その男、副署長〜京都河原町署事件ファイル〜 2015.05.07


(男のうめき声)
(パトカーのサイレン)
(上田聡)平さんあきらまた来ちゃいましたよ。
(平松純平)わかってるよ。
署長は報告だけ受けてりゃいいのにな。
(野沢健作)あそこです。
(上田・平松)ご苦労様です。
(梶原勇)石段から落ちたようです。
(花村一彦)恐らくこの頭部の打撲が致命傷でしょう。
(梶原)第一発見者はここの神主でした。
社務所で男の怒鳴り声を聞いて様子を見に来たらこの通りだったそうです。
(藤原あきら)何者かと口論のあげく揉み合いになり石段から突き落とされた…。
被害者どうして傘なんて持ってたんすかね?今日朝から晴れてましたよね?通り雨でも心配してカミさんに持たされたんじゃねえのか?俺もよく持たされるよ。
フッ…平さんしょっちゅう飲み屋に忘れてますよね。
なくして帰るとケリ入れられるんだよ。
くだらない話はよしなさい!野沢課長身元につながるものは?ガイシャは携帯電話を所持してました。
契約者を調べさせてます。
近隣住民の不安を除くために1日も早い解決が必要よ。
(林哲夫)副署長留置場の洗濯機調子が悪いそうなんですが。
(池永清美)叩けば直る。
壊れるまで使え。
(林)はっ。
(池端実)副署長先日逮捕された下着泥棒腹が痛いと言ってるそうです。
医者予約してやれ。
はい。
(市川奈津美)副署長刑事課フロアの蛍光灯が切れたんですが予備どこでしたっけ?いいよもう俺やっとくよ。
はいありがとうございます。
(近藤時男)副署長…。
何だ!?今度は…あっ!?…警務課長。
(近藤)女性の方がみえてます。
至急のご用件…副署長の人生にかかわる問題だとか。
女性が?あら何だろう?
(柏木静江)あっ清美ちゃん!何だよ静さんかぁ…。
清美ちゃん副署長になったってホンマやったんやねぇ。
こないだまでこんなちっちゃいちっちゃい子やったのに。
あの頃の清美ちゃんときたら…。
わかったわかった。
それよりほら人生にかかわる問題って何?お見合い。
ちょっとこれ見て。
あのねほらどう?なかなかの美人でしょ?教養もあるし清美ちゃんにピッタリ。
やっぱりそういう事か…。
清美ちゃんあんたもないつまでも独身やってかわいそう思って心配してあげてんの。
あそうそうこっちのねこの人もどう?いいよいいよ。
俺ねこう見えても結構忙しいんだよ。
自分の人生なんやから少しは真面目に考えなさいよ。
真面目が俺の取り柄だよ。
ほいじゃね。
あら…ちょっとあの…。
皆さん!清美ちゃんをどうぞよろしく!わんぱくですが根はいい子ですので。
静さーんはい帰ろ帰ろう。
えっ…?はいさよなら〜。
はいはいハウスハウス…。
これは副署長殿何をウロウロされてるんです?座ってハンコを押すのがあなたの仕事でしょ。
たまには体動かさないとななまってしょうがねえんだよ。
なるほど置物には置物の悩みがあるわけですか。
お前に置物呼ばわりされる覚えはないね!こら野沢!
(池永佳子)副署長!何だよ?佳子。
(佳子)妹だからって署内での名前呼び捨てやめてください副署長。
またそんな堅い事言うなよ〜。
交通課の決裁お願いします。
おいちょっと…!「副署長事件が起きればカヤの外書類に追われ置物と呼ばれ」…字余り。
(鐘の音)痛い…。

(花村)死亡していたのは蔵元光雄62歳。
住所は左京区日吉町。
現場のすぐ近くです。
2年前に会社を定年退職現在は無職。
妻とは半年前に離婚をしており子供はいません。
次…平松上田。
(上田・平松)はい…。
別れた妻ですが名前は大内比佐子58歳。
現在大黒町の定食屋「よしみ食堂」で働いています。
離婚の原因は?はい比佐子の話ですとお互いに対して愛情が冷めたとか何とか…。
ありがちな話ね。
事件の時刻ですが1人で自宅にいたと言っています。
アリバイはなしか。
他に報告は?ガイシャが所持していた携帯電話ですが…たびたび同じ人物に発信されていました。
「宇都宮良治」…事件当日の昼間にも発信してるわね。
(梶原)所在は確認中です。
引き続き現場周辺の聞き込みを徹底するように!
(一同)はい!平松上田!あなたたちには特別な任務があるの。
(上田)はっ!…何でしょう?副署長が余計な動きをしたらすぐに私に知らせるように。
(平松)特別な任務だっていうからどんな仕事かと思ったら。
スパイ付きか偉くなったもんだね俺もヘッヘッヘ…。
池さん何か目つけられるような事でもしたんすか?さあ…。
それにしても変だと思わないか?はい?何でガイシャは晴れた日に傘なんか持ってたんだ?しかも女物の傘だろ?行くぞ。
行くってどこへです?お出かけ。
マズイっすよお出かけは。
(平松)池さんここ被害者の元妻の…。
(上田)マズイっすよ。
署長にバレたら…。
どこで昼飯食おうと俺の勝手だろ。
こんちは。
(大内比佐子)刑事さん…今度は何のご用です?いや俺らはただ…。
申し上げたはずです。
私と蔵元とはもう何の関係もありませんから!ああすいません。
じゃ…1つだけ1つだけ訊かせてください。
この傘に見覚えありませんか?
(平松)いつの間に写真…。
私の傘です。
蔵元と別れた時家に置いてきたものです。
そうでしたか…。
蔵元さんはこの傘を持って亡くなられていました。
どうして晴れた日にあなたの傘を持って出かけたんでしょうか?何か心当たりありませんか?さあ…見当もつきません。
失礼ですけど独り暮らしですか?もちろんです。
あ…まだ何か?日替わり定食3つ。
うっめえこれ。
田舎のお袋の味思い出すなぁ…。
うまいっすねマジで。
…なっ?
(橋場)比佐子さんが作った料理は絶品ですやろ?
(池永・上田)ええ。
彼女の事疑ったりしんといてくださいよ。
ね?何十年も独り占めしてたんだな旦那は。
(上田)独り占め?この味をだよ。
ああ…。
(静江)こんにちは。
ヤベッ…!あっいらっしゃいませ。
比佐子さん聞いたわよ。
前のご主人の事大変やったわねぇ。
あの人とはもう縁を切ってましたから。
(静江)それでもショックでしょうに…。
こういう時こそ新しいパートナーが必要よ。
実はね比佐子さんにピッタリの独身男性が何人かいるの。
静江さん私もう結婚なんて考えてないから。
まあそんな事言わんとちょっとこの写真見るだけでも…。
(戸の開く音)いらっしゃいませ!ごめん。
あ〜ら清美ちゃん!静さんこんな所でバッタリ会っちゃうとはね…。
このお店の常連の中に独身男性が何人もいるの。
もう3組もくっつけた。
今度は清美ちゃんの番よ!いや俺はいいよ。
あそうだ!こいつ世話してやってよ。
あのねこのおばさん縁結びに命懸けてるんだよね。
世話になりたまえ。
いやいやいや俺はいいですよ。
一応意中の人がいますんで。
そうそういとしの…。
ああちょっと!平さん…。
(静江)意中の人はそっちへ置いといて。
いやいや…。
(静江)この人どう?ぽっちゃりとなかなかええでしょ。
この人お歳は26ぐらいかな。
まちょっと遅れてる…。
平さん言わないでくださいよ。
ん?あ…じゃ俺ら先に戻ってます。
おう。
(平松)ご馳走様です。
比佐子さんにもええ人紹介したいねんけどね。
その比佐子さんなんだけどさどうして離婚しちゃったのか静さん知ってる?あんたまさかあの人疑うてんのやないやろね?そうじゃないそうじゃない。
そう…どういう事?あら?辻さん違います?ああ…辻さん。
こんにちは。
(辻康則)先日はどうも。
何か…込んでるようですね。
あの…連絡しよう思うてたんですよ。
どうです?お見合いしてみる気になりました?いややはり…この歳で女性とのお付き合いなど…。
それじゃ…。
ああちょっとすいません!こちらね河原町署の副署長さん。
どうも。
ほら比佐子さんの元のご主人あんな事になったでしょ。
それで嗅ぎ回ってんの。
イヤな言い方するねぇ。
こちらのお店にはよく…?ええまあ…それじゃ。
ああ失礼ですけど比佐子さんの離婚の原因なんてご存じありませんか?ほら!やっぱり嗅ぎ回ってる!あのね…あっ!
(携帯電話)ちょっとすいません。
(携帯電話)はい池永です。
(近藤)「何時だと思ってらっしゃるんですか!?副署長」申し訳ありませんでした。
副署長たる者…自分の席をむやみに離れてはいけません。
はい。
食事もなるべく署内でお願いします。
はい。
おわかりですか?はい!では決裁を…。
蔵元さんに金銭トラブルが!?ええ。
何や会社の後輩が起業するのに資金を出したとか。
あそうそう…で事業が失敗したもんやからお金を返す返さへんでえらい揉めてたらしいわ。
その後輩の名前わかりますか?
(花村)ガイシャとトラブってた人間ならすでに調べがついてます。
どうもありがとうございました。
もう結構でございます。
どうぞお引き取りください。
ありがとうございました。
ホシは我々が追う!2人は現場の遺留品を捜せっていう命令だろ?
(上田)人を虫けら扱いしやがって!腐るなって上田。
いつかお前の時代が来るよ。
ですから俺は「うえた」なんです。
手柄立てて見返してやんなさいよ!いつもいつも地取りと目撃者探しでどうやって手柄立てろっつうんすか?ねえ池さん。
…池さん?
(呼び出し音)出やがらねえなはるかのヤツ何時だと思ってんだよ!あんまり干渉すると嫌われますよ〜。
父親が干渉して何が悪いんだ!不干渉じゃねえんだ俺は。
(藤原拓海)何でかっていうと普通に居眠りしてたんだけど…。
こら!何やってんだ?お前ら。
(池永はるか)何って立ち話。
はあ?こんばんはおじさん。
藤原ジュニア…。
うちの娘とベタベタするなって約束忘れちゃったのかな?約束も何もお父さんが勝手に言ってるだけだ。
超ウザイ。
ウザイ!?お前今ウザイって言った?それが父親に向かって言う言葉か!?父親父親って威張るんならもっと娘を信用してよ!何!?
(拓海)はるかやめなよ。
「はるか」?何…下の名前で呼んでんだよ?しかも呼び捨てで。
ああもう最悪。
じゃあね拓海また明日。
「拓海」!?おいちょっと待て!お前まさかこの藤原ジュニアと男女交際してんじゃねえだろうな?おい!静かにしてくれない?近所迷惑。
こんな時間にギャーギャー騒がないで。
すいませんね。
年頃の娘を持ちますとねこんな時間にギャーギャーわめかなきゃいけない事情が出てくるわけですよ。
あ〜あ…。
拓海をここに呼んだの間違いだったかしら。
隣がお宅みたいなご家庭じゃ拓海も勉強に集中できないわね〜?それだ。
そうやって勉強勉強ってうるさくおっしゃるからストレスが溜まってうちの娘にちょっかいなんか出しちゃうんですよ。
何言い出すの!?お母さん。
え?家に入ってなさい。
あなたこそちょっかい出してるんじゃないでしょうね?俺が…?誰にですか?捜査によ!聞いた話じゃあなた3年前自ら希望を出して内勤に移ったそうじゃない?自分の意思で前線から身を引いた人が今さら事件に首を突っ込むのはお門違い!手錠持たない人間が捜査に介入したら服務規程違反で厳重に処罰します。
池さん事件が急展開です。
被害者とトラブってた男が任意で引っ張られてきました。
(花村)「ではあの日の夕方蔵元さんと会っていた事は認めるんですね?」
(宇都宮良治)「喫茶店で返済期限の相談をしただけです」「その後神社には行きませんでしたか?」「行ってない!私は殺してなんかいない!」
(野沢)宇都宮良治。
被害者の会社の後輩です。
3年前起業する際被害者から1000万借りてます。
しかし事業は失敗。
被害者から借金返済を迫られていた…。
動機としては十分ね。
ちょっと待った!1つだけ訊かせてくれ。
蔵元光雄とあんたが会った時蔵元傘持ってたか?
(宇都宮)はあ?赤い傘だ。
持ってたか?持ってませんよ。
第一雨なんか降って…。
持ってなかった!?確かか?間違いないな?やめなさい!一体何の真似?早く連れてって。
言ったはずよ。
捜査に口出ししないで!署長…署長誰かから傘を借りた事はありますか?その傘を雨が止んでから返しに行った事は?何が言いたいんです?蔵元光雄は晴れた日に女物の傘を持って死んでたんですよ。
どう見たっておかしいでしょう。
それに彼は家を出る時に傘を持って出たわけじゃないんです。
という事はつまりあの神社で誰かの手から彼の手に傘が渡ったって事になるわけですよ。
でも一体どうやって?逮捕後に取り調べで明らかにすれば済む話よ。
今は犯人に手錠をかけるのが先。
違いますね逆だ。
傘がどのような道筋をたどってガイシャの手に渡ったのか…?そいつを解き明かせばおのずとホンボシが見えてくるはずです。
仕事に戻りなさい。
署長!副署長これは署長命令です。
失礼します。
我慢我慢…。
(電話)
(滝子)清美さん!これ使って。
いいから。
…すいません。
副署長!…ん?定食屋に出前頼みました?頼んだ!ああどうもすいません。
何かもうすっかり比佐子さんの料理のファンになっちゃってね。
ウソばっかり。
私を疑ってるんでしょう?とんでもない!単純にうまい昼飯が食いたいだけです。
わ〜うまそう。
いくらですか?850円です。
はい。
お釣りありますよ。
じゃ…はい。
はい。
比佐子さんの料理って何だか優しい味がするんですよね。
長年ご主人のために愛情込めて作ってらっしゃったんでしょう。
あの人は…私が作る料理が嫌いでした。
まさか〜?いや本当です。
箸をつけてくれない事さえ…ありました。
(比佐子)一体何が気に入らないんです?夕飯は魚が食べたいってそうおっしゃったじゃないですか?
(蔵元光雄)食いたかったのは刺身だ。
それならそう言ってくだされば…。
それぐらい言わなくても察したらどうだ。
何年俺の女房やってるんだ!?外で食べてくる。
(ドアの開閉音)暴力をふるうわけでもない…。
罵るわけでもない…。
それでもあの人は間違いなく…暴君でした。
それが離婚の原因ですか?死んでくれて…清々しました。
えっ?比佐子さんと元のご主人…?ええ。
離婚した後も2人は会ってたんですかねぇ?本人は完全に縁を切った言うてましたけどね。
いやそやけど離婚した直後はつらそうでしたわ…。
…ていうと?一遍仕事中に泣いた事ありましてねぇ…。
泣いた?「ええ。
お客さんの前で…」「いやああの時はホンマにビックリしましたわ…」何かすいません突然呼び出しちゃったりして。
(辻)とんでもないです。
たまには外で飲むのもいいものです。
ハハハ…。
で私に訊きたい話というのは?実は大内比佐子さんの事なんですけどね。
以前彼女定食屋で仕事中に突然泣き出した事があるそうなんですよ。
それがちょうど辻さんが食事を終えて帰ろうとしてた時らしいんですけど覚えてますか?覚えてますよ。
なぜかはわかりませんが…。
失礼ですけど…辻さんのお宅ってあの定食屋から一駅ぐらい離れてますよね?何でわざわざあの店で食べるようになったんですか?火曜と木曜…大黒町のギター教室に通ってるもんで。
へえ〜。
教室の帰り昼食に寄るんです。
(鈴木豊)ギターとはまた素敵な趣味ですね〜。
(辻)文字通り六十の手習いですよ。
時間だけは山ほどありますから。
(鈴木)いいじゃありませんか〜。
妻が生きていた頃は2人で旅行でもして定年後を過ごすつもりでした。
私が設計した全国のビルを見せてあれやこれや自慢してやろう…そう思ってました。
先立たれて…もう3年になります。
そうでしたか…。
四十九日を終えた頃梅酒を見つけましてね。
梅酒?はい。
流し台の下にひっそり置いてありました。
(辻の声)妻が生前私のために作っていたものでした。
(辻の声)独り妻をしのびながら梅酒を味わいました。
うまかったぁ…。
夢のようにうまかった…。
しかし梅酒を飲みながら気づいたんです。
妻の生前忙しさにかまけて私は一度も…彼女の料理に対して優しい言葉をかけた事がなかったんです。
美味しい料理が食卓に並ぶのが当然だと思っていた。
どうして一言でも感謝の気持ちを伝えなかったのか…。
今でも…それが悔やまれてなりません。
動きがあったら突入するぞ。
絶対逃がすなよ。
はい。
(携帯電話)
(舌打ち)
(携帯電話)現場に電話なんかしてくんじゃねえバカ!倒れた…?…滝子が!?じゃああいつずっと通院してたのか!?滝子義姉さんの強い希望で先生告知してたって。
お兄ちゃん知らなかったの?
(滝子)あなたが今のままなら…私死ねない…。
はるかを残して死ねない…!ああ…。
悪かったな佳子。
何?突然。
いや滝子が入院してる時さお前ホントよくしてくれたじゃん。
実は感謝してるわけよ。
どうしたの?何かお兄ちゃんいつもと違う。
気がついたの。
感謝の気持ちはちゃんと伝えなきゃいけねえってさ。
ふぅ〜ん。
はぁ…今さら気づいても遅いか…。
しんみりしてないでお風呂でも入ったら?佳子…1個お願い聞いてくれたらもっと感謝しちゃうんだけどな。
ふぅ〜…。
(近藤)どうも座り心地が悪そうですな。
はい?副署長の椅子です。
まだ尻が落ち着きませんか?そのうち尻の形が椅子に合ってきますよ。
だといいんですが。
それより最近靴が妙に長持ちするのが気持ち悪いんですよねぇ。
デカやってた頃は半月で靴底がボロボロになってましたからねぇ。
聞き込み張り込みホシの追い込み…あの頃のあなたは誰よりも歩いていました。
それは誰かさんに叩き込まれたからですよ。
「現場100回聞き込み100回ホシを挙げるまでは足が折れても歩き続けろ」…。
恐ろしかったけどカッコよかったな。
あの頃の誰かさん。
今はあなたが上司です。
その事をお忘れなく副署長。
了解しました警務課長。
3年前…あなたが内勤への異動願を出したのは病床の奥さんを安心させるためだった。
そうでしたっけ…。
しかし私はそれをチャンスだと思った。
だからあなたを副署長に推した。
願ってもないチャンスだと。
近藤さん…。
あなたにはもっともっと上り詰めて欲しい。
組織を動かして欲しい。
人の痛みがわかるあなただからこそ。
でないと我々警察は…いつまでも変わらない。
「鬼の近藤」…丸くなってねえかもな。
(上田)池さん!おう。
やりましたよ!
(平松)目撃情報です…。
ガイシャの元妻があの日神社を訪れていたんです。
元妻って…大内比佐子がか?
(平松・上田)はい。
(上田の声)近所の主婦が見てました。
今度こそ俺ら大手柄かもしれませんよ。
誰が大手柄ですって!?
(上田)署長…。
実は重大な情報が…。
重大な情報はまずは刑事課に報告!部外者に伝えてどうするの?ほら!あなたは捜査には関係ない。
自分の席に戻りなさい!しかしですね…。
書類の山が待ってます。
戻りなさい!戻れ。
はい。
我慢我慢…。
宇都宮にアリバイが!?ええ事件のあった時刻本屋の防犯カメラに映ってました。
振り出しに戻っちまったわけです。
クソ〜!振り出しじゃないわ。
さあ報告して。
早く。
(机を叩く音)どうだった?早速調べたわ。
京都市内で最後に雨が降ったのは先週の木曜だった。
ただし通り雨。
通り雨?中京区から東山区にかけて午後1時過ぎに30分ほどパラついたって。
先週の木曜の午後1時過ぎか…。
(辻の声)火曜と木曜大黒町のギター教室に通っているもので教室の帰り昼食に寄るんです。
やっぱりそうか…。
サンキュー。
副署長追加の案件です。
よろしくお願いします。
こちらもお願いします。
ハンコお願いします。
会計課もお願いします。
大内比佐子を引っ張りましょう。
急いで。
(一同)はい!
(急ぐ足音)ご馳走様です。
はいどうも。
ありがとうございました。

(パトカーのサイレン)俺の我慢もここまでだ…。
失礼します。
(近藤)副署長…!電話で呼び出された!?店暇なもんで先あがってもらいました。
電話誰からでした!?…誰やろ?あついさっきですわ。
まだその辺にいるのと違いますか。
おい行くぞ!
(花村)はい!今度は何をお訊きになりたいんです?いい所でしょう?ここ。
俺にとって特別な場所なんですよ。
昔ね一方的に惚れてた女から傘借りた事があるんですよ。
何日かしてその傘を返すっていう口実でその女を思い切ってデートに誘いましたヘヘ…。
その待ち合わせ場所なんですここ。
何年かしてその女俺の女房になりました。
1本の傘が彼女と俺を結びつけてくれたわけです。
その思い出が…俺にヒントをくれました。
辻さん昨夜言ってましたよね?毎週火曜と木曜は大黒町のギター教室に通ってるって。
(辻)ええ。
そしてその後は決まってよしみ食堂で昼飯食うんですよね?それが何か?先週の木曜日もよしみ食堂へ行きましたよね?京都市内に通り雨が降った日です。
雨に降られたあなたは比佐子さんから傘を借りたんじゃないんですか?彼女の…赤い傘です。
この傘は比佐子さんの手からあなたの手に渡りあなたの手から被害者の手に渡った…。
俺はそう睨んでいます。
池永さん!そんなのは単なる推測に過ぎない。
失礼します。
けどもしあの傘にあなたの指紋が残ってたとしたら。
指紋?それは立派な証拠になります。
バカな事言わないでくださいよ!でも俺はあなたにそんな証拠を突きつける気はありません!比佐子さんのためにです!彼女はあの日近所の主婦に目撃されてるんです。
目撃って何ですか!?事件のあった神社に入っていくのをです!このままだと彼女は確実に任意で引っ張られます。
そして自分が夫を殺したとウソの自白をするでしょう。
あなたのために…あなたを守るために彼女はきっとウソの自白をします。
俺はそう思います。
すべてを話してくれませんか?半年ほど前でしたか…初めて交わした言葉が彼女を泣かしてしまった。
ありがとうございました。
(辻)大変…美味しい料理でした。
ご馳走様でした。
ありがとうございます…。
(比佐子の嗚咽)
(辻の声)彼女がなぜ泣いたのか私にはすぐにわかりました。
彼女は自分が愛情込めて作った料理に優しい言葉をかけてもらった事がなかったんです。
まるで…私の死んだ妻のように。
比佐子さんにとって辻さんは自分の価値を認めてくれた初めての男性だったんですね。
私たちは…いろんな事を語り合いました。
古い友人のように…。
そしてあの日…。
(比佐子)辻さん…辻さん!辻さんこれ使ってください。
いいんですか?ええ。
私が帰る頃には止むと思いますので。
すいません。
来週返しに来ますから。
比佐子さん…?来週…別れた主人と会うんです。
なぜです?二度と会いたくないって言ってたのに。
あの人毎日のように電話をしてくるんです。
長年の恩を忘れたのか…反省して戻って来いって。
電話が鳴るたびに…心臓が止まりそうで。
(辻の声)彼女を守りたい…そう思いました。
(蔵元)意地でも戻ってこないつもりか!?
(比佐子)私はもう自立してますから。
自立?何十年も夫に食わせてもらって。
生意気言うのもいい加減にしろ!!
(辻)やめなさい!食わせてやった養ってやった…。
あなたは何十年もそういう言葉を彼女にぶつけてきたんでしょう。
もういい加減にしたらどうですか?お前比佐子の男か!?…は?どうして比佐子の傘を持ってる!?その傘返せ!!待ってくださいよ!これは彼女に返しに来たんですよ!!黙れ!!この傘だって俺が稼いだ金で買ったんだ!こいつが自分で手に入れたものなんか何一つないんだ!
(辻)やめなさい!これは彼女のものだ!
(蔵元)ああ…ああーっ!!
(比佐子)あっ!?
(蔵元のうめき声)彼を殺したのは…私です。
(比佐子)待ってください!待って…!私が…私が蔵元を殺したんです!辻さんじゃありません!もういいんです!比佐子さん…。
罰を受けます。
これからは…ゆっくり眠りたい。
私のせいなんですね…。
私のために…私と出会ったばっかりに辻さんは殺人者になってしまった…。
本当にごめんなさい。
謝るのは私の方です。
あなたにつらい思いをさせてしまった。
申し訳ない。
会わなければよかったんですね私たち。
ああ…。
出会わなければよかった…。
違うな…。
違いますよそれ!あなたたちは本当に出会わなかった方がよかったんですか?本気でそんなふうに思ってるんですか!?辻さんに出会えたからこそ自分の存在を認めてもらえる嬉しさを知ったんでしょ?比佐子さんに出会えたからこそもう一度人を愛したいという感情が取り戻せたんでしょ?違いますか?もう結構です。
行きましょう。
俺は昔ホシに手錠をかける事で頭がいっぱいでした。
でもある時気がついたんです。
事件にはそれぞれ別の顔があって別の心がある。
被害者にも加害者にもきっと愛する人間がいる。
その人たちの心に迫る事こそ本当の捜査なんだって。
それを俺に教えてくれたのは…1人の女でした。
でももうその女はこの世のどこにもいません。
俺は…彼女を傷つけてばっかりでした。
大事にしたいって思った時には手の届かないところに行かれちゃいました。
(鼻をすする音)もうやめにしませんか?失ってから気づくなんていうのはもうやめましょうよ。
幸せになるのを恐れるのはもうやめましょうよ。
私は…卑怯でした。
自首したいっていう辻さんを…無理に引き留めたんです。
失いたくなかったんです。
私の料理を美味しいって言ってくれる…こんなに優しい人を…。
比佐子さん…ありがとう。
ここからは1人で行ってください。
僕は手錠を持ってませんから…。
自首してください。
その方が罪も軽くて済みますし。
ありがとうございます。
(比佐子)ありがとうございます。
ただし1つお願いがあります。
え…?梅酒を作ってください。
梅酒?辻さんが罪を償い終える日のために梅酒を作ってあげてください。
離れている時間酒の味は深まっていきます。
その梅酒をいつかお2人で飲んでください。
楽しみにしていてくださいね。
(比佐子)美味しい梅酒…2人で飲みましょう。
今回あなたの勘がまぐれ当たりしたのは認めるわ。
でも犯人に自首を促すのは金輪際やめてちょうだい。
はあ?何の事でしょうか?とぼけないで。
(ノック)副署長。
はい。
書類の決裁さあ早くやっていただかないと今日中には終わりません。
わかりました。
という事ですので失礼いたします。
フン…。
ありがとうございました。
今回も…。
長い長いトイレでしたな。
以後気をつけます。
(静江)清美ちゃん!今日はねとってもいいお話。
ああ!ダメダメ…こっちに入ってきちゃダメダメ。
いやあのねこの女性ね再婚相手は公務員の方っておっしゃってるの。
せやから清美ちゃんなら…。
しまった!俺ね蛍光灯直さなきゃいけなかったんだ。
というわけだからまた今度ね〜。
おおいいところに来た。
後よろしくな。
あちょっと…もう。
清美ちゃんったらもう…。
佳子ちゃん何とか言うたって。
お兄ちゃんお見合いなんかしませんよ。
独身生活謳歌してるんだもん。
でも滝子さんの頼みやしね!え?滝子義姉さんの?そう亡くなる前滝子さんが私に宛てた手紙。
(滝子の声)「今日は折り入って静江さんにお願いしたい事があります。
夫の清美の事です」「夫はあの通りとっても不器用な人です」「他人の幸せのためには何でもするくせに自分の幸せはいつも後回し」「不器用で照れ屋で呆れるほど愚直な人なんです」「でも愛し愛される事の喜びを私に教えてくれたのはこの不器用な夫でした。
私はもしかしたら彼に出会うためにこの世に生まれてきたのかもしれません」「私が先立って何年かが過ぎまだ夫が独りでいるようでしたらどうかそっと背中を押してあげてください」「あの人がまた愛し愛される相手に出会えますように心から願っております」「あの人の事これからもよろしくお願いいたします」お兄ちゃんは無理だよ滝子義姉さん。
今でも滝子義姉さんにゾッコンなんだもん…。
優しい…。
(笑い)
(近藤)いやぁ…不思議なものですねぇ。
近藤さん!?新しい愛に生きる男がいる。
死んだ妻をずっと思い続ける男もいる…。
自首する犯人増えてません?え?どうも池さんが副署長になってから。
偶然だよ偶然。
まあいい偶然じゃない?世の中少しはよくなってきてるんすかね?まあ食えほら。
どこの中年かと思ったらうちのお父さんだ。
おお何だお前こんな早くに。
あ!おいもしかしてお前らサボったんじゃないだろうな?今日はテストだから午前中で終わり。
ああ…。
ホント子供の事何もわかってないんだから。
だからといってだな何も2人で仲良く帰ってくる事はないだろう。
家が隣だから仕方ないですよ。
あれ?何だ?君その口の利き方は。
あっ明日の数学私超苦手なんだよね。
教えてくんない?ああいいよ。
「いいよ」じゃないだろう。
おい!お前ら何かますます親密度増してないか?こらはるか!間違ってもそいつと結婚するなんて言い出すなよ!あの署長と身内になるのは絶対ごめんだからなー!2015/05/07(木) 09:55〜10:53
ABCテレビ1
その男、副署長〜京都河原町署事件ファイル〜[再][字]

「京都東山、赤い殺人傘の謎!?熟年離婚の罠!」

詳細情報
◇番組内容
船越英一郎、連続ドラマ“初”主演作品。捜査を禁じられた所轄署の“副署長”が難事件を解決するミステリー。制服を脱ぎ捨てたとき、事件は解決のときを迎える!
◇出演者
池永清美(副署長):船越英一郎
池永佳子(交通課):田中美里
平松純平(刑事課):宇梶剛士
上田 聡(刑事課):鈴木一真
野沢健作(刑事課長):石丸謙二郎
近藤時男(警務課長):本田博太郎
藤原あきら(署長):萬田久子

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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