山あいに2,200人が暮らす…65歳以上のお年寄りが人口の6割を占める高齢化率日本一の村です。
今月この村であるお祭りが復活しにぎわいが戻りました。
山里に春を告げる10万株のカタクリ。
みんなが待ち焦がれていたカタクリ祭りです。
(たたく音)祭りを中心となって復活させたのはこの男性。
人呼んでハチマキ王子。
うん分かった。
生まれ育ったふるさとのためなら何でもやる。
村の人たちの笑顔を見たい。
・「みしゃんせめでやんせ」ハチマキ王子が奔走する日々を追いました。
静かな村の中をエンジンをうならせて走る真っ赤な軽トラック。
(クラクション)おはようございます。
石井裕幸さん。
トレードマークはこのねじりハチマキです。
(クラクション)おはようございま〜す。
擦れ違う人や車みんなに挨拶。
村中の人が知り合いです。
石井さんは代々続くガス屋さん。
村の4割ほどの家庭にプロパンガスを届けています。
お客さんの多くはお年寄り。
みんな自分の子どものようにかわいがってくれます。
誰かにやればいいよ。
私余ってんだから。
あっそうなん?行く先々で体調を気遣いお手伝いも進んで引き受けます。
こんにちは!おばさんいる?おばさ〜ん。
どこ行っちゃった?この日約束していた84歳のおばあちゃんが家にいません。
ばあちゃん!さきちゃんいねえやね?・いねえいねえいねえ。
いねえ?来てねえ?・来てねえよ。
はいよ悪いね。
さきちゃん来てます?さきちゃんいる?いねえよ。
いねえ?どこ行ったんだべな。
子どもの頃ごはんを食べさせてくれたり叱ってくれたりした優しいおばさん。
どこ行った?心当たりを片っ端から探しました。
こんにちは!さきちゃんいる?さきちゃんいる?あっいた!裕幸来るなと思ってさ。
そうなん?全く…。
見つかって一安心。
ぶつけたかい?知らねえ。
年とともにかつての元気がなくなっていく村の人たち。
石井さんは今度は自分が支えていかなければと考えています。
大好きな人たちが暮らす大好きなふるさと。
なんとかみんなを笑顔にしたい。
カタクリ祭りについてというところで前回までですね…。
そこで目をつけたのがカタクリ祭り。
かつて村で毎年行われた一大イベントです。
雪が解けると村にいち早く彩りをもたらすカタクリの大群落。
カタクリ祭りは18年前に始まり毎年1万人以上の観光客が訪れました。
しかし高齢化とともに年々祭りの担い手が減り3年前を最後に途絶えてしまいました。
村の人たちが心待ちにしていた春のにぎわいを若手の力で復活させようというのです。
祭り3週間前。
カタクリがつぼみを見せ始めました。
てっちゃん腰が入ってないね。
遊歩道の整備が急ピッチで進められます。
集まった人数は50人余り。
かつて祭りを担ってきたお年寄りたちも参加してくれました。
あ〜疲れました。
通称まあちゃん。
祭りの復活を心から喜ぶ一人です。
まあちゃんは村中の人が知るカタクリじいさん。
独学でカタクリを研究し祭りではお客さんの案内役を進んで務めてきました。
突然歌い始めたのは昔祭りのために作られた歌。
まあちゃんの心の歌です。
・「めでやんせ」ってそういう…。
うまいやん。
あれなんだよ。
着々と進む準備作業。
その様子を反対側の斜面から見つめている人がいました。
かつて祭りを中心となって支えてきました。
お〜い!分かった分かった。
振ってる振ってる。
久しぶりの斜面のにぎわいに心躍らせる雄さん。
しかし…。
祭りの復活を見守ります。
村を盛り上げようと奔走する石井さん。
しかし自身も過疎の村の厳しい現実に向き合っています。
この日また一軒村の家のガスを取り外しました。
ここ10年でお客さんは100軒ほど減っています。
実は石井さん人口5万の近隣の町に暮らしています。
村の中だけでは仕事が成り立たず4年前家族と共に引っ越しました。
ただいま〜。
お帰り〜。
何やってた?3人の娘がいる石井さん。
じいちゃんの手伝いに行ってた。
子どもの教育も理由の一つでした。
村では石井さんのように外に出る若者が増えています。
この日のメンバーも6人中3人が村の外に住んでいます。
飲み会での話題は決まって村の事。
それぞれがもどかしい思いを抱えています。
祭り2週間前。
誰も予想していなかった出来事がありました。
カタクリのつぼみが根元から鹿に食べられてしまったのです。
カタクリじいさんのまあちゃん。
うわっこんなに。
ショックを隠せません。
村では人が減って野生の鹿が増え農作物が食べられる被害が相次いでいます。
僅かに残ったつぼみ。
これは絶対に守らなければ。
祭り復活の危機に大勢が駆けつけました。
地元のお年寄りも加わり力を貸してくれます。
思わぬ助っ人も登場しました。
村に暮らして2年の移住者がヤギを連れて参加してくれたのです。
ヤギのにおいで鹿を寄せつけないようにしようというねらいです。
こっち入っちゃ駄目なの。
あんたは。
あっちあっち。
(鳴き声)分かったメー!祭りを絶対に成功させたい。
みんなの結束が強まりました。
いよいよ祭り当日。
石井さんこの日のために用意した新品のタオルを巻きました。
う〜っしと。
あいにくの天気にもかかわらず次々と人が集まってきます。
この日を待ちかねていた地元のおばあちゃんたち。
よかったよ〜。
よかったよ出てきてもらって。
同じ村に暮らしながらなかなか会えない人たちです。
準備を重ねてきた仲間たち。
今日は裏方で頑張ります。
村の外からもたくさんの観光客がやって来ました。
こちらの斜面では何やら人が集まっていました。
祭りの人気者カタクリじいさんです。
いや〜とんでもないです。
この種一つ一つにアリが好むエライオソームという物質持ってるんです。
熱の籠もった話に大勢の人が聞き入ります。
お疲れさまです。
あっこんにちは。
どうも。
よかったのう。
よかった〜。
言われたかい。
ハハハハハ。
そして足が痛くて祭りには来られなかった雄さんも。
久しぶりのにぎわいを遠くから喜んでいました。
戻ってきた村の人たちの笑顔。
これからも守りたい。
ハチマキ王子はこの日決意を新たにしました。
高齢化率日本一の村に小さな希望が咲きました。
2015/05/10(日) 08:00〜08:25
NHK総合1・神戸
目撃!日本列島「ハチマキ王子 カタクリの里を守る〜群馬 南牧村〜」[字]
さびしくなったふるさとににぎわいを取り戻そうと、若手のリーダー“ハチマキ王子”が、人気者“カタクリじいさん”とタッグを組んで地域のお祭り復活に奔走する。
詳細情報
番組内容
65歳以上のお年寄りが59%を占める群馬県南牧村。お祭りや行事が姿を消し、にぎやかな笑い声が失われつつある。幼い頃から村中の人にお世話になってきた“ハチマキ王子”が守りたいのは、人々の温かい笑顔と優しさ。そのきっかけにしたいと、2年前に途絶えた「カタクリ祭り」復活に向けて動き始めた。祭りを生きがいにしてきた“カタクリじいさん”や地域のお年寄り、若い仲間を巻き込みながら前に進む姿を見つめる。
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
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