6人生デザイン U−29「畜産農家」 2015.05.11


今回の「U−29」。
主人公は牛を引っ張るこちらの女性。
おっありゃりゃ引っ張られてる。
大丈夫?仕事は将来肉牛となる子牛を育てる事。
この日は全国の畜産農家が集まる競り。
産まれて9か月の子牛を売りに出します。
値段は…64万5,000円!高値がつきました。
子牛は育て方一つでも値段は大きく変わります。
怜成さんたちは1年で80頭…畜産って実はビッグビジネスなんです。
1年前までフリーターだった怜成さん。
いやいやいや違うんです。
彼女の人生を変えたのはぶっちゃけ牛だったんです。
日本屈指の畜産地帯宮崎県都城市。
怜成さんが働くのは160頭の牛を飼う大規模な牛舎です。
牛舎を経営するのは…子牛を育てて出荷する繁殖農家です。
これまで1人暮らしだった行久さんの下で1年前から働き始めたのが孫娘の怜成さん。
畜産の知識も経験もゼロ。
全くの素人でした。
この日は牛の爪切りを教わります。
(怜成)10点!?いや〜なかなか厳しい師匠ですね。
実は行久さん都城でも一二を争うすご腕の持ち主です。
自宅に飾られたトロフィーはなんと100本以上。
行久さんはよい母牛を見抜く目利きです。
これと見込んだ母牛に血統のよい牛を掛け合わせて子牛を産ませます。
その掛け合わせ方が畜産農家の腕の見せどころ。
更にその子牛たちを大きく育てるため餌にもこだわります。
牛が好む牧草を徹底的に研究。
選び抜いた品種を東京ドーム2.8個分の巨大な畑を使って自分たちで全て栽培します。
飼っている牛は全部で160頭。
行久さんと怜成さんのたった2人で品質管理をしています。
怜成さんは子牛60頭の世話を担当。
競りでは子牛1頭平均50万円前後。
でもいい牛なら100万円を超える事もあります。
どうですかね〜。
そこで徹底しているのが体調管理。
下痢の牛がいないか一頭一頭チェックします。
ここをこう…トントントントンって小突くとうんちをするはずなんですけど。
下痢じゃなければ出てこないんですよ。
でも下痢だとこっからうんちがピャ〜ッて出るんですけど。
下痢の子牛を発見。
いくよ。
子牛にとって下痢や風邪などの病気は大敵。
餌を食べる量が減り出荷までの間に十分太らせる事ができなくなるからです。
おいしくないね〜。
頑張れ頑張れ。
牛の世話に休みの日はありません。
1年前まで想像もしていなかった生活です。
怜成さんは畜産を始めた1年前から行久さんと2人で暮らしています。
行久さんは父方のおじいちゃんですが一緒に暮らすのは初めて。
食事の支度などの家事は全て怜成さんが担当します。
怜成さんのお父さんの仕事は運送業。
行久さんはこれまで一人で全ての牛を管理してきました。
子どもの頃はよく牛舎に遊びに来ていた怜成さん。
高校卒業後はずっとアルバイト生活を送っていました。
バイト時代の一番の夢はつきあっていた彼との結婚。
しかしその彼と3年つきあった末破局。
目標もなくただただアルバイトに明け暮れる毎日に次第に疑問を持つようになりました。
「何か違くね?」みたいな。
でも…そんな時声をかけたのがおじいちゃんの行久さん。
「ケガをしたから牛舎を手伝ってほしい」と頼まれいつの間にか畜産を始める事になっていました。
実は行久さん小さい頃から怜成さんは牛が好きな事に気付いていました。
牛を見る目は確かな行久さん。
これと見込んだ怜成さんは果たしていい後継ぎに育つのでしょうか?この日行久さんの留守中に一頭の牛が産気づきました。
急いで行久さんを呼び戻します。
繁殖農家の怜成さんたちにとって出産は一番大切な仕事。
しかし今の怜成さんには一人で子牛を産ませる事ができません。
実は行久さん母牛にしっかり餌をやり子牛をおなかの中でできるだけ大きく育てます。
その方が産まれたあとの成長がいいと考えているからです。
子牛は大きい分出産には細心の注意を払います。
この日も行久さんはすぐに帰ってきました。
手を入れて子牛の位置が正常か確認します。
行久さんは自分の手で2,000頭以上の子牛を取り上げてきました。
一番安全に出産できるタイミングを見極めます。
しかしこの日は異変が…。
普通は前足だけを確認できるはずですが3本目の脚があるのです。
双子かもしれません。
こういうふうにいる子牛と…安全を考え獣医師が呼ばれました。
診断の結果双子ではなく一頭の前足と後ろ足が絡んでいる事が分かりました。
(獣医師)はい引いて!はい!この牛舎でも初めてのケース。
子牛は無事なんでしょうか。
経験の少ない怜成さん。
ウンッ!引っ張れないもう!言われるがままにただただ子牛を引っ張ります。
格闘の末ようやく産まれました。
しかし息をしていません。
呼吸機能を刺激する注射がうたれます。
1分後無事に呼吸を始めました。
母牛が産む子牛は一年に1頭。
無事に産ませる事が大切です。
しかしほっとしたのもつかの間。
子牛に異変が現れました。
普通は半日ほどで立ち上がるはずの子牛が出産翌日になっても立ち上がらなかったのです。
再び獣医師を呼んだところ脚に変形が見つかりました。
ギプスで矯正を試みます。
なんとか立ち上がろうとする子牛。
しかし自分の力では立つ事ができません。
子牛は自分の脚で立ってしっかり餌を食べられるようになる事が成長には不可欠です。
ギプスで固定した状態で2週間様子を見る事になりました。
5万円は生活費です。
そして半年に一度のボーナスは子牛1頭。
さすが畜産農家です。
休みは月に3日。
でも仕事は行久さんのペースなのでなかなか休みがもらえないのが悩みです。
この日は月に一度怜成さんが楽しみにしている日。
仕事が終わり車を走らせます。
これからもみんな幸せに頑張っていきましょう。
それでは乾杯!
(一同)乾杯!集まったのは同世代の畜産農家の跡取りたち。
通称…行久さん以外から畜産の話を聞ける貴重な機会です。
この中で160頭もの牛をおじいちゃんの行久さんとたった2人で見ているのは怜成さんだけです。
これまで行久さんの言うとおりに働いてきた怜成さん。
自分なりの働き方と牛舎の将来を意識するようになりました。
「長く続けるためにもきちんと休みが欲しい」。
仕事が終わったある夜怜成さんは行久さんに不満をぶつけました。
怜成さんちょっと言い過ぎたかもしれません。
うそ〜。
うち何かすげえ肩凝ったんだけど。
今年77歳になる行久さん。
怜成さんとの年の差は50歳。
考え方も違う孫娘に本当に自分の牛舎を託せるのでしょうか。
(牛の鳴き声)子牛の脚に変形が見つかってから2週間がたとうとしていました。
しかし子牛は一向に立ち上がる気配を見せません。
ミルクを飲む量も減ってきていました。
立ち上がらない子牛をどうするか判断が迫られていました。
行久さんが獣医師に連絡。
ある決断を下しました。
ごめんね。
これ以上の成長は見込めない。
子牛に薬物が投与されました。
怜成さんにとって初めて目の前で決断された子牛の死でした。
つらいっすね。
ハハ…。
毎年90頭産まれる子牛のうち5頭ほどは事故や病気が原因で命を落とします。
つらい選択を迫られる命もあります。
畜産農家である限り避けられない死です。
行久さんと過ごしたこの1年。
いつの間にか怜成さんは畜産農家としての道を歩み始めていました。
今年に入って28頭目の牛の出産が始まっていました。
この日初めて行久さんは怜成さんに出産のタイミングを見極める大役を任せました。
(行久)ず〜っと頭の上に手をやっちょかな。
どこに頭があるけ?どこに頭があるんだ?
(行久)そこにあっとよ。
これか!あった!
(鳴き声)
(行久)頭の上まで手を入れんといかんだぞ。
入れたか?入れたか?入んないよ〜!
(行久)入れたか?
(鳴き声)
(鳴き声)う〜ん!う〜ん!よいしょ!よっこいしょ!産まれました。
怜成さんが取り上げた初めての子牛です。
女の子でした。
出産から1時間。
優秀ですね。
子牛は自分の力で立ち上がりました。
怜成さんもまた畜産農家として自分の力で立ち上がろうとしています。
おお〜!フフフフ。
そんな怜成さんに最後に質問です。
そうなんですよ。
2015/05/11(月) 19:25〜19:50
NHKEテレ1大阪
人生デザイン U−29「畜産農家」[字]

主人公は宮崎県の畜産農家・田中怜成さん(26)。高校卒業後、恋人との結婚を夢見てアルバイト生活をしていたが、ひょんなことから祖父と160頭の牛を育てることに。

詳細情報
番組内容
主人公は宮崎県の畜産農家・田中怜成さん(26)。高校卒業後、恋人との結婚を夢見てアルバイト生活をしていたが、破局。何か打ち込める仕事を探そうとしていた時に怜成さんに声をかけたのが、ベテラン畜産農家の祖父だった。早朝から160頭の牛の世話に追われる日々。休みはほとんどない。だが怜成さんは祖父と一緒に働くなかで、アルバイトでは感じることができなかったやりがいと農家としての祖父の偉大さを感じ始めている。
出演者
【語り】松坂桃李

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

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