな色で。
当時?
でも、義足に対して、かわいいって表現をすることってあんまりなかったんで、すごく斬新なものだったと思います。
当時ということは、今もピンクは?
今も好きですけど。
でも女の子らしい。
そうですね。
さあ、その技術革新というのは、実は義足だけではなく、車いすもそうなんですね。
パラリンピックでは、多くの競技で使われています車いす。
選手を支えるだけではなく、私たちの生活にも変化をもたらしているんです。
この最新の競技用の車いす、実は重さがおよそ10キロなんですね。
ですから持ち上げられるほど軽くなってきているということなんです。
さっきの男性、片手で持ってましたもんね。
そうなんです。
こちらの会社には国枝選手、網本選手といった日本のエース選手だけではなく、海外のトップパラリンピアンからも注文が舞い込むんです。
こちら、競技用の車いすを年間100台以上製作するエンジニアの結城智之さんです。
選手の速さを支える、軽さに加えて、強さ、強度も両立させるべく、工夫されてきました。
強度ですか。
そうなんです。
その結晶ともいえる部分がシートの真下にあります、メインフレームです。
ここ、最も負荷がかかる部分なんですね。
これね、上條さん、そして高桑さん、表面が凹凸に加工されていますでしょ。
でもこれのどこが特別なんでしょうね。
これね、表面積を広げることで、強さが倍以上になった、これまでの車いすに比べて、そういうことなんですね。
このフレーム作りを可能にしたのが、結城さんたちの高度な溶接技術です。
世界に先駆けて、厚さ2ミリに満たない、薄いアルミ素材を採用しました。
着想から2年、試行錯誤を繰り返して、強度に加え、軽さも実現させました。
これ、試しに力いっぱい踏みつけてみます。
すると。
だいぶ強くないとね。
びくともしませんね。
そうなんです。
これだけの強度があるということなんですね。
工夫でこんなに違うんですね。
その軽くて強いバスケット用の競技用の車いす、乗っていただいてますけど、操作性など、いかがですか?
いやー、なんかふわふわと、本当、軽い感じですね。
自分、高校時代にボート競技やってたんですけど、陸上で船に乗ってるような、そういう不思議な感じがしますね。
それだけスムーズ。
そうですね。
高桑さんのお知り合いでこれ使ってらっしゃる方っていうのはいますか?
日常用の車いすを使ってる人がいまして、実際押したことあるんですけど、本当に軽くて、押してるほうも楽というか、感じがありますね。
その技術が一般用の車いすにも応用されてるんですが、佐藤さん、すみません、ちょっと後ろを見せていただいてもいいでしょうか。
お願いします。
やっぱり小回りも利きますね。
軽いです。
軽いですね。
ここに小さな車輪が付いているんですね、これ、もともとは競技で激しいぶつかり合いをしたときに、後ろに転倒しないためにつけたものなんですが、これが、あっ、お年寄りや子ども用の車いすにいいじゃないかということで、応用されたということなんですね。
安定感が増しますもんね。
そうなんです。
佐藤さん、その競技用の技術が、応用されるということについては、どのように思いますか。
今のものづくりにとって、すごく大事なことだと思います。
特殊界から一般解を導くという考え方だと思うんですけれども、今のものづくりって、どうしても平均値を取ってしまうんですね。
リスクを取るのが怖いので、短所をできるだけ削り落とすと。
そうすると長所もなくなっちゃうんです、一緒に。
そうやっていくと、どうしてもブレークスルーを起こすようなイノベーションとか、そういうことを起こすようなすごい商品がなかなか生まれにくくなってしまうので、やっぱりこういった取り組みというのはすごく社会がサポートしていかなきゃいけないのかなという気がします。
そうですよね。
今、その競技用の車いすや、義足の機能、そしてアイデアが一般生活で使うものにも次々と生かされているんです。
遠藤謙さん36歳。
義足やリハビリ用の器具を作るエンジニアです。
エンジニアを志したきっかけは、28歳のとき。
病気で左足を失った親友から、自分の力で歩きたいと言われたことでした。
それ以来、困っている人が求める技術の開発にこだわってきた遠藤さん。
思いを形にしたのが、この義足です。
3年前、機能を必要最小限に絞り込み、およそ2000円の低コストで義足を製作。
インドの農村地域を訪ね、義足を買えない人のために、病院へ配りました。
今手がけているのは、歩くリハビリが必要な人のための、歩行アシスト器具です。
足に力が入らず、ひざが曲がってしまうとき、関節部分にあるモーターが作動。
立った状態を維持するために必要な力、補助力でサポートします。
高齢化が急速に進む中、筋力の低下や病気の後遺症など、歩くリハビリが必要な患者は、推計400万人以上いると見られています。
あらゆるレベルの症状に対応できる器具を作る。
さまざまなアイデアを取り込みながら、一日も早い実用化を目指しています。
歩行アシスト器具を作るため、遠藤さんが注目しているのが、実は競技用の義足です。
どの程度の負荷が、競技用義足にかかっているのかが分かれば、リハビリ患者に必要な補助力を把握できると考えているのです。
リハビリ患者の中でも、特に症状が重い人に必要な補助力のヒントは何か。
この日行われたのは、日本記録保持者をはじめとした、トップスプリンターの走りの分析です。
これは特殊なプレートが埋め込まれたコースを使った、義足にかかる負荷の計測です。
分析の結果、この選手がトップスピードに達したときに義足にかかる負荷は、体重の3倍以上に上ることが分かりました。
パラリンピアンから得たデータに、遠藤さんは、歩行アシスト器具のレベルアップの手応えをつかみました。
データの蓄積によって、歩行アシスト器具の開発は一歩一歩、前進しています。
この日、初めて器具をリハビリの現場に持ち込み、患者の前で実演しました。
力が入らなくても歩ける。
その可能性を伝えました。
多くの人たちが期待を寄せる、歩行アシスト器具。
遠藤さんは完成に向け、決意を新たにしました。
こうした取り組みを、高桑さんはアスリートの立場から見て、どう感じますか?
そうですね。
私たちが義足を使って一生懸命走って、記録やメダルももたらす以外にも、こういったほかの方に影響をもたらすことができるというのは、すごく幸せなことなので、そのためにも頑張っていきたいなと思います。
それで佐藤さん、見てきまして、パラリンピアンのための技術が、社会に貢献していくという流れ、どうご覧になりましたか?
本当に、エンジニアがああいう形で携わっていくって、本当にすばらしいなというふうに感じたんですけれども、ここにまたさらにでざいなーがくわわっていたりですとか高桑さんのように、すでにデザイン性を持ってらっしゃる方が、アスリートの中でもどんどん増えてくるとさらに進化していくのかなという気もしますし、ファンがどんどん増えて、競技の底上げにもなっていくかなって、そういういろんな希望をきょうは感じさせていただいたなと。
まだまだ可能性がありますよね。
まだまだ伸びしろがあるんじゃないかなという気がしますし、この国にはすばらしいデザイナー、たくさんいらっしゃいますので、どんどん活用してもらったらいいんじゃないかなと思いますね。
そして高桑さんがリオ、そして東京で、はばたく姿も見てみたいですけどね。
頑張ります。
応援してます。
ありがとうございます。
期待しております。
よろしくお願いします。
けさは高桑早生さん、そして佐藤オオキさんとお伝えしました。
お2人、本当にありがとうございました。
ありがとうございました。
ではニュースをお伝えします。
中国を訪れている台湾の与党・国民党党首の朱立倫主席は、きょう、北京で中国共産党の最高指導者である習近平国家主席と6年ぶりとなる両党のトップ会談を行います。
中台関係がぎくしゃくする中、中国との協調姿勢をアピールするものと見られます。
おとといから中国を訪れている、台湾の与党・国民党トップの朱立倫主席は、きのう、上海で中国共産党と経済や文化の交流について話し合うフォーラムに出席し、中台関係の強化に引き続き取り組む考えを示しました。
北京に移動した朱主席は、きょう午前、人民大会堂で中国共産党の最高指導者である習近平国家主席と6年ぶりとなる両党のトップ会談を行います。
中国と台湾は馬英九総統が進めてきた中国との融和策に対して、台湾の住民に警戒感が広がり、去年の統一地方選挙で、国民党が大敗したことを受けて、関係がぎくしゃくしています。
こうした中、馬総統に代わって、ことし1月に国民党のトップに就任した朱主席は、習近平主席との会談を通じて、中国との協調姿勢をアピールするものと見られます。
(においを嗅ぐ音)2015/05/04(月) 07:00〜08:00
NHK総合1・神戸
NHKニュース おはよう日本[字]

▼モンゴルで進む鉄道網の整備。その建設資金の確保に中国の協力が。中国の思惑は?▼パラリンピアンの活躍が、超高齢化社会の新時代を切り開く!そのわけは?特集で。

詳細情報
番組内容
▼モンゴルで中国の影響力が強まっています。モンゴルで進む鉄道網の整備。その建設資金の確保には中国が主導するAIIBを通じた協力が。中国の思惑は?▼今、パラリンピアンが大きな飛躍を遂げています。記録向上の背景にあるのは、義足や車いすなどの“技術革新”。さらにこの“技術革新”は、超高齢化社会を支えるものとして期待が高まっています。パラリンピアンと技術革新が切り開く新たな時代に迫ります。特集で!
出演者
【キャスター】近田雄一,上條倫子,【スポーツキャスター】向井一弘,【気象キャスター】南利幸

ジャンル :
ニュース/報道 – 定時・総合
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
スポーツ – スポーツニュース

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 1/0モード(シングルモノ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:28057(0x6D99)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: