2015スペシャル未来の主役〜地球の子どもたち〜 乗り越えるちから 2015.05.05


子どもたちはさまざまな夢を持ち大人へと成長していきます
しかしその夢に近づくためには多くの…
その壁を乗り越えることは子どもたちの成長そのものでもあるのです
インドの象使いの村に住むファクルー君はお父さんのような象使いになる夢を持っていました
そこには大きな壁が…
日本からは都会育ちの鈴木智也君
過疎化が進む町を救うためクラウドファンディングで支援を募りました
ラオスのノイさんは両親を亡くし孤児院で生活しています
それは祖父母に約束した夢の実現のためです
子どもたちの困難に立ち向かう姿を追います
(ファクルー)ほら足を上げて。
上げてってば。
上げて。
少年の声に反応して大きな足が上がります
そう少年が会話しているのは象
大きな象を恐れることなく掃除を続けます
強い絆で結ばれた少年と象
そこには大きな試練が待っていました
この町では象がわが物顔で道路を歩いています
日本のおよそ9倍の広さを持つインドでもこの光景を見ることができるのは唯一この町だけ
象と人が共に生活をしているのです
僕もいつか象使いになるんだ。
かつてインドでは…
その土地を治めるマハラジャつまり王様や戦士たちの乗り物とされていました
今ではその歴史と伝統を肌で感じることができる…
彼の家も代々象使いとして生計を立ててきました
ファクルー君が暮らす村は…
およそ50頭の象とともに200人ほどが生活しています
村のすべての世帯が象使いだというまさに象使いのための村なのです
ファクルー君の父ナサルさん
この道20年の大ベテランです
この象タクシーという仕事はインドの歴史や文化を世界中から集まる観光客に伝えるものです。
私たちにしか許されていないこの特別な職業に誇りを持ってやっています。
象使いの一日は小屋の掃除から始まります
ほらそこ。
隅々まで丁寧に。
この象がファクルー君の…
ファクルー君が生まれる前からこの家で暮らしています
小屋をきれいにしてもらって喜んでいるようです
掃除が終わると次はエサの準備
象のエサには栄養価の高いこのキビの一種を食べさせたいのですが…
そのままではなかなか食べてくれないため象が好むフレッシュな緑の草を巻きつけます
これも代々受け継がれてきた象使いたちの知恵なのです
ファクルー君何だか外が気になる様子
するとそこに観光客を乗せたほかの象がやって来ました
生まれたときから象がいる環境で育ったファクルー君
周りの大人が華麗に象を操る姿に強い憧れを持っているのです
エサの準備ができました
小さなファクルー君が隠れてしまうほどの量です
一度に20kgから30kg
これを日に3回さらに夜にはサトウキビを与えます
アナルカリは鼻を器用に使ってエサを口に運ぶのです
ファクルーエサを食べたらたくさんなでてあげなさい。
さあいっぱいお食べ。
(父)象使いにとって一番大切なことは象と信頼関係を築くことです。
小さいときからいろいろと世話をさせることで象と心を通わせることができます。
その積み重ねがあるからこそ大人になったときにうまく象をコントロールできるようになるのです。
僕アナルカリのこと大好き。
ファクルー君にとって象のお世話は当たり前の日常です
その日常が強い絆を育み象使いとしての基礎を築くのです
父ナサルさんによる象使いになるための練習が始まります
進め!進め!進め!もっと大きな声で指示を出すんだ!
一般的に賢い動物といわれる象をコントロールするのは言葉です
誰の声で何と言っているのか
象はそれを聞き分け体を動かします
(ファクルー君の指示する声)
順調に思えたファクルー君と象のアナルカリとのコンビネーションですが…
突如アナルカリが指示に従わなくなってしまいました
曲がれ!曲がれ!そっちじゃないよ!曲がれ!曲がれ!曲がれ!そっちじゃない!曲がれ!曲がれ!そっちじゃないってば。
前だよ前。
進め!進め!前だよ!動け!動け!動いてよ!動け!動け!動け!
暑さのせいで集中力が途切れてしまったのか全く言うことを聞いてくれません
いくら毎日一緒にいるとはいえ相手は動物
経験の浅いファクルー君の声は象のアナルカリに届かなくなっていました
お座り!お座りだよ!お座り!お座り!お座りだよ!
それでも父ナサルさんは練習を続けさせます
(ファクルー君の指示する声)声と同時に両手で頭をたたきながらやってみろ!
(ファクルー君の指示する声)
実はこのお座り象にとっては最も苦手な体勢で誰もが最初は苦労する芸の一つなのです
いいかしっかり声を出しながら頭をグッと抑えてやるんだ。
(2人の指示する声)ちゃんとお座りができたらしっかり頭をなでてやるんだぞ。
ファクルー君が自信をなくしてしまうほどの厳しい練習でした
なぜナサルさんは急にこれほどの練習をやらせたのか
実はこの象タクシー小さなファクルー君にはまだ伝えていない大きな問題を抱えているのです
この象タクシーの仕事は数年後になくなってしまう可能性が高いのです。
3〜4年前からインド国内では動物保護運動が盛んになって象タクシーの営業時間はかつての半分に制限されています。
そして今年はついに年に一度のお祭りまで中止になってしまったのです。
年々規制が厳しくなっていく中でついにお祭りが中止されたということは象タクシーそのものが廃止に追い込まれてしまう
大人たちはそんな危機感を持っているのです
子どもたちの時代にこの仕事を残すためには政府が作ったルールをきちんと守ること。
そしてその中で観光客に喜んでもらえるようクオリティーを高めていかなければならないのです。
象タクシーの仕事が廃止になってしまえばエサ代のかかる象は手放さなければなりません
ナサルさんは初めてこのことをファクルー君に伝えます
もしかしたらアナルカリと暮らせなくなる日が突然やって来るかもしれないんだ。
そんなの嫌だよ。
悲しいのか?悲しいよ。
これからだんだんルールが厳しくなってもしかしたら象タクシーそのものが禁止されてしまうかもしれないんだ。
初めて聞かされた真実にファクルー君言葉がありませんでした
(ファクルー君の指示する声)
翌日ファクルー君は隣に住むおじさんにお座りの特訓をお願いしていました
象タクシー廃止の可能性
7歳のファクルー君に一体どれだけのことが伝わったのかは分かりません
ですがまだ可能性の段階とはいえアナルカリとの別れを告げられた衝撃は小さなファクルー君の胸を大きく揺さぶったのです
(ファクルー君の指示する声)
(ファクルー君の指示する声)
これから先自分に一体何ができるのか
どうすればアナルカリとの生活を続けることができるのか
今はまだその答えを見つけることができません
でもじっとはしていられなかったのです
早く一人前になりたい
そしてアナルカリを守りたい
そんな思いがファクルー君を動かしたのでした
この日消えかかっていたアナルカリのお化粧をきれいに描き直すことになりました
ファクルーこれはハスの花で幸せを表す花なんだよ。
このペイントも一人前の象使いになるためには覚えなければいけないことの一つ
だんだんきれいになっていくアナルカリを見て沈んでいたファクルー君の心も一度リセットされたのです
進め!進め!進め!進め!
完成後ナサルさんはファクルー君を一番に乗せてくれました
(ファクルー君の指示する声)
確かに動物保護への取り組みは世界的にも多くの問題を抱えています
人と動物が一緒に暮らすということ
今回ファクルー君は初めてその意味を考えたことでしょう
小さな少年と大きな象が育んできた信頼関係
今後訪れるであろう困難にファクルー君はこの強い絆で立ち向かっていくのです
絶対将来は象タクシーの運転手になるんだ!
少年の視線は力強く未来を見据えていました
島根県の山里に暮らす少年がある場所を案内してくれました
(智也)この家が改修予定の家です。
この間掃除したんであんなふうに。
中はだいぶきれいになったと思うんですけど。
この地区の空き家2軒を改修するために鈴木智也君はリフォーム代を集めようと動いていました
必要なお金はなんと600万円!
ちょっと暗いですけど。
掃除を地域の人30人ぐらいで。
地域の中学生や高校生あとは地域の大人の方々も参加してみんなで掃除したので。
前はゴチャゴチャだったんですけどすごくきれいになりました。
もうちょっと頑張らないといけませんね。
空き家を改修してほかの地域から家族連れで移住してきてほしいという思いが智也君にはありました
島根県津和野町左鐙は小さな集落に300名ほどが暮らしています
智也君は1年半前に都会から移住してきました
家賃が10年間回収できた場合に皆さんに返していけるというお金が200万円。
左鐙の将来を考える会合に智也君は参加していました
会合で持ち上がったのがリフォーム代をどうするのか
地域で集めた200万円では足りませんでした
(益成)結構お金がかかって。
僕もお金を集める手段というのが全然そのとき分からなくて漠然とどうすればいいんだろうみたいなことを思って。
しかし空き家の改修を諦めるわけにはいかないのには小学校存続問題に関係がありました
智也君は地域の人々の期待を背負い東京にやって来ました
インターネットのクラウドファンディングで空き家改修の資金を集めるプロジェクトを立ち上げたのです
智也君にインターネットを活用する方法を教えてくれた助っ人2人も津和野から同行してアドバイスをくれていました
ごちゃごちゃになっちゃったんじゃない?ある程度見たら逆に見ないほうがいい。
忘れたほうがいい。
自分の腹の中とか心の中に…。
空き家改修費を集めるためにもこのプロジェクトをなるべく多くの人に知ってもらうことが最初の一歩です
支援者を集めるにはとにかく自分の思いを伝えなければと智也君は思っていました
去年の4月に茨城県のつくば市からこの左鐙という地域に引っ越してきたんですけど。
どうして空き家を改修するのか
どんな将来の展望やアイデアがあるのか
都会から移住した智也君だからこそ感じたことがあります
都心に住んでいる人たちが山村に移住することに対して…。
東京から無関係とも思える遠い左鐙の話に興味を持って意見や質問をもらえたことは智也君にとって貴重な体験でした
検討してくれる人もたくさんいると思うので心配してないです。
左鐙の魅力の一つは地域の人々の親密な人間関係です
小学生の数は少ないもののその分年齢や住む場所に関係なく交流が盛んです
しかし津和野町教育委員会の指針では全校児童が16人以上いない小学校は集団生活に必要な環境が整わないとし学校の再編計画に乗り出しています
全校児童6人の左鐙小学校もその対象となっているのです
この日智也君は多くの人の前で空き家改修プロジェクトのプレゼンをする大舞台に立ちます
ちょっと寝つくまで大変だったかも。

(松原)絵に描いたソワソワだね。
プレゼンでは空き家のリフォームの資金を集める目的だけではなくもっと違う気持ちが智也君にはありました
少人数の左鐙小学校が本当に集団生活や人間関係を学ぶのにふさわしくない環境なのか
この日400人以上の観客の前でその疑問や思いをぶつけたかったのです
一体どれだけの人が自分の考えを受け止めてくれるのか
不安と緊張が高まる中ステージに上がりました
何で人数が少ないことをデメリットとして捉えてしまうのか。
田舎の教育の強みが今日本から失われつつあります。
こういうところを潰すことって果たして日本の未来にとって正しい道なんでしょうか。
どうもありがとうございました。
(拍手)お疲れさまでした。
思わぬ喝采に今までの緊張が一気に抜けた智也君
地元の人や応援してくれる人たちを思うとプレッシャーはなみなみならぬものでした
筑波にいた頃はこんなに大勢の前でしゃべるタイプではなかったという智也君
左鐙の環境が智也君を成長させてくれました
終わったらみんな立ってくれたりとかちびっ子も立ってくれたからうれしかったな。
世界中に配信されたこのプレゼンテーションの成功が思わぬ反響を生みました
それまで伸び悩んでいた支援者数が大幅に増えたのです
しかし空き家リフォーム資金のプロジェクト締め切りまであと残り18日です
新聞やラジオの取材もやってきました
田舎に暮らしてびっくりしたことや楽しかったこと筑波から移住して1年半その数は知れません
このところ大きく変わった習慣といえばクラウドファンディングのページを確認するようになったこと
見て結構勇気…じゃない。
てれくさいな…。
そういう何か…。
メッセージを読んでうれしいので毎日読んでますね。
最初は不安だったんですけどねどうなっちゃうかとか。
でもまあ今はちょっと一安心ですね。
次のステップはいっぱいあるのでまだ安心はできないんですけど。
お金がたまるという以上に共感や応援のメッセージがうれしいのだと智也君はいいます
しかし順調に見えた活動もみんながみんな賛成というわけではありませんでした
プロジェクトが成功し子どもが増えれば小学校の廃校も阻止できるかもしれない
しかし智也君は複雑な思いもありました
東京に行ったときにある人から「そんな少人数の学校を残しても税金のむだづかいだ」って言われたんですよ。
僕反論ができなかったんですよ。
何でかっていったら僕が左鐙に来てなくてそのまま筑波に居続けてもしそういうことをしてる人がいたらたぶんそういうことも言ってたんだろうと思ったから。
大きなところに統廃合したほうがお金も使わなくてすむしその分日本はいろんな問題を抱えてるからそっちに回せるじゃないかという考え方はとても合理的なんです。
でもその裏で寂れていくものをその人たちはまだ分からないし僕もここに来なかったらそれは分からなかったと思うんですよ。
そしてやって来たプロジェクト終了の日
(歓声と拍手)
目標金額を100万円以上超えてプロジェクト達成
232人の人が智也君のプロジェクトに賛同してくれていました
しかし空き家改修資金のお金は集まっても智也君のたちの最終目標は空き家に移住してもらうこと
これからが本番です
(京村)全国へ…。
もう一回空き家へ入ってくれる人をね。
児童数を16人にするのはかなり難しい挑戦です
今左鐙小学校頑張ってるよね可能性があるよねというだけではなくてそれ以前になくなってきた小学校とかいろんな決断というのを引きずって今の決断をするから。
その流れに逆行するということの難しさ。
でもそういうことをするのが僕たちのソーシャルイノベーションですよね。
春から小学校に通う子どもが本当に来てくれるのか全く分かりません
智也君はとにかく自分ができることを続けるしかないと移住希望者の交流会があれば一緒に来た子どもたちに左鐙のすばらしさを体験してもらおうと頑張っています
自営で飲食業を地元でしよるんですけどこっちで店ができるようなサイズの町じゃないけえ。
勤めにいくか仕事のほうも悩みよる感じです。
木造の校舎がすごいすてきでそれもすごい大きいかな。
あの学校に通わせたいなというのがあって。
空き家見学会は好評ですが移住してもここでどんな仕事があるのか
参加者もすぐに結論は出ません
1軒目の空き家の改修も始まった頃クラウドファンディングの支援者へお礼の準備が行われました
支援金を送ってくれた人にはワサビや牛肉お米など地域の名産品を金額に合わせて箱詰めしていきます
しかし感謝の気持ちと裏腹に移住者が決まらない焦りがありました
時間だけが過ぎていきます
左鐙の住民から小学校存続の請願書が出され広く意見を聞く広聴会が開かれました
小中学校の再編計画が左鐙小学校の存続を求める請願書が提出をされました。
(提出者)学校再編計画を作ったときに平成26年度は1名という見通しでありましたが4月からは…。
左鐙地区の多くの人たちがこの問題に関心を持っています
智也君たちの活動も評価され計画を再検討すべきだとの意見も出されました
さまざまな取り組みをしておられます。
地区住民の意見を無視した統廃合は絶対すべきではないと考えます。
(参加者)3月議会での議員の最終判断ということでよろしくお願いを申し上げたいと思います。
厳しい冬も終わり左鐙に穏やかな季節が近づいてきました
智也君たちは子ども神楽で左鐙を盛り上げようと練習に熱が入ります

(神楽囃子)
リフォーム作業も1軒目が出来上がろうとしています
しかしいまだ住人は決まりません
そんな中2軒目の家に移住希望者が見学にやって来ました
智也君も小さな子どもたちをおもてなしです
努力のかいもありこの家族は7月から入居することになりました
お金を稼いで自分だけみたいな感じよりは…国民も主体となって積極的に政治に働きかけるというかそういう姿勢も必要だと思うんですよね。
町おこしや地域を再生する活動に興味がわいてきたという智也君
人によって地域が新しく生まれ変わることはとてもクリエーティブな仕事だと感じ始めています
将来の自分のやりたいことが少しだけ見えてきたようです
左鐙子ども神楽の発表会では智也君は初めて鬼を演じました
遠くからも多くの人が神楽を見に来てくれて会場はにぎわっていました
数日後智也君のもとに小学校の存続を求める請願書が議会で却下されたというニュースが入ってきました
いや〜行政がおかしいのかなあ。
分かんねえ。
悔しいですよ。
だってこんなに頑張ってきたんですけどねゼロですからねえ。
左鐙のためにまだできることはないか
智也君は考え始めました
新学期うれしいニュースもありました
閉園していた左鐙保育園の場所に認可保育園が新しく開園することになったのです
左鐙小学校は新入生を迎えつつも6人のままでした
小学校の存続問題は6月の議会で決定される予定です
少女のほほを伝うひと筋の涙
(祖母)向こうに行っても体に気を付けるんだよ。
東南アジアのインドシナ半島に位置するラオス
その北部にあるのがかつてメコン川流域に栄えた古都ルアンパバーン
世界遺産の街としても有名でラオス屈指の観光都市です
観光業などで都市部が栄える一方地方の集落は恵まれぬままで貧困の格差が大きくなっているのも現状です
ルアンパバーンから車でおよそ20分の所にあるクアティーヌン村
ここに多くの子どもたちが共同生活を行っている「ルアンパバーン孤児院」があります
経済的な理由で養えなくなったり家族が亡くなり行き場のなくなった子どもたち550人が生活をともにし学んでいます
この孤児院や学校の運営は国からの補助金それに近隣住民や外国のボランティア団体からの寄付で成り立っています
孤児院に併設された学校
30人ほどのクラスメートと勉強しているのが小学校5年生の…先生答えます。
現在コミュニケーションをとる方法としては携帯電話やメールが挙げられます。
ノイさんには両親がいません
2人とも彼女が幼いときに亡くなったのです
その後祖父母が引き取り面倒を見てくれましたが経済的な理由で7歳のときからここで生活しています
そんな境遇にもかかわらずノイさんはいつも明るく誰からも信頼される存在です
ノイは常に成績がトップで学校では模範生徒ですよ。
そんなノイさんの夢は…
将来の夢は学校の先生になることです。
私は数学が得意なので数学の先生になりたいです。
ノイさんはこの寮で生活しています
ここが私のスペースです。
板張りの一畳ほどのスペースがノイさんの空間
私が一番大切にしているのはこの辞書です。
それ以外の持ち物はおわんと帽子あとは寄付でもらった古着のみ
昼食と夕食は学校から支給されますが朝食は予算がなく近所の人の寄付で賄っています
おかずは一品だけ
あとはもち米とトウガラシで作った調味料だけです
食事のあとの食器はもちろん自分で洗います
しかしその場所はトイレ
日本のように食器を洗う台所はありません
食べ盛りの子どもたち
その食事の材料は自分たちで作っています
女子寮の裏にある広い畑で生徒みずから菜の花やレタスなどの食べられる野菜を作っています
野菜は学校に買ってもらって私たちのお小遣いになります。
生徒みずから食材を育てることで農業の学びにもつなげています
この日ノイさんとクラスメートのジョントーンさんが職員室に呼ばれました
2人が将来教師になりたい夢を持っているのは知っています。
教師になるには人に何かを伝えて接し分かり合える力が必要です。
そこで新入生の面倒を見てもらいたいのです。
ノイさん下級生の世話係に指名されたのです
親を亡くしこの施設に預けられた…
ラオスにはラオ族モン族カン族などさまざまな民族がありそれぞれ異なった言語を持っています
学校では公用語のラオ語を使いますがモン族の2人はまだ話せません
しかも慣れない環境での生活
誰かが親代わりに世話をしてあげないといけません
ノイさんはワンチャンちゃんの世話を担当
早速洗濯をするために向かったのは寮の裏に流れる川
洗濯だけよね?
(ジョントーン)体も洗ってあげる。
この子たち全然体洗ってないから。
あ〜この制服汚い!襟もすごく汚れてる。
教室でミルクをもらって飲むときは服にこぼさないよう気を付けてね!
ワンチャンちゃんはモン語しか分からないのでモン語が話せるジョントーンさんが通訳
(ジョントーン)ミルクを服にこぼさないようにね。
(ワンチャン)うん分かった。
その日の夜
ジョントーンさんが2人を相手に何やら始めました
これは何でしょう?ワンワン!
(2人)ワンワンだ〜!
モン語が話せ子どもの面倒を見るのが上手なジョントーンさんに比べノイさん実は子どもの面倒を見るのが苦手のよう
翌朝「まだ寝ていたい」とだだをこねるジェリーちゃんを優しくあやすジョントーンさん
一方遅く起きてしまったノイさんはワンチャンちゃんを連れて顔を洗いにいくのですが…
タオルで顔を拭いてあげることもせずぶっきらぼう
何だか世話をする自信がなくなった。
ノイは何でも一人でできたから。
できない人の気持ち分かる?言葉も通じないし…。
言葉は関係ないよ。
そうかな〜。
ノイさん子どもの世話係が少し重荷になってきた様子
言葉が通じないのはつらいです。
でも頑張ります。
成績優秀なノイさんですが小さな下級生の世話もできない自分に気付き始めたようです
もはや優等生としての自信をなくしつつありました
こんな感じでいいのかなあ…。
学校が休みの週末ノイさん何やら旅支度を始めました
一体どこへ?
今から私の村に帰ります。
なぜ村に帰るのでしょうか?そこにはある理由が…
孤児院では年に数回家族や親戚がいる子どもには里帰りを許しています。
世話係に行き詰まったノイさんは祖父母にどうしても会いたくなったのです
帰ったらおばあちゃんの手伝いをしたいです。
すると女性がノイさんに話しかけてきました
どこまで行くの?え〜っと…トーン村までです。
あらそう。
お母さんは?一人なの?お父さんは?お母さんは小さいときに亡くなりました。
お父さんも。
そうなの…。
話し終わると男の子がお菓子を持ってきました
先ほどの女性の子どもです
私にも子どもがいるからあの年で両親がいないのはかわいそうと思って…。
船に乗って3時間
ようやく祖父母の住む村に到着です
ありがとうございました。
52世帯285人の小さな村です
自給自足の生活を送る村で日本では当たり前の電気水道ガスなどのライフラインはすべてありません
ノイさんが小さい頃に生活していたのはこの高床式の家
ラオスの村ではよくある質素な建物です
ノイさん4か月ぶりの里帰り
おじいちゃんおばあちゃんです。
こんにちは。
いつもノイが帰ってくるのを楽しみにしています。
見ない間にまた大きくなりました。
ここは落ち着くなあ。
本当はずっといてほしいんだがねえ。
そうしようかな…。
えっ?!
ノイさんここで暮らせそうですがなぜ孤児院へ?
ノイを孤児院に預けたのは経済的な問題が大きいのですがこの村の学校は当時2年生までしかなく…。
小さな村ですが学校はあります
今では5年生まであるものの中学校に行くには遠く離れた所まで歩いて行かなければならずそれは経済的にもノイさん自身にも大きな負担だったのです
年をとり年々力仕事をするのが大変になってきている祖父母
ノイさん帰ったときには必ず畑仕事を手伝います

畑仕事の次は家畜のエサやりです
(豚を呼ぶ声)
これ飼っている豚にエサをあげるときの合図です
ノイさんの合図を豚は覚えていました
少しでも早く祖父母と暮らしたい
その思いで孤児院でも学校でも一生懸命頑張っているのです
夕食は学校給食より質素な春雨スープ
でも一緒に食べる温かい夕食は何よりもごちそうです
ノイさん子どもの世話係で悩んでいることをおばあちゃんに打ち明けました
友だちのジョントーンはすごくいい子で子どもの世話をするのも上手。
でも私は全くダメ。
お友だちが上手なら助けてもらいなさい。
自分ができないことは恥ずかしがらず友だちの力も借りて…。
頑張りすぎないことね。
うん分かった。
翌日ノイさんが向かったのは村の小学校
ここがノイさんの教師になる夢の原点なのです
学校の先生になって大好きなこの村で高等教育を教えたいです。
そして早くおじいちゃんとおばあちゃんを楽にさせたい。
村の教育の向上が村の将来にもつながる
ノイさんは教師になる思いを新たにしました
そして祖父母との時間はあっという間に過ぎてしまいました

両親がいないノイさんにとって母親代わりの祖母との別れ…
ノイ元気でやるんだよ。
頑張りすぎないで友だちにもっと助けてもらいなさい。
うん。
じゃあ行ってくる。

できればずっと一緒にいたい
その言葉を胸にしまいこみ村を離れるノイさん

孤児院に戻ったノイさんを待っていたのは今や親友となったジョントーンさん
そして新入生の2人
ワンチャンちゃん元気にしてた?うん。
寂しかったよね。
みんなノイの帰りを待ってたんだよ。
今日はノイがゲームのリーダーね。
帰ってきてからのノイさんは別人に
親友の力を借りて今までになく積極的になりました
話せないと分かり合えない
そんな勝手な思い込みをなくして気持ちで接するようになったノイさん
友だちと一緒に言葉という壁を乗り越え始めました
もちろん言葉の壁を取り払うためにラオ語の特訓も
ノイさんの姿はまるで教師のよう
夢に向かって本当のスタートです
将来は学校の先生になって故郷のトーン村で子どもたちに高等教育を教えられるようになりたいです。
「未来の主役地球の子どもたち」
番組ではこれまで世界各地の子どもたちの夢を持つすばらしさ夢を持つ大切さを数多く紹介してきました
しかしその夢を叶えるためには数多くの乗り越えなければならない壁があります
ここからは自分の夢を信じ困難を乗り越えて夢を現実にした人を紹介します
アイスランドに住む少女はプロの歌手になる夢を抱いていました
2006年アイスランドのヨハンナ・グズルンさんは14歳でした
世界を舞台にする歌手を目指し8歳のとき初めて自主制作のCDを作り当時3枚のアルバムを出していました
彼女が目標としていたのは世界で通用する歌手になること
その夢を叶えるために新たなレコーディングを始めたばかりでした
9年前に出会ったヨハンナさんの今を知りたくて彼女の故郷アイスランドレイキャビクへ
23歳になったヨハンナさんは今すばらしい歌声を披露していました

彼女は9年前の取材のことをよく覚えていました
(発声練習の声)
活躍の場は世界に広がっています
2015/05/05(火) 09:00〜09:55
テレビ大阪1
2015スペシャル未来の主役〜地球の子どもたち〜 乗り越えるちから[字]

” 夢” を実現しようと、ひたむきに努力する
世界の子どもたちに密着。また夢を実現させ
た子どもたちの“今” も紹介する。

詳細情報
番組概要
出来ない事に何度もチャレンジし、乗り越え
ようとする子どもたち。失敗するかもしれな
い…壁も高いかもしれない。
それでも、子どもたちは諦めず、前進するパ
ワー、ちからを持っている。
番組では” 夢” を実現しようと、ひたむきに
努力する世界の子どもたちに密着。また夢を
実現させた子どもたちの“今” も紹介する。
番組内容1
■インド「象タクシーが消える!?」
「象使い」を夢見るファクルー・ディーヌ君
(7歳)。象のアナルカリを世話することが
日課だ。日々の練習で、ファクルー君はアナ
ルカリとの友情を深めていくが、ある日父は
こう告げた。「アナルカリと別れなければな
らないかもしれない」。
ファクルー君はアナルカリとの友情を信じ、
困難に立ち向かう。
番組内容2
■日本・島根「学校がなくなる」
筑波から島根県津和野町・左鐙(さぶみ)地
区に移り住んだ鈴木智也(ともや)君(12歳
)。地域の空き家を改修するプロジェクトを
立ち上げた。改修した空き家に人が住み、地
域の人口が増えなければ、母校の左鐙小学校
が廃校になるという。小学校存続の夢を追う
智也君の活動と思いを追う。
番組内容3
■ラオス「言葉が通じない」
幼い頃に両親を亡くし、祖父母の住む村に暮
らしていたノイさん(11歳)。経済的な理由
と村に3年生以上の学校が無いために、児童
養護施設に預けられた。成績優秀なノイさん
は、新入生の世話係に指名されたのだが、新
入生はモン族の子どもたち。ラオ族出身のノ
イさんと言葉が通じない。苛立ちから、自信
を無くすノイさん。言葉の壁を乗り越えよう
と奮闘するノイさんを追った。
番組内容4
■アイスランド「世界で通用する歌手になる
!!」
2006年2月に放送したアイスランドに住むヨ
ハンナ・グズルンさん(当時14歳)。番組が
取材をした当時、歌手になる夢を実現しよう
とレッスンを受けていた。現在、23歳になっ
たヨハンナさん。プロの歌手として多くのス
テージで素敵な歌声を披露していた。ヨハン
ナさんが夢を追いかける子どもたちに伝えた
いメッセージとは。

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般

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