朴槿恵(パク・クンヘ)大統領はファッション・スタイルにもその政治的メッセージを込めている。ファッション要素の中では色よりもスタイルの方に深いメッセージが込められている。朴大統領が就任式の時に着ていたカーキのミリタリー・スタイル(軍服スタイル)は国防に強い女性大統領というメッセージを伝えようとしたものだ。また、女性大統領として国防に弱いだろうという見方を一掃しようと、儀仗(ぎじょう)隊の敬礼に対し挙手敬礼で応えた。こうしたファッションや行動が強い女性大統領というメッセージを発信している。
朴大統領のファッション・スタイルを分析してみよう。
朴大統領のファッションはとても単調で一貫したスタイルがある。襟をきっちり立てたスタンド・カラー(立襟)、上着の丈が長いロング・ジャケット、Aライン・ジャケットなどが朴大統領ならではのスタイルだ。朴大統領はなせそうした一貫性のあるスタイルを好んで着ているのだろうか。2つの観点から分析してみた。
第1に朴大統領は自身のファッション・スタイルに両親のスタイルを取り入れているということだ。朴大統領のファッション・スタイルの方程式は、父親・朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の軍服スタイルと、母親・陸英修(ユク・ヨンス)夫人の韓服(韓国の伝統衣装)スタイルを合わせたものだ。朴大統領が最も好んで着るジャケットの襟は、父親・朴元大統領が着ていた軍服の立襟と似ている。Aラインのロング・ジャケットは母親・陸夫人が着ていた韓服のシルエットの縮小版だ。
韓国をの大手検索サイトのトップページに出るプロフィール写真を見ただけでも、朴大統領のメッセージが伝わってくる。青のジャケットは政治家として最高の徳である信頼のメッセージが、立襟には軍服を着た朴元大統領が、ヘアスタイルには陸英修夫人が重なる。したがって、朴大統領のファッション・スタイルは父親のスタイルと母親のスタイルの融合なのだ。
第2に、原則と所信を守る朴大統領の政治哲学が込められている。原則とは一貫して守らるべき基本的な規則のことだ。朴大統領はこのメッセージを強調するため、一貫性のあるスタイルを守り、スタイルの単調さをさまざまな色づかいで補っている。