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 大阪市をなくして五つの特別区を設けるいわゆる「大阪都構想」をめぐり、報道各社の世論調査で反対が賛成を上回った。都構想を推進する大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長は11日、反対意見が強い女性を意識した演説を強化。17日の住民投票に向け、反対派は油断を戒めている。

 朝日新聞社と朝日放送(ABC)が9、10両日に行った大阪市民対象の電話世論調査では、都構想に「賛成」が33%、「反対」が43%だった。男女別では男性が賛成39%、反対41%と拮抗(きっこう)したが、女性は賛成27%、反対44%と賛否の差が大きく開いた。

 橋下氏は11日に大阪市内で行った街頭演説で「女性に超不人気」と認めたうえで、「『大阪の発展』を男性陣は考えてくれているんだろう。組織の合併ということも何となく頭に入っている。しかし、女性になかなかうまく伝わりにくい」と分析。「医療・教育・福祉をちゃんと充実させていくためにも、今の大阪市役所をもう一度作り直していきたい」とアピールした。

 反対派が「住民サービスが低下する」と批判していることから、維新幹事長の松井一郎大阪府知事は記者団に「(反対派は)不安をあおっており、打ち消すには5倍、10倍の力がいる。組織力の差が出ているのかもしれない」と語った。

 一方、反対派は「差はわずか」と見て警戒する。

 自民党支持層では賛成22%、反対61%で、都構想に一定の支持があった。自民党の柳本顕・大阪市議団幹事長は11日の集会で「なかなかしんどい。自民党も頑張らないといけない」と厳しい表情を崩さなかった。

 自民党の宗清皇一衆院議員は取材に「昨年12月の衆院選でも終盤に追い上げられた。簡単にひっくり返される差だ」と指摘。共産党大阪府委員会の柳利昭副委員長も「1週間で逆転される危険がある」と語った。

 10日に大阪市中心部で行われた反対派の演説会では、自民、民主、共産3党の国会議員がそろい踏みした。民主党府連の幹部は11日午前、大阪市内で協議し、既成政党色を出したことに「評判が悪い」として軌道修正を検討。公明党府本部幹部は「橋下氏の泣きが入ったら世の中の雰囲気が変わるかもしれない。油断せず、一票でも反対票を増やすしかない」と気を引き締めた。