東京駅お忘れ物預り所4 2015.05.07


(望月幸平)
JR東京駅
ここは首都東京の表玄関であり日本各地に伸びる国内主要幹線の拠点である
一日に発着する列車の数は東海道東北上越長野新幹線が約850本
特急各種250本
在来線を合わせると約4000本にのぼる
広さは東京ドーム3.6個分
利用客は一日約100万人におよぶ巨大ターミナル駅である
駅で働く人も多い
24時間眠ることのない東京駅にはJR職員関連企業の社員合わせて数千人
その業務は人目につきにくく目立たないところまで多岐にわたる
我々東京駅遺失物係通称東京駅お忘れ物預り所所員も例外ではなく文字どおり目立たぬ存在である
(村尾由希子)いますよ!え〜っと…。
これじゃありませんか?これだ!よかった…!うちの女房怖いのなんの…。
これなくしちゃったら「あんた結婚なんだと思ってるの!」って…。
(嶋田福男)わかるなぁ…。
結婚そのものをトイレに流したいっていう気になっちゃうんですよね。
(嶋田満江)トイレに何を流すの?
(北口幸夫)助役お疲れさまです!あの…私はこれで。
あはい。
どうも。
何を流すの?いやだからそういうことはさぁ水に流してさ…ね?ちょっと放してよ。
ちょっと…。
(真鍋千春)あの…。
は…はい!落とし物をしちゃったんですけど。
どんな落とし物でしょうか?小さな袋なんです。
銚子縮って織物でできた小さな縞模様の…中にお守りが。
届けは出てないですね。
そしたらこれにお名前と…。
お守りが入ってたんですか?ええ母の形見なんです。
形見…!?捜しましょう!どこで落としました?ちょっと届けが先じゃ…!いいよ。
捜したほうが早い。
どの辺ですか?あ…あっち…。
ちょっ…望月さん!
(北口)僕もあんな美人と一緒に捜したい!ダメでしょ!まずは書類に…。
いやぁいいじゃないの美人だしさぁ楚々として「あの母の形見です」なんて言われたらさぁ…。
またあんたはいい加減なことを…!そうですよそういうことじゃなくてちゃんと書類を…!痛い痛い…痛い。
痛いよ!でもさぁチラッと見ただけだけども幸平の好みのタイプだよね今の人。
ええっ!?ええっ!?いいじゃないですか。
村尾さんには僕がいる。
イヤァ…!何やってんだ?ここを通って出口がわからなくなって…。
東京駅って滅多に来ないのでそれで向こうのほうに…。
縞模様の銚子縮の織物でできた袋…。
中にはお守り…。
それと…母の写真が。
捜しましょう!
(携帯電話)はい。
…え?なんで私が銚子になんて。
(真鍋江利子)墓参りよ。
(江利子)あんな父親でもたまにはね。
ついでに犬吠で温泉浸かりたいの。
あんたは荷物持ち。
(津山実)やめとけよ。
千春になんでもやらせるの。
うるさいわねぇ!あんたは黙って新しい店探してればいいのよ。
もうすぐ金は手に入るんだから。
もう見つかったよ。
いい出物が。
へぇ〜。
銚子…行くんですか?千葉県の。
ええ…。
奇遇だなぁ。
僕も行くんですよ明日。
じゃあもしかしたら向こうで偶然お会いできるかもしれませんね。
え…あ…。
そ…そうですね。
やっぱりダメかなぁ…。
あきらめたほうがいいかもしれない。
ダメですよ。
大事なものなんだから。
まだまだ諦めるのは早いです。
(千春)でも…。
ああ…。
望月さん!事務所閉める時間ですよ。
ああ…うん…。
明日は無理ですが見つかるまで捜します。
拾った人が出るかもしれないし。
はい。
え…?
(千春)あ…すみません。
ものすごく熱い方なんだなと思って。
そうなんです。
この人いつもこうなんです。
そんな…!あの私真鍋千春といいます。
もし見つかったら私の勤め先に連絡をください。
望月幸平です。
今日は本当にどうもありがとうございました。
「Barセリカ」…夜の仕事してるんだ!そういう言い方するなよ。
それにそういう感じの人じゃないだろ。
じゃあどういう感じなんですか?それは…ああいう感じの人だよ。
え…?
(アナウンス)「2番線に到着の列車は7時36発特別急行しおさい1号銚子行きです」「この列車は9両編成で…」私行きたくない…。
じゃあこの荷物誰が持つのよ!あなた父に感謝してないの?それでは私たち千葉県銚子に行ってきま〜す!幸平…あの行くの?本当にこいつと2人で。
ええ一度乗ってみたかったんです銚子電鉄に。
私は死んだ母さんの墓参りだもん。
2人で行くのよね〜!え…。
ちょっと待て俺も行く。
な…あんたはお留守番!ヤダ!ヤダヤダヤダ!俺だってなぁお前のお袋さんには世話になってんだよ。
な?あ…あとを頼むよ。
な。
有休取ってな俺もこいつらと一緒に行くから。
急いで着替える!行くぞ!
(アナウンス)「2番線は9時40分発特急しおさい3号銚子行きでございます」幸平…ちょっと替われよ。
替われよ…替われよ。
何ちょっと…!ちょっと…あぁっ!大丈夫?幸平君。
お前…あれ?替わりましょうか?いいよ。
あいててて…。
あっ…!
このしおさい号はJR東日本が新宿東京佐倉成東を経て銚子まで結んでいる特別急行列車である
だが僕の目的は他にあった
目的はこれだ!
銚子から終点外川までの6.4キロを結ぶ日本一小さな電車でのささやかなローカル線の旅
この旅の行く手に連続殺人事件が待っていようとはその時誰が思っただろうか…
叔母さん!あ〜!
(栗本友子)あ!満江ちゃ〜ん!あの…ご無沙汰してます。
(友子)福男さんも!イヤ〜死んだ姉さん喜ぶわ!アハハ…!ああこれが銚子名物ぬれ煎餅。
そうだよ!も〜バカ売れしちゃって!おかげで会社が持ち直したの。
アハハ…!ぬれ煎餅様様だ!アハハ!ハハハそう。
ほれ。
ああどうも。
うんうまい!俺の味覚にぴったしこれ。
軟らかいから噛めるってだけでしょ。
お前さぁ…その口なんとかならないの?あこれね私の忠実な部下の望月幸平といいます。
望月幸平です。
あ〜ほら幸平君も食べてみて!はい。
おいしい!おいしい〜!ほんと軟らかいわ。
おいしい!
(友子)ほらほらほら早く上れ。
嶋田さんあと一息だから頑張ってもう…!あと…20段ぐらいある…。
だから来なくていいって言ったのに…!今さらそんなこと言うなよ!ああっ!危ない危ない…!危ないよ。
ほらもう…!迷惑かけて。
ちょっと…痛い痛い…。
あ〜あ〜…。
わぁ…!しかしなんだってこんなとこに墓なんか造ったんだよ。
まったくもう…。
何言ってんだ。
そうですよ。
罰当たりなもう…。
何してんの?い…いやいやいや…。
(満江)幸平君まで来てくれて母さんも喜んだわねきっと。
ああうれしかったと思うわ。
アハハ。
だってさぁまたこの石段ずっとこう下りていかなきゃいけないんだろ。
はるか向こうじゃない…。
もうヤダ俺…。
もう…。
うわぁ!
(満江)キャー!ちょっとちょっと…うわぁ〜!
(友子)ああ…!殺されてる!電話電話…。
電話…電話…電話…電話…。
ああ…!もしもし!?あんた?今賢徳寺で女の人が胸を刺されて…!
(栗本誠二)驚かれたでしょう。
こいつの亭主の栗本です。
銚子署で刑事やってます。
ああ…。
どうやらあんたらが来る前に殺害されたみたいですな。
ねぇあんた!死んだ女の人誰だかわかったのか?ああ…バッグから免許証が出た。
死んだのは真鍋江利子37歳。
ほら真鍋の娘だ。
え〜っ!?真鍋…?私真鍋千春といいます。
幸平どうした?あ…い…いえ…。
(友子)なんだか因縁めいて怖え〜!真鍋さんはようこの石段から落ちて死んだんだよねぇ。
え…?あ…あの…どういうことですか?あ…うん…。
15年前死んだ真鍋江利子の父親の真鍋光雄はこの石段の上から転落して死んだんだ。
(野々村公之)栗本さん!
(栗本)おう。
この寺の裏手でつい1時間ほど前に女が逃げ去るのが近所の人に目撃されてます。
その人女の顔を見てるのか?いえ後ろ姿だそうで。
年格好は?それもわからないそうです。
とにかくかなり慌ててた様子だったとしか。
そうか…。
せっかく銚子に来たんだからさうまい魚でも食べようと言ってさ…。
しょうがないでしょう。
調書とか取られるんだから。
もう早くしてくれないかなぁ…。
千春さん…!?望月さん…。
なんでこちらに…?あ…あこの人…。
あの昨日の…。
ああガイシャの妹さん。
真鍋千春です。
知ってる。
あんたも私を?…はい。
姉です…間違いありません。
あんたの姉さんなんで銚子に?
(千春)父の墓参りです。
じゃああんたは一緒じゃなかったのかね。
来るつもりでした。
一緒のしおさい号で。
でも私銚子になんかほんとは行きたくなかったんです。
だから発車直前に飛び降りました。
ここには何ひとついい思い出なんかありませんから。
あああんたらも調書を。
お前もな。
あの…栗本さんは真鍋千春さんのこと知ってるんですか?あ…ああ。
なんであの人この町にいい思い出がないなんて…。
まあ…いろいろあってな。
あの子には。
千春さんばかに冷静だな。
なんかそっけないっていうかさ…。
これが話題のぬれ煎餅。
おっ醤油のいいにおいしますね。
もうこれ買うぐらいしか時間がなくてさぁ…。
ねぇもう大変だったのよ!向こうでね女の人のね…!聞きました。
望月さんから。
あれ?幸平は?帰ってきて早々落とし物捜し。
ああ母の形見ね。
(沢田奈津子)ああっ…!あっ!大丈夫ですか?血…血!?あのもしかして僕がぶつかったせいで…。
(奈津子)違います…大丈夫ですから。
あ待ってください。
これあの落とし物…。
すいません。
あ…。
あ〜あ…。
村尾さん。
なんかもう望月さんバカみたいに必死なんだもん。
休憩時間だから手伝ってあげようかなって。
バカってことはないだろう…。
もういいから捜す!はいはい…。
あった…!これだ。
これ…!あっ!これだ…!ああこれだよ縞模様の銚子縮な。
これだ…。
何?何?ちょっと…。
これ連絡先か…。
Barセリカってお前これ飲み屋じゃないかよ。
ちょっと…。
いやちょっと…え…?ほんとに捜してくれたんですね…。
はい。
確かにこれ…ですよね?あのなんとお礼を言っていいか…!あ…お礼なんか…!飲んでいってください。
今日は私が持ちます。
サービスしますから!サービスだって!飲んじゃおう飲んじゃおう。
(マツコ)キャ〜いらっしゃ〜い!フフフ。
おっと…。
何?あなたタイプ〜!私マツコ。
見て巨乳なの〜!フフフ。
見てって見えないんだけど…。
ツンツン。
あ幸平さぁ…。
ねぇでもさ…あの千春さん姉さんが死んだってのに悲しそうじゃないんだよね。
どうして?
(マツコ)それはね…。
(ドアベルの音)
(津山)ママが死んだのになんで店開けてんだよ!
(千春)ちょっとすみません…。
姉さんの借金を返すためじゃないですか…。
千春…江利子殺したのお前だろ。
え…?津山さん…。
バカなこと言わないでください。
帰ってください!とぼけんな!なんで殺した?なんで江利子を…!なんで…なんで…!やめろ!
(津山)ああっ!
(千春)出てって!出てってください!乱暴はやめろ!なんだよお前!千春のなんなんだ!なんでもありませんよ!千春に言っとけ!お前がやったんだよ…。
お前が江利子を殺したことを俺が暴いてやるってな!
(津山)ああっ…!クソ!ああ幸平。
なんなんだ今のは。
いや…ただの言いがかりみたいです。
津山さんって近所の不動産屋のオヤジさんなの。
でもって江利子さんのヒモみたいなもん!姉さんにすがって生きてきたような人ですから。
その不動産屋がなんで千春さんにあんなことを?さあ?おかしいんですあの人。
望月さん血…!ほんとだ…。
あっ!え…?あ…ああ…。
おお…大丈夫か?へぇ〜手際いいね。
千春さん元看護師だもん。
あらそうだったの。
面白い人なんですけどね。
(千春)面白い…。
(杉本祐介)千春ちゃん。
杉本さん…。
ちょっと…。
お姉さんのこと聞いた。
残念だ。
何しに来たの?僕は今からでも君が「うん」と言ってくれさえすれば…。
もう終わったことよ。
(杉本)千春ちゃん…。
行きましょう。
早く。
え…?ちょちょちょ…いや…。
バイバーイ。
奈津子さん…!父が杉本さんに話があるって。
ちょっと千春さん…千春さん!千春さん誰なの?今の。
ああ…元カレです。
沢田記念病院のお医者様。
でももうじき結婚するんです。
えっ?結婚…?うん…。
だから〜もう全然関係なし。
あ…。
望月さん彼女いるんですか?い…いやいやいません。
いるわけありません。
こんな熱い人誰も付き合いきれませんから。
だったら…。
あっちょっとちょっと…。
ねぇちょっと。
私と一緒に付き合いません?えっ!?えっ?うらやましい!な〜んて。
冗談です。
ちょっと…ああ…。
ちょっと幸平。
村尾君。
ほんとに冗談ですか?飲み直そう!ちょっとなんですか?嶋田さん。
聞きました…。
銚子のあのお寺の石段で15年前にお父さんが亡くなって今度はお姉さん…。
私は最初っから独りです。
どういうこと?私は…親に捨てられたんです。
えっ!?母親は私が2歳の時に亡くなって顔も写真でしか思い出せません。
そして父親は…私を捨てたんです。
私を預かって育てたのが真鍋って男で姉は真鍋の娘です。
いい父親と姉でした。
本当泣きたいくらいに。
フフ…。
私は私を捨てた父親を恨んでいます。
生きていたら殺してやりたいくらいに。
千春さん…。
お守り見つけてくれて本当にありがとうございました。
その上送ってまでいただいて…。

(千春)「汽車汽車ポッポポッポ」「シュッポシュッポシュッポッポ」今日はな一線越えるぞ。
(北口)はい。
いいか?
(笛の音)ああびっくりした。
なんだよ。
お前…。
白線越えちゃダメ!起きてたの?お前。
起きてるわよ。
イヤ〜な予感がしたの。
浮気もんがね白線を越えるイヤ〜な気配がしたの。
あのさ浮気ったってさたった1回こっきりじゃないの。
1回やれば十分なの!早くあんたも帰りなさい!シッ!シッシッ!犬じゃないのに失礼だな…。
幸平…よく行くなお前。
黙って。
おいどうする?寒い…。
朝までさマンガ喫茶行こう。
はい。
ちきしょう。
ああ〜!
(笑い声)あっ…。
ああ…!助役…。
しょうがないな。
寝ちゃったよもう。
(ため息)気になってるんだ千春さんが言ったこと。
え…?うん…。
「いい父と姉だった。
泣きたいくらい」って笑って言ってた。
泣きたいくらいひどい父親とお姉さんだった…。
そう言いたかったのねぇ。
うん…。
でももっと気になったのが実の父親に捨てられたってことだ。
(幸平の声)生きてたら殺してやりたいなんて…。

(千春)「汽車汽車ポッポポッポ」「シュッポシュッポシュッポッポ…」
(沢田隆太郎)君とも招待客のリストとかいろいろ相談したい。
私も式はできるだけ盛大にしたい。
何しろ君はこの病院の後継ぎになるわけだから。
院長僕は…。
杉本君奈津子を幸せにしてくれないか。
(栗本)ああ?真鍋江利子を殺害したのは妹の千春だと?ああ。
俺は知ってるんですよ何もかも。
江利子から聞いてますから。
千春が江利子を殺した動機ってやつも…全部ね。
(マツコ)お忘れ物預り所なんてウソかと思ったらほんとだったんだ〜!ウケる。
一番偉いのよこの中で。
あそうなの?見えない。
今夜も来てね。
え〜どうしよっかなぁ。
ああ〜ねぇ私に会いたいくせに〜。
かわいい手。
う〜んチュウ。
なあに?あんた。
はい。
あんたこそ何よ?私はこれの妻です!えーっ!?独りもんだって言ったじゃない!あちょっと…そうじゃない。
違うよ。
これはね赤の他人でもう冷たい女なんだよ。
鬼みたいで。
うるさい!用事がないなら帰りなさい!お前帰れ。
(マツコ)電話して。
帰れ。
あのさ今晩僕の家帰っていい?僕の?いやいや君の家…。
君の家。
ダメ!は…?どうかした?そうだ。
私千春さんのことを言いに来たんだった。
えっ?千春さんが何か?大変なのよ。
銚子から刑事が来てさ千春さん連れてかれちゃったの。
えぇっ!?任意同行って言ってたわね。
江利子さんを殺した容疑だって!殺害容疑!?私が姉を…?
(栗本)凶器からは指紋は出なかったが現場から逃げ去る女が目撃されてる。
私じゃありません。
だがあんた…ある男を挟んで三角関係で姉の江利子と揉めてたそうじゃないか。
それは…。
(栗本)男の名前は杉本祐介。
あんたが半年前まで勤めていた沢田記念病院の外科医だ。
あんたとは恋人同士だった。
プロポーズもされた。
だがあんたはその男と別れ病院も辞めて姉の江利子の店に勤め始めた。
その杉本に江利子がちょっかいを出した。
店の女の子の証言もある。
(栗本)揉めたあげくにあんたは姉さんに言ったそうだな。
杉本さんに手出したら許さない。
殺してやるから。
私本気よ!
(栗本)あんたはそう言った。
そう言われた江利子はあの日朝7時36分発の「しおさい号」でこっちに来た。
実はそれにはあんたも乗っていたな。
発車前の車内であんたと姉さんが揉めているのを車掌が見てるんだ。
そして江利子はあの寺で死んだ。
あんたに容疑がかかるのは当然だろ。
(野々村)本当のこと言いなさいよ。
あんたがやったんだろ!違います。
私…私は…。
千春さんは7時36分発の「しおさい号」には乗らなかった。
うん。
千春さん言ってた。
(マツコ)江利子さんと揉めたあと江利子さんとは離れた車両の席に座った。
そしたら隣の席のおばあさんが…。
薬薬…。
あら?ない!落としちゃったみたい…。
でもとにかく落ち着いて。
一度降りましょう。
ね?
(千春の声)そしてしばらくするとおばあさん具合がよくなってきて。
銚子に行くのはまた今度にするって言ったんです。
でも私なんだか放っておけなくてそれで東京駅の丸の内口まで見送ってそれでタクシーに乗せました。
出任せ言うな!どこの誰だ?そのばあさんは!それは…。
千春さんは7時36分の「しおさい号」に乗ってなかった?ああ。
「しおさい号」の発着は1日9本。
千春さんが銚子に向かったにしても次は僕たちの乗った9時40分の「しおさい号」が一番早い。
でも俺たちが賢徳寺に行った時は千春さんの姉さんもう死んでた。
だから7時36分の「しおさい号」に千春さんが乗ってなかったことが証明できれば千春さんへの疑いは晴れるんです。
それじゃそのばあさんが見つかればいいってことか?うん。
でも本当かね?そんなばあさん最初からいないんじゃないの?それにさなんなんだよ?その右の脇腹の痛みってのは。
いや…。
胆石!えっ?私の母も胆石で右の脇腹が痛いっていつも薬を持ち歩いてます。
あれ?あのちょうど皆さんが銚子に行ってらした時のおととい薬の入ったなんかポーチが届けに出てました。
あっこれだ。
これです。
あっ…これ胆石の薬よ。
私の母もこの薬持ち歩いてる。
やっぱりおばあさんの話は本当だったんだ!すいません。
おとといって仕事してました?してない?ああそう。
あどうも。
すいません。
おとといの日中若い娘さんとおばあさんを乗せたような記憶ありませんか?ああ…おとといの午前…。
乗せたよおばあさん。
若い娘さんがよろしく頼むって俺に言ってさ。
東大赤門前の交差点で降ろしたよ。
どうもありがとうございました!「中村キク酒田佑子山田洋子」…。
(満江)じゃあ幸平君はおばあさんを捜して早退して飛び出してっちゃったの?病院とか薬局訪ねてそのばあさんを見つけようとしてるわけだ。
それ見つかったとしても疑問が残るのよね…。
えっ?なんで?あのすいません。
こちらにですね佐川梅子さんって方はいらっしゃいますか?いえ知りません。
あそうですか。
えっ!?じゃあおとといこの薬を東京駅で落としたのは…。
私よ私。
親切な娘さんがね介抱してくれて…。
名前も聞かなかったんであとで後悔してたの。
ありがとう。
ちょ…ちょっと待ってくださいね。
あっ栗本さんですか?望月です。
千春さんは無実なんです。
あの日7時36分の「しおさい号」には乗ってなかった。
証人がいるんです!あんたそのばあさんを捜し出したのか?うーん…。
まあ任意だからなぁいつまでも勾留することはできんから…。
ああ今回は釈放だ。
望月さんが?ああ…駆けずり回ってあんたが介抱したばあさんを捜し出してきた。
妙な男だよあの望月ってやつは…。
釈放だ。
まその前に1つ教えてくれないかな。
あんたの姉さんの口座に毎月15万もの金が振り込まれていた。
この15年間ずーっとだ。
15万…?15年…。
えっ?疑問は残る…?うん。
例えばよおばあさんをタクシーに乗せて構内に戻る。
嶋田さんたちが乗った「しおさい号」が銚子に着くのが11時31分。
そのあとは銚子電鉄に乗らずに賢徳寺にタクシーで直行。
距離にして3.5キロ。
たぶん嶋田さんたちが来る15分前にはお寺に着ける。
犯行は可能か…。
じゃあ幸平の努力は無駄ってことかい?でも…無実だよ。
あの千春さんがお姉さんを殺すなんてそんなことありえない!
(北口)あっ…!千春さん…!?たった今こっちに着いたんです。
望月さん本当にありがとうございました。
あいいえ…。
でもよかった。
あきらめて犯行を認めようとした!?なんか…もうどうでもいい気がして。
そんな…。
いつからだろう…あきらめることが癖になってて。
あきらめたほうが楽なんだって。
ダメだよ…。
そんなのダメだ。
でもどんなにいろいろ頑張ったって結局自分の思い通りになんかならないし。
何言ってるんですか。
そんなことない!今度のことだってやってないならやってないって最後までちゃんと言わないと!えっ…?どうしたらそこまで熱くなれるのかなぁと思って…。
千春さん…。

(千春)「汽車汽車ポッポポッポ…」千春さん!危ない危ない危ない…。
(千春)大丈夫!大丈夫ですよ。
飲みすぎですよ。
ちょっと。
こんなに酔っちゃって…。
ああ…。

(望月・千春)「シュッポシュッポ」ちょ…ちょっとちょっと…。
千春ちゃん…。
僕は決めた。
奈津子さんと一緒になる。
君に…お別れを言いに来た。
そう…。
おめでとう。
お幸せに。
行こうか。
ねぇ彼女が杉本ってお医者さんとの結婚相手なのよね?ああうん…。
あの人確か東京駅で…。
あのこれ落とし物…。
ぶつかって携帯を?うん…。
確かにあの人だった…。
うれしいの。
あなたの言ってくれた言葉がうれしい。

(沢田の声)杉本君の未来はこれで約束された。
将来この病院の院長だ。
まあ彼のことを思うならあきらめてくれ杉本君を。
それが彼のためでもある。
「汽車汽車ポッポポッポ…」「シュッポシュッポシュッポッポ…」銚子署の者ですが杉本祐介さんですね?はい…。
でも警察の方がなんで僕に?僕は江利子さんの妹の千春さんを愛していました。
でも院長の娘の奈津子さんとの縁談話が持ち上がって…。
で千春は身を引いた。
でも僕は千春さんをあきらめきれなかった。
千春さんが病院を辞めたあと江利子さんの店にいると知って訪ねました。
ほう…。
(杉本の声)僕は江利子さんの店でしたたかに酔いました。
泥酔した僕を江利子さんは強引に連れ出し…。
気がつくとホテルの一室でした。
江利子さんは言ったんです。
2人は関係を持ったんだって。
でもそんなはずはない!そう言うと彼女は…。
(江利子)結婚式に乗り込んでもいいのよ。
まだ結婚すると決めたわけじゃない!どっちにしろあんたは病院にいられなくなる。
そんなこと言わないわよ。
一千万くれれば…。
(栗本)江利子はそう言ってあんたを脅したわけだ。
でも僕は江利子さんを殺してなんかいません!11月10日の午前江利子が殺害された朝あなたはどちらにいらっしゃいました?
(奈津子)私とずっと一緒でした。
(栗本)あなたは?杉本さんの婚約者です。
(栗本)あなたが病院長の…。
(奈津子)11月10日の朝は前の晩まで私と杉本さん一緒にいました。
杉本さんの部屋で…。
あっ…!栗本さん…。
東京へ来たついでに…熱い男の顔でも見ようと思ってな。
来たついでって…千春さんのことですか?ああ…まあ関係はあるな。
じゃあ千春さんの元の恋人杉本さんの婚約者は病院長の娘さんなんですか。
ああ…。
だから杉本さんの将来を思って千春さんは身を引いた。
あきらめた…。
でその杉本さんを千春さんの姉さんの江利子さんがホテルに誘い出してそして脅した…。
杉本の動機には十分だな。
だがあの寺の裏手で逃げるところを目撃されたのは女だ。
まさか…その女の人が千春さんだと?自分は身を引いた。
なのに江利子はちょっかいを出して金まで要求してきた。
それを知った千春はどうするかだ。
でも千春さんのアリバイを証明するおばあさんだって…。
まああんたの熱意には頭が下がるがな…。
これぐらいにしとこうか。
あっ村尾さん。
千春さんとこに行くんでしょ?嶋田さんに言われたの。
また幸平の病気が始まったって。
ついててやってくれって。
部屋にはいないしもうお店かしらね。
あっ…。
あ…あの…。
栗本さんから杉本さんとの話も聞いて心配になって…。
でまたあきらめるなって?きっかけがあったんです。
…え?たぶんあの時から…。
え?私ずっと自分を捨てた父親を恨んでました。
15の時かな?近所のおばさんたちの噂話を耳にしたんです。
噂…?おばさんたちは言ってました。
千春ちゃんのお父さんは生きてるって。
銚子電鉄の運転士をしているって。
銚子電鉄の運転士!?だから私確かめたかったんです。
噂が本当かどうかわからなかったけど確かめたかった。
そしてもし本当なら言ってやりたかったんです。
あんたのせいで私の人生ボロボロだって…。
(千春の声)私は一人一人見ていきました。
この人は違う。
この人も…。
でも1人だけ…1人だけいたんです。
私思ったんです。
こいつだ…。
こいつが私を捨てた男だって。
その日から毎日その人の運転する車両に乗って彼をにらみつけました。

(千春)「汽車汽車ポッポポッポ」「シュッポシュッポシュッポッポ」
(千春の声)でもその男は私を見ない。
顔色ひとつ変えない。
そしてある時終点の外川駅の近くの渡海神社で…。
(千春の声)でも私を見てもその人…なんの表情も浮かべなかった。
違った…。
その日から私はもう捜すことをあきらめました。
なんでだ…。
なんでそこであきらめるんですか。
その人じゃなくて他の人だったかもしれないじゃ…。
いい加減にしてください!あなたに…私の何がわかるっていうんですか。
おせっかいもいい加減にしてください!もう!千春さん千春さん!確かに望月さんはおせっかいよ。
でもあの人はあなたを放っておけないの。
なんでですか?あの人も…親に捨てられたから。
(汽笛)だから…だからあなたを放っておけないの。
でもほんときれいになって…。
(マツコ)あっいらっしゃいませ。
何かあったのかな?あんたが津山か?ええ?話がある。
付き合ってくれんか。

(津山)何?千春に近づくな?
(津山)フン何言ってんだ?お前。
(ため息)幸平どうしちゃったの?言われちゃったんです千春さんに。
「いい加減にしてくれ。
おせっかいだ」って。
そんなこと言ったってさ幸平のおせっかいってのは特技だもんなぁ。
そうですよ。
元気出してくださいよ望月さん。
うん…。
でもさイヤなんだよあの千春さんの考え方が。
あきらめるってなんだよ…。
あきらめるのは簡単だ。
だけど…。
だけど…希望は捨てちゃダメだ。
生き方次第で幸せにも不幸せにもなるんだから。
でもさその15年前の運転士ってのは結局は千春さんのお父さんじゃなかったんだろ?いや…。
え?まだそうと決まったわけじゃないんですよ。
あのねみんながみんな望月さんみたいじゃないのよ。
誰だってあきらめなきゃならないこともあるの。
私だって…。
えっ?村尾さん何をあきらめたんですか?私だって好きでお忘れ物預り所にいるわけじゃないんです。
私の能力はお忘れ物預り所でくすぶるような…。
でもあきらめるしかないじゃない。
俺たちくすぶってる?はい。
「はい」ってことはねえだろ。
うわっびっくりした!
(満江)あんた!なんだよお前急に…!何やってるの!?いや何やってるって…。
なんで…今日夜勤って僕は聞いたよ…。
夜勤は明日。
早く出てって出てって。
ほらさっさと…。
ハハハ…。
ハハってお前ね…。
飲んでる場合じゃないんだよ。
(満江)来なさい!
(北口)うわっなんで…。
(満江)これ!うわあー…!
(野々村)今朝の9時にこの方が男の悲鳴聞いたそうです。
朝の9時?あはい。
ここを歩いてると男の人の悲鳴が聞こえてふり向くと女の人が逃げるように去ったんでね。
見えたのは女?あはい。
ねぇねぇねぇこの前拾った袋落とし主出た?あああれまだなんですよね。
え〜…私さぁなんか気になっちゃうんだよね。
まああと何日かしたら問い合わせあると思いますけどね。
これですよね?そうそうこれこれ。
あっそれって…。
あーっ!そっくりじゃないか千春さんが落としたのと。
また千春さん落としたなんてことあんのか?お守りと写真…中身も一緒よ。
千春さんに渡した袋の中のお守りもこれと同じ銚子の渡海神社の古いお守りだった…。
違う…!千春さんに渡したのは男の人と女の人そして赤ん坊の3人の写真だった。
どういうこと…?そっくりな袋が2つお守りも2つ写真もある。
でも1つは3人写っててこっちは…。
わからない。
どういうことなのか…。
あのこれはどこで?5日ぐらい前かしら…。
確か総武地下2番線ホームの近くで拾ったわ。
総武地下2番線…?しおさい号のホームだ!ねぇ5日前っていうと事件のあった前の日。
千春さんが袋を落としたのと同じ日だ。
(パトカーのサイレン)
(千春)あの…。
私…私が姉と津山を…。
幸平…村尾君もなんなの?さっきから。
ん?気になるんです。
この写真と千春さんに渡った写真のことが。
しかも3人写ってる写真を見た千春さんは驚いてた。
それはあれだよ。
間違えて千春さんの手に渡ったんだな。
ええっ?どういうことですか?嶋田さん。
なんだよ急に…。
だってそうだろ?だって千春さんは驚いたんだから。
違ったものが来たから驚いたんじゃないのかよ。
うるさいなもう…。
あっまたあんた私の家に勝手に…!あらちょっと…。
いやごめんなさい。
まったく飲んでばっかりいて…。
だってここはさあの…僕の家でもあるわけだから…。
なんだよ君…。
今日は夜勤だって言ったじゃない昨日…!叔母さんが東京見物に来たから代わってもらったの。
知らないよそんなことは!ああ…どうもどうも。
どうも。
はい。
叔母さんのおみやげのぬれ煎餅?そうよ。
食べて食べて。
いただきます。
あら?みんな深刻な顔ね。
村尾です。
栗本です。
もうダメなんです望月さん。
千春さんのことになるともう…。
あらもう…。
元気出して。
あはい…。
千春さんって…真鍋千春さんのこと?…はい。
真鍋千春さんね警察に自首してきたみたいよ。
自首!?なんでですか?あの…津山って人が今日死んだの。
津山ってあの…店で幸平が追い出した男。
(友子)銚子の崖から突き落とされて…。
そしたら千春さんが「私がやりました」って…。
ああ…。
(北口)望月さん?幸平君?どうしちゃったの?姉を殺したのは刑事さんも知ってるとおり杉本さんに手を出そうとしたから。
だが江利子は結局杉本と一夜を共にした。
そうです…。
そしてそのことで杉本さんをゆすったんです。
私は身を引いたのに…姉が許せなかった。
違うわね…やっぱり嫉妬かな?愛している人を横取りされて悔しかったのかも…。
それと今までの恨みです。
あの日…。
(千春の声)しおさい号を一度降りて次のしおさい号に乗って銚子駅からタクシーで先回りしてお寺に行ったんです。
(千春の声)そして…。
(千春の声)津山はそれを知っていました。
津山が邪魔だった…。
(千春の声)だからお金で解決しようと呼び出して…。
育ての親の真鍋はひどい男でした。
(真鍋光雄)お荷物なんだよお前は!
(千春の声)飲んだくれでいつも私に暴力をふるって…。
でも姉は真鍋よりもっとひどかった。
早くしなよ。
(千春の声)子供の時から一度だって人間として扱ってくれたことなんてなかった。
姉を…恨んでました。
真鍋が死んで姉は22になっていました。
東京に行くと言いだして私はついていくしかなかった。
東京ではアルバイトの毎日…。
私には看護師になりたいという夢があって…。
でももちろんそんな専門学校に行くお金なんか足りなくて…。
でもそんな時姉が初めて私にお金を貸してくれたんです。
どうしてそんなにお金があるのかわからなかったけどこの前の刑事さんの話でようやくわかりました。
金づるがいたのね。
それ以来姉は私に言い続けました。
あんたには貸しがあるんだって。
私が看護師を辞めた時も姉は言ったんです。
店に出ろって…。
女の子を雇うより安くつくからって…。
それで姉に言われるまま店に出て…。
ほんっと私ってツイてないんですよね。
あっマツコさん。
望月さん。
大変なのよ千春さんが。
聞きました銚子署に自首して出たって。
(マツコ)そうなのよ。
なんで…なんで千春さんが…。
津山さんの殺害現場から女が逃げるの目撃されてるんだって。
女?私も今朝の千春さんのアリバイ聞かれたの。
でもわかるわけないじゃない?望月さん…。
千春さんじゃないよ。
千春さんが人殺しだなんて…!でも確かにおかしかった千春さん昨夜から。
どうおかしかったんですか?
(マツコの声)昨日の夕方津山さんが1人で飲んでたの。
そしたら男の人が1人で入ってきて…。
お前が津山か?
(マツコの声)津山さんを外に連れ出したの。
男が?
(マツコの声)どうも千春さん近くの空き地で2人がいるとこを見たらしいのよ。
それから千春さん店に入ってきて青い顔して…。
気になるなぁ。
津山を呼び出した男っていうのが…。
ええ。
それに千春さんが父親じゃないかって思った運転士本当に違ったんだろうか?…え?もしその運転士が本当に千春さんの父親で今度の事件にかかわってたとしたら…。
千春さんはそれをかばって…。
ありがとうございました。
杉本さん?事件のことが気になって警察に…。
千春さんが警察に自首したそうだ。
千春さんが?おっ…。
嶋田さんにかけ合ってやっと有休もらった。
行こう。
急いで。
次のしおさい号は40分発よ。
ああっ…。
15年前?ええ。
15年前15歳のセーラー服の少女が毎日銚子電鉄の車両に乗って運転士を見てたそんな記憶がある人はいないかと…。
いないみたいだね。
第一15年前から運転士してるやつなんか…。
あっ1人いた。
誰ですか?その人。
岩村さんだよ。
岩村哲雄。
岩村哲雄?この人だよ。
この人だ!15年前から運転士してるやつなんか…。
この人だよ。
この人だ!この人なんだ!あの千春さんに渡った袋の中の写真の男の人って。
ずっと若い顔だったけど間違いない。
岩村さんだったんだ…。
あの岩村さん今日は?今日は…確か非番だったな。
え?ファクス?ええ。
それを持ってあのマツコさんのところに行ってもらえませんか?ええもうすぐにファクスしますから。
マツコさんに?あそうですかハハハ…。
あいやいやそういう落とし物は届いておりませんですよ。
ええ…。
いやいやほんとに…届いておりませんよ。

(ノック)
(ノック)この右から2番目の男なんだそうだよ。
千春さんが店に出る前に津山を呼び出した男ってのは。
(マツコ)この人よ!間違いない!この男よ!あそう…あの間違いないのね?あそうか…。
江利子のどこを刺したんだって?ですからここを…。
どうやって?だからこう…。
もうなんで何度も何度も同じことをやらせるんですか!あんたの言ってることと違うんだな…。
江利子はな胸を刺されて死んだんだ。
そ…それは気が動転してて…。
どこをどう刺したかなんて…。
(野々村)栗本さん電話が入ってます。
ああ。
はい栗本です。
(ボイスチェンジャーの声)「2つの殺人事件の犯人は女じゃない男だ」「犯人は岩村って男だ」何…岩村!?岩村哲雄さん見かけませんでしたか?あのちょっとお伺いしたいんですけど今日岩村哲雄さん見かけませんでした?いやあ見てねえな。
岩村さん!岩村さんですね?
(岩村哲雄)誰だ?あんたら。
千春さんの知り合いの者です。
知らんなそんな女。
知らないはずはない。
あなたの娘さんです。
頭おかしいのかあんたら。
ねぇ話してくださいほんとのことを!あなた今度の事件にかかわってるんじゃないですか?だから千春さんはあなたをかばって…。
しつこいぞ!認めないんですか?千春さんが娘さんだと証拠もあるんです。
うるさい!岩村さん!なんで千春さんを捨てたんだ!?そのために…そのために千春さんは…!
(栗本)岩村!話を聞かせてもらおうか。
さっき署に匿名の電話がかかった。
2つの事件の犯人はお前だと言って切れた。
何?何バカなこと言ってんだ栗本…。
俺じゃねえ!俺じゃねえよ!
(野々村)おとなしくしろ岩村!岩村詳しい話は署で聞かせてもらおう。
もう何を言っても無駄か…。
岩村…。
栗本…俺だよ。
俺が真鍋江利子と津山って男をやったんだ。
動機はなんだ?真鍋江利子は俺が父親の真鍋を殺したことを知ってたからだ。
真鍋を殺した?理由はたいしたことじゃねえ。
(岩村の声)昔から気に入らない男だったし金銭トラブルもあった。
だから15年前俺はとっさに逃げた。
江利子は俺が真鍋を呼び出したことを知ってた。
俺が殺したことも…。
黙っててやるって…金をくれれば黙っててやるって。
怖い女だ。
金を要求してきたんだ。
でお前は金を渡したのか?
(岩村の声)そうだ。
毎月15万決まった額をな。
だが江利子はまとまった金を要求してきたんだ。
俺が江利子に金を送り続けてることも俺が江利子を殺したことも津山って男は全部知ってた。
(岩村の声)目ざわりな男だった。
だからあいつも…。
そういうことだ。
すべては15年前の真鍋のことから起きたこと…。
そう言いたいのか?ああ。
岩村あの時…15年前も俺はあの石段の上を調べた。
逃げる男が目撃されてた。
お前に似てるという証言もあった。
じゃあなんで捕まえなかった?真鍋は酒を飲んでいた。
多量のアルコールが検出されたよ。
石段の上には滑った跡だけがあった。
岩村…あれは事故だ。
栗本さんの高校の同級生?うんうちの亭主と岩村さんと真鍋さんはね。
真鍋さんも?岩村さんと真鍋さんは大親友だったってうちのが言ってたけどねぇ。
岩村さんってどういう人ですか?いい人だあよ〜。
頑固だけど優しくて。
でも前科があったよ。
えっ!?傷害と殺人。
えっ…!?でも2つとも実は訳があるんだってうちのが言ってた。
でも岩村さんは言い訳しねえ。
そういう人だあだよ。
そう…ですか。
望月さん。
確かにここのお守りだって。
30年も前のを持ってるんですかって驚かれちゃった。
うん…。
何か気になってるの?岩村さんは自分がやったと自供してる。
でも千春さんのお姉さんの殺害現場でも津山の殺害現場でも逃げる女が目撃されてる。
女…。
やっぱり千春さんが?望月さん?銚子縮のストラップのお守り…。
あっ!大丈夫ですか?血…血!?僕がぶつかったせいで…。
違います…大丈夫ですから。
あ待ってください。
これあの落とし物…。
すいません。
あの時の携帯の先に付いてたのはここのお守りのストラップだった。
それも古いものじゃなかった。
なんで今まで気がつかなかったんだ…。
杉本さんの婚約者…しかも奈津子って人と僕がぶつかったのは東京駅の総武地下2番線ホームの出口付近だったんだ。
総武地下2番線って…。
銚子への発着ホーム?あれは千春さんの姉さんが殺された翌日だった!えっ?ちょっと…どこ行くの!?11月11日にお泊まりの女性ですか?特徴は黒と白のチェックのワンピースを着てた…。
ええお泊まりでした。
覚えてます。
やっぱり…。
1人で?ええお1人でした。
どういうことなんですか?病院にいきなり電話してきて…。
大体あなたは?東京駅お忘れ物預り所の望月と…。
村尾です。
その預り所の人がなんなんですか?千春さんが真鍋江利子さんを殺し津山って男も殺害したと自首してます。
でも自分がやったと自供してる人もいます。
じゃあ彼女は無実なんですね!でも2つの殺人事件の現場からは逃げる女の人が目撃されてるんです。
女?ええ。
女の人…。
君!まさか奈津子さんを疑ってるんじゃ…。
本当のことを教えてもらえませんか?あなたがなんで私を疑うのか…。
第一私は銚子になんか来たこともありません。
今度が初めてです。
だったらなんで…この神社のお守りを持ってるんですか?あなたは渡海神社に行っている。
あなたの携帯に付いている銚子縮のお守りです。
何をバカな…!待って!携帯…見せてもらえますか?なんで私がそんなこと…。
僕と東京駅の構内でぶつかった時あなたのワンピースに血が付いてました。
あなたは慌ててそれを隠そうとした。
それって真鍋江利子さんを殺害した時の返り血じゃないんですか?なぎさホテルでも江利子さんが殺害された日にチェックインした女性を覚えているそうです。
黒と白のチェックのワンピース…。
理由はなんですか?私が真鍋江利子さんを殺す理由は…。
杉本さんは江利子さんに脅されてた。
江利子さんの要求をのまなければ江利子さんは騒ぎだす。
式に乗り込むとまで言った。
そうなれば杉本さんに傷がつく。
悪い噂が彼を包む。
あなたはそれを阻止したかった。
杉本さんを誰よりも愛しているから。
奈津子さん…本当のこと言ってください。
(波の音)あなたの言うとおりです。
真鍋江利子が騒げば杉本さんに傷がつく。
彼を愛してました。
杉本さんを失いたくなかった。
彼が千春さんのこと好きだと知っても自分を…気持ちを…抑えられなかった。
江利子さんには私が1千万を払うと言いました。
(奈津子の声)だから私はお寺に先回りして…。
その場を逃げた。
でも怖くて…怖くてホテルに入ってじっと息を潜めてました。
翌日になってやっと外に出て…。
そして東京駅であなたと…。
津山のことは?津山は最初から私の犯行だと気づいてました。
病院にやって来たんです。
江利子があんたに銚子に呼び出されたのは知ってるんだ。
だから俺は警察に千春がやったって言ったんだよ。
あんたを助けたくてさ。
わかんだろ?金だよ。
(奈津子の声)津山は恩着せがましく私をゆすった。
(奈津子の声)だから私はこの崖の上に津山を呼び出して…。
うわ…!?うわあー…!
(奈津子の声)仕方がなかったんです…。
ごめん。
あなたの本当の落とし物です。
千春さんあの袋を出してくれませんか?あれは岩村さんの落とし物です。
すり切れてますね。
何度も何度も繰り返しあなたは見てた。
毎日見てたんですね。
この2つの落とし物は同じ日に落とされたんです。
全く同じ日に同じお守り袋が。
きずな…ですかね。
親子のきずなは断ち切れない。
それが父と子のつながりです。
この渡海神社の綿津見の神が岩村さんと千春さんを見捨てなかった。
千春さんは僕が間違えてお守り袋を渡して中の写真を見た時すぐに岩村さんが父親だと気づいたんですか?確信はありませんでした。
でも津山さんが殺される前の晩に店の近くの路地で…。
許さんぞ!
(千春の声)この人と津山さんが争うのを見たんです。
父親だ千春の。
(津山)何?千春は俺の実の娘だ。
俺の命だ。
(岩村)千春に近づくな。
近づいたら殺すぞ。
この人のことを覚えていました。
あの銚子電鉄で私がいつも見ていた人。
写真で…母の隣で笑顔を見せていた人。
この人が私の父親だったんだ。
そう思いました。
昔俺は醤油造りの職人だったんだ。
(岩村の声)親方の娘がいて名前は幸子。
(岩村の声)俺は惚れた。
(岩村の声)幸子も俺を好いてくれた。
ある日渡海神社でお守りの袋を2つ買った。
1つは幸子に1つは俺に。
銚子縮のお揃いの袋に入れた。
そして幸子の手に握らせた。
2人の幸せを祈って。
幸子は喜んでくれた。
だが酔った連中が俺に絡んできた。
派手なケンカになった…。
それで傷害の前科が?ああ。
あとでわかったんだが俺たちの仲を許さない親方の差し金だったと…。
でも幸子は俺の出所を待っててくれた。
2人は逃げるように銚子から駆け落ちした。
小さな家で幸せだった。
で幸子は身ごもった。
そして千春さんは生まれた。
(岩村の声)だが幸子は子供の頃から心臓に持病を持ってたんだ。
(岩村の声)千春が2歳の時だ。
幸子は…死んだ。
荒れたよ。
べろべろに飲んでやけになって酔っ払って…。
その時ケンカして突き飛ばした相手が死んじまって…。
あとで栗本に言われたよ。
相手は包丁を持ち出したんだ…。
お前は正当防衛なんだ!岩村!
(岩村の声)でも俺の中には幸子への思いしかなかった。
(岩村の声)あとはどうでもよかった。
殺したのは俺だ。
俺が幸子を…殺したんだ…!捕まる前に千春のことを考えた。
そう親友の真鍋に…あいつに預けよう。
(岩村)あいつに面倒を見てもらおう。
(岩村)そう思った。

(岩村)「汽車汽車ポッポポッポ」
(岩村)「シュッポシュッポシュッポッポ」「僕らをのせてシュッポシュッポシュッポッポ」
(岩村の声)真鍋には毎月千春のために金を送り続けた。
(岩村の声)早く出所して千春に会いたかった。
(岩村の声)千春に会って俺が父親だって名乗りたかった。
だが真鍋に言われたんだ。
何を?何を真鍋は…?人を殺した人間が父親だと名乗れるか?千春のことを考えろ。
(岩村の声)真鍋の言うとおりだと思った。
名乗れない。
今父と名乗るわけにはいかない。
俺は保護司の紹介で銚子電鉄の整備士になった。
やがて仕事ぶりが認められて運転士になった。
夢だったんだ。
えっ?運転士になればいつか千春が電車に乗ってくるかもしれない。
(岩村の声)夢がかなって千春が俺の電車に乗ってくるようになったんだ。
だが千春の顔を見て驚いた。
もしや真鍋は千春を虐待してるんじゃないだろうかって。
居ても立ってもいられず…。
虐待?ふざけるな!金増やしてくれよ。
それとも千春に言ってやろうか?お前の父親はお前を捨てただけじゃない。
人を殺したんだって。
(真鍋)ううっ!なっ…なんだよ。
(真鍋)うわぁっ!それが15年前の真相だったんですか?
(岩村)その後千春は江利子と東京に出た。
(岩村)俺は今度は江利子に送金し続けた。
(岩村)時々東京で千春の様子を見た。
それで杉本って医者のことを知った。
杉本に縁談があることも。
(岩村)奈津子って女のことも。
だから今度の事件は千春さんの犯行だと思った…。
そうです。
でも千春さんは岩村さんが犯人だと思った。
あなたが津山を殺害したと思い込んで実の父親を守るため自首した。
殺したいほど憎んだはずの実の父親があなたと知ってあれほど憎んだのに千春さんは最後はあなたを救おうとした。
私は…。
岩村さんは岩村さんでわざと警察に捕まるように電話までして逮捕された。
本当の親子だから。
それが父と娘のつながりでは?誰かが切断しようとしても絶対にそのつながりは切れるものではありません。
千春さんは15年前の銚子電鉄の中で岩村さんが父親なんじゃないかとにらみつけたと…。
ほんとは違いますよね?あなたはやっぱり岩村さんが父親であってくれと願ってた。
捨てられてなんかないと思いたかった。
あの電車の中で岩村さんを見ていたあなたは本当はその胸に飛び込みたかったはずだ!「シュッポシュッポシュッポッポ」望月さん…。
あなたは忘れ物なんかじゃない。
あなたのお父さんはあなたのために生きてきたんです。
そうですよね?岩村さん。
千春さんあきらめ癖はもうやめたほうがいい。
ずっと見守っていた人がいたんだから。
あなたはお父さんに一度も忘れられたことなんかなかったんだ。
俺はあの時心底言いたかった。
俺が父親だと…。
でも言えなかった。
それを今までずっと悔やんで生きてきた。
あの日にもう一度戻りませんか?2人の落とし物を拾いに。
そうよもう一度あの日に。

(千春の声)「汽車汽車ポッポポッポ」「シュッポシュッポシュッポッポ」
(岩村の声)「シュッポシュッポシュッポッポ」「僕らをのせてシュッポシュッポシュッポッポ」
(岩村)「はやいぞはやいぞ窓のそと」ここでみんなで電車ごっこやろう!そうね!やりましょう。
ほら!千春さんも。
手をかけて。
右手もちゃんとかけて。
岩村さんも両手を僕の肩にかけてくださいよ。
ねっ!さあいきますよ。
(望月・村尾)さあ!「電車電車ポッポポッポ」「シュッポッシュッポシュッポッポ」ねぇねぇ…望月さん望月さん!ねぇ望月さん!んっ?電車じゃなくて汽車じゃないの?いいの!電車で。
「電車電車ポッポポッポ」「シュッポシュッポシュッポッポ」「僕らを…」父さん…父さんの背中あったかい。
千春…。
またぬれ煎餅かい?そろそろ飽きてきたなあ。
すいません急な有休のほんのお詫びです。
ありがとうございます。
村尾君まで…。
じゃあありがたくいただきますね。
これやっぱうまいっすね。
(満江)幸平君。
はい!今度のことで幸平君の有休は再来年の分まで使い切っちゃったから。
えっ?再来年?あっちゃー…。
助役さあそう固いこと言わないで。
このぬれ煎餅みたいにねやわらかくしっとりと…。
大体あんたがちゃんと監督してないからこうなるんでしょ?ちょっちょっ…。
まあまあまあ…。
(女性)すいませーん。
はいはいはい!
(女性)携帯を落としました。
携帯?携帯を落とした?えーとどんな携帯でしょうか?2015/05/07(木) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
東京駅お忘れ物預り所4[再][字]

全長6400メートル銚子電鉄殺人ルート!!すり替ったお守り袋に15年間の殺意の秘密!

詳細情報
◇番組内容
高嶋政伸主演!大好評“お忘れ物預り所”シリーズの第4弾!今回の舞台は、全長6400メートルのローカル線“銚子電鉄”東京駅遺失物係の幸平たちのもとに、形見のお守り袋を落としたという女性・千春が現れた。だが、千春の姉が銚子で刺殺され、彼女に容疑が…
◇出演者
高嶋政伸、櫻井淳子、北村総一朗、高橋ひとみ、前田健、高野志穂、下條アトム、渡辺哲、遠野なぎこ、田中実、大島蓉子 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32723(0x7FD3)
TransportStreamID:32723(0x7FD3)
ServiceID:2072(0x0818)
EventID:27252(0x6A74)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: