訪日外国人の急増で関西のホテル稼働率が高止まりし、宿泊代が高騰している。急激な需要増に各社は1室に宿泊できる人数を増やして対応するほか、開業も増えてきた。一方で、浮き沈みが激しい外国人特需への依存を危険視する声も上がっており、固定客を離さない工夫も求められている。(田村慶子)
中華圏の旧正月「春節」に中国人観光客らが押し寄せ、通常は閑散期の2月にもかかわらず、関西のホテルは沸きに沸いた。これに続く花見シーズンの到来で、3〜4月も大阪市内のホテルはどこも満室。国内のビジネス客が満足に予約を取れないほどの盛況ぶりとなった。
「予約がまったく取れないと出張でお越しの国内のお客さまにお叱りを受ける。心苦しい限りです」
大阪・梅田のランドマーク「マルビル」にある大阪第一ホテルの巽智弘宿泊部長は、こう打ち明ける。
それもそのはず、1〜3月の平均宿泊稼働率は98%とほぼ満室。いまや月初めの時点で、その月の8割方が埋まってしまう同ホテルでは、早くても1〜2週間前に予約するビジネス客に部屋を提供できないでいる。
こうした国内のビジネス客の宿泊難問題に応じるため、活発化しているのが1室当たりの宿泊人数を増やす動きだ。
大阪第一ホテルは3月、ツインルームにソファベッドを入れ全460室の4分の1を3人泊まれるトリプル仕様にした。同じく高稼働が続く帝国ホテル大阪(大阪市北区)も、簡単にツイン仕様に2分割できる特殊なダブルベッドの客室を4〜6月に2倍以上に増やしている。
狙いは「カップルか1人利用に限定されがちなダブルルームを減らし、効率よく稼働させる」(帝国ホテル大阪)こと。団体旅行の多い外国人客の相部屋率が上がれば、1人利用がほとんどの国内のビジネス客に提供できるシングルルームが増える。もちろん1室に泊まる人数が増えれば客室単価も上がり、利益も追求できるという発想だ。
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