NEXT 未来のために「対話は何を生んだのか〜遺族とJR西日本の10年〜」 2015.05.06


認知症っていうのは現代病なんだなとつくづく思いますね。
そうですね。
改めて規則正しい生活を送んなきゃいけない!早寝早起きよく歩く。
う〜ん歩きましょう!ね!兵庫県尼崎市にある体育館。
10年前ここである鉄道事故の被害者と加害企業が向き合いました。
遺体安置所となっていたこの場所で亡くなった息子と対面した父親。
その時事故を起こした鉄道会社の社員が言った言葉に深く傷つけられました。
指示を受け駆けつけた社員たち。
自分の会社が多くの命を奪った事を知りました。
この時初めて言葉を交わした遺族と加害企業の社員たち。
その後異例の対話を行う事になります。
107人が亡くなり562人がけがをしました。
(シャッター音)4年後遺族とJR西日本は共に事故の原因を考えようと同じテーブルにつき対話を始めました。
それは遺族にとって多くの困難が待ち受ける闘いでした。
安全に対する意識の隔たり。
事故を組織の問題として十分に捉えられない企業。
しかし対話を重ねるにつれ加害企業に少しずつ気付きが生まれていきます。
遺族と加害企業は対話の先に何を見たのか。
葛藤を抱えながら向き合った10年の記録です。
大学生になったばかりの息子昌毅さんを事故で亡くしました。
事故の1か月前入学祝で行った家族旅行の写真。
これが遺影になるとは思いませんでした。
あの日列車は制限速度を大幅に超えるスピードで急カーブに進入し脱線しました。
国の事故調査では原因は…昌毅さんは大破した2両目に乗っていました。
事故の日に遺体安置所で手渡された死体検案報告書。
書かれていた死因は「窒息」でした。
(上田)短時間って言うても何十秒から数十分でも短時間やと思うんですよね。
それがまだはっきり分かんないんですけど…なぜ息子は死ななければならなかったのか。
原因は運転士のミスという結論に上田さんは納得できませんでした。
事故の背景としてさまざまな問題が指摘されていました。
年々スピードアップされ余裕がなくなっていたダイヤ。
ミスをした運転士に対する日勤教育と呼ばれる懲罰的な再教育。
ATS自動列車停止装置は事故の前に設置される計画が先送りされていました。
事故の半年後上田さんはほかの遺族と共にJR西日本の幹部と面会します。
会社として原因や背景を調べ説明してほしいと求めました。
答えは期待を裏切るものでした。
どうすればJR西日本を事故に向き合わせる事ができるのか。
上田さんは仲間の遺族と話し合いを重ねました。
妻と妹を亡くした…淺野さんは遺族とJR西日本が一緒になって事故の原因や背景を分析できないかと考えていました。
そこで一つの決断をします。
JR側が応じやすいように責任は追及しないと約束し共に原因を探る対話を提案したのです。
(シャッター音)事故から4年後。
被害者と加害企業による異例の対話が始まりました。
参加したのは7人の遺族とJR西日本の安全に関わる部署の責任者たち。
月に一度集まり日勤教育やダイヤなど運転士のミスの背景にあるとされた問題を検証していきました。
JR側の出席者の一人…事故当日遺体安置所の体育館で遺族の対応に当たった経験がありました。
4年後対話の場で出会った遺族の姿勢に驚かされたと言います。
実は遺族には心に決めていた事がありました。
亡くなった家族の話は口にしないという事です。
しかしすぐに両者の大きな隔たりが浮き彫りになります。
鋭く対立したのがダイヤについての議論でした。
遺族たちは事故の背景には余裕のないダイヤがあると考えていました。
対話に参加した遺族の一人は毎日福知山線に乗り列車の運行状況を調べました。
駅への到着と発車の時刻を記録。
すると事故後ダイヤが改正されたあとも度々遅れが発生している事が分かりました。
対話の場で…これに対し……と繰り返しました。
この議論で遺族と向き合った…運転士の経験があり当時安全対策を担当していました。
課題を認めようとしない姿勢に遺族の一人が席を立つ場面もありました。
しかし遺族たちはその後も粘り強く対話を続けました。
転機となったのが新たに行ったダイヤと運転士のストレスに関するアンケートでした。
列車が遅れた時に負担を感じるか30人に聞いたところ「かなり感じる」「非常に強く感じる」と答えた人が合わせて3人。
1割でした。
しかし遺族の受け止めは違っていました。
遺族の視点が企業側に気付きをもたらした瞬間でした。
対話が少しずつ進み始める中上田さんは独自に動き出していました。
上田です。
よろしくお願い致します。
(一同)よろしくお願い致します。
対話には参加していない一般の社員に話を聞こうというのです。
現場の実態を知った上で対話に臨みたいと考えていました。
深く失望する出来事が起きます。
この日かねてから会いたいと思っていた一人の社員を自宅に迎える事になっていました。
事故を起こした運転士の元上司。
かつて運転士がミスをした時日勤教育に関わった人です。
当時の教育をどう思っているのか聞きました。
驚いたのは元上司が「指導は間違っていなかった。
大半の事故の原因は運転士の意識の低さにある」と話した事でした。
今も事故を個人のミスとしか捉えていないと感じた上田さん。
怒りを抑えられませんでした。
JR西日本に何度も失望させられてきた上田さん。
そんな時に足を運んだのが息子の昌毅さんとよく釣りをした海です。
事故を個人のせいにする姿勢を変えさせない限りまた同じ事が起きる。
その思いを強くしていました。
対話を始めて3年。
議論は新たな段階に入ります。
専門家も加わり運転士のミスにつながった組織全体の問題に踏み込む事にしたのです。
着目したのは事故現場のATSの整備が遅れた経緯です。
その背景に社内の相反する2つの動きがあった事が分かりました。
福知山線ではダイヤ改正の度に所要時間を短縮する速達化が重ねられていました。
その一方でATSの整備計画を遅らせるという矛盾した判断が繰り返されていたのです。
安全設備の責任者として議論に参加した平野さん。
組織全体を見渡す事ができていなかった事に気付きました。
明らかになった社内の連携の欠如。
しかし遺族たちはそれで満足しませんでした。
速達化とATSの整備の遅れがなぜ同時に起きたのか更にその背景を問うたのです。
繰り返し疑問をぶつけてくる姿勢に社員たちは驚かされます。
そして出来たのがこの図。
事故に至った要因一つ一つについて関係した組織を明らかにしました。
会社としての意思決定を行う経営層。
運行システムなどを担う技術層。
運転士などの実行層。
組織の全ての層で問題が見過ごされ連携がとれないまま事故につながっていた事が分かったのです。
4年にわたった遺族と加害企業の対話は2冊の報告書を出して去年春終了。
その中でJR西日本は「巨大なシステムを安全に運営する際の相互の連携が私たちには欠けていた」と組織が抱える問題を明記しました。
間さんは報告書が完成した時に淺野さんからかけられた言葉が忘れられないと言います。
JR西日本では今対話で得た気付きを社内に広める取り組みを始めています。
間さんは現場の社員たちに対話で出会った遺族のある言葉を伝えています。
ど…どうですか?その問いに対してどう答えれますか?「二度と起きないのか?」。
(間)そうですよね。
(警笛)あの日から10年になりました。
JR西日本は対話を受け新たな方針を打ち出しました。
安全管理の体制が機能しているか今後第三者機関のチェックを受けていくというものです。
上田さんは息子昌毅さんの同級生とこの日を迎えました。
結婚した人間もなく父親になる人。
昌毅さんも生きていれば28歳です。
なぜ家族は死ななければならなかったのか。
問い続ける遺族。
それを受け自らの課題を見つめ始めた加害企業。
対話の先に見えてきた道を今歩き始めています。
2015/05/06(水) 05:20〜05:50
NHK総合1・神戸
NEXT 未来のために「対話は何を生んだのか〜遺族とJR西日本の10年〜」[字][再]

107人が亡くなった福知山線脱線事故から10年。数人の遺族とJR西日本の間で、“安全”をめぐる「対話」が行われていた。「異例の対話」がもたらしたものを見つめる。

詳細情報
番組内容
乗客107人が亡くなったJR福知山線脱線事故から10年。事故の背景を知りたいと考える数人の遺族とJR西日本の間で、“安全”のあり方をめぐる「対話」が行われていた。最初は大きな隔たりがあった両者の意識。しかし、「なぜ家族は死ななければならなかったのか?」という遺族の問いは、少しずつ会社側の意識を変化させていった。遺族側、会社側双方のインタビューなどをもとに、「異例の対話」がもたらしたものを見つめる。
出演者
【語り】ミムラ

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:32701(0x7FBD)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: