よりよい治療をして頂けたらというふうに思います。
今日見つめるのは宮城県石巻市の高校3年生…4年前の東日本大震災でたった一人の家族だった母親を亡くしました。
この春仙台の短大に進学するためふるさとを離れる事になりました。
震災があったのは中学3年になる直前の事でした。
一人っ子の萌さん。
震災の直後から祖父母の家で暮らしてきました。
孫娘を預かる事になった祖父の久さんと祖母のふじみさんは手探りで子育てしてきました。
最後のテストだから気合い入れてね。
え〜赤点取んなきゃいいよ。
赤点取んなきゃいいよまずは。
まあまあそりゃそうだけどね。
だって誰も100点取れって言ってねえぞ。
100点は取れないから多分無理だな。
どんだけ勉強しても絶対引っ掛け問題引っ掛かるもん。
最後だもんクラスで10番以内入ったらいい。
10番以内に入ってるし。
ああすいません。
そうですか。
35歳で亡くなった萌さんの母あかねさん。
久さんたちにとっても掛けがえのない娘でした。
(拍手)そして訪れた旅立ち。
その時をどのように迎えたのか。
震災をきっかけに一つ屋根の下で暮らしてきた孫と祖父母。
その日々を見つめました。
東日本大震災でおよそ4,000人が犠牲となった宮城県石巻市。
それから4年がたちました。
3月末の旅立ちの日までおよそ2か月となったこの日は節分。
(久)フフフッ。
かぶりついてるかぶりついてる。
祖母のふじみさんが恵方巻を作ってくれました。
食べた!
(ふじみ)はいおめでとう〜。
もう一本か?じゃあ。
あともう一本は食べられないね。
(萌)食べれるな多分。
あ〜無理だ。
無理無理。
萌さんは幼い頃にあかねさんが離婚したため女手一つで育てられました。
この4年あかねさんが亡くなった事について自らを責め続けています。
使ってた一番最初の携帯。
地震のあと萌さんはあかねさんに電話をかけ「自宅にいる」と伝えました。
それを聞いて車で自宅に戻ろうとしたあかねさん。
途中でメールを送ってきました。
渋滞に巻き込まれていたのです。
身動きがとれない車を津波が襲ったのです。
たった一人の家族を失った萌さん。
あかねさんの遺体と対面したその日から世界が色を失って見えるようになったといいます。
一人残された孫娘。
育て上げる事が自分たちの責任だと久さんはこの4年無我夢中で過ごしてきました。
毎朝出勤前に仏壇に手を合わせています。
あかねさんの遺骨は冷たいお墓の中に入れたくないと今も手元に置いています。
ここで萌さんの日々の様子を報告しあかねさんから受け継いだ責任を果たそうとしてきました。
正直私も…まだっていうより…3月末に石巻を離れ仙台の短大に行く萌さん。
そこには小さい頃から母親と話していた夢をかなえたいという思いがあります。
保育士など子どもと関わる仕事に就くという夢です。
旅立ちの日までひとつき半。
萌さんは毎日のようにピアノの練習をしていました。
(ピアノの音)せ〜の!将来保育士になれば必要になるピアノ。
萌さんの夢を聞いた久さんたちがピアノ教室を探してきました。
(ピアノ)
(拍手)石巻を離れる日まで1か月となった3月1日。
萌さんの卒業式です。
おめでとう。
久さんはお世話になった先生に挨拶していました。
萌さんを預かった責任を一つ果たす事ができました。
はいチーズ。
(シャッター音)
(3人)ありがとうございます。
すいません…。
(笑い声)帰宅後久さんは仏壇に向かいました。
母親が亡くなり世界が色を失って見えるようになった萌さん。
それが元に戻ったのは震災から1年たった高校入学の日でした。
旅立ちの日まで3週間を切った震災4年の…萌さんはふるさと石巻の風景を写真に収めていました。
(シャッター音)
(シャッター音)そういうのがあるから…。
モノクロだった世界に色が戻ってから夢中で写真を撮るようになりました。
(シャッター音)
(取材者)何の写真?繰り返し撮ってきたのが空や風景の写真です。
(シャッター音)震災前は当たり前だと思っていた景色が違って見えるようになりました。
素晴らしいよもう。
一日一日と近づいてくる旅立ちの日。
皿ねえよ。
ああオホーツクやってねえじゃん。
いいよここでオホーツクすっから。
何っ!?そうやってやるんだよ。
えっ。
何かこうえらい…。
何で?洗ってるし。
こう…。
えっだってこうやって萌んちでやってたんだよ。
ママと2人でこうやって。
あ〜。
あの〜…。
ママに言ってよママに。
紙粘土…紙粘土作ってるね。
ね。
だってやってたんだもん。
そう。
そう。
そうそうやってそうさ。
旅立ちの日まで6日。
萌さんは祖母のふじみさんと短大の入学式に着るスーツを買いました。
こんな感じにあがりましたけど。
ああ大丈夫です。
よろしいですか?はいでは。
(笑い声)大人。
大人にねえ。
旅立ちの前日。
(小声で)これこれこれこれこれ。
(取材者)それをどうするんですか?初!は〜ちゃん…は〜ちゃんもちょっとちょっと萌座っては〜ちゃんもちょっと座って。
おなかいっぱいもう駄目だ〜。
いやちょっといや〜…。
ジャンジャジャジャ〜ン!わっピンクの包み紙かわいい。
そうそうそう…。
(久)これ白がいいでしょ?白のリボンが。
(萌)白ピンクいいね!
(ふじみ)白とピンクね。
これねし〜ちゃんとは〜ちゃんから入学祝。
イエ〜イ!入学おめでとうございます。
ありがとうございます。
イエ〜イ!やった!ちょっと開けてみて。
これは驚くよ。
わあ!すごい!フフフ!マジマジ。
(ふじみ)何でしょう?
(萌)このリボンいいな…。
(ふじみ)うわ〜すっごい。
(久)ほら〜。
(オルゴール)久さんが選んだのは萌さんがいつも練習していた曲のオルゴールでした。
すげえ。
(オルゴール)気に入った?うん。
ばっちりでしょ。
ほら〜。
よかったねえ。
すげえ。
(オルゴール)そして迎えた旅立ちの日。
久さんは萌さんに手紙を書いていました。
自分の気持ちを伝えるのは初めてです。
いつも3人で囲んできたこたつに一人座る久さん。
いい。
1回であれだから忘れてしまったら電話よこせばいいんだ。
(萌)うん。
1回では全部無理だと思う。
部屋入ったら必ず施錠すんだよ。
鍵持ったっけ?ええ〜!?あった〜!必ず鍵かけんだよ寝る前に。
頼むよ。
うん。
頑張ってね〜。
萌。
はい?分かった。
はい!アハハ!サンキュー!萌さんもプレゼントを用意していました。
バイバ〜イ。
(久)じゃあね。
頼むよ。
うん。
行っちゃった…。
大丈夫なのかね?一人で。
ねえおかあさん大丈夫なんだろうかねえ?
(ふじみ)大丈夫だ〜。
アルバム!あっ…。
萌さんからのプレゼントはこれまで撮ってきた写真にメッセージを添えたアルバムでした。
え〜これは意外だったな。
「高校の空。
学校から見える風景はきれいなのばっかりだったよ」。
「雨から始まり雨で終わった卒業式。
天気もきっと萌たちの卒業に泣いてたんだね」。
そして夕焼けの写真にはこんなメッセージが添えられていました。
「石巻で萌はたくさんのきれいな空をみることができました。
仙台の空もきっときれいな空でしょう」。
「空は広くて、大きくて、海も同じで、そんでもって、道はず〜っとどこまでも続いてる。
いつでもあえるすてきな道」。
仙台での1人暮らしが始まりました。
久さんからの手紙はまだ読んでいません。
(取材者)おじいちゃんが?そう。
何かう〜ん…。
東日本大震災で大切な人を失った孫と祖父母。
4年の歳月を経て掛けがえのない家族となり未来を見つめています。
2015/05/05(火) 05:20〜05:50
NHK総合1・神戸
NEXT 未来のために「18歳 旅立ちのとき 被災地 ある家族の春」[字][再]
東日本大震災で母親を亡くした18歳の高校生。祖父母とともにこの4年過ごしてきたが、短大への進学のため離ればなれになることになった。家族の旅立ちのときを見つめた。
詳細情報
番組内容
4年前に一人親を失った女子高生が、この春、短大に進学するため18年間過ごしてきた故郷を離れることになった。千葉萌さんは、東日本大震災で母親を亡くし、祖父・久さんの家に身を寄せ、ひとつ屋根の下で暮らしてきた。母を失った孫と、娘を失った祖父母の生活。山あり谷ありの4年間だったが、他にはない「家族の形」を作り上げてきた。そして、訪れた旅立ちの日。萌さんと久さんは、2人にしかない「別れ方」をした。
出演者
【語り】小池栄子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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サンプリングレート : 48kHz
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