俳優の井浦新さんがアジアの今を見つめる旅に出ました。
総延長13万キロに及ぶアジアハイウェイ。
32の国々は民族も歴史も文化も多様です。
どんな出会いが待っているのか。
井浦さんが最初に向かったのは西アジア。
ヨーロッパと接するトルコのイスタンブールは好景気で人口も急増。
熱気とエネルギーにあふれていました。
トルコの隣国ジョージア。
紀元前からの踊りを守り続ける舞踏団。
ジョージアはワイン発祥の地。
村人から自家製ワインを振る舞われました。
ありがとう。
そしてアゼルバイジャン。
真っ赤な炎が燃えているようなビル。
アゼルバイジャンでは地下資源が巨万の富を生み出していました。
ジョージア国境からアジアハイウェイを東へ。
井浦さんがアゼルバイジャンに入ったのは夕方近くでした。
更に走ると夕闇迫る道路沿いに異様な建物が見えてきました。
煌々と輝く巨大な門です。
うわぁこれは何なんだろう。
何だこれ?すごいな。
遠くからも見えてたもんなぁ。
こんにちは。
こちらは…何でしょうかこちらは?
(通訳)アリエフの公園です。
あっ公園ですか。
ここはアゼルバイジャンの前大統領の名前の公園でした。
アリエフ前大統領は2000年代に始まる経済成長を実現させた人物。
その功績を記念してのものだといいます。
前大統領の公園から更に東へ360キロ。
井浦さんは首都バクーに向かいました。
バクーは「第二のドバイ」と呼ばれています。
午後9時すぎ首都バクーに到着。
街じゅうが色鮮やかなネオンに包まれています。
通りに面したビルはライトアップされテレビドラマや映画のセットを思わせる光景です。
中でもひときわ目立つビル。
総工費350億円をかけ2012年に完成した「フレームタワー」。
真っ赤な炎をかたどったデザインは「火の国」と呼ばれるアゼルバイジャンを象徴しています。
高さ190メートル。
3つの炎の塔はホテルマンションオフィスです。
なんかもう…僕の歩くスピードが東京での都会のスピードになってるんですよ。
完全にもう空気が…今まで土を踏み締めてて靴がこんなにズボンもこんなになってたのがもうこの街じゃありえないですよね。
これ逆に僕すごく汚いやつだなって思われますよね。
浮くぐらいそれぐらいのこのギャップ。
あれがすごいですね。
20世紀バクー油田は世界一の規模を誇っていました。
しかしソビエト連邦の時代は国有化されアゼルバイジャンは連邦全体のエネルギー供給基地となっていました。
もう見渡す限り採掘機が…立ってますね。
独立した今この資源をどう生かすかが経済発展の鍵を握っています。
ここは2,000年以上にわたり地表にガスが噴出し大地が燃え続ける丘です。
ガスが噴き出し続けてるんですよね。
すごいな。
2,000年か…。
アゼルバイジャンのまあ言ってみれば宝なんだなというのは感じますよね。
それだけ大きな存在だっていう。
世界最貧国の一つだったアゼルバイジャンは国を挙げての油田ガス田の開発を武器に急激な経済成長を遂げています。
その象徴がバクーの街のどこからでも見えるこの炎のビルです。
資源大国アゼルバイジャンへの欧米からの投資は盛んです。
2006年には経済成長率34%という驚くべき数字でした。
資源開発の中心地バクーは今熱気にあふれています。
アゼルバイジャンの全人口の20%215万がバクーに集中。
コーカサス地方最大の都市に急成長しました。
メインストリートには世界の有名ブランドがそろって出店しています。
最先端のファッションで着飾った女性たちが競うように闊歩していました。
更にバクー市内では建設ラッシュが続いています。
このユニークなデザインの建物は2012年に完成した文化センターです。
設計はイラク出身の世界的建築家。
威容を誇るこの施設にもヘイダル・アリエフ前大統領の名前が付けられていました。
この建物もそうですし前の街でも見てきた公園も大きいですよね。
他にもあの大きな…。
名前の付いた大きな建物や公園というのは他にもあるというふうにも聞きましたし造っているとも聞きましたし。
とにかくその…大きさですよね。
ところが…。
街の中心部から車で僅か10分ほどの所で街の風景が一変しました。
解体途中の家が放置されたままになっているのです。
この地区は東京ドーム8.5個分の広さがあり再開発地区に指定されています。
しかし土地を買い取る金額を巡り政府と住民の間でトラブルが起きているのです。
結構人はいますね。
この通り…。
ここ人住んでるんですね。
更に相続問題で家族の間で訴訟まで起きているといいます。
1人の老人と出会いました。
サラーム。
この街はどれぐらい前からこの状態になってるんですか?
(通訳)5〜6か月前から。
5〜6か月!?
(通訳)ここは壊され続けられています。
あっまだこれから壊されていくっていう…。
あの…今こちらにまだ住んでるんですか?思い出の詰まった街を離れたくないと語るイヌラエフさん。
再開発が決まって半年たった今も移転に踏み切れず住み続けているのです。
お邪魔します。
(通訳)私はここで生まれました。
うわ〜。
61年間暮らした家をイヌラエフさんが見せてくれました。
お邪魔します。
あっ暖かい。
あっ電気もテレビもついて。
電気もついて。
部屋の中も暖かいですね。
後ろのお写真はどなたなんでしょうか?2,500世帯が暮らしてきた家々はいずれ全て取り壊され新しい公園が造られる予定です。
このバクーを歩いていてすごい感じたのが…。
まあもちろん大都会だっていう。
ただ…なんか疲れたんですよね。
歩いてて。
何でしょうね。
あの…。
いやあの異国の地に来た楽しさ旅をしているという楽しさもちろんあるんですけどちょっと疲れたんですよね。
あの…何でしょうね。
地下資源がもたらす巨万の富で国づくりを推し進めるアゼルバイジャン。
再開発を終えた時このバクーの街にはどんな風が吹いているのでしょうか。
本当の豊かさとは何か。
そんな思いを抱きつつ井浦さんはアゼルバイジャンを後にしました。
2015/05/05(火) 11:39〜11:54
NHK総合1・神戸
井浦新 アジアハイウェイの風「アゼルバイジャン」[字]
総延長13万キロのアジアハイウェイを井浦新が体感するシリーズ。ユニークな高層ビルがそびえる資源大国アゼルバイジャンの首都バクーで、経済成長の光と影を見つめる。
詳細情報
番組内容
総延長13万キロ、アジアを網の目のように広がるアジアハイウェイを井浦新が体感するシリーズ。今回訪ねるのは、資源大国アゼルバイジャン。首都バクーは近代的なビルがそびえ、光り輝く町が続く大都会。その一方で、古い集落には、立ち退きを迫られている人々がいた。経済成長の光と影を見つめる。
出演者
【リポーター】井浦新,【語り】渡邊佐和子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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