検討することができると思うんです。
実際には少なくとも悪質かどうかにかかわらずこれだけ多くの人が勧誘を受けたくないと言っている。
その声にはこたえる対策をとっていくことが必要だと思います。
政府はぜひ消費者目線で対策を検討してほしいと思います。
今井純子解説委員でした。
重厚で厳かなたたずまい。
日本美術の粋を集めた宝。
その名は…そんな国宝を軽やかな視点で身近にしてくれる人がいます。
今注目のライター橋本麻里。
国宝ブーム立て役者の一人です。
あの徳川家ゆかりの国宝建築は「デコ」?古都の寺院は平安貴族の「テーマパーク」?黄金に輝く屏風絵で桃山時代にタイムスリップ。
橋本流の切り口で国宝を体感してみましょう。
きっと日本美術が好きになるはず。
旅人は前回に続き…朝ドラ「花子とアン」の校長先生役の他作詞作曲や各地でライブ活動を行うなど多方面で活躍中です。
2人がやって来たのは長野県茅野市。
諏訪湖から八ヶ岳に広がる一帯は「縄文王国」と呼ばれるエリア。
今回の国宝はこの地域から出土した2体の土偶です。
1体は「縄文のビーナス」。
もう1体は「仮面の女神」。
全く異なる姿をした2体の土偶。
作られた理由も違うと考えられているんです。
さあ国宝土偶の謎を解く旅に出かけましょう。
いやのどかですね。
のどかですね。
激しくのどかですね。
田んぼの中ですね。
こんなとこに何があるっていうんですか?「こんなとこ」って言ったら失礼ですけど。
ちょっと国宝っぽくないですよねシチュエーションとしては。
僕のイメージする国宝と全然違うんですけどね。
今日見て頂くのは国宝土偶先ほど2体と言いましたがまあその土偶2体見て頂くにあたってどんな視点から見ましょうかという事で私ちょっとテーマを考えました。
え〜「方言」。
国宝土偶2体を所蔵する茅野市の尖石縄文考古館へ。
まずは国宝へのアプローチ。
縄文時代のジオラマをチェック。
これが諏訪湖を中心とした盆地のジオラマなんですがこの点がたくさんある部分赤い丸が縄文時代の遺跡なんですね。
こんなにあるんですか!?こんなに?そう。
へえ〜!すごいですね。
栄えてる感がありますよね。
めちゃくちゃ栄えてますね。
ちょっとびっくり。
だってもっとほんとに…。
点々と?点在してるだけだと思ってた。
密集。
密集ですね。
いよいよ「縄文のビーナス」とご対面です。
あれです。
あれ?この人で〜す。
おお〜!おお〜!これ。
これですね。
うわ〜…なんかふくよか。
高さ27センチ。
重さおよそ2キロ。
縄文中期およそ5,000年前の縄文人が作った土偶。
粘土で作り素焼きしたものです。
ちょっとグルッと回ってみるとまさにこの立体ぶりがよく分かると。
うわうわ!すごいお尻の…。
お尻礼賛がすごいですね。
もうこの作り手は尻ですね。
尻ですね。
臀部愛がすごいですね。
本当にそうですね。
うわ〜…。
ねえ誰が何を考えて作ったんでしょう。
僕はこれは…男だと思いますけどね。
やっぱりこういう事をするのは。
女性を崇拝しちゃってる感じ。
そう女性を崇めている。
しかもリア充じゃないですね。
ハハハハハ!お尻を多分ちゃんと…いつも横目でこうやって。
(笑い声)正面から見えてない。
正面からは堂々と見れないからこう横目でず〜っと見てるような感じで「は〜女性ってすばらしいな」って思いながら家に帰って作って。
縄文時代の遺物で初めて国宝に指定された「縄文のビーナス」。
その理由は造形の美しさにあります。
こちら尖石縄文考古館の学芸員でいらっしゃる山科さんに是非お話を聞きたいと思います。
(一同)よろしくお願いします。
胸の辺りにキラキラした何かラメっぽいものが入ってますけどあれって何を入れてて何のためにあんなふうにしちゃってるんでしょう。
(山科)胸にだけどういうわけかキラキラしたものが集中してる…。
このキラキラしてる…雲母という鉱物なんですけれどもそれが胸元に集まるように仕上げたという可能性は非常に高いかなあと。
お尻だけじゃないと。
こだわってたのは。
そうですね。
形はお尻。
ラメは胸。
なんか味な事するなあ。
顔まわりにも注目してみましょう。
耳に開けられた穴。
ピアスがつけられていた可能性があります。
頭には左右違う文様が。
何ともおしゃれ。
誰かモデルでもいたんでしょうかね。
これじゃあ「何のために」という事まではまだそんなに分かってないんですか?そうですねちょっと難しい結論が出しにくい問題ではあるんですけれどもおなかが膨らんでいるというところがやっぱり妊婦さんを連想させるところかなと思いますが実際病院に持っていってレントゲンで撮影してみた…。
レントゲンで?ええ。
やってみたんですよ。
エコーか何かやっちゃったりとか?MRIにガーッと通して。
こちらが「縄文のビーナス」のX線写真。
更に断面図で膨らんだおなかの部分に注目するとへその穴が胎内にまで伸び臨月の女性を忠実に写したものと考えられます。
この土偶は安産あるいは豊穣を願って作られた可能性があるのです。
顔っていうのは何か巫女の顔だったりそういう特別な顔だったという事はあるんですか?お目目がちょっとつり上がった感じなんですね。
お鼻がちっちゃいんですけどきちっと表現されている。
口がおちょぼ口な感じになってるんですよね。
実はこういう顔が…みんなこの顔している。
みんなこういう顔してる。
この顔はある意味方言のようなというかローカルルール。
ルール?ルールがあったんだ。
「縄文のビーナス」を特徴づける顔。
でもなぜ土偶に地域共通のいわば方言のようなルールが生まれたのでしょうか。
2人が向かったのは山梨県甲府市。
山梨はマキタさんのふるさとです。
ここに「ビーナス」の方言の謎を解く縄文時代の土器があるというのです。
見て頂きたいのがこちらの土器なんですね。
土器なんですけど顔がくっついてる。
あ〜顔があしらってある。
土偶と土器がミックスしたようなものなんですけど。
あっしかもなんか…。
えっあの土偶の「ビーナス」…顔が似てますね。
似てますよね。
同じ顔と言ってもいいぐらい。
なるほど。
「縄文のビーナス」と顔がそっくり。
実はこの顔八ヶ岳山麓でしか出土しない造形です。
「顔」は同じ地域で文化を共有する仲間である事を示すしるしだったんです。
僕山梨出身じゃないですか。
でね言葉がやっぱね県をまたいで似てるところがあるんですよ。
そういうもんでしょだから。
そういうものですね。
長野県の一部と山梨と静岡の一部が言葉が似てるんですよ。
そういう感じですほんとに。
今みたいにそれがはっきり分かる…そうそう…。
「あの人よそ者」。
あるいは「あの人は同じ地域の俺たちの仲間だ」って事が分かる。
もう縄文時代からそういう事やってたわけだ。
人間ですねえ。
同じ人間ですねえ。
そうそう…。
はあ〜。
土器や土偶が作られ始めたのは1万5,000年ほど前。
それは移動生活をしていた人々が一か所に定住するようになった時期と重なります。
土器や土偶の方言はいわゆるふるさとができた証しだったんです。
もう一つ注目すべきポイントがあって今顔の話をしてましたよね。
土偶と土器が一体になったような形だと言ってたんですがこの真ん中の奥にあるの見て下さい。
奥に顔があって土器の真ん中にも顔がくっついてますよね。
うんある。
もしこれを土偶のように見立てるとしたら顔があって人の体があってそのどこかから…。
うわっ!出産!それです。
えっ!?すごい。
マジで?うわ〜!お母さんの子宮口から…今産道から顔を出して赤ちゃんが産まれてこようとしている。
なんて…うわ〜!すごい芸術。
これも八ヶ岳山麓の方言。
いわゆる「出産土器」と言われるものです。
「たくさんのタオルとお湯を」って言うじゃないですか。
その時のお湯を用意した…。
神秘的な水…お湯ですよ。
まさに命の水。
なんかそういうものに使った…。
その発想はなかった。
ハハハハハ!適当な事ばっか言ってますけど。
(一同)こんにちは。
よろしくお願いします。
もうなんか好き勝手な事を想像してしゃべってました。
面白い発想でちょっと共感をする部分もありますね。
なんか勝手な事ばっかり言ってたんですけどもね。
(野代)実はこれ発掘時ひっくり返しの状態で埋まってました。
この状態ではなく全く逆さの状態ですね。
その上に浅鉢を打ち欠いた器がひっくり返しで載ってて更にその上にこれぐらいの石棒。
石棒ってどういうやつですか?石で作った棒状の…。
男根ですねまさに。
男性の象徴でございます。
それがお母さんのおなかに目がけて向くような状態で発見された。
へ〜。
じゃあそれはもう明らかに意味があるじゃないですか。
想像のとおり。
「お母さんのおなかへ戻っといで」みたいな感じですかね。
多分乳児の段階で亡くなったお子さんのお墓かなと。
「また生まれてこい」みたいな…。
「戻ってきておくれ」って願いが。
泣けてきちゃうとこありますけどね。
「方言」が施された土器。
そこには大切な人に再びよみがえってほしいという祈りが込められていたのです。
こちらも八ヶ岳山麓の代表的な土器「水煙土器」です。
方言は「水」。
滝つぼから立ち上る水煙を表現したのでしょうか。
水が豊かな八ヶ岳山麓らしいモチーフです。
同時代に東北地方で作られたのが燃え上がる炎を思わせる「火焔土器」。
土器の方言から地域ごとに独自の文化が育まれていた事も読み解けるのです。
縄文人の思想や暮らし祈りを伝えてくれる土器。
それはおよそ1万年にわたる時代の流れと大きな関わりがありました。
こちらは縄文時代早期のもの。
まだ縄の跡をつけただけのシンプルな造形です。
およそ5,000年後「縄文のビーナス」や「出産土器」が生まれます。
縄文時代中期です。
ドーンとこの辺から…。
ここら辺は完全に爆発してますね。
やりたい放題。
「ドーンといっちゃうよ」みたいな。
ここまできちゃいました。
この時期にこれだけ形も模様も複雑な土器がサイズも大型化する…これはどうしてなんですか?一つはやはり温暖化の影響で山岳地帯も暖かくなると雪も少なくなりますので食料が結構ふんだんに取れだす。
で取れだすと人口も増えると。
しかし1,000年後縄文時代後期に入ると再び土器の模様がシンプルになります。
氷河期に向かい始めたのです。
じゃあもしなんかそういう装飾の部分を作ろうと思ったら「そんな時代じゃないからやめなさい」なんつって。
「時代変わってんだよ」。
「効率的にやらなきゃ駄目だ」。
「いつまでも夢みてるような事してんじゃない」みたいな事言われて…。
厳しいなあ。
厳しい世界です。
なんか身にしみますね。
氷河期に向かっていた縄文時代後期から晩期の集落跡が山梨県北杜市にあると聞き2人は向かいました。
どうもこんにちは〜。
こんにちは。
今日はよろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。
村松と申します。
金生遺跡。
人口の減った村々がここに統合し一つの集落をつくったと考えられています。
集落の中心に積まれた石。
そこには厳しい暮らしを感じさせる縄文人の祈りの痕跡がありました。
えっ?まさかね…でも。
お墓じゃないよね?お墓…半分正解です。
半分正解。
実を言うとここはお祭りをした場って言われております。
ですがお祭りをする場はその前はお墓だった所です。
実際骨とかも出て。
はい出てきております。
四角に区切られたスペースが墓。
その上に石を敷き並べて祭壇にした事が分かりました。
この場所で毎年冬至の日太陽の復活を願う大規模な祭りが行われていたと考えられています。
正面に見える南アルプス。
その一角甲斐駒ヶ岳の山頂に冬至の日太陽が沈みます。
太陽は命や豊穣のシンボルとも言われています。
冬至っていうのは太陽が一番…日の短い時間ですよね。
で太陽の力が弱いというふうに考えられておりましてそこでお祭りをする事によって太陽に力を与えてそこから太陽に復活してもらうというような意味合いを込めて冬至の日にお祭りをしたんじゃないかと。
それを住んでる場所から離さずに目の前に作ってるっていうのがまたすごいなあと。
特別にお寺みたいに建てるんじゃなくて。
まあ縄文時代…時代としては下火になって衰退していく局面でそれでも…それを思うとまた何とも切ない感じもするし。
祈るしかなくなってしまった時代。
そんな切実な時代の到来を予感させる土偶がもう一つの国宝「仮面の女神」です。
高さ34センチ。
重さ2.7キロ。
縄文時代後期およそ4,000年前の土偶です。
衣服を描いたような文様。
煤で黒く焼き磨き上げるなど独特の意匠が凝らされています。
何が違うんでしょう。
お尻見てみよう。
あらっ!ペタンコですよ。
ペタンコだ。
ペタンコだよ。
ペッタンコですよね。
全然違うじゃん。
こだわってる箇所が全然違うじゃん。
この土偶の作者のこだわりは仮面。
仮面を顔にかぶせひもで結んでいる様子まで作り込んでいます。
このエリア松本の方らしいんですがたくさん縄文時代の人骨が発見されたそうなんですね。
その人骨のほとんどが土器の皿みたいなものとか鉢みたいなものとかを顔にかぶせられていたと。
ほお〜。
恐らく死者にかぶせた面も死者を神にするための…というか何か特別な力を得てもしかすると再生させるためかもしれませんしそういう面のようなものをかぶせる。
更にこの土偶は墓と思われる場所に右足を付け根の部分からあえて壊して埋葬されていました。
土偶の内部からは死者の体の一部と思われるものも発見され「死と再生にまつわる土偶」と考えられています。
赤ん坊のような気がしてきた。
赤ん坊を入れたのかも…。
早く亡くなってしまってすごく残念に思った集落の人たちが思いを込めたと。
「また生まれてこい」という願いはありつつも一生懸命死者を送って「何とか帰ってきてくれ」と。
うわ〜切ないなあなんか。
そういう…一番栄えた時代の「ビーナス」それから繁栄が少しずつ陰りを見せてくる時代のこの「仮面の女神」の間に1,000年の時間が流れていると。
当時の彼らの考え方や生き方みたいなものが私たちにとっても決して劣った後れたものではなくてもしかすると一周回って先頭かもしれないみたいな事まで考えさせてくれるような豊かな暮らしとか信仰を持っていたっていう事がすごくはっきり分かってなかなか楽しかったですね今回はまた。
人類の歴史を考えれば子供時代みたいなね。
自由で。
そういう感じもすごくしますね。
日本の幼年期を見てきた…。
幼年期ですよね。
まさに幼年期の終わりを今日はちょっと見てきた。
「いつまでも少年じゃいられない」みたいなね。
「将来の事も考えなくちゃ僕は」みたいな。
だとしたら時を越えて一応会話としてこっちの方でできているという事とかも感じられてそれは面白かったですけどね。
だから彼らの方言がちょっと理解できたような気分っていうんですか。
(テーマ音楽)2015/05/07(木) 10:15〜10:40
NHK総合1・神戸
趣味どきっ! 国宝に会いに行く 第6回「“縄文のビーナス”と“仮面の女神”」[解][字]
今注目のライター橋本麻里が「国宝ワールド」へいざなう「橋本麻里と旅する日本美術ガイド」。今回は二つの縄文土偶に出会う。土偶が国宝?“彼女たち”が語るものとは?
詳細情報
番組内容
ふくよかな肉体、つり上がった目とおちょぼ口が特徴の「縄文のビーナス」。一方、逆三角形のお面をかぶり神秘的な「仮面の女神」。これら謎だらけの土偶は、推定4〜5千年前、縄文王国と呼ばれる八ヶ岳山ろくで作られた。特に「仮面の女神」は去年国宝指定されたばかりのホットな土偶。そこには縄文人の生と死にまつわる切実な願いが秘められていた!縄文土偶の謎を橋本流に“方言”をキーワードにひもとく。旅人:マキタスポーツ
出演者
【案内人】ライター、編集者、明治学院大学・立教大学非常勤講師…橋本麻里,【旅人】マキタスポーツ,【出演】茅野市尖石縄文考古館学芸員…山科晢,山梨県立考古博物館学芸員…野代幸和 ほか
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ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
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