花見小路にいい店があるんですよ。
おおそこ行こう行こう。
美味しいものをご馳走してあげるよ。
(舞妓たち)おおきに〜。
ああ行こう行こう!ど…どうなってんだ…?
(鈴木豊)ん?停電か?
(殴る音)
(男の悲鳴)
(サンドバッグを蹴る音)
(池永清美)佳子!テコンドー習い始めたからって朝っぱらからやる事はねえだろ!
(池永佳子)朝やるから気持ちいいんでしょう!そんな暇があるんだったら朝飯を作れ!朝飯を!ヤダ!はるか!こんなものを聴きながら飯を食うんじゃない!第一これはお前の仕事なんじゃないのか?
(池永はるか)昨夜の停電でドラマの録画やり直すのに忙しかったの!言い訳をするんじゃない!もう朝からわめかないでよ!お兄ちゃん細かすぎ。
何!?もっと太く生きよう。
いいか家事っていうのはな細かい事の積み重ねなんだよ。
それに俺は一歩表へ出たら我慢の男を演じなきゃいけねえんだ。
家でぐらいわめかせろ!うわっうまそう。
(上田聡)あっ!?
(上田)野沢課長!!あきらが…!いや…署長が来られました。
(野沢健作)…ったく署長の現場好きにも困ったもんだ。
(ドアの開く音)
(上田)署長ご苦労様です。
(平松純平)ご苦労様です。
(藤原あきら)事件の概要報告。
ガイシャは坂崎伸一28歳。
清水焼の窯元で働いていたそうです。
(梶原勇)頭部を鈍器のようなもので殴られています。
それが致命傷でしょう。
鑑識によると死亡推定時刻は昨夜11時から0時までの間。
市内全域で停電のあった時刻…。
ニューヨークの大停電の時は恋人たちが愛を確かめ合ったらしいっすけど京都じゃ殺しなんすね…。
(平松)うちは楽しかったぞ。
子供らと影絵やって遊んだら盛り上がった盛り上がった。
家族団らんの話は結構!凶器は?
(花村一彦)それらしいものは見つかってません。
犯人の目星は?同居していた女の行方が不明です。
大至急捜し出して。
(近藤時男)副署長!おはようございます。
おはようございます。
署長が現場から戻ってまいりました。
おはようございます。
おはようございます。
池端さんこれ。
(池端実)はい。
(署員たち)おはようございます。
おはようございます。
ご苦労様でした。
お帰りなさいませ。
警務課長今日のスケジュールどうなってるのかしら?捜査会議開きたいんだけど。
あの署長今朝の事件についてちょっと伺いたいんですけど。
副署長。
はい。
事件の捜査はあなたの仕事ではありません。
いやいやいや…。
広報にコメント出すよう伝えて。
今回の事件は警察の防犯体制に不備があったものでも交番の治安維持力が不足していたせいでもありません。
しかし全力をもって犯人検挙に当たりますので何とぞご協力お願いいたします。
もう1回言ってもらってもいいですか?いえ結構です。
今回の事件の一点のメリットは犯人を逮捕すれば検挙率がスリーコンマファイブポイントアップする事よ。
これはありがたい数字だわ。
違う?自分には特に意見はありません。
で…スケジュールの件ですがお昼は府議会議長と会食の予定が入っております。
私服のままでよろしいかと。
制服にします。
彼はコスプレ好きって噂だから。
違う?自分には特に意見はありません。
刑事時代はかなりの切れ者だって聞いて期待してたけど出世して牙を抜かれちゃったかしら?自分にはもともと牙も八重歯もありません。
失礼します。
(椅子を蹴飛ばす音)え〜ナンバー1とナンバー2が馴れ合うのは決していい事ではありません。
しかし表立って反目しあうのはいかがなものかと。
先輩その敬語やめましょうよ。
自分元部下だった男ですよ。
ただ今現在は警務課長の私が部下です。
では今日も1200件の決裁書類が待ってます。
さあ始めてください。
副署長!了解しました。
(ため息)
(林哲夫)副署長留置場の献立確認お願いします。
はいご苦労さん。
ありがとうございます。
(市川奈津美)副署長今年度の定年退職者リストです。
はいご苦労さん。
ありがとうございます。
副署長盆正月の振り替え休日です。
はいご苦労さん。
はい。
休暇願お願いします。
地域課の決裁です…。
後ほどやっておきます。
刑事課です。
後ほどやっておきます。
警備課です。
後ほどやっておきます。
生活安全課です。
後ほどやっておきます。
(ため息)交通課の決裁もお願いします。
急いでくださいよ副署長。
殺された坂崎伸一28歳は仕事の態度もよく人に恨みを買っていた様子はなかったとの事です。
現場も何者かが侵入した気配はありません。
とするとますます同居していた女性が怪しいわね。
(梶原)はい現在はまだ行方がわかってないのですが。
(梶原)こちらの写真をご覧ください。
平さん遅いじゃないですか。
(平松)ああ…。
何やってたんですか?
(野沢)上田静かに!俺は「うえた」だっつうの…!
(花村)名前は加賀みどり40歳。
現在麩屋町のスナックでアルバイトしてます。
(平松)あの…。
坂崎とは3年前に土産物屋に勤めていた時に知り合い深い関係になったそうです。
(平松)あの…。
当時みどりには夫と一人息子がいて坂崎とは言うところの不倫の関係だった。
結局同じ年に離婚坂崎と同居を始めた。
一回り年下の男と浮気の果てに息子を捨てて離婚…?好きにはなれないタイプね。
(平松)あの…。
まあ停電の夜に痴話ゲンカのあげく殺した。
そんなところだろ。
加賀みどりの立ち回り先当たれ!
(一同)はい。
あのその加賀みどり…今朝早く川端通のバス停でクーラーボックス肩から下げて始発のバス待ってたのを近所の人に目撃されています。
平松何でそれを先に言わない!?だから万年ヒラなんだ!不精ヒゲを剃れ!これは副署長殿。
ここから上は我々刑事課の領分ですが。
出張報告書日付が間違ってるぞ。
日付ぐらい副署長殿が訂正しておいてもらえませんか?我々はこの通り忙しい身分…。
直せ。
(舌打ち)
(花村)先行っててください。
すっかり慣れたようですねぇ。
河原町署の置物のポジションに。
置物か…。
我慢我慢…。
へえその女40で一回り年下男にガッツリかぁ。
秘訣教えてくれないかな。
えっ!?なあ平さんよ…その女どうしてクーラーボックスなんか持って歩いてるのかね?だってもしそいつがホンボシだとしたら逃げるのに邪魔でしょうがないだろ。
実は凶器らしきものが室内から見つかってないんですよ。
恐らくクーラーボックスの中身は凶器。
何でわざわざクーラーボックスなのよ?
(君塚貴の歌)たかちゃ〜ん!おう出世頭〜!ちょっとは慣れたか?ちょっとも…3か月経ったけど全然ダメだ。
やっぱ俺には合わねえや。
何を言うてやなぁ。
今度同窓会で昇進祝いするっちゅう話固まってんやでぇ。
それよりさ今朝たかちゃんのバスに乗ってた女の話聞かせてくんねえかな。
清ちゃんとこの刑事さんに全部話したがな。
えっ清ちゃん何…報告聞いてへんのけ?あのね…副署長というのは基本的に捜査しないのよ。
っていうかしちゃいけないの。
俺の仕事は書類にハンコをついたり証拠品の管理をしたりっつうま雑用係だね。
あのバリバリのはみだし刑事情熱系やったお前がけ?今じゃ河原町署の置物なんて呼ばれてんだ。
情けねえ。
それやったら何で副署長なんかなった?いや…いろいろあったんだよ。
でどうなの?乗せたでぇ〜。
川端五条から京都駅まで。
ああーっ!?おおっ…!
(急ブレーキの音)
(加賀みどり)バカ!まともな運転しなさいよ!
(君塚)あれやったら人殺しやりかねへんちゅう感じやな。
(携帯電話)ちょっとごめん。
うわぁ…。
(携帯電話)
(携帯電話)はい池永です。
(近藤)「副署長何をしていらっしゃるんですか!?」副署長はとにかく自分の席にお座りになっていてください。
署には署長あるいは副署長のどちらかが必ずいらっしゃらないと非常に困るんです。
おわかりですか?了解しました。
副署長〜!おうママ。
もういかにも暴力団ってのが通ってきて困ってんのよ〜。
また来てるのか…。
あのねうちの店の前にもうみんな勝手に自転車置いてくんですわ。
もう私がしゃべってんのよ!
(歌)何だ?うちに何か用か?俺のパンツじゃねえか。
お前下着泥棒か?
(藤原拓海)うちの庭に落ちてたんです。
庭…!?拓海?おお…署長。
あら副署長。
紹介まだだったわね。
息子の拓海です。
えっ!?お隣の池永さん。
ママが1月に署長になったでしょ。
池永さんも一緒に河原町署の副署長になられたの。
こんばんは。
池永清美っていう名前だからね女の人だと思ってたんだけどね。
ヘヘヘ…藤原あきらもプロレスラーみたいだっちゅうの。
何か言った?あいえ…。
息子さんでしたかぁ。
遊びにきたの?ううん東京から呼び寄せたのよ。
受験を控えた大事な時期だし一緒に暮らす事にしたの。
母親がそばにいないとね。
確かご主人パリでしたもんね?プラハよ。
チェコの交響楽団の取材をしてるの。
次はウィーンかなぁ。
クラシックの評論家か。
凡人には遠い世界だな。
一流のDNAをこの子は受け継いでるの。
これってのろけかしら。
(2人の笑い声)うらやましい限りです。
でも署長はね数字にうるさい方だから偏差値なんかにもうるさいんでしょうね大変だなお母さん。
いい学校に入れてやるのも親の愛情じゃない?親の役目はまず礼儀を教える事からじゃないですかね。
目上の人と話す時はポケットから手を出せ!とかね。
(咳払い)あなたとは教育方針が根本的に違うようね。
拓海ママまたこれから署に戻らなきゃならないの。
夕食1人で食べてくれる?1人!?そらぁ寂しいな。
よし!じゃ今日は俺んちで食え。
な?結構よ。
署員とプライベートまで付き合う気はないから。
あっそりゃ失礼しました。
(車の音)おっ?俺にはない公用車のお出迎えだ。
じゃ拓海行ってきます。
ご苦労さん。
ありがとう。
行ってらっしゃいませ。
かわいくねえ女だね。
ええっ!?来たんですか?停電のあった夜に…この女が!何かおかしな感じでしたよ。
どんなふうに?どんなふうに…どんなふうに!?あ…あの晩は冷蔵庫のものが悪くなるって氷がよく売れて…最後の5袋を買ったお客さんに…。
ねえこの氷全部私に譲ってくれない?1つに1000円。
1000円?ううん2000円出すから。
えっ!?お願いします…お願いです。
お願いしますって!1袋300円の氷を2000円で?何か引っ掛かるんですが。
平松押収品のリストをよこせ!は…?いいからよこせ!ああ…!自分も行きます!邪魔だどけ!『恋の季節』
(上田)ねえ池さん聞いてくださいよ。
あのデカ長俺の事雑魚としか見てないんですよ。
ぼやきてえのは俺の方だよ。
毎日毎日ハンコ押しで腱鞘炎だぞ。
おまけに隣にはクソセレブだ。
だったら何で副署長になったんですか?
(鈴木)池ちゃん。
ご要望に応えて揃えたよ〜。
ほら〜。
うわぁヒデとロザンナじゃ〜ん。
俺この頃さ金髪に萌え〜だったわけよ。
おっ!?『望むものはすべて』まである。
(池永・鈴木の歌)いいよな池さんはのんきで。
いいな〜何か気分よくなってきちゃった。
よ〜しお前にな1つ手柄になる事教えてやるよ。
例の発見されてない凶器な…あれ恐らく…。
こんなところだろう。
わかりましたー!なぜ加賀みどりが氷にこだわったのか…。
凶器はズバリその…!私がにらんだ通りあの部屋で見つかっていた坂崎の血痕の付いたこのビニール袋は加賀みどりが氷を買ったコンビニのものと一致し指紋も検出されました。
という事は…。
(氷で殴る音)
(坂崎伸一)うわあ…!間違いなく凶器は氷でしょう。
さすがは刑事課長。
加賀みどりを緊急手配して。
(野沢)はい。
俺が言うはずだったのに…。
『終着駅』クーラーボックスの女か…。
お前は一体どういう女なんだ…?どうかされましたか?この辺に気持ちが透き通るようなきれいな場所ない?そういう場所探さなきゃ…。
(平松)加賀みどりに逮捕状が出たそうですね。
ああ。
けどさ平さんもしみどりがホシだとすると動機は一体何なのよ?課長は痴話ゲンカがエスカレートしてじゃないかって言ってました。
坂崎がみどりを殴った事もあったそうです。
殴った訳は?店に来た若い客と結構遊び歩いてたらしいですからその辺がケンカの原因じゃないかと。
気にいらねえなぁ。
だってスナック勤めの女だったらさあ付き合いで客と遊ぶ事ぐらいあるだろう。
それで即痴話ゲンカあげくの果てに殺し…つうんじゃ話がシンプルすぎだよ。
ここは1つ今までの思い込みは捨ててみどりの周辺の聞き込み続けた方がいいぜ。
じゃねえと真実にはたどりつけねえよ。
でも課長からの指示もないしコピーやら押収物件の整理やらで手一杯で。
平さん!!あんたはデカで課長の使いっぱなんかじゃねえよ。
頼むぜ…。
はいどうした?加賀みどりの目撃情報が出たのか?
(野沢)琵琶湖畔でクーラーボックスを下げて立ってる姿が目撃されましてね。
行くぞ。
わあちょっと待った待った…。
お前さんと署長に話がある。
どけ。
何なの?話って。
加賀みどりはどうしていまだにクーラーボックスなんか持って歩いてるんでしょうか?ん?いいですか。
彼女は氷を5袋買ってそいつを凶器に使いました。
じゃその氷は今どこにあるんですかね?解けたんでしょう。
いや違うね。
クーラーボックスの中だ。
じゃ何のための氷だ?普通に考えれば何かを冷やすためだ。
じゃ何をだ?そんな事はこの事件と関係ないでしょう。
あるね。
そいつがわかれば加賀みどりという女がわかる。
女がわかれば動機がわかる。
動機は簡単明瞭。
痴情のもつれよ。
はい?元亭主がみどりは男にだらしない性格だったと証言している。
間男された亭主が女房をよく言うわけはねえだろ。
それをろくすっぽ調べもしないでだらしないとか何とか言うのはちょっと一方的すぎませんか?副署長。
現在の優先課題は加賀みどりの身柄確保よ。
彼女が内縁の夫を殺した。
それが事実で後は逮捕後の取り調べで明らかにすればいいの。
今は一刻も早く犯人を逮捕して検挙率をアップさせる。
事件と数字は別物です。
事件にはそれぞれ別の顔があって心があるんです。
その心に迫るのが捜査です。
ハハ…犯罪者の心理になんて興味はないわ。
私にとっての最重要課題は真っ当に暮らしている市民の真っ当な生活の平和と安全を守る事です。
犯罪者だって真っ当に暮らしてたかもしれないじゃないですか!それが何かの弾みで…。
殺人犯が大手を振って歩くのを黙って見てられないの!席に戻りなさい!これは署長命令です。
失礼しました。
あなたの欠点を言っとくわ。
あなたは情緒的すぎます。
はあ…?我慢我慢…。
お若いですな…副署長。
まあ確かに事件と数字は別物です。
聞こえてましたか…。
しかし検挙率のアップは住民の安心感にもつながります。
数字がものを言う場合が多々あるのです。
バカにしてはいけません。
(落花生の殻を割る音)おぞましい…。
怨念がメラメラ立ち上ってる。
はるかは?藤原ジュニアと話してる。
隣のか?同じクラスなんだって。
気が合ったみたいよ。
へえ〜ウソ…。
ちょっと何すんのよ!?
(携帯電話を切る音)あんなクソ署長のクソ息子とベタベタするな。
藤原はクソじゃない!ああ?お母さんの事お父さんとかに嫌われてないか心配してる。
偏差値の事ばっか気にするお母さんだけどいいとこもあるんだって。
そういう事知らないくせに変なふうに言わないで。
俺はおまえの事心配して…。
お母さんが死んでから急に父親ぶらないでよ。
何…!?それまでずっと私の事なんか放ったらかしにしてたくせに。
はるか!…はるか!人の携帯切るなんて最悪。
父親失格。
お前…!我慢我慢…。
タバコは外で!おはようございます。
…おはよう。
坂崎とみどりの件池さんの言われた通りでした。
ていうと?近くの住人に聞き直したら2人は事件当日の昼…。
熱い?熱いよ。
(みどり)美味しい?あこんにちは。
おたくらいつもほんまに仲がよろしおすなぁ。
そんなラブラブな2人がちょっとケンカしたぐらいで殺したりするか?それでね死んだ坂崎の同僚に聞いたところ坂崎が加賀みどりに暴力をふるったのはみどりが仏壇ばかり拝んでいたからだそうです。
仏壇?ところがねこれもおかしいんですよ。
2人が住んでいた部屋には仏壇はなかったんです。
はあ?そりゃ確かに妙だな。
やっぱりこのヤマ…殺しの動機に迫らねえと真実にはたどりつけねえわ!おっ池さん!副署長どこ行っちゃったんでしょうねぇ?今日中に間に合うかな?もう間に合わないですよ!ああ副署長!あこれ追加の案件です。
いや俺…。
急ぎでお願いします。
今日中にお願いします。
早くお願いします。
こちらもお願いします。
これも今日中です。
(みどりの声)ねえこの氷全部私に譲ってくれない?1つに1000円。
1000円!?
(みどりの声)ううん2000円出すから。
お願いします。
お願いしますって!
(坂崎の声)こんなものがあるから…うわあー!!俺の我慢もここまでだ…。
(近藤)副署長…!?やっぱり仏壇はなしか…。
《クーラーボックス…》《冷えたもの…凍ったもの…》せやから坂崎君らの事やったらもう何回も警察の方に話しましたから。
わかりますわかります。
また警察かよって気分は。
でもね1つだけ教えてください。
あの2人の身内で最近亡くなった方っていませんかね?はあ?だってほら加賀みどりは仏壇にいつも手を合わせてたわけでしょ?だったら。
ああそんなん僕は知りませんわ。
ようおばちゃん久しぶり!いや…清美ちゃん!?うわ〜変わんないね相変わらず若いわ〜。
お世辞言うても何にも出えへんえ。
口が悪いのも相変わらずだ。
あんたもな。
かわいいのは清美ちゃんいうお名前だけで根性悪は変わってへんのやろ?あ…。
忘れようよ昔の悪さはさぁ。
ねぇねぇ…。
それよりねあの店に勤めてた加賀みどりって女の身内でさ最近亡くなった人っていないかな?みどりってあの警察がいろいろ訊いてたあの人…?そうそうそう…。
あの人何しはったん?そりゃまた今度。
ねどうなの?誰か亡くなってない?そういうたら子供の話聞いた事あるえ。
…子供?あの人の前の亭主との間にできた子で川で溺れて死んだんやて。
加賀みどりの息子の事調べてくれ。
何年何月どこでどんなふうに死んだのかだ。
急げ!じゃここで足を滑らせて落ちたって事?ええ。
あの日は雪が降ってて水温も冷たかったと思いますよ。
そうか…お父さんとお母さんの仲が悪いって悩んでたのか?うん。
うん…。
ありがとう。
ありがとうな。
佳子…お前何こんなとこでサボってんだよ?それはこっちのセリフよ。
しょうがないから私も調べてあげた。
加賀みどりの息子尚也君が川で溺れたのは3年前。
離婚が成立する直前らしい。
意識不明でここに運ばれた。
小学校2年生だったそうよ。
その時加賀みどりは?半狂乱だったって。
(白井和雄)帰れ!尚也ー!!尚也…!帰れ…帰れ!
(白井真知子)みどりさん…。
結局その夜加賀みどりの息子は息を引き取った。
あっ!!私ピンと来た!クーラーボックスには息子との思い出の品物が何か入ってんじゃないかな?佳子!お前は100年に1回いい事言うわ!
(真知子)警察の方に何度もお話ししたようにみどりさんの行き先に心当たりはありません。
そうですか…。
じゃみどりさんが大切にしていたものには心当たりはありませんかね?例えばお孫さんの形見…おもちゃとかですね。
いいえ形見分けのような事は一切しませんでした。
みどりさんに尚也の写真1枚渡さなかったんです。
外れか…。
ただ息子にも罪はあるんです。
あの…先によそに女性こしらえたんですから…。
そうだったんですか!?尚也の事もみどりさんは手放したくなかったんです。
ただ息子が許さなくて…。
お通夜でもみどりさんをこの家に入れずお焼香もさせなかったくらいです。
ひどい…!酷な事をしたと思います。
その晩みどりさん尚也とよく遊んだ公園で何時間もじっと座っていたと近所の人が言ってました。
公園で何時間もですか…?冷え込んだ晩でした。
さぞ寒かったろうと…思います。
この公園で彼女は毎日息子と遊んでたんだ。
だからってこんな所に舞い戻って来たりしないわよ。
今頃高飛びしてるに決まってるでしょう?いや彼女が俺の思ってる通りの女だったら息子との思い出があるこの公園しか戻る場所ねえはずだ。
もうわかんない。
どうしてそんなに加賀みどりにこだわるの?重たいクーラーボックスとあの女同じぐらい重たいもの持ってさまよってんだぞ!放っとけるか。
付き合ってらんない。
(携帯電話)おいどうだった?そうか…。
はいご苦労さん。
(携帯電話を切る音)サンキュー。
…ったくもう後でどうなっても知らないからね。
おお…。
(ため息)来た…!加賀みどりさんですね?河原町署の者です。
その中の氷もう解けちゃったんじゃないんですか?尚也…!それも解けましたか…。
加賀さん…その中に入ってたのは雪だったんじゃないんですか?…雪!?どうして…?伸ちゃんしか知らないはずなのに…。
署の当直日誌に書いてありました。
3年前あなたの息子の尚也君が亡くなった日京都には珍しく雪が積もったって…。
(白井尚也)いっせ〜のせっ!その日もあなたと尚也君はこの公園で遊んだ。
(尚也)どう?お母さん。
雪だるまか…俺も子供の頃よく作ったなぁ。
当時すでにご主人と別居していたあなたは尚也君と別れた後恐らく坂崎の待つアパートへ戻ったんでしょう。
そしてその後尚也君は川で足を滑らせてしまった…。
(みどりの嗚咽)私…私がもう少しそばにいてやれば…。
次の日のお通夜の夜…お焼香もさせてもらえなかったあなたは1人でここへ来た…。
残ってたの…雪だるまが…。
尚也…。
…尚也ー!!
(みどりの号泣)
(尚也の声)どう?お母さん。
その雪が息子さんの形見だった。
いや…息子さんそのものだったんですね。
これ3年間も冷蔵庫の中に大事に大事にしまっておいたんでしょう。
つまり冷蔵庫があなたにとっては仏壇代わりだったんですよね?俺にわかったのはそこまでです。
聞かせてくれませんか?停電の夜に何が起きたのか…。
伸ちゃんは…私に恋人と母親の両方を求めてたの。
だから…私が尚也の事を忘れられないでいるのが嫌だった…。
(坂崎)そんなもんもう解けたっていいだろうが!いい加減に忘れろよ。
俺がいるだろうが!俺だけじゃ不満なのか!?
(坂崎)こんなもの…!
(みどり)何すんのよ!?やめて…!
(みどり)あっ!!ああ…!
(坂崎)こんなものがあるから…!
(氷で殴る音)うわあーっ!!あぁ…。
伸ちゃん…?
(みどり)伸ちゃん!?…伸ちゃん!!愛してたのに…私殺しちゃった…。
だから…お墓の場所を探しにあちこち行ったの。
お墓…?これを埋めて…手を合わせて…尚也を成仏させたら伸ちゃんも許してくれるかな…なんて。
もう死んでしまった人なんだから許すも何もないのにね。
2人とも大事だったの…。
それがいけなかったの?神様ってやつは時々とんでもない意地悪をするんだよね。
もう死にたい…。
そんな事言わないで。
俺と一緒に警察に行こう。
逮捕するのね?いや。
俺手錠持ってないんだよ。
あんたは自分で出頭するんだ。
お兄ちゃん!?その方が罪だって軽くて済むしな。
どうして…何でそんな優しいの?一番大事な人を失った悲しみは俺にもよくわかるんだよ。
それに警察は人間相手の仕事だ。
大切なのはあんたを逮捕する事じゃない。
目の前にいるあんたの心だ!罪償って…出直すんだよ。
大丈夫。
あんただったらきっとやり直せるよ。
(風の音)雪が解けたら…春が来るんだ!いよっ…!あんたにも…必ず春が来るよ。
(号泣)加賀みどりが出頭してきたそうね。
我が署の署員と話して自首する気になったそうよ。
笑うと愛嬌のある男だったとか。
誰なの?その署員って。
さあ自分には…。
でも検挙率がアップしたんだしいいじゃないですか。
もし手錠を持たない人間が捜査に介入していたとしたら明らかに服務規程違反です。
うわぁ〜。
署長怒ると美人ですね。
結構!今後何かあれば厳重に処罰します。
仕事に戻りなさい。
失礼します。
きれいだ…。
え〜…。
え〜っとその…。
副署長は…。
長い長いトイレに行ってはった…。
私はそう解釈しています。
それでよろしおすな?あ…はい。
では決裁を。
了解しました。
追加の決裁お願いします。
…はい。
報道発表資料です。
お願いします。
何であんなのが副署長になったのよ!?
(ため息)結局お兄ちゃんかわいそうな女に甘いのよ。
バカそうじゃねえよ。
俺はね情緒的なの。
あれ?何か情緒的とかって言うとさ俺って高級な男みたいじゃねえ?バカはすぐうぬぼれる。
あ痛っ…。
何すんだ!?お前は。
あっ!は〜いちょっと待て。
(はるか)何よ?お父さん。
俺は署長とは反りが合わない。
大体の人がそうだと思います。
けどああいう人がてっぺんにいねえと組織は形にならない。
敵は多いけどタフだ。
そこんとこは認めるよ。
よかったね!藤原。
それはそれとしてだ。
うちの娘とベタベタするんじゃないよ。
携帯での長電話も禁止だ。
わかったな?何よ!「何よ」じゃないよ!だいたいねお前たちはまだ中学生なんだよ。
「もう中学生」じゃないの。
中年は話がクドイ。
さあ行って行って。
…おいこらちょっと待て!おい!ほらほら中年…!おはようございます西川きよしでございます2015/05/05(火) 09:55〜10:53
ABCテレビ1
[新]その男、副署長〜京都河原町署事件ファイル〜[再][字]
「河原町から消えた女…殺意を呼ぶ熱い氷」
詳細情報
◇番組内容
船越英一郎、連続ドラマ“初”主演作品。捜査を禁じられた所轄署の“副署長”が難事件を解決するミステリー。制服を脱ぎ捨てたとき、事件は解決のときを迎える!
◇出演者
池永清美(副署長):船越英一郎
池永佳子(交通課):田中美里
平松純平(刑事課):宇梶剛士
上田 聡(刑事課):鈴木一真
野沢健作(刑事課長):石丸謙二郎
近藤時男(警務課長):本田博太郎
藤原あきら(署長):萬田久子
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
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日本語
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