人生デザイン U−29「気象予報士」 2015.05.04


春今年もたくさんの新社会人が誕生しました。
ところで最近何かと話題になる正社員と非正社員。
あなたならどちらの働き方を選びますか?NHKが18歳から34歳2,000人に行った調査では「正社員になりたい」と答えた人が全体の3分の2を占めました。
どうやらU−29世代は安定を重視した働き方を望んでいるようです。
しかし。
今日の主人公はこの世の中の流れとは逆を行く男…。
気象予報士の佐藤悠さん29歳。
佐藤さんが目指すのは仕事のやりがいと自分の生きがいの両立。
そこで「会社以外の時間を作るために正社員を辞めたい」と目下社長と交渉中!果たしてどうなる!?「関東から北日本にかけて午前中を中心に雨となりそうですね…」。
皆さんおなじみの天気予報。
「気象予報士」って聞くとテレビで解説するこんな姿を想像しませんか?でも気象予報士の仕事はそれだけじゃないんです!
(佐藤)おはようございます。
朝9時佐藤さんの一日が始まります。
佐藤さんが働くのは民間の気象予報会社。
社員は36人。
自治体や企業の依頼を受けてさまざまな気象情報を提供しています。
(警報音)刻々と変わる空模様。
気象予報士は2交代制で24時間365日観測と予報を続けています。
こちらの会社では一般的な予報業務の他に気象に関連する予測システムの開発も行っています。
佐藤さんの担当はこのシステム開発。
これまで太陽光発電用に一日の日射量を予測するシステムや僅か500メートルの狭い範囲での熱中症の危険度を予測するシステムなどを作ってきました。
現在開発に取り組んでいるのは土砂災害の予測システム。
最近多発している局地的な豪雨にも対応する最新のものです。
全国の自治体など幅広い利用を目指しています。
いやあ難しい用語が飛び交ってますね…。
過去30年分の雨に関するデータを基にプログラミングするそうでこの道5年の佐藤さんにとってもなかなかの難物なんだとか。
更に複雑なプログラミングだけでなく利用者が使いやすいレイアウトやデザインを考えるのも佐藤さんの仕事です。
パソコンと膨大な気象データを相手にするストレスの多い仕事。
佐藤さんにとって一番の気分転換は…お昼休み。
取り出したのは…現在彼女募集中のため佐藤さん自身のお手製です。
ところで今日のメニューは?おっ!なんと中身はたこ焼きだけ12個。
う〜ん僕は分かります。
そう聞くと気になっちゃいますよねトップスリー。
ランキングはご覧のとおり。
あ〜うん!男の子が好きそうなラインナップでございます。
午後会議室にやって来た佐藤さん。
後輩を相手に新たに開発したシステムのプレゼンの練習です。
2日後企業の担当者を集めた講習会で「太陽光発電の発電量予測システム」について講演する予定です。
推定手法といたしましてこちら衛星可視画像ひまわり7号で撮影されたものですが…。
佐藤さんは気象予報士としてただ予報を的中させるだけでなく人に役立つ情報を自分の言葉で伝えたいと思っています。
今回の講演は開発したシステムを多くの人に知ってもらう絶好の機会です。
(笑い声)複雑なシステムを分かりやすく伝えるのは難しいですが時間配分はうまくいったよう。
ところが…。
はいはいはい。
衛星画像が分かりにくいという指摘です。
確かにこの辺とか分かりやすいのかな。
(後輩)あ〜そうですねそうですね。
なので…佐藤さんが生まれたのは北海道の北の果て宗谷岬にほど近い町。
大自然に囲まれて育ちました。
毎日見ていたテレビの天気予報にはいつ見ても優しい笑顔のお天気お兄さんやお姉さんが登場していました。
暮らしに役立つ天気予報を伝える姿がなんとも格好良かったのだとか。
特に自然が厳しい地域に育ち天気予報の大切さを実感していただけに憧れは強まりました。
「将来は気象予報士になろう!」。
佐藤さんは決意し気象学を学べる青森の大学に進学します。
しかしそこからが大変でした。
気象予報士の資格試験は合格率僅か5%の超難関。
年2回受験のチャンスはありますが簡単に受かるものではありません。
佐藤さんは試験に落ち続け大学院に進学しても勉強は続きました。
結局合格したのは4年後。
実に9回目の受験でした。
そして気象予報会社に就職し長年の夢をかなえたのです。
それなのになぜ「正社員を辞めたい」なんて思うようになったんだろう?何かこう…う〜ん…仕事では満たされない何か…。
番組を見ているあなたは感じた事がありますか?佐藤さんはそこから更に具体的な行動に出ます。
きっかけは1年前から始めた友人との共同生活でした。
ただいま。
(米澤)お帰り。
シェアメイトはい。
米澤です。
よろしくお願いします。
こちらは米澤英伸さん。
中学以来趣味で続けている吹奏楽を通じて知り合いました。
米澤さんは病院で患者の脳波や心電図などを調べる…もともと大学で国文学を専攻していましたが「人の役に立つ仕事がしたい」と卒業後医療系の専門学校に入り直して今の仕事に就きました。
米澤さんの生き方に刺激を受けた佐藤さん。
改めて「生きがいとは何か?」という問いを自分に突きつけました。
悩んだ末に一つの答えにたどり着きます。
こんな感じですね。
佐藤さんの心にぴたりとハマったのは…心にさまざまな問題を抱えて働く労働者を手助けし解決に導く存在です。
その中でも…だとしたら…佐藤さんは気象予報士の仕事が嫌になった訳ではありません。
「生きがい」を感じられる産業カウンセラーの道と2足のわらじを履けないかと考えました。
そして今年2月。
新たな資格の取得のために会社で働く時間を半分にしたいと社長にじか談判したのです。
(小久保)彼に言ったんは…会社の都合や労働規則もあり簡単に結論は出ませんでした。
これが正社員として働く佐藤さんのスケジュール。
勤務は月〜金で週休2日。
残業も多いためとても資格取得の時間は取れません。
働く時間を半分にするには契約社員になるなど働き方を根本的に変える必要があります。
そうなると今は手取りで25万円ある給料も激減します。
佐藤さんは生活に困ったら毎月15万円貯めてきた貯金を切り崩すつもりです。
結局社長の説得もあり今後の働き方について話し合いを続けていく事になりました。
大好きな気象の仕事と自分の生きがい更に実際の生活。
どんなバランスがベストなのか佐藤さんは考え続けています。
悩みを抱えながらも気象予報士の仕事には真摯に向き合ってきた佐藤さん。
この日新開発の「太陽光発電の発電量予測システム」をP.R.するため東京にやって来ました。
聴衆は太陽光発電に関心を持つ企業の担当者や専門家70人。
(司会者)続きまして気象工学研究所佐藤様お願いいたします。
果たして練習の成果を発揮して新たな取り引き先を獲得する事ができるでしょうか。
こちらが衛星可視画像ひまわり7号で撮影されたものですが例えばこのオレンジの丸で示したようにちょっと見にくいんですけども衛星可視画像の方では地表面が映っちゃってる状態なのをそれを取り除いて雲だけの成分雲アルベドを抽出したという図になっております。
練習で後輩に指摘された図も分かりやすく修正して臨んだ佐藤さん。
参加者の反応が気になります。
終了後システムに興味を持った人たちが集まってきました。
もしよければこれを。
結果は上々。
4社から後日改めて話を聞かせてほしいと依頼されました。
やっぱり言い方変かもしれないですけど…人とじかに会話をしてその手応えを感じる。
会社でプログラムを組むだけでは得られない喜びを佐藤さんは感じていました。
もう新年度まで後がないこの日。
うん。
佐藤さんはついに今後の働き方を決めるため社長と話す事にしました。
そうだよな。
どうぞどうぞ。
もう自由に言って下さい。
果たして佐藤さんの決断とは!?佐藤さん契約社員になりたいと切り出しました。
社長の小久保さんは佐藤さんの将来性に期待しているだけに説得を続けます。
しかし…。
…という事やな。
話し合いの結果佐藤さんは正社員から契約社員になる事に。
ただし社長の提案で1年後に改めて働き方を見直す事になりました。
新たに始まる佐藤さんの一週間スケジュールはご覧のとおり。
会社に出るのは週3日。
その他の日は産業カウンセラーや心理学など3つの講座の受講にあてます。
労働時間が減る分収入も大きく減少。
25万円あった手取りは15万円に減る事になりました。
佐藤さんに最後に質問です。
うん。
まずはやっぱりでも…それやったうえで…
(館内放送)「毎度ご来店下さいまして…」。
実は佐藤さんカウンセラーの勉強の他にこの4月から始めた事があります。
ショートサイズの抹茶ティーラテ大変お待たせいたしました。
それは…「いつかはカフェのようにリラックスできる場所でカウンセリングをしたい」という佐藤さん。
そのためにカフェのノウハウも学ぼうというのです。
外は寒かったですか?はい。
アハハハ。
今日寒いですよね。
あしたからちょっと暖かくなるみたいなので。
そうなんですか。
就職活動ですか?今日はもう終えられたんですか?あっお疲れさまでした。
今日は寒かったから大変だったと思います。
佐藤さんは自分で新たに描いた人生デザインを今まさに歩みだしたばかり。
しかし給料は減るしいい事ばかりではないのも事実。
これからの生活に不安はないのかな?…なって思います。
2015/05/04(月) 19:25〜19:50
NHKEテレ1大阪
人生デザイン U−29「気象予報士」[字]

最近、何かと話題にのぼることが多い「正社員」と「非正社員」。若者の多くは、安定を求めて、正社員を希望している。そんな中、あえて正社員を辞める選択はあり?なし??

詳細情報
番組内容
今回の主人公は、気象予報士の佐藤悠さん(29)。中学時代からの憧れを実現し、大阪の気象予報会社で働いてる。現在は、予測システムの開発を担当中だ。残業も多く忙しい毎日だが、仕事にはやりがいを感じてきた。ところが、最近になって疑問が…。「人生、仕事のやりがいだけでいいの?」。“生きがい”を探し始めた佐藤さんは、自由な時間を作るために正社員を辞めるべきか、悩むことに。果たして、どんな決断をするのか?
出演者
【出演】気象予報士…佐藤悠,【語り】松坂桃李

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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