4日曜美術館 アートシーン ▽“マグリット”展 ほか 2015.05.10


ただじっと空中に浮かぶ紳士たち。
奇怪な女性像。
閉ざされた室内の不思議なオブジェ。
超現実的な絵画を描いたのが20世紀美術の巨匠ルネ・マグリット。
シュルレアリスムの画家マグリットの作品およそ130点を集めた展覧会です。
1898年ベルギーに生まれたマグリットはブリュッセルの美術学校を卒業し画家の道を目指します。
初期の作品にはアールデコなど当時の新しい絵画の動向に目を向けています。
マグリットをシュルレアリスムに向かわせたのはその先駆者ジョルジョ・デ・キリコの絵との出会いでした。
その影響を経て独自のシュルレアリスムに挑戦した作品。
異質で無関係なものを組み合わせています。
夢の中の光景を思わせます。
1930年妻をモデルにし女性の体を分割して描いたこの作品が大きな反響を呼びます。
このころマグリットのシュルレアリスムのスタイルが確立されていきます。
マグリットの描く世界というのは一見するとすごく奇妙な見慣れないもののように見えますけども私たちの生活をつくり上げている約束事の編み目みたいなのを一旦バラバラにしてしまったらどういうふうにものが見えるかというそういったところを見せようとしたというところがあると思います。
第2次世界大戦。
マグリットの祖国ベルギーは戦火に見舞われました。
この時期マグリットの絵にも大きな変化が見られます。
強い色彩と荒いタッチで戦争に対する怒りの感情を表現しました。
大戦が終わりマグリットは再び自らの様式に回帰していきます。
戦後の作品には岩や石をモチーフにした作品も多く描かれ石の時代とも呼ばれました。
そこには世界の構造や前提が変容を遂げたイメージが見られます。
マグリットのテーマの一つ「見えるもの」と「見えないもの」との関係を表現した作品。
木の茂みと女性が前後を入れ替わった奇妙な空間関係。
暗い空に飛び立とうとする大きな鳥。
しかし鳥の中は美しい青空。
この対比がマグリットの求めた未来への普遍性を強く打ち出しています。
奈良の薬師寺に伝わる名品の数々を紹介します。
飛鳥・奈良時代に作られこの世に現れて人々を救う仏として古くから崇められてきました。
口元にはかすかに浮かべられた優しいほほ笑み。
ふだんは見られない背面の姿。
緩やかに立つ美しい形です。
今回奈良と東北を結ぶ2つの仏像が並べて展示されました。
一つは薬師寺の…もう一つは福島にある…とてもよく似ています。
現在は奈良と福島にあるものですがもともとは1対であったという説もあります。
さまざまな色彩をまとって今まさに舞い降りたかのような天女の姿。
天平美人の面影を伝えるというこの絵は日本絵画史を飾る名作です。
20世紀を代表するイギリスの陶芸家ルーシー・リー。
没後20年の展覧会です。
丸いボディーから伸びる細長い首。
そして大きく広がる口。
ろくろによって生み出される優雅なフォルム。
ルーシーならではの造形です。
鮮やかなピンクと細い高台から広がる朝顔型の鉢。
華やかな作品です。
胴部には線彫りし色土を埋め込んで文様を施しています。
赤い釉薬を施したシンプルなフォルム。
ウィーンに暮らした初期の作品として新たに発見されました。
東山魁夷杉山寧山辰雄の作品を展示した展覧会です。
東京オリンピックの年に日展で発表された…交錯する白い枝が夢幻的な雰囲気をもたらしています。
同じ年日展で杉山寧が発表した…砂を混ぜた絵の具を厚塗りし圧倒的な存在感を示しました。
山辰雄も同じ年の日展で偶然にも「穹」という作品を出展します。
大地を覆い尽くす群青の夜空とそこに浮かぶ月を描きました。
渡辺崋山とそのゆかりの画家たちの作品展です。
西洋的な陰影や遠近法で山水画を描いた画家渡辺崋山。
この作品は前景の複雑な海岸線と遠景の富士。
江戸近郊三浦半島を描いた作品と思われます。
崋山の弟子・福田半香の山水画。
崋山の次男・小華の花の図。
それぞれが独自の画風を確立しました。
ルネサンス時代の古典技法を用いて空間や時間を独自の視点で描く画家…川口は22歳でウィーンに渡り美術大学でヨーロッパ絵画の伝統的技法を習得しました。
その技法を使って画面に光を内包した幻想的な作風を確立してきました。
テンペラと油彩の両方を用いた混合技法です。
卵と白い顔料を練って出来たテンペラの白で形を描きます。
その上に油絵の具で色をのせて何度も重ねながら光の調子に奥行き感を持たせていくのです。
絵は二次元という言い方をよくしますけれども実際には三次元という「層」で作られてますよね。
入っていった光がテンペラの白のところで微妙に反射してくるとなると何層にも渡って入っていった光が戻ってくるような仕掛けというのを作っていくんですよ。
豊かな白とグレーの濃淡で鈍い光を放つ情景を描いた…水性のテンペラ絵の具と油絵の具を画面上で何層にも重ねて光を表現します。
その光の層の厚みが混合技法ならではの独特の色調を生み出します。
草一本一本丹念に描写された緑の草原。
そこに漂うかのように光り輝く白鳥。
白鳥の白はまるで呼吸しているようです。
室内を描いた作品も多くあります。
川口の目は日常の風景の中に光と影が現れる別の世界を見つめようとしています。
川口が描こうとする世界とはどのようなものなのでしょうか。
「見えないもの」は描きません。
ただ「見えている風景」は描きません。
つまり見えているものを使って見えてない風景を描きたいと思っています。
2015/05/10(日) 09:45〜10:00
NHKEテレ1大阪
日曜美術館 アートシーン ▽“マグリット”展 ほか[字]

「マグリット展」(国立新美術館 3月25日〜6月29日)ほか、展覧会情報

詳細情報
番組内容
「マグリット展」(国立新美術館 3月25日〜6月29日)ほか、展覧会情報
出演者
【司会】井浦新,伊東敏恵

ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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