今日のゲスト土屋太鳳さん山賢人さんそして門脇麦さん高畑裕太さんでした!ありがとうございました!
(吉田)最後最後最後…高畑さんも一緒に。
(足音)
(風の音)おいお前本気か?
(男性)いいのか?本当に。
(かおりの声)「この飛行機はあと30分ほどで成田国際空港に到着致します。
化粧室のご使用はお早めにお済ませ下さいますようお願い致します」。
なお東京の天候は晴れ。
気温はセ氏12度という連絡が入っております。
(男の子)ねえ。
はい?成田って東京都?え?いいえ千葉県よ。
でもここに「新東京国際空港」って書いてある。
あ…前はそうだったの。
今は違うの。
え?じゃあ前は東京だったの?そうじゃなくてね…。
・
(男性)うるせえっつってんだろ!ごめんなさい。
あ…。
俺の何が悪いっつうんだ。
ああ?どうかなさいましたか?お客様。
この女がよ俺がトイレに行くのを邪魔しやがんだよ!
(真紀)あの…そちらのお客様の方が先なんです。
私はいいよ…後で。
(真紀)でも…。
(男性)どけよ!じじいがいいっつってんだろ!いてててて…。
あんただっていつかはじじいになるんだよ!
(男性)も…文句あんのか?お急ぎ下さいませ。
間もなく着陸態勢に入りますので。
(男性)あっ…ああ!
(浩介)右肩脱臼。
全治1か月。
お客様は君の過失だと言ってる。
君が突き飛ばしたって。
そんな…。
いや相手が得意先のお偉方だったんでちょっと騒ぎになっただけだ。
君がそんな事を絶対にしないのは僕がよく知ってる。
今日呼んだのはその件じゃないんだ。
え?君の契約更新できない事になった。
そんな…。
うちの経営はこの一年で最悪のものになった。
1年前とは変わってしまったんだ。
何もかも…。
(浩介)受け取ってくれるかな?かおりももうすぐ契約期間が終わる。
そしたら晴れて正社員だ。
一緒にこの会社で支え合っていこう。
1年待って。
え?正社員になってできればチーフになって自分があなたにふさわしい女性だって胸を張れるまでそれまで仕事を第一に考えさせて。
今のままで十分だって!あと1年待って。
お願い。
この1年結構厳しい事もあったけど頑張ってきた。
うん…。
それはずっと見てたよ。
ありがとう。
浩介が待っていてくれてるって分かってたから頑張れたんだと思う。
お礼なんかいらないよ。
僕は「待つ」なんて言わなかったから。
え?桐原君と結婚する事になった。
うそでしょ?うそだと思うなら桐原君に聞いてくれ。
(鐘)もう終わってたって事?私たち。
そろそろ話さなきゃと思ってたんだ。
いい機会だったよ。
うん。
「いい機会」?かおりならすぐに次の男が見つかるよ。
仕事だって君ならどこに行ったって大丈夫だ!酔っぱらい相手に嫌な顔一つしなかったんだって?感心してたよ真紀も。
「真紀」!?
(浩介)ああ…いやあの…こうなったらかおりも新しい幸せを見つけるチャンスだと思って…。
お互いのためにもこれで良かったんじゃないかなうん。
お互いのためにもこれで良かったんじゃないかなうん。
己…徳川四天王本多忠勝嫡流と知ってのろうぜきか!許すまじ!ああっ…。
許すまじ…。
私の人生そこそこ順調だと思ってた
仕事もあって恋人もいて…頑張ってさえいればあと一歩で幸せになれるような気がしてた
(車内放送)「次は大多喜大多喜です」。
千葉県成田市からおよそ100キロ
私のふるさと大多喜町は武勲で名高い徳川家臣本多忠勝の城下町として知られている
私の家が本当に本多忠勝の嫡流なのかどうかはよく分からない。
でもカッとなりやすい性格は武闘派のご先祖譲りだとよくからかわれた
ただいま…。
一瞬で何もかもなくしてふるさとに帰ってくるなんて…
二度と戻らないつもりだったのに…
振り出しに戻る…か…。
何もかもじゃなかった
ためてた結婚資金だけは残ってた
はぁ…。
あっ!
(甥)一十百千…。
ちょっと!
(甥)え〜っと…。
(姪)万十万百万…700万!?
(甥)すげえ!叔母ちゃん700万円も持ってる!し〜っ…。
(圭子)こらっ!何してんの!ごめんねかおりちゃん。
あとできつくお仕置きしとくからね。
いいえそんな…。
(頼子)気にしなくていいのよ圭子さん。
全く勝手に会社辞めて急に帰ってくる方が悪いんだから。
ったく30にもなって一体どうするつもりなんだか。
でもかおりちゃんならすぐに仕事決まるでしょ。
頭もいいし美人だし!
(陽一)おい圭子!ちょっと手貸してくれ。
は〜い!で?どうすんのかおり。
とりあえずうちでアルバイトでもする?「とりあえず」はやなの。
働くならちゃんと働きたいし。
あらそう。
会社の寮追い出されてとりあえず実家に戻ってきたのは誰?とりあえず暇だったら子供たちどっか連れてってあげて。
私はふるさとが好きじゃなかった
東京に近いけど都会では全くない
田舎を売りにできるほどの特徴もない
私はもっとずっと広い世界に飛び出したかった
(店主)お〜い!おい!かおりちゃんじゃねえかよ!あ…お久しぶりです。
お〜いどうしたよ今日は。
飛行機休みか?ええまあ…。
本当にかおりちゃんはすごいよな。
こんなちっちゃい時から賢くてよ。
今じゃ世界こう飛び回ってるんだろ?なあ。
もう町の誇りだよ全くよ!
(客)すいませ〜ん。
(店主)うるせえなばか野郎!
(客)これいくらですか?
(店主)触るなばか野郎!勝手にお前。
心の声あ〜あ…。
自分で穴掘って入りたい。
(甥)700万!叔母ちゃん!こっちも700万!乗務員訓練生募集…。
心の声訓練費出せば誰でもなれるって事?
(姪)かおりちゃん電車来たよ!心の声ちょうど700万…。
これってもしかして…。
(神崎)「運命かもしれない」と思えたんです。
(松戸)運命ですか。
はい転職を考えていたちょうどその時に訓練生募集のチラシを見たんです。
神様に「お前はこれをやれ」と言われたような気がしました。
心の声それ言いたかったんですけど。
(松戸)本多さん?
(鴨川)ねえさん呼ばれてるよ。
ああっ…はい!あの…。
(松戸)航空会社にお勤めだったんですね。
なぜ訓練生に応募しようと思われたんですか?はい。
それは…実は客室乗務員をやっておりまして。
(松戸)ええ。
その…国際線のチーフを目指していたんですが…。
すごいな!もしかして男に生まれてたらパイロットになりたかったクチですか?いや別に…。
気に障ったらすいません。
頑張ってる女性に向かって「男に生まれてたら」なんて言っちゃ〜駄目ですよね。
これだから女房に愛想尽かされるんだ。
へえにいさんバツ持ちか。
そうなんです。
半年前めでたく初めてのバツがつきました。
めでたくバツか。
ハッハッハッハ…!心の声もしも〜し面接ですよ〜。
では鴨川さん。
俺の動機は分かってるよな?心の声は?何その態度。
「鉄道が好きだから」。
シンプルかつ最大の動機ですね。
では何かご質問は?はい!あの募集要項には年齢性別は不問とあったんですが本当に年齢制限はないんでしょうか?適性検査学力検査身体検査で問題がなければどなたでも。
分かりました。
ではこれで面接は終了です。
本多かおりさん。
はい。
(松戸)神崎和也さん。
はい。
(松戸)鴨川善三郎さん。
はいよ。
3人とも合格です。
え?おめでとうございます。
ありがとうございます!やったな!若いの!いやもう40代半ばですから全然若くないですよ!ハハハッ…。
心の声本当にこれで合格?心の声こんなんで大丈夫なの?この会社…。
よろしく本多さん。
どうも。
仲良くしようぜねえさん。
同期生なんだから。
あの名前で呼んで頂けますか。
了解!よろしくかおりちゃん!そういう事じゃなくて…。
飲みに行くか?結構です!いいですね!町の様子も知りたいし。
なっ!はい!心の声駄目だ…この2人が運転士なんて。
あんな人たちがお客様を運ぶなんて!私が絶対ならなくちゃ!
かざみ鉄道の運転士になるには国土交通省の動力車操縦者免許を取得しなければならない
(市原)これが車載器これがブレーキ弁ハンドル。
これらを使って運転します。
最初の関門は学科試験
これに合格するため週に一度の学科講習を受ける
3転動防止手配をとる。
並行して実際の業務も学んでいく
運転はもちろん車両の整備イベントの企画そして売店のサポート
小さな鉄道の運転士が受け持つのはその鉄道に関わる全てだ
(頼子)すみませ〜ん。
お弁当を届けに参りました〜。
あ…はい!お母さん!?何?素っ頓狂な声出して。
何しに来たのよ。
あらまあご挨拶ね。
ここで売ってる駅弁は私の手作りでございますのよ。
そうなの?知らなかった。
(頼子)またまたご挨拶ね。
あんたには言ったわよ5年前お父さんの一周忌の時に。
お酒造りはお兄ちゃん夫婦に任せて駅で働くって。
そうだっけ…。
何?これ。
(頼子)え?かざみ鉄道沿いの谷にすんでる珍しい生き物。
見たらね幸せが訪れるって言われてんの。
本当に?って説明しろって事になってんのよ。
ああそう…何だ。
あ!カザーミン弁当だ!
(頼子)あっいらっしゃいませ〜!こんにちは。
えっとカザーミン弁当を3つ。
(頼子)は〜い。
見たら幸せがくるよ〜。
は〜い2,400円でございます。
(客)はいありがとうございます。
で?だからすっごく怪しい感じなの!よく分かんないな。
どう怪しいの?例えば…詐欺とか!詐欺?あの2人は私たちから700万をそっくりそのまま巻き上げるつもりなのよ。
鴨川さんの役目は試験の妨害。
ハッハッハッハッ!よく思いつくねそういう事。
だって…地方のローカル線なんて大体みんな赤字でしょ。
確かにね。
でもかざみ鉄道はここ数年でかなりの赤字が解消されたろう。
そうなの?うんまあ応募者が出す訓練費の700万もその要因の一つだって聞いてるけど。
まあ教材や訓練車の燃料費やそれに指導の人件費を考えれば妥当だと思うよ。
そっか…。
心の声会社の背景とかちゃんと調べてなかった…。
でもあの人たちの顔つきやっぱり何か怪しいのよね。
顔つきで決めちゃ駄目でしょう。
ほら役者さんだってさ極悪人の役をやる人ほどいい人が多いって聞くよ。
でもあの人たち役者じゃないし。
俺前は家電メーカーで営業やってたんだ。
大きめのショールームを一つ任されてた。
でもこの不況で撤退する事になってね。
派遣の人たちの雇用管理もしてたから契約打ち切りの通達も僕がやった。
こわもてでいっつも不機嫌そうに仕事をするベテランの人を最後にしたんだけどその人が子供みたいに泣いてね…。
文句一つ言わずにただ泣くんだ。
どんなにこの仕事が好きだったかをぽつぽつと話しながら…。
人は見かけによらないよ。
そっち側の人だったんだ。
え?君の契約更新できない事になった。
じゃあ何でこんなとこにいんのよ!え?いらない人間のクビ切るエリートだったんでしょ?だったらエリートらしく都会でのうのうとしてればいいじゃない。
こんな田舎までやってきて一体何やってんのよ!本多さんはどうしていっつもそんなに張り詰めてるの?せっかくふるさとに帰ってきたのに。
何それ…。
俺は東京生まれでこの土地は初めて来たとこだけどでも本多さんはここがふるさとなんだよね。
だったらもう少し力を抜いてもいいんじゃないかと思うんだけど。
ここいい所だよ。
俺はもう一つの新しい人生を送る場所として好きになれそうだったから来たんだ。
市原さん発車時刻過ぎてますよ。
市原さんどうしたんですか?
(市原)うんちょっとね。
急がなくていいよ!待ってるから!
(市原)よいしょ…。
いつもすいません。
いえいえ。
(女性)ありがとう。
(市原)い〜え。
(松戸)おめでとう。
学科試験は3人とも合格ですね。
ありがとうございます!皆さん優秀でしたよ。
全員トップクラスの成績でした。
まっ俺は当然だよな。
その日の帰り神崎さんの家で合格祝の食事会をする事になった
こんなとこ住んでんだ…。
ただいま〜。
(頼子)は〜い!あ…おかえりなさい。
お母さん!?いらっしゃい。
恋敵が現れると思ったらお母さんだってか。
恋なんかしてません!恋はいいもんですよ。
俺もびっくりしたよ。
頼子さんがここの管理人だって事は当然知ってるだろうと思ったから。
心の声聞いてたかも…。
こんなに広いおうちに神崎さん一人だけ?一人じゃないです。
俺も住んでんの。
えっ!?そんな驚く事か?今はやりのシェアハウスってやつだよ。
やつだよ!どうして教えてくれなかったんですか?だって俺に聞かなかったでしょ。
「あなたどこに住んでるの?」って。
どうだ?この際一緒に住むか?いやいやいやいや大丈夫です。
あ〜楽しそうね〜。
はいじゃ乾杯しましょうか。
合格おめでと。
(一同)乾杯!この白菜ここの庭で頼子さんが作ったものなんだ。
このキュウリもトマトも。
そうなの?趣味みたいなもんよ。
いや大したもんだよ。
料理はうまいし。
うん確かにおいしい。
(頼子)これはねいすみの香取さんちで取れたキャベツ。
こっちはほら裏の稲毛さんちのタケノコ。
これはね港の大原さんが持ってきてくれたカツオ。
みんなね新人運転士さんに食べてもらいたいって。
へえ…ありがたいね〜。
って事はつまり今俺たちが食べてるものは全部地元のものって事ですか。
(頼子)うん。
すごいな〜。
別にすごくないでしょ。
海も山もあるんだから当然じゃない。
いやいやいやいやすごいよ。
だってさ東京のすぐ近くにこれほど豊かな場所があるなんて。
でしょう?一度住んだら離れられないわよ。
本当そう思います。
伊勢エビの水揚げ日本一なんだって?
(頼子)そうなんですよ〜。
(市原)よろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
では本多さんは私とこちらへ。
はい。
いよいよ乗務訓練が始まった
実際に列車を運転できる日がきたのだ
出発進行!出発進行。
ドア閉め。
ドア閉め。
点発車。
(市原)点発車。
後部よし。
後部よし。
停止。
(口笛)制限45!西いすみ停車。
3か月間乗務訓練を積んだあとは技能試験が待っている
(市原)あ〜ブレーキちょっと遅い。
技能試験に合格すれば免許が交付されようやく運転士としてのスタートが切れる
列車状態異常ありません。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
技能試験に備えて実際のダイヤでの乗務訓練も行われる
扉開けて。
はい…。
(市原)すいません。
お乗りになられますか?
(男性)乗りますよはい。
(市原)じゃあこちらへどうぞ。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
(優)下手くそ…。
え?ブレーキ下手すぎ。
え?あんたの運転イライラする。
うまくなるか辞めるかどっちかにして。
12…。
123…。
シューッ…。
フッフッ…。
何ですか!?女は愛嬌。
それがないとモテないぜ〜。
ちょっ…それセクハラですから!からかっちゃ駄目ですよ。
彼女真面目なんですから。
真面目も限度があるよ。
子供の言う事なんか無視すりゃいいんだ。
俺も駄目出しされた事ありますよその子に。
ノッチの上げ方が急すぎるとか何とかってまあ結構鋭いとこ突かれて焦りましたよ。
お前もか?鴨川さんもですか?あの子何なんだろうな。
さあ…。
(携帯のバイブ音)すいません。
頼子さん?はい国吉のもなか売り切れ。
分かりました。
すぐ運びます。
(試験官)ただいまより動力車操縦者試験を行います。
技能試験は国土交通省から試験官を招きかざみ鉄道の敷地内で行われる
燃料よ〜し!冷却水よし!Dコックよし!溶断発見!予備と交換します。
ヒューズよし!
(試験官)振り向いて下さい。
231メートル…かな?
試験には5つの段階があり途中で不合格と判断されると先へは進めない
半年間の訓練が実るか泡と消えるか…
それがここで決まるのだ
(試験官)それではただいまより非常処置の試験を行います。
本多かおりさん。
はい。
(試験官)乗車して下さい。
はい。
頑張れ。
制限時間は15分です。
時間が超過したら打ち切りとなります。
席に着いて下さい。
はい。
(試験官)これがあなたが置かれてる状況です。
始めて下さい。
列車の床から煙を確認しました。
非常汽笛吹鳴。
(警笛)安全な場所に停車します。
(エンジンを切る音)停車しました。
発生時刻確認。
お客様への案内避難誘導は完了です。
これより状況確認を行います。
以上。
消火します。
消火活動完了しました。
右よし。
左よし。
足元よし!車両前面よし!台車周り確認!エンジン周り確認!軌道よし。
心の声見落としはないはず…。
心の声大丈夫…きっと。
車両点検により運転可能です。
線路など他に異常はありません。
お客様を車内へ誘導致します。
そこまで!手を止めて下さい。
本多かおりさん非常処置不合格です。
お疲れさまでした。
小さな減点が重なっていた上最後の最後に決定的なミスをしてしまった
火災の原因が不明なままお客様を車両に戻してはいけなかった
救援列車を要請すべきだったのだ
何でも一人で解決しようとする私の悪い癖
神崎さんと鴨川さんは無事に合格
失敗したのは私だけだった…
まだ寝ないの?明日早いんでしょ。
うん…。
一度試験に落ちたぐらいでくよくよしなさんな。
やっぱり向いてないのかな。
あんたがやろうとしてる事は人様の命を預かる仕事でしょう。
そんな大事な仕事が簡単にできると思ってる方が間違ってる。
でも…。
未来に起きたかもしれなかった事故を一つ防いだんだからいいじゃない。
かえって運が良かったのよ。
そんな楽観的には考えられないよ。
自分にはできないと思うんならやめなさい。
今のうちに。
できないなんて言ってないでしょ。
あらそう。
失礼致しました。
さっ退散退散。
お母さん。
何?おやすみ。
おやすみ。
良くなったよ本多さんなかなかのもんだ。
本当ですか?あとはブレーキもう少しだけ滑らかに。
はい…。
じゃ20分休憩。
久しぶりだね。
浩介?
(浩介)一人で転職する事にした。
そうなの。
エアスター航空から誘いを受けた。
新しい格安の航空会社。
そこに懸ける事にした。
かおりも一緒に行かないか?ありがとう気にしてくれて。
でも行けない。
新しい会社に懸けるって言ったよね?うん。
私も一緒。
この会社に懸けてるんだ。
私ね自信あったの。
自分は旅客運送業のプロだって。
お客様を運ぶ仕事なら誰にも負けないって。
でもね私が身につけたプロのルールには大事なものが抜けてたみたい。
どういう事?お客様を喜ばせたい相手じゃなくてリスクとして見てた。
この人を乗せて本当に安全なんだろうかってまず疑う目で見るようになってた。
それは当然だよ。
大勢の命を預かる訳だから。
でもね私本当に愛情が足りてなかった。
だけどここにはその足りなかった愛情が普通にあるって気付いちゃったの。
だから行けない。
声かけてくれてありがとう。
ごめんね。
ふう…。
じゃあ俺行くわ。
またいつかね。
はぁ…。
(扉が開く音)わあっ!え…?ごめん。
掃除してたんだ。
聞いてたの?俺もちょうど似たような事考えてた。
似たような事?うん。
自分が守ってたプロのルールには何か大事なものが抜けてたんじゃないかって。
電機業界って人の夢をかなえる仕事だと思って入ったんだ。
例えば白黒だったテレビに色がついたり外歩きながら音楽聴けるようになったり人々の夢をどんどん実現していく。
俺もそんな仕事がしたくてね。
でもいつの間にかお客さんの夢をかなえるんじゃなくて自分たちが作ったものを欲しがらせようとする仕事になっちゃってた。
本当に必要かどうか分からないものをそれもたくさん売らないと会社が立ち行かない。
いつの間にかお客さん一人一人の喜ぶ顔を忘れてたんだよ。
でも市原さんはそれを覚えてる。
そうだな。
ここにはあるみたいね。
抜けてたもの。
心の声そうだ。
これがふるさとの風。
心の声ふるさとの空気…。
(市原)ありがとうございました。
ありがとうございました。
(市原)山本さん足元に気を付けて下さいね。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
何?あのさ今夜みんなで御飯食べないか。
この前みたいに俺らの家で。
うまいもの食って次に備えようぜ。
準備は俺たちがやるから。
勤務中です。
話しかけないで下さい。
うまい材料仕入れておくから。
なっ。
ねっ。
(神崎鴨川)ねっ!
(笑い)おねえちゃん…。
(優の声)「落ちたんなら消えて向いてない」。
(市原)どうかしたか?何でもありません。
(市原)よし。
行こう。
はい。
制限解除!安定してきたな。
(風の音)危ない!うわっ!
(急ブレーキの音)
(市原)異常なしだ。
おおかたタヌキでも飛び出してきたんじゃないか。
じゃあ非常ブレーキ解除します。
(市原)うん。
(勝浦)キャー!ちょ…ちょっと!優!触らないで!頭打ってるかもしれない。
ごめんなさい。
優…優大丈夫か?市原さん知り合いなのか?
(市原)娘なんだ俺の…。
娘?大丈夫。
呼吸は正常。
誰かこの子の近くに座ってた方は?勝浦さん座ってましたよね?
(勝浦)はいはいはいはい。
倒れた時に頭を打ったかどうか分かりますか?え〜…打ってないと思う。
急に私に寄りかかってきてそのままズルズルズルって。
誰かタオル持ってませんか?佐倉君持ってるよな?
(佐倉)あはい。
ありがとう。
市原さん…市原さん優ちゃんが倒れた原因分かりますか?発作かもしれない。
生まれつき心臓が弱いんだ。
救急車呼んでもらいましょう。
次の西いすみ駅に。
それがいい。
はい。
運転指令運転指令。
こちら第23D列車。
ただいま谷川橋付近にて急病人発生のため西いすみ駅に至急救急車の手配を願います。
よし出発しよう!はい市原さん行きます!
(無線)「緊急通報!緊急通報!出発を見合わせて下さい。
中井戸の踏切で踏切障害発生!突風にあおられてトラックが踏切に接触。
貨物が線路上に散乱しています」。
どうする?踏切の復旧を待つしかないだろう。
市原さん…。
ちょっと待って下さい。
何?踏切の手前鉄橋を渡ってすぐのカーブを曲がったところに1か所だけ茂みの隙間から道に降りられる場所がある。
救急車にそこに来てもらいましょう。
車が入れる場所だったかな…。
俺はこの半年間かざみ鉄道の周囲をくまなく歩きました。
間違いありません。
分かった。
指令に連絡を頼む。
はい!鉄橋を渡ってすぐのカーブを曲がりきった直後の地点で止めるんだ。
そこ以外には茂みが邪魔になって優ちゃんを降ろせない。
はい。
こっからは見えないけど俺がナビするからブレーキのタイミングを計って。
分かりました。
本多さん代わろうか。
大丈夫です。
これができなかったら私は運転士になれません。
やらせて下さい。
よし頼む。
はい。
発車します。
(警笛)あと100メーター。
速度を落として。
3つ目の大きな送水管をくぐったすぐ脇に扉の位置を合わせて。
はい。
あと50メーター。
頑張れ…。
あと10メーター。
5メーター。
やわ〜やわ〜…。
止まれ〜止まれ〜止まれ〜。
よし!
(救急車のサイレン)
(歓声と拍手)
(救急車のサイレン)
(ノック)どうぞ。
(市原)もう大丈夫だ。
本多さんの応急処置が良かったから明日にでも退院できるそうだ。
良かった…。
(さと江)本当にありがとうございました。
優起きてるんだろ?本多さんにご挨拶しなさい。
優ちゃん…。
かおりさん…。
うん?ありがとう…。
優ちゃんは市原さんの事が大好きなんだ。
だからお父さんの大事な仕事場に得体の知れないやつらが入ってくるのが許せなかった。
そうだったんだ…。
あの子かざみ鉄道で最初の女性運転士を目指してたんだってさ。
かおりちゃんの事を目の敵にするはずだよな。
鴨川さん。
じゃあもっと頑張らないと。
優ちゃんに恥ずかしくないように。
(神崎鴨川)フフフ…。
何ですか?いや…らしいなと思ってさ。
思ってさ。
(神崎鴨川)フフフ…。
優ちゃんが無事に退院したと聞いて鴨川さんが食事会をやるぞと言いだした
本当は私の不合格残念会のはずだったけれど優ちゃんの退院や私のブレーキ成功やいろんな事をだしにする変な会になった
大活躍だったんだって?そんな事ない。
和也君が言ってたわよ。
お客さんを一つにまとめて格好良かったって。
逆!お客さんたちが協力してくれたから頑張れたの。
違う違う!あんたが一生懸命頑張ったからみんなが協力してくれたのよ。
そうじゃなくて…って何この言い合い?どっちでもいいわね。
みんなが協力してくれてうまくいったんだから良かったじゃない。
お母さん私が会社辞めたのって彼氏に振られた勢いだったんだよね〜。
あら。
私自分の事しか考えてなかった。
この数か月間でよく分かった。
あんたはいつだって精いっぱいだったわよ。
一生懸命すぎてもう心配してたぐらい。
お母さん。
なあに?私が会社辞めた理由聞かなかったよね。
あれってどうしてなの?だってあんたが頑張って頑張ってそれでも駄目だったんだからもう理由なんてどうだっていい。
お母さん。
なあに。
ありがとう。
や〜だ!あら明日は大雪だ。
(頼子)ねえちょっとそれ味見してみて。
はい。
はい私もすいません〜。
鴨川さんは急に自分の事をしゃべり始めた
江戸時代から続くしょうゆメーカーの三男坊だった事。
海外にも進出している企業で若い頃から世界中を飛び回っていた事
うまい!おいしい!世界中の鉄道乗りまくってたら結婚する暇なかったんだよ。
それじゃずっと独身だったんですか?ああ。
でも最近やっぱり独りじゃちと寂しいかなって。
優ちゃんみたいな孫が欲しくなっちゃったんでしょ。
うんまあな。
でもいきなり孫だけって訳にもな。
(笑い)バツイチの和也子供いなかったのか?はい…。
いやまあ正確にはいなかった訳じゃないんですが。
本多さんには話したよね。
俺ここに来る前はそこそこ大手の家電メーカーに勤めてたんです。
そこそこ出世して女房が妊娠したのを機会に浦安の一等地に家も買って。
仕事に打ち込めば打ち込むほど夢がかなっていく気がしたんですよね。
いつの間にか広い家に女房を一人で残しておく時間ばかりが増えていました。
回想おい帰ったぞ。
そんなある晩…。
回想何やってんだ…。
流産でした。
女房は自分で救急車を呼んで出血に耐えながら一人で入院の支度を済ませたんです。
退院を待ってる時に震災が起きて浦安の自宅は液状化で住めなくなりました。
女房は実家に避難をし家は直したんですが女房は二度と帰ってこなかった。
追い打ちをかけるように会社の業績が悪化して気付いたら何にもなくなってた。
そんな時に菜の花に囲まれた黄色い列車を見たんです。
東京のニュータウンで生まれ育った俺には本当のふるさとがないんです。
だからここで育った本多さんが本当に羨ましい。
そういやお前ふるさとでもないのにどうして抜け道とか消防署の位置が頭に入ってるんだ?営業の癖ですよ。
商品を売るためにはその地域を詳しく知る必要がありますから。
足で稼ぐのが基本。
数字を稼ぐノウハウです。
それだけです。
でも神崎さんお客さんの名前だって覚えてるじゃない。
何人分も。
それも単なる癖だよ。
って事は一からの出直しじゃないって事だな。
え?和也が前の仕事で身につけた事が今回ここで優ちゃんを助けたって事だろ。
生き方変えたって今までの事が無駄になるって事はないんだよ。
ここはもうお前がいなくてはいけない場所になってる。
俺はそう思うぜ。
ねっ。
そうだよ。
神崎さんは私なんかよりもず〜っとこのかざみ鉄道になじんでる。
かおりちゃんあんたもだぜ。
社長が褒めてたよ。
あんなにアクシデントがね重なったのにお客さんがパニックにならなかったのはかおりちゃんの対応が完璧だったからだって。
そうだよ。
完璧な非常処置だった。
一度出て行ってもまた帰ってもいいんじゃないか?俺なんかね出たり入ったりしてもう50年。
何にも無駄はないぜ。
鴨川さん不器用な娘の代わりにお礼言わせてね。
いや〜…。
(汽笛)
半年後私は2度目の挑戦で技能試験を突破
ようやく3人とも見習い運転士として出そろった。
が…
辞める?辞めるってどういう事ですか。
何考えてんですか。
せっかく免許取ったのに。
うるさいな〜。
俺はあのキハ52を運転してみたかっただけなの。
え?はあ?俺とあの松戸社長は昔からの鉄ちゃん仲間なの。
あいつに俺のイギリス時代ボランティア活動で参加してた保存鉄道の話をしてやった。
そして2人で誓い合ったんだ。
日本にもこういう味のある車両を現役でボンボン走らせようぜって。
(男性)おいお前本気か?新会社の社長就任を蹴飛ばすって事なんだぞ。
兄貴には分かんねえよ。
今の日本には夢ってやつが必要なんだよ。
いいのか?本当に。
出発進行!あ〜…。
それで?辞めてどうするんですか?国中を回るんだよ。
俺は日本中の鉄道を運転しにいく。
そしてそこに味のある列車を走らせる。
それを繰り返せば日本中の鉄道が元気になる。
そしてこの日本もきっと元気になる!それが俺たちの夢なんだ。
いや俺の夢なんだ!頼子さんの事はどうするんですか?は?どう…どうするってお前…。
初恋の人なんですよね?鴨川さんがかざみ鉄道を選んだのはキハ52だけが目的じゃない。
もう一度頼子さんに会いたかったからですよね?ちょ…ちょっと待って下さい!何の話ですか?かおりちゃんあんた自分のお母さんの生まれたとこ知らねえのか?心の声そうだ母は野田の出身だった。
頼ちゃんは忘れてるよな。
でも俺はずっと覚えてる。
頼ちゃんが引っ越しの時に乗っていった電車をず〜っといつまでも見送ってた事も。
せめて思いを伝えましょうよ。
大好きなんでしょう?頼子さんの事を考えるだけで胸が痛むんですよね?心の声そういう事だったのか!告白なんかできるかばか!人妻なんだぞ。
なあ?あいえ未亡人ですよ。
知らなかったんですか〜?もう何でも知ってるような顔して一番大事な事は見落としてるんだもんな〜。
ハハハ…。
それでも黙って行くんですか?うるさい!お前らこんなとこで油売ってていいのか?早く社長のとこ行け!待ってるぞ!あ…。
急ごう!大変。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
・鴨川さ〜ん!あ…頼ちゃん。
急がなくて大丈夫ですよ!待ってますから!あのこれ私が作ったお弁当。
良かったら食べて下さい。
ありがとう。
おしょうゆ屋の善兄ちゃん。
私覚えてるわよ。
何にも言わないから忘れてんのかと思った。
頼ちゃん…。
忘れてないよずっと。
私も。
また来てね。
うん。
あ〜!見た?見た!あれ?何だろう。
ラッキーだな〜優ちゃん。
あれ見ると幸せになれるんだ。
へえ〜。
(汽笛)2015/05/06(水) 14:00〜15:00
NHK総合1・神戸
菜の花ラインに乗りかえて〜千葉発地域ドラマ〜[字]
700万円で鉄道運転士に!?吹石一恵、石黒賢、片岡鶴太郎、浅田美代子、梅宮辰夫ほかの豪華出演者が紡ぐ、千葉県のローカル鉄道を舞台にした心温まるドラマ、出発進行!
詳細情報
番組内容
700万円で鉄道運転士!?吹石一恵、石黒賢、渡辺正行、小川涼、片岡鶴太郎、浅田美代子、梅宮辰夫ほかの豪華出演者が紡ぐ、千葉県のローカル鉄道を舞台にした心温まるドラマが、出発進行!国際線CAの本多かおり(吹石一恵)に襲いかかるリストラ、失恋などの不幸の数々。失意の中、帰省したかおりが出会ったのは、少女時代に乗った懐かしい黄色の列車だった。一念発起して、鉄道運転士を目指すことにしたかおりの夢の行方は?
出演者
【出演】吹石一恵,石黒賢,渡辺正行,小林隆,山崎樹範,片岡鶴太郎,大内厚雄,温井摩耶,小川涼,杉岡愛子,田尾きよみ,水木薫,佐藤和太,春日香音,渡邉恭太,浅田美代子,梅宮辰夫,千葉清次郎,和田述史ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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