山村美紗サスペンス「京都新婚旅行殺人事件」 2015.05.04


(拍手)
(女たちのささやき声)3回目ですって?ええ。
それも前の奥様は2人共事故で亡くなったんですって。
まあ。
2度ある事は3度あるって言うから今度ももしかしたら…。
よしなさいよ。
縁起でもない。

(恵)ひき逃げ!?
(田端)そう。
朱雀部長の2度目の結婚相手は桂木麻里といって部長と同じ営業部にいたんだが新婚3か月目に北海道でひき逃げされてんだ。
たった3か月で?
(上野)そういえば…学生結婚だった最初の奥さんも確か新婚旅行先のハワイで溺れ死んだんだって話だよな。
(恵)やだ怖い…。
宮脇先輩よくそんな人と結婚する気になったわね。
(南田社長)新郎朱雀修一郎君は若くして我が東西物産第一営業部の部長に昇進。
常にビジネス戦線の先頭に立ちその業績は目を見張るばかりでございまして。
まさしく我が社の宝といっても過言ではありません。
またこの度は秘書室の才媛を妻としてお迎えになりますますの期待がかけられると…。
宮脇美知子:ええ}o
k?}ItD9と}oうん。
結婚してくれないか?君も知ってのとおりね。
ああどうぞ。
朱雀君は過去2回の結婚がいずれも不幸な結末に終わったため今後は独身を通すと言い張っていたがね。
何といっても彼は我が社にとって掛けがえのない存在だ。
やはりきちんとした家庭を持ってもらわないと対外的な信用にもかかわる。
(麗子)誤解しないでね。
私たち会社の事だけで話してるんじゃ…。
朱雀さんはお仕事ができるだけでなく女性から見ても十分魅力ある男性だわ。
きっとあなたを幸せにしてくれると思うわよ。
あなた朱雀さんのこと嫌い?あっいいえ!じゃ誰か他に好きな人でも…?いません。
そんな人は…。
やっぱり…。
申し上げたとおりでしょう。
宮脇さんはきっと朱雀さんが好きなんだって…。
奥様…。
でも部長さんは…。
彼はあなたに夢中よ。
いや…まさか…!?本当よ。
ただ前の2回の結婚の事があるから言い出せないでいるだけ。
よし。
これで決まった。
宮脇君この話は進めさせてもらうよ。
いいね?よろしくお願いします
(司会者)「ご結婚を祝しお2人の前途に幸多かれとお祈り申し上げます」太陽貿易社長大杉善之助様。
「ご結婚おめでとうございます。
この日の感激をいつまでも忘れず長い人生を共に助け合って楽しい家庭を築いて下さい」行こう。
ああ。
それにしても同じ日に部長と課長の結婚式はないよ。
社長の陰謀だよ。
陰謀!?この繁忙期にバラバラに休まれるより一緒に休ませれば効率がいい。
新婚旅行も2組一緒に京都ですって?ホテルは琵琶湖の湖畔だとか…。
ふ〜ん。
どっちにしても2泊3日のトンボ返りさ。
エリート社員も楽じゃないね。
おっ向こうは終わったらしいぜ。
さ〜て第二幕の開演だ。
(拍手)知ってるか?社長のお嬢さん本当は朱雀部長のことが好きだったらしいぜ。
本当か?じゃ何で森川課長との結婚をOKしたんだ?課長がうまく取り入ったんだろ。
女には凄腕らしい。
(上野)社長の一人娘の婿殿となると将来は約束されたようなもんだな。
(田端)こうなると次期重役候補のナンバーワンと言われていた朱雀部長もウカウカしてられないぞ。
(上野)部長と課長の立ち場が逆転する可能性があるわけだ。
ああ…!どうした?総務の川口さん…!森川課長の彼女って噂された女性。
披露宴途中で抜け出したってわけか…。
この芝居二幕では終わりそうも…。
うん。
いやなかなか盛大でいい式だったね。
ええ。
(朱雀)本日はありがとうございました。
ああ。
社長はまっすぐ成田へ…?うん。
君たちがハネムーンを楽しんでいる間私一人が向こうで仕事だ。
(森川)申し訳ありません。
大事なときに。
冗談だよ冗談…。
短い時間だが十分に楽しんでください。
(森川/朱雀)ありがとうございます。
じゃ行って来る。
行ってらっしゃい。
ああ森川君。
はい。
娘を…千津をよろしく頼みますよ。
はい。
お任せください。
それじゃ…。
行ってらっしゃい。
何だか申し訳ない気がしますね。
社長お一人に仕事を押しつけているようで…。
おい。
新婚旅行の時ぐらい仕事は忘れろよ。
帰ったらまたコキ使われる身なんだ僕たちは…。
それもそうですね。
千津さんどうぞ。
部長…。
(森川)千津さん西本願寺ですよ。
(千津)いいわよ。
いちいち説明しなくても。
京都なんて飽きるほど来てるんだから。
ああそうか。
南田家は元々京都の出身でしたね。
お姉さんのとこに寄らなくていいの?えっ!?だって京都に住んでるんだろ?ええ…でも…。
そうか。
やっぱり怒ってるんだな僕たちの結婚のこと。
姉のことはいいんです。
確かに姉には両親が亡くなった後育ててもらった恩があります。
でもこの結婚は私が自分の意思で決めたことなんです。
姉がどんなに反対しようと関係ありません。
美知子…ありがとう。
決して君には後悔させない。
誓うよ。
(美知子の笑い声)どうも…。
どうしたんだ?ああいや別に…。
行こうか。
はい。
ええと885号室は…あっちだな。
部長はこちらですね。
うん。
ここからはお互い気遣いせずチェックアウトまで自由行動にしようか。
はい。
分かりました。
じゃお嬢さんごゆっくり…。
朱雀さんも!失礼します。
行くよ。
ああ…。
やっと着いたな。
ええ。
う〜ん…。
疲れた?部長こそ。
部長…?ウフフフ…。
美知子…。
佐知子:うちは@dBPH?BPや!*大体初婚のあんたが何でそんな男の嫁にならんなんの?しかも前の奥さんは2人共事故で死んでるゆうやないの。
それは偶然よ。
部長のせいじゃないもの。
うちにはそう思えへん。
その男青髭と違うか?青髭!?若い嫁さんもろうてはすぐ殺す青髭の話…。
そんな…。
とにかくお姉ちゃんはこの話には反対や!どうしても結婚したいいうんやったらあんたと縁を切る。
どうでも好きにしよし。
お越しやす。
ええの見つかりましたか?
(ため息)《お姉ちゃんごめんね。
でも私きっと幸せになってみせる》・・はい。
もしもし…!?
(女の声)朱雀修一郎は人殺しだ!
(ボイスチェンジャー)朱雀に近づく者はみんな殺される。
あなた…一体どなたですか!?
(電話が切れる音)誰?ああっ…。
間違い電話でした。
間違い?うん。
ああいい風呂だったよ。
君も早く入ってくればいい。
はい。
幸せにするからね。
ねえ…!悪いけど今夜は一人で寝かせて…。
ええ…!?疲れてるのよ。
明日でもいいでしょう?君…。
眠れないの?あごめんなさい。
起こしちゃいました?よし。
これを飲むといい。
はい。
睡眠薬?そんなに強くないから心配しなくていいよ。
新婚の花嫁さんが翌朝寝不足の顔してたんじゃ周りに何て言われるか分からないからね。
部長…。
また…。
部長はやめてくれよ。
ウフフフ…。
すみません。
じゃ…。

(遠くで女の悲鳴)
(パトカーのサイレン)すみません。
千津さん!?部長…。
どうしたんだ!?これは…?夜中に…あそこから飛び降りたらしくて…。
靴が…残っていて…。

(狩矢警部)どうも…。
滋賀県警の狩矢です。
ほう。
2組一緒の新婚旅行ですか?でホテルに入ってからは別行動されたんですね?ええ。
食事も我々は部屋でとりましたし…。
君たちは?ホテルの中のレストランへ行きました。
その後は?カラオケバーで2〜3曲歌って部屋に戻りました。
それ何時頃ですか?確か9時すぎだったと思います。
それから?それから風呂に入って…。
新婚の儀式はうまくいきましたか?はあ!?別に変な興味で聞いてるんじゃないんです。
これは自殺か他殺かを決める重要な要因になるもんですから。
まさか…!?殺されたとでも…?いやまだ分かりません。
でもあらゆる可能性を探るのが仕事ですから。
でどうだったんですか?はあ?昨夜です。
そそれは…。
失敗だったみたいですね?疲れてるからと拒否されました。
疲れてる?奥さんが部屋を出てったのは気づかなかった?ええ。
それはちょっとおかしいんじゃないですか?だって奥さんわざわざ派手な服装に着替えて出かけてるんですよ。
少しくらい物音はしたでしょう?いえ本当に気がつかなかったんです!昨夜はベロベロに酔ってまして…。
ベロベロ…?はあ。
面白くないんで表に飲みに出たんです。
表に行かれたんですか?はあ。
(小林刑事)警部!そろそろ仏さんを運び出します。
はい!ご主人。
もう少し伺いたいので署までご同行願えますか?はあ。
警察は森川課長のことを疑ってるんでしょうか?それはないだろう。
新婚初夜に花嫁を殺すなんてバカげてる。
それに彼にとって千津さんは出世のカギを握る大切な女性だ。
殺すなんてそれこそ自分で自分の首を絞めるようなものだ。
事情は分からないが自殺としか考えられない。

(拍手)女の声:朱雀修一郎は人殺しだ!
(ボイスチェンジャー)朱雀に近づく者はみんな殺される…どうしたの?いえ…千津さんの自殺の原因って何だったのかなって…。
うん。
千津さんは部長のことが好きだったんでしょう?だから森川課長と結婚したものの部長のことが思い切れなくて…とか…。
バカなことを言うなよ。
彼女がどう思ってたか知らんが僕はそんな目で見たことない!第一…彼女が死ぬほど僕に好意を持っていたとしたら森川と結婚するはずがないよ。
千津さんは一人娘で悪くいえばわがまま放題に育ったお嬢様だ。
嫌だと思えば社長や奥様が何と言おうと聞き入れるような人じゃないよ。
じゃ森川課長との結婚は…?もちろん本人の意思に決まってる。
森川は若手じゃ最大のホープだ。
それにこういう話は君の方が詳しいだろう?彼は女子社員の間では随分人気が高かったそうじゃないか?むしろ彼が結婚してがっかりしてる娘も大勢いるんじゃないのか?ああ…!昨日ホテルのロビーで見かけた人…。
川口さんだ!川口…!?総務の川口…アケミさん。
森川課長と噂のあった女性ですが…。
何だって!?警察に話した方がいいでしょうか?警察に?うん。
だから…川口さんが千津さんを呼び出して…。
考えすぎだよ。
変な憶測でものを言うのはやめた方がいい。
何度同じ事を言わせるんですか?僕たちはケンカなんかしてないって言ってるじゃないですか!しかしあなたは昨夜奥さんからベットインを拒否され…。
だからその…彼女が疲れていたから…。
本当に疲れていたんですかね?奥さん…誰か他に好きな人がいたんじゃありませんか?いたんですね?知りません。
森川さん。
本当の事を言ってくれないと後で困ったことになりますよ。
いや〜驚きましたね。
新婚旅行のもう一方の相手が本命とは…。
警部。
これはやっぱり自殺じゃないんですか?どうして?こうですよ。
森川千津…まだ南田千津ですが一度は森川と納得して式を挙げたが惚れた男も別な女と結婚。
しかも新婚旅行も一緒…。
これはもう地獄でしょ。
で絶望して非常階段から飛び降りたと…?それならベットインの拒絶理由も分かるしわざわざ着替えたのは精一杯きれいにとの女心…。
気に入らないな。
はあ?この写真だよ。
自殺の99%は足から飛び降りるんだ。
だが千津の両足は無傷で頭蓋骨が陥没している。
つまり頭からダイビングしたという事になる。
まあ後頭部から落ちたんで顔面には損傷がなかったがきれいに見せたい女がわざわざ頭から突っ込む事をするか?それじゃ…こいつは殺しだと?俺はそっちに賭けるね。
《あれは本当に軽い睡眠薬だったのかしら?》これを飲むといい。
はい。
睡眠薬?そんなに強くないから心配しなくていいよ
(遠くで女の悲鳴)《疲れていたからあんなに効いたのかしら?もしあの時の悲鳴が千津さんのものだとしたらその時彼は一体どこに…?でもそんな事刑事さんには言えない》何をぼんやりしてるんだい?奥様を駅まで迎えに行く時間だよ。
はい。
専務。
ご苦労様です。
奥様…何と言っていいか…。
(佐山)社長はロスからすぐ引き返して来る。
森川君はどうしたんだ?ショックが大きくて…。
ああこちらです。
(泣き声)どうして…どうしてこんな事に…。
お願いもう一度目を開けて…。
千津さん!あの奥さん少々お伺いしたい事があるんでちょっと別室の方へお願いできますか?奥さん…。
専務の佐山と申しますが…。
どうも…。
よろしければ私が…。
ですけど…。
彼女のことは昔からよく知ってますので大抵の質問にはお答えできるかと…。
そうですか。
じゃお願いします。
奥様をホテルまでお連れしてくれないか。
はい。
(麗子)ごめんなさいね。
あなた方の新婚旅行まで台なしにしてしまって…。
いえ。
千津さんのこと何てお悔み申し上げたらいいのか…。
あなたも知ってると思うけど千津さんと私は生さぬ仲でした。
それだけにいろんな苦労もあったわ。
私が南田と結婚して間もなく千津さんが家を飛び出して遊び回ってた時期があったの。
その頃はやっぱり私のせいだと随分悩んだわ。
早く結婚してほしいと思っても私の口から言えば追い出すようにとられる恐れもあるし…。
森川さんと…!?そう。
2人でもう決めてしまったの。
あなたまさか朱雀さんへの当てつけじゃないでしょうね?当てつけ…?アハハハ…バカバカしい。
何よあんな人…だから森川さんのことを聞いた時は本当にホッとしたわ。
千津さんも急に打ち解けて何でも話し合うようになり一緒にお嫁入り道具を見に出かけたりしてああ…これでやっと本当の親子になれたんだって思ったやさきに…。
(森川)奥様!奥様!申し訳ありません。
申し訳ありません!お立ちなさい。
男の方がみっともない真似をするもんじゃないわ。
森川さん。
千津さんの自殺の原因あなたに心当たりはないの?ありません。
嘘じゃありません!私自身何でこんな事になったのか信じられない気持ちでいっぱいなんです!川口アケミさんだね?ちょっとお聴きしたい事があるんですけど。
森川君警察で聞いたんだけど昨夜君外出したそうだな?はい。
まさか昔の女と会ってたわけじゃないだろうな?はっ?総務の川口アケミだよ。
警察はねもう彼女のことまでつかんでるんだ。
どうなんだっ?冗談じゃありません!なんで今更そんなことを?だいいち私は彼女が来てることさえ知らなかったんです。
奥様っ奥様信じてください。
川口君とはきれいに別れてるんです。
決して千津さんを裏切ることはしていません。
分かってるわ。
あなたがそんな人じゃないって信じてるからこそ主人も私もこの結婚に賛成したんですもの。
今いちばんつらいのはあなたなのよね。
奥様…。
では葬儀は京都で?社長がそうおっしゃるんだ。
菩提寺も京都にあるんでね。
分かりました。
お待ちどおさま。
それじゃあ。
遺体を引き取りに行く間奥様のことを頼む。
はいそれじゃ結構です。
川口さん?それじゃあ…。
朱雀さん。
じゃ川口さんは?事件とは無関係でした。
無関係?彼女森川さん恋しさに追っかけて来たんですが今更ヨリを戻すのは無理と思いあの晩町のスナックで飲んだ後行きずりの男とラブホテルに泊ってます。
ホテルの従業員の証言も取れました。
(読経)森川課長出席させてもらえないって本当か?ああ社長顔も見たくないって。
可哀想課長のせいじゃないんでしょう?
(指輪が落ちる音)
(目黒裕子)ねえちょっといいかしら?披露宴の時に来たの?!タチの悪いいたずらだと思うんだけど社長のお嬢さんがこんなことになったでしょう。
だから一応知らせておいた方がいいかなと思って。
まさかそれお嬢さんの嫌がらせってことはないわよね。
そんな。
社内で噂なの。
お嬢さん誰かに呼び出されて殺されたのではと。
しかもあなたと間違えられて…。
ごめんなさいね。
余計なことを言って。
じゃあ…。
臭うな。
青酸化合物かな?警部っ。
えっ?!森川課長が…。
無断欠勤だったので部下に見に行かせたら自殺していた。
自殺!?ワインで毒をあおったらしい。
パソコンに遺書が打ち込んであったそうだよ。
狩矢さん本庁から遺書のコピーがきました。
うまいよ。
いただきます。
「申し訳けないことをしました。
すべて私の責任です。
死んでお詫びを致します。
森川一男」やっぱり千津を殺した犯人は森川ですかね?できすぎだこりゃ。
できすぎ?話がうますぎると思わないか?こんなパソコンで打った遺書信用できるか?では千津を殺した犯人が森川も殺したと?おそらく。
森川が何かを知ってたんだ。
口封じ?うまいね〜。
社長ご夫妻です。
朱雀さん後でちょっと話が。
はい。
森川君…君までもが…。
《森川課長は本当に自殺だったのかしら?でも…でも課長が千津さんを殺し自殺するなんて考えられない。
だとしたら課長も誰かが…》・はい。

(佐知子)何びくついた声出してんねん。
お姉ちゃん…。
今度は婿さんが殺されたそうやな。
殺されたんじゃないの。
自殺らしいの。
・何アホなこと言うてんねん。
あんたかてほんまは殺された…殺された・て思うてんねやろ?・図星のようやな。
じゃお姉ちゃんは誰に殺されたって?決まってるやんか。
あんたの婿さんや。
もしもし…聞いてんのか?聞いてるよ。
でも…。
(チャイム)あっ彼が帰ってきたみたい。
ええか絶対隙みせたらあかんで。
わかった。
お帰りなさい。
ただいま。
朱雀修一郎?有力な容疑者だ。
動機は?朱雀の立場になってみろ。
森川が社長の娘と結婚したことで順調に進んでた出世レースにかげりが生じてきた。
当然奴は焦ったはずだ。
仕事上の男の嫉妬は女より怖いからな。
だったら森川を消せばいいことで何も社長の娘まで…。
バカいきなりそんなことをしてみろ。
真っ先に疑われるのは目に見えてるだろう?なるほど…。
それでまず社長の娘を殺し…。
森川に罪をかぶせそのうえで森川が自殺したとみせかけた。
俺にはコーヒー。
砂糖とミルクたっぷり。
豆からひけよ。
あらっ?どうしたのそのワイン…。
もらいものがあったのを思い出してね。
それじゃ乾杯。
飲まないの?ちょっと具合が…。
大丈夫?うん…。
ま調子が悪いのならしょうがないか…。
あ〜…うまいっ。
あっそうだ。
週末琵琶湖へ行くよ。
琵琶湖?千津さんが亡くなって以来社長すっかり落ち込んじゃって。
奥様が心配して琵琶湖の別荘で休養したらと勧めたそうだ。
大きな仕事も一段落ついたし専務も勧めたらやっとその気になったらしい。
よかったじゃない。
で我々もお供することになった。
えっ?奥さんが君のことを気の毒がって。
ほら新婚旅行がああいう形で潰れてしまっただろう。
でも私なら大丈夫だから。
そう言わずに。
せっかくの好意は受けたほうがいい。
でも…。
美知子っ。
君もこの間まで会社勤めの人間だ。
上司の好意を断るとどういうことになるか分からないでもないだろうっ。
ごめんなさい。
お供します。
怒鳴ってごめん。
まお供するといっても別荘に一緒に泊まるわけじゃない。
気兼ねをすることはないよ。
はい。
どうもっ。
いらっしゃい。
ああ奥様。
あなた朱雀さんご夫妻が見えましたよ。
失礼いたします。
あ〜君たちか。
社長どうでしょう?お加減のほうは…。
うん…まあまあだ。
体のほうは何ともないのよ。
後は…。
どうか元気をお出しになってください。
そうです。
まだ第一線で我々を指導していただかないと。
ありがとう…ありがとう。
もうすっかり涙もろくなっちゃって。
こんなに心配されてるんだから老けこんでる場合じゃないわよ。
お邪魔しますよ。
専務…。
おう…来てたのか。
社長いかがですか?あ〜。
船の手配つきましたよ。
そう。
よかったわ。
何でしょう?船って…。
遊覧船よ。
明日1隻借り切って琵琶湖をまわりながらパーティーを開くことにしたの。
こちらのお知り合いを招いてね。
もちろんあなた方もご招待するわ。
はい。
どうもみなさんようこそいらっしゃいました。
どうぞごゆっくりおすごしくださいませ。
社長紹介しましょう。
うちの営業の朱雀です。
どうも朱雀と申します。
どうぞよろしく。
どうぞごゆっくり。
失礼いたします。
どうしたの?元気ないわね…。
あっ何か場違いな気がしちゃって…。
そんなことないわ。
あそうだ…。
皆さんにお酒運ぶの手伝ってくださる?はい。
喜んで。
不愉快だ。
誤解です。
私はそんな…。
社長っ。
あなたどうなさったんです?私はキャビンへ戻る。
待って下さい。
私の話も聞いてくださいっ。
聞きたくないっ。
社長っ。
(麗子)何でもございません。
ムシの居所が悪かっただけで。
じきに戻ってまいります。
どうぞ召し上がって下さい。
タレコミですね。
タレコミ?南田千津が殺された晩…。
京都駅前か…。
修一郎さん…。
どうしたのさっき社長さんすごい怒ってらしたみたいだったけど…。
何でもないよ。
何でもないって…。
何でもないと言ったら何でもないよっ。
酒つくってきてくれないか?いいお天気で本当によかったです。
ちょっと失礼しますよ。
そろそろ社長を迎えに行った方がいいんじゃないですか。
そうね。
皆様に失礼よね。
失礼します。
あ…朱雀さん。
主人のご機嫌は直ったかしら?話をさせてもらえませんでした。
しょうがないわね。
あの人腹をたてるとすぐに鍵をかけて部屋に閉じ込もるくせがあるのよ。
あなた方も一緒に来て…。
やっぱり…。
あなた開けてください。
あなた…。
寝ちゃったのかしら?まさか具合が悪くなって倒れているんじゃ?社長はお元気でした。
だったら何で返事がない?美知子さん船員さん呼んできて下さる。
はい。
社長っ社長。
社長っ。
社長っ…?あなたっあなたどうしたの?ね…あなたっねあなたっ。
あなたっあなたっ。
(シャッター音)絞殺か…。
凶器は?見当たりませんね。
ホシが持って逃げたんでしょう。
皆さんがこちらにいらした時この部屋のドアの鍵は内側から掛かってたんですね?間違いありません。
な?はい。
鍵は社長がご自分でお掛けになられました。
ではこの鍵は最初からここに置いてあったわけですか?おっしゃるとおりです。
密室か…。
警部あの小窓からの出入りは無理ですかね?犯人は猫じゃないだろうからな。
無理だと思うよ。
朱雀さ〜ん。
ちょっといいですか?社長は自分で鍵を掛けたと言いましたね。
ええ。
どうしてそんなことが分かるんですか?それは…。
朱雀さん…実は。
修一郎さん!奥さんちょっとご主人をお借りします。
刑事さん!朱雀さんが何をしたというんですか?失礼します。
そうか。
そらえらいことやったな。
私もう何を信じていいか分からなくなってきた。
自分の夫を疑うなんて嫌だけどあの人が犯人なのかなって。
そうやろ。
そやし初めから…。
でもね…あの目は。
目?あの人が警察に連れて行かれる時私に向かって何かを必死に訴えかけてきたのよ。
あの目は恐ろしいことをした人の目じゃない。
そんな気がして…。
そらあんたの惚れた欲目というもんや。
私ね自分で調べてみる。
自分で調べる?彼が本当に犯人か自分の手で確かめたいの。
やめとき。
素人が探偵の真似して何ができる?そういうことは警察に任せなあかん。
警察は彼のこと最初から犯人だと決めつけてるんだもの。
それにはそれなりの証拠があってのことや。
やみくもに捕まえたりはしはらへん。
朱雀さん。
そろそろ本当のことを話してくれませんか?南田社長の娘さんが死んだ時現場付近であなたを見たという証言があるんですよ。
それを知った南田社長が激怒してあなたに厳しく詰問した。
そうでしょう?なんとか言ったらどうなんだよっ。
小林…。
ほんま難儀な子やな〜。
でどこから手つけるつもりや?えっ?えやないで。
旦那さんのことどこから調べ始めるきやって聞いてんねん。
それは…。
あ〜これやからな〜。
こういう時は原点に戻るのがいちばんや。
原点?ほらよく刑事ドラマで言うてはるやん。
捜査に行き詰まった時は原点に戻れって。
今度の事件ではぎょうさんの人が亡くなった。
最初は社長の娘さん次はその旦那さんほんでとうとう社長さんまで殺されてしもうた。
じゃ千津さんの事件から調べろってこと?もっと前があるやろ?もっと前?朱雀さんの前の奥さんのことや。
最初の奥さんがハワイで溺れ死なはったのはぎょうさん目撃者もいるしま〜事故死やとして二番目の奥さんは北海道でひき逃げされたまままだ犯人も捕まってへんのやろ?遠回りのようやけど事件の根っ子この辺にあるのと違うかなあ?ありがとうお姉ちゃん…。
しぶとい奴だ。
なんとか逮捕できませんかね?そりゃ無理だろう。
本人が頑と否認しているうえに何一つ決め手となる証拠がない…。
限りなくクロに近いのに。
そうかな?いくつか気になることがあるんだな。
何ですか?まずこのタレコミの主が誰なのか皆目見当がつかないことだ。
しかしあの晩朱雀が部屋を出たことはホテルの従業員も見てるじゃありませんか。
それはそうだがじゃ誰が南田社長の耳に入れたんだ?しかも娘が殺されて数日がたった今になってだ。
それに仮にタレコミを聞いた南田社長が朱雀を問い詰めて朱雀がバレたと思って殺してもあの密室をどう作り上げた?そこですよね。
頭が痛いのは…。
よしっこういう時は一杯やりながら考えよう。
警部。
まだ昼前…。
お汁粉だよ。
自分はけっこうです。
嫌なの?行きましょう…。
甘い物が好きなんだから性格辛いのに。
(狩矢)何か言ったか?いえいえ。
いいですか30分だけですよ。
麻里のことかい?麻里さんを札幌に呼んだのは支社での仕事が終わった後で観光旅行するためって聞いたんだけど。
そうだよ。
結婚した時忙しくて新婚旅行ができなかったのでその埋め合わせのつもりだった。
麻里の実家は札幌にあるし喜んでくれたよ。
美知子…。
君は俺を疑ってるのか?いえ…そんなわけじゃ。
いいや疑ってる。
お前も警察と同じか?社長を殺したのは俺だ。
その前に千津さんや森川を殺したのも…。
修一郎さんっ。
そのうえ3年前の麻里殺しまでこの俺だと思ってるのか?俺が麻里を殺す理由がどこにあるというのだっ?違います。
だからあたしはただ…。
もういい。
何も話すことなんかない。
お待たせしました。
あの〜目黒さん麻里さんとは親しかったわね。
ええ。
2人が結婚したきっかけって何だったのかなと思って。
よしなさいよ。
今更気にしたって。
お願い知ってること何でもいいから教えて…。
きっかけは何年前かの忘年会よ。
忘年会?その帰り道に…。
たまたま帰る方向が一緒なので同じタクシーに乗ったらしいけど…。
麻里:部長飲みすぎですよ。
ほうらそろそろお宅ですよ。
部長っ…じゃその夜2人は…。
結局部長が責任とる形でプロポーズしたんですって。
麻里さんがそう言ったの?ええ。
死んだ人を悪く言うのは何だけど彼女相当のやり手…。
朱雀部長との結婚も最初から狙ってたみたい…。
本当に?前にも佐山専務といい仲だったみたい。
佐山専務と?佐山専務の秘密知ってるんだと自慢してたわ。
《あの日は確か専務も札幌に行ってたはず…。
もし麻里さんが握ってた秘密が専務の命取りになるものなら…》代わります。
・支社長っ。
(平井)はい平井です。
ああ君か。
覚えてるよ。
ミス東西物産を忘れるはずがない。
え?いいよ…では今夜7時に。
(麻里の母)わざわざすみません。
いえこちらこそ突然に…。
お父さんも麻里の後を追うように亡くなりましてね。
あのうひき逃げの犯人はまだ…?はい分からないままで…。
麻里さんは「ホテルへ戻る」と言って出かけられたんですよね?ええ旦那さんと落ち会う前に知り合いと会うとか言って…。
知り合い?電話があって私が出ましたが名前は言わず女の人でした。
多分高校の同級生かなにかじゃ…。
あっどうぞ。
あのひき逃げ事件か…。
あれは気の毒な話だったよ。
あの日専務は朱雀と札幌で一緒でしたよね?ああ。
その夜専務はどこにいたか覚えていらっしゃいませんか…?支社の会議室だよ。
あの日は朝から会議の連続で専務は朱雀君と夜遅くまで会議室にこもりきりだったよ。
そうですか…。
専務がどうかしたのかい?あいえいえ…。
それにしてもえらい事になったなあ。
どうぞ。
はい。
社長があんな事になって…。
次の社長は誰だろうな?えっ?佐山専務じゃないんですか?専務?あの人は「何もセンム」だよ。
何もセンム…?佐山さんは社長の腰巾着でトップになる力量はないね。
ああこんな時北川さんが生きててくれたらなあ…。
北川さん?若い頃南田社長とは公私ともにライバルだった人でね。
2人の名前をもじって東西物産は「南北でもつ」と言われたものさ。
あの公私とものライバルって…?社長が北川さんの恋人だった麗子さんに横恋慕したんだ。
その方は亡くなられたんですか?自殺したんだよ。
自殺…?伸彦さん…?あ〜っ?!あ〜ああ
(平井)北川さんは第一営業課長だったが社運を懸けた取引に失敗し責任を感じて自殺したんだ。
その時の危機で活躍したのが当時の南田第二営業課長でそれから先は一気に社長にまで登りつめたってわけさ。
そうでしたか…。
あの麻里さんの事件で何か他に思い出す事は…?そういえば先日変なことを聞いたなあ。
あの日麗子夫人がこっちに来ていたというんだ。
えっ?どういう事…?以前の取引先に会ったがあの夜ホテルで夫人に会ったらしいんだ。
挨拶をしたがそっぽを向いて知らん顔をされたと言うんだ。
「人違いのはずはないんだが…」と言ってたよ。
やっと話してくれる気になったみたいだね。
あの日夜中に部屋を出たのは事実です。
何のために?電話で呼び出されたんです。
呼び出された?誰に?分かりません。
作った声でしたから。
あんたねえ嘘をつくならもっと上手につけ!小林…。
そう言われると思ってたから黙ってたんです。
信じる信じないはあなた方の自由です。
いいでしょう。
で話っていうのは?会社のことで「どうしても知らせておきたい事がある」というものでした。
全面的に信じたわけじゃありませんが気になって指定の場所に出かけて行ったんです。
千津さん…?!罠にかけられたと思いました。
罠…?ええ。
私を千津さん殺しの犯人にしようとしてるに違いないと…。
それでそしらぬふりをして部屋へ戻ったんですね?ええ…。
やっぱり…信じられませんか?はっきり言って半信半疑です。
でしょうね。
船の中で南田社長が怒ったのはやはり千津さんの件ですか?なんとか誤解を解いてもらおうとしたんですが…。
お願いです。
話を聞いてください。
私がお嬢さんを殺すなんて…。
今更言い訳なんか…。
社長!うるさい!貴様はクビだ!社長…。
帰れ!いいか?証拠をつかんで死刑にしてやる!ええ?そんなこと言って…本当は口論の末殺ったんだろ!殺してない。
第一あの部屋は密室だった。
私が殺したとしたらどうやって部屋から出たんでしょうね?きょうはこれで終わりましょう。
帰ってもいいってことですか?どうぞ。
警部!ただもう少しこちらに滞在して捜査にご協力願えますか?分かりました。
あっもう一つだけ…。
部屋にかかった呼び出し電話…男でしたか女でしたか?女だと思います。
ありがとうございました。
「調べたいことがあります。
23日時間をください。
美知子」お姉ちゃん…。
かんにんえ。
はずせん仕事があってな。
ううん。
ふ〜ん専務さんにアリバイがあるちゅうことか?うん。
麻里さんが専務の秘密をにぎっていたというから動機はありそうだけどでもその日遅くまで専務が札幌支社で仕事してたのは間違いないのよね。
ほな社長の娘さんの方は…?それがね奥様と千津さんは仲が良くなったと聞いてたけどでも家政婦さんの話では…。
とんでもない。
2人は犬猿の仲ですよ。
何度も言い争いを聞いてますもの…。
そうですか…なんでも千津さんは奥様を憎みきっててなんとか追い出そうとあれこれ画策してたらしいのよね。
奥さんにしたら娘が死ねば南田家の財産を独り占めできる。
動機はあるわ。
ところが千津さんが殺された夜は麗子夫人は自宅にいたらしいの。
自宅に…?ええそれは絶対に間違いありません難儀やなあ。
一番殺したい動機を持った2人ともに動かせんアリバイがあるっちゅうことか?うん…。
もしかしたら…?交換殺人…。
・交換殺人…?そう…南田麗子が佐山専務と手を組んでそれぞれが殺したいと思ってる人間を代わって殺した。
どうだ?この線は?はぁ…?いいか?3年前のひき逃げ事件の犯人は札幌署の調書では「女では…」とまでは分かっている。
一方千津が殺された夜麗子は東京の自宅にいた事が本庁の調べで分かっている。
とするとだ。
とっぴやで。
いくらなんでも…。
でもね…。
でもなに?麗子さんが財産目当てで殺人を犯すとは思えないもの。
それに千津さんの事だけでなく社長の死にもナゾが残るし…。
あ〜…。
公私とものライバルって…?社長が北川さんの恋人だった麗子さんに横恋慕したんだ。
その方は亡くなられたんですか?自殺したんだよ。
自殺…?あ〜やっぱり降ってきたな。
え?北川さんの自殺の原因となった取引の内容…?ええ教えてほしいんです。
それはちょっと…。
お願いします。
大事なことなんです。
まいいか…。
社長も亡くなった事だし。
実はねこれはあくまでも噂話なんだが…。
分かりました。
お忙しいなかすみませんでした。
失礼します。
何か分かったか…?お姉ちゃんきょうはここで。
また連絡するから。
ほなこれ持っていき。
うん。
あタクシー…タクシー…。
あっあ…。
(薬剤師)朱雀さん。
はい。
ありがとうございました。
お大事に。
絞殺か…《どうして傷が前の方だけに…?》・
(麗子)はい南田です…。
・ああ美知子さん?主人の事件のことが分かったって…?ええ。
聞かせて…。
その前に…3年前の札幌のひき逃げ事件の話をしなければなりません。
3年前当時の朱雀の妻だった麻里さんを車で跳ねたのは奥様…あなたですよね?私が麻里さんを…?どういうこと?佐山専務に頼まれたからです。
佐山さんから…?あの日札幌支社に詰めて専務がアリバイを作りあげている間に奥様は密かに札幌に飛び実家の麻里さんに電話をかけ何か理由をつけて麻里さんを呼び出した…。
社長夫人の呼び出しでは断るわけにもいかず麻里さんは指定の場所に出かけて行きました。
そして専務が手配しておいた盗難車を使って…。
麻里:あ〜っ!やめて!どうして私がそんな恐ろしい事しなきゃならないの?佐山専務との間に約束があったからです。
約束ですって?何の…?そんな話を聞くために来たんじゃないわ!待って!まだ話が…。
とにかく表へ出ましょう。
ここは息がつまるわ…。
麻里さんの次は千津さんの殺害です。
これも奥様が専務と手を組んでやった事です。
とんでもない言いがかりだわ。
千津は義理とはいえ私の娘よ。
娘を殺して一体何の得が…?それは後でお話します。
あの夜「朱雀は人殺しだ」と私に電話したのは奥様ですよね?そして私がお風呂に入ってる間に朱雀に非常階段の踊り場に来るよう電話した。
千津さんにも朱雀が待ってると呼び出しをかけた。
あなたは自宅に家政婦を泊めてアリバイを作り代わりに専務が…。
朱雀さんどうしたのかしら…?佐山さん…?あっ?!ああ!あ〜っ!いいかげんにしないか?やっぱり佐山専務もいらしてたのね。
なに?私賭けをしたんです。
奥様を呼び出せば必ず専務も現れるだろうって…。
君の言ってる事は自分勝手な想像だ。
いや妄想だよ。
いいえ違います。
私奥様がなぜあなたの計画に加担したのか考えました。
そしてやっと…その原因が分かったんです。
北川伸彦さんです…。
そう…かつて東西物産の第一営業課長だった…。
そんな昔の事が社長や千津さん殺しと何の関係がある?北川さんは海外で合弁会社を設立する計画に失敗してそれまで注ぎ込んだ莫大な費用を回収不能にしてしまった。
その事に責任を感じて北川さんは自殺したと…。
そう自殺した。
それが私と何の関係があるんですか?もともとその話を北川さんに持ちかけたのが当時の南田第二営業課長。
そしてその部下だったあなた…。
君ねえ何が言いたいんだ?いやだって…おかしくないですか?お互いに業績を競いあってるのにライバルにおいしい話を譲るって…。
で…?つまり北川さんを追い落とすために仕組まれたいわば…陰謀みたいなものだったわけですよねえ?ところが…南田社長の実現に協力して専務になったもののフタを開けてみたらあなたには何の権限も与えられていなかった。
その恨みが積ってあなたは会社の乗っ取りを計画した。
ところがその計画を愛人の麻里さんに話してしまった。
そして今度は逆に強請られる羽目に陥ってしまった。
切羽詰まったあなたは奥様に北川さんの自殺の真相を話し南田社長と麻里さんの…交換殺人を持ち出したんです。
待って!南田が昔何をしようと私には関係ないわ。
いいえあります。
だからなぜ?北川伸彦さんはあなたの恋人でしたから。
南田社長は北川さんを自殺に追いやることで出世とあなたの両方を手に入れたんです。
北川さんの自殺の真相を知ったあなたは南田社長に一気に憎しみを募らせ専務の話を受けたんです。
ところが今度は娘の千津さんがあなたと専務の接触に気づいて脅しをかけてきた。
あなたが千津さんと本当の親子みたいになれたと言ったのはあれは嘘だったんですね。
もういい!それより肝心の社長殺しの話はどうなんだ?あの日船の上で奥様は「千津さん殺しは朱雀では?」と社長にささやいたんじゃないんですか?当然社長は激怒しました。
社長…。
どうなさったの…?こうして「朱雀が怪しい」という印象を周囲に与えておきころあいを見計らって…。
鍵が掛けらているのを確認したうえであなたは…。
あなた…そこでどんな会話が交わされたか分かりません。
でもあなたは一瞬のチャンスを待っていた。
あっ!あっ…
(呻き声)
(パトカーのサイレン)これも私の妄想ですか?まさにそのとおりだよ。
だがこうなった以上黙って帰すわけにはいかないんだ。
あっ!
(呻き声)やめて!佐山さん。
もう何をしても遅いわ!離せ!
(呻き声)大丈夫か?ごめん。
ケータイのメールに気づくのが遅かった。
本当に大丈夫?あなたにも朱雀さんにも…ひどい事をしてしまったわ。
身代わりが必要だったの。
朱雀さんなら動機がありそうだったから。
森川課長は…?専務が森川さんから大金を要求されて主人の名前で毒入りワインを贈ったとあとから知りました。
うっ…ううっ…
(呻き声)一つお伺いしてもいいですか?麻里さんの後3年も計画が実行されなかったのはどうしてだったんですか?麻里さんを殺した後罪の意識にさいなまれて…。
ですから佐山さんに自首すると言ったんです。
千津さんがあんな事さえ言わなければ…。
あんたと専務が何を企んでるかおおよその見当はついてるわ。
森川と結婚するのも彼が会社きっての情報通だからよ。
千津さん…。
今に動かぬ証拠をつかんであんたと佐山を破滅させてやる結局私たちは千津さんも…。
そしてあなた方を別荘に誘った夜佐山に呼び出されて…。
いいですか?明日船の上であなたが…。
北川さんが自殺した悔しさを思い出すんです。
そうすれば私は会社の実権を握れるし奥さんは一生安泰だ。
2人とももう後戻りはできないんですよあっあぁ…伸彦さん!伸彦さん!どうして…?行きましょうか?はい。
あの…。
私…奥様が最後に私を助けようとなさった事を…忘れませんから…。
2015/05/04(月) 13:00〜15:00
テレビ大阪1
山村美紗サスペンス「京都新婚旅行殺人事件」[字]

新婚初夜に花嫁が飛び降り自殺!二人の前妻を事故死させたのは花婿なのか…。

詳細情報
番組内容
東西物産第一営業部長・朱雀修一郎と同社OL・田中美知子の披露宴が都内ホテルで行われた。社長の南田庸造とその妻・麗子の勧めで決まった縁談だったが、朱雀にはいわくつきの過去があった。朱雀は3回目の結婚で、前の妻は2人とも事故で亡くなっていた。そのため同僚の不安や、姉・佐知子の反対を受けた美知子だったが、朱雀に想いを寄せていただけに決意は固かった。
番組内容続き
祝電披露の手伝いをしていた美知子の同僚・目黒裕子が、差出人不明の電報に気づく。そこには「花嫁のご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申し上げます」と不気味な内容が書かれていた。
出演者
朱雀美知子…斉藤由貴
朱雀修一郎…西村和彦
南田麗子…多岐川裕美
狩矢警部…船越英一郎
南田庸造…寺田農
佐山孝…中山仁
宮脇佐知子…山村紅葉
南田千津…越智静香
森川一男…志村東吾
平井支社長…藤田宗久  ほか
原作脚本
【原作】山村美紗
【脚本】長野洋
監督・演出
【監督】南部英夫

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32118(0x7D76)
TransportStreamID:32118(0x7D76)
ServiceID:41008(0xA030)
EventID:37574(0x92C6)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: