土曜ドラマ 64(ロクヨン)(4)「顔」 2015.05.09


(吠える声)・もしもし?みーちゃんどこに…。
もしもし?・娘を預かっている。
(諏訪)捜査一課の電話がつながらないんですって。
刑事部何やってるんですかね。
まさか雨宮さんにどうこうしたとは思わないけど。
広報官?・ちょっと分からないです。
はい…。
(電話を切る音)ちょっと何するんですか!
(三上)部長はどこだ?古巣がどうなってもいいのか?知りませんって。
参事官は?持ち場に帰れ三上。
知りません。
ほかの連中はどこ行ったんだ!広報官!捜査二課も鑑識も空っぽです。
刑事部が丸ごと消えた。
(芦田)部外者は通すなと言われてます。
誰が部外者だ!上に取り次げ!おい!籠城を現認したぞ!
(御倉)広報官に話があります。
何だ?報道協定の締結を要請して下さい。
誘拐事件が発生しました。
・娘を預かっている。
生きて返してほしければ明日の昼までに現金2,000万円を用意しろ。
・・さっき電話したサトウだ。
金は古い札にしろ。
丸越百貨店で売ってる一番大きなスーツケースに詰めろ。
明日指定する場所に1人で持ってこい。
(御倉)ホシはサトウを名乗り現金2,000万円を要求しています。
回想・社長?サトウさんという方から電話ありました。
(雨宮)サ…サトウさんですか?翔子を助けて下さい!お願いします!翔子を助けて下さい!お願いします!翔子を助けて下さい!お願いします!助けて下さい!お願いします!お願いします!お願いします!翔子〜!
(水に落ちる音)ロクヨンのホシが…戻ってきたのか…?・・
(呼び出し音)・「ただいま留守に…」。
(電話が切れる音)上の講堂に誘拐事件の特捜本部が置かれたという事だな?そうです。
詳しく話せ。
玄武市内の女子高生が誘拐されました。
女子高生?これを。
「自営業A主婦BC子」…。
すぐに報道協定を結んで下さい。
ばか言え。
これでどうしろというんだ。
向こうが取材を自粛するのはこっちが詳細な情報を可及的速やかに出す事が大前提なんだ。
御倉次席。
誘拐と告知すれば東京から何百人もマスコミや記者が押し寄せてきます。
それをこの紙だけで誘拐報道を仕切るのは不可能です。
そんな事は思ってませんよ。
必要な事は私が知ってる範囲で補足します。
よし。
ならまずは実名だ。
匿名は外せ。
被害者はどこの誰だ?名前は明かせません。
何!?
(諏訪)なぜ言えないんですか?誘拐報道の会見を匿名でやった捜査本部など過去に一つもありませんよ。
やむをえない措置です。
理由を言え!イタズラの可能性があるからです。
…娘の狂言だと考えてるのか?
(御倉)C子はいわゆる不良です。
金の無心や着替えを取りに帰る以外ほとんどうちに寄りつきません。
高校も籍があるだけで昼も夜も遊び仲間とほっつき歩いてるようです。
その遊び仲間と組んだとか唆されたとも…。
未成年者C子の名前を公表し結果狂言だったという事になれば取り返しがつきません。
刑事部長に会わせろ。
私が任されています。
私以外対応しません。
…なら自営業A主婦B子娘C子この家族が本当にいるという証拠を見せてみろ!そんな事はあなたたちには関係ない事だ。
何だと!?
(諏訪)ちょっちょっちょっ…。
はい三上だ。
どうした?ああ…。
匿名のままクラブに通告するんですか?そうだ。
一刻も早く仮協定を発効させろ。
いや…でも昨日の今日で匿名発表を復活させたら暴動が起きますって!一度与えてしまった権利を撤回するのは至難の業なんです。
諏訪。
撤回はしない。
実名で通す。
どうやって?「追って情報を出す」。
そう言って本協定へのレールを敷け。
はあ?俺が実名を取る。
それまで持ちこたえろ。
そんなの私には無理ですよ!やれ!娘の生き死にが懸かってるんだ!ちょっど…どちらへ?前線の玄武署だ。
記者たちは近づかせるな。
回想
(赤間)ロクヨンですよ。
ロクヨン?
(赤間)14年前昭和64年にこの県警で初めて起きた本格的な誘拐事件。
(犬の鳴き声)
(赤間)本格的な未解決事件と言うべきか。
(荒木田)この県警刑事部は東京の天領になるんだ。
それを長官はロクヨンのてこ入れ策としてその会見で表明する気だ。
そのための視察なんだよ。
刑事部は愛着のある職場でしょ?それをキャリアなんかに好き勝手させ…。
俺の職場はここだ。
キャリアにも刑事部にも好き勝手にはさせない。

(諏訪)「玄武市内における女子高生身代金目的誘拐容疑事件。
被害者玄武市内の自営業A49歳。
主婦B42歳。
長女C…」。
(宇津木)ふざけるなよ!実名を言え!実名で言えよおい!昨日の約束は私たちをだましただけだったんですか?
(諏訪)だからそうじゃないって言ってるじゃん。
はあ!?
(秋川)じゃあ広報官は?広報官はどこに逃げた?逃げてない。
いや…いいや…。
落ち着いて…。
(記者たちの怒声)はい三上です。
(石井)もしもし?誘拐というのは本当かね?事件が発生したのは事実です。
(ため息)
(石井)おい!そ…それじゃ長官が来られないじゃないか!そのとおりです…。
ロクヨンの亡霊がロクヨンの視察を潰す事になります。
(電話が切れる音)もしもし?
(不通音)あ…もしもし?三上?
(赤間のむせる声)フ〜。
ロクヨン以来だな。
もう14年ですね。
ホシの要求がロクヨンと似てるのは…。
(捜査員たちの話し声)しばらく家に帰れないな。
早く解決するといいですね。
おう。
無礼を承知でお待ちしてました。
ハハハッ!俺だとよく分かったな。
参事官の癖なら自分に移るぐらい知っていますから。
そんなブン屋みたいなまねをして何が聞きたい?被害者家族の実名を教えて下さい。
ハハッ!言えるか!刑事部がそんな態度では記者対応などできません。
本協定が結ばれなければマスコミがここにも押し寄せてきます。
警務として生きる事に決めたのか?いえ…。
警務のためでも本庁のためでもありません。
自分のため広報官がなすべき職務。
そうご理解下さい。
ハハッ…それでトイレか。
いえ。
たった今本部で奮闘中の部下を救いたく。
すまん。
下で済ましてくれ。
はい。
メサキ…マサト。
目薬の目長崎の崎。
正しい人と書いて正人。
49歳。
スポーツ用品店経営。
住所玄武市大田町2丁目246番地。
俺が言えるのはそこまでだ。
妻B子と誘拐されたC子の名前は?それは言えん。
なぜです?人間言える事と言えない事がある。
あとはお前らの仕事だ。
分かりました。
十分です。
ありがとうございました。
三上。
こっちの頼みも一つだけ聞いてくれんか?身代金の受け渡しは明日だ。
明日一日だけ美那子さんを貸してほしい。
一瞬だけ14年前…昭和64年に戻ってもらいたい。
誘拐事件が発生した。
(美那子)え?それで…松岡参事官がお前の力を借りたいって。
誰が…どんな人が誘拐されたの?17歳の女子高生だ。
嫌なら断っていい。
一向に構わないんだ。
回想・雨宮様?雨宮様いらっしゃいませんか?
(雨宮)はいはい。
私…私です。
もしもし?雨宮です。
はい…。
(無線)「本部から邀撃班。
四季遊園地に転進せよ。
繰り返す。
四季遊園地に急行せよ」。

(諏訪)名前ありがとうございました。
被害者は目崎歌澄か…。
一社残らず独自取材で入手済みですね。
おかげさまで本協定への見通しが立ちました。
会見場の方はどうなってる?県庁の会議室を蔵前がなんとか形にして押さえてます。
美雲は?
(美雲)4階会議室で11時からです。
この棟です。
(諏訪)地下駐車場で東京からのマスコミの車をさばいてます。
だいぶ来てるのか?
(諏訪)東京から100人以上押しかけてきてますね。
まだまだ来るでしょうけど。
11時から4階です。
会見スケジュールは?報道協定が締結次第当面は2時間置きで。
2時間置きの会見は無理だろう。
それなんですが…会見は主として落合捜査二課長が行うと。
二課長?ばか言え。
刑事部長も捜査一課長もとても出られる状況じゃないと刑事部がそう言ってきてます。
そんな畑違いのキャリアに質疑応答ができるか!受け付けお済みでない方こちらの方で受け付けております。
すいません。
受け付け済ませて下さいね。
(マイク・蔵前)あ…あ…あ…。
あ…。
ではどうぞ。
こちらからどうぞ。
お進み下さい。
前の方にお願いします。
ちょっ…押さない押さない…。
蔵前。
明日の長官視察はなしだ。
え?さっき正式に中止が決まった。
そうですか…。
うちの記者たちに伝えてくれ。
うち…ですか…。
何だ?いえ。
ここはもう東京一色ですからね。
どこにいるんだ?クラブの連中は。
ああ…そこに東洋がいます。
(蔵前)秋川さん。
明日の長官視察の件ですが中止になりました。
間もなくです。
すいません。
明日の長官視察ですが中止になりました。
え?では記者の皆さんどうぞ。
(記者たちの騒がしい声)こっちこっちこっちこっち!おおご苦労。
視察中止の件係長から聞きました。
各社に連絡中だ。
蔵前を手伝え。
はい。
それから俺は雨宮さんに連絡して謝る。
・お待ち下さい。
・おい何やってんだ…。
はい三上です。
(二渡)二渡だ。
事件の話は聞いた。
俺に手伝える事があれば言え。
何の用だ?思いどおりにいかなかったようだな。
長官視察は潰れた。
確かに誤算はあった…。
結果オーライだ。
「結果オーライ」?どういう負け惜しみだ?それより手伝える事はないか?・お前に用はない。
部屋の掃除でもしてろ。
(電話が切れる音)・
(不通音)
(電話のボタンを押す音)
(呼び出し音)
(雨宮)はい。
あ…夜分遅くにすいません。
県警の三上です。
先日お伺いしました。
(雨宮)ああ。
何でしょうか?あの…雨宮さん…。
端的に申し上げます。
当方が明日予定していた長官の視察ですが諸般の事情により中止になりました。
・ご報告が遅れて申し訳ありません。
では…誰もいらっしゃらないんですね?おわびの言葉もございません。
こちらの急なお願いを聞き届けて下さったのに…。
(雨宮)大丈夫ですか?え?
(雨宮)あなたは大丈夫ですか?悪い事ばかりじゃありませんよ。
きっといい事だってあります。
(電話を切る音)
(小声で)二課長。
あ…。
(小声で)中央です。
中央です。
え〜12月11日。
午後11時。
それでは報道協定に基づく玄武市内における身代金目的誘拐容疑事件の記者会見を始めます。
こちらは会見を担当する落合警視です。
協定中の会見が円滑に進行するよう皆さんのご協力をお願い致します。
それでは警視。
落合です。
よろしくお願い致します。
おい!何で二課長なんだ。
部長か一課長出せ!
(どよめき)おい!
(小声で)構いません。
続けて下さい。
よろしくお願い致します。
事件概要については既にお配りしてあるレジュメをご参照下さい。
え〜…「明日12日の正午までに身代金2,000万円を用意しろとの要求後現時点で事件および捜査に進展はありません。
初動捜査態勢は約600名。
被害者宅には5から7名の捜査員が入っており鋭意捜査中であります」。
以上です。
(記者たちの怒声)次回会見は…1時に…。
じ…次回会見は午前1時…。
事件概要を詳しくやって下さい!何です?これは!何の書き込みもなしか!何の肉づけ情報もゼロですか!私は何も…。
お願いしますよ!
(記者たちの怒声)県警記者クラブ幹事社東洋の秋川です。
お怒りはごもっとも。
かねてよりこの県警の広報姿勢には重大な問題があり事あるごとに当記者クラブが是正を求めているところであります!今回の会見においても言語道断!当クラブは即刻抗議し刑事部長あるいは一課長の会見を実現させます!抗議します!
(秋川)しかし!初回の会見がこのまま流れてしまってはあまりに不毛。
貴重な時間の浪費です。
そこで幹事社として提案します。
ここは一旦騒ぎを収め質疑応答に切り替える。
事件の基礎情報の上積みを図る。
各社いかがですか?異議なし!異議なし!
(拍手)では二課長。
はい。
今回の事件の捉え方からお願いします。
特捜本部は14年前の翔子ちゃん事件との関連についてどう考えていますか?
(落合)関連ですか…?脅迫電話の文言がそっくりでしょう!2つの事件に関連があると見ているのかないと見ているのかどっちです?それは…まだ何とも言えません。
関連性ありの根拠はないんですか?明日警察庁長官の慰問が行われる予定でしたよね?まだ分かりません。
(記者たちの怒声)これはあまりに大ざっぱで不出来だ!被害者の資産状況両親の職歴両親から行った聴取内容を詳しく教えて下さいよ!
(記者)答えて下さい!え〜…。
え〜それらの点についてはまだ報告があがってきておりません。
その後脅迫電話やそれに類する犯人側の動きはありませんか?それはありません。
初回と2回目脅迫電話の発信場所はどこですか?これには「県内」とだけ書かれてる!県内のどこです?携帯会社で確認済みでしょう。
私は承知しておりません。
ひどいぞ!時間の無駄だ!次だ次!いいよ次次!秋川!日頃サツにどんな教育してんだ?ちゃんと教育しとけよおい!しっかりやろうよ。
あと一点…あと一点!二課長!この事件は狂言誘拐ですか?
(記者)時間の無駄だって!落合さん!重要な事です!答えて下さい!特捜本部は本当に狂言誘拐だと見ているんですか?イエスか?ノーか?それはまだ分かりません。
分からないじゃ困る!あんたは特捜本部を代表してここに来てるんだ!答えろ!これは目崎歌澄の狂言なのか?え…?メサキ…カスミ…?
(記者たちの怒声)会見を終了する!次回会見は午前1時!どけ。
刑事部長に会わせろ!おい!あんなので会見になるか!質問に答えられるやつを出せ!荒木田部長はどこだ?部長は捜査指揮に専念しています。
中にいるのか?
(御倉)あなたは広報官の仕事に専念して下さい。
広報官の仕事でここにいる!お待たせしました。
よし!間もなく会見始まります。
急いで下さい。
(美雲)急いで席に着いて下さい。
間もなく会見再開します。
それでは会見を再開します。
警視。
(落合)「被害者の父Aの預貯金は約700万円。
市内のビル1階フロアを賃借してスポーツ用品店を経営」。
え〜「母B子は比較的裕福な農家の長女で職歴なし。
被害者C子の高校出席日数は1学期が13日」。
おい!実名で言えよ実名で!みんな分かってんだからさ!まどろっこしいですよ。
実名は公表できません。
「9日夜10時ごろヒョウ柄のコートを着て家を出たきり…」。
質問!質問!
(記者たちの怒声)被害者はかなり不良娘だって事ですよね?狂言の可能性もあると。
事件の前兆はあったんですか?
(記者)どうなんですか?そういう報告はあがってきておりません。
(井沢)じゃそこだけ聞いてきて下さいよ。
お願いします。
分かりました。
(記者)いい時間ですから急ぎませんか?急げ!ほらほら!走れ〜!走れよ!
(記者たちの怒声)「ドアが閉まります」。
こっちだこっち。
あ…。
お待たせしました。
よし。
急ぎましょう。
お待たせしました。
え〜事件の前兆についてですが何度か無言電話があったそうです。
(井沢)無言電話?それは何回?いつですか?えっと…。
しっかりして下さいよ!どうなんですか?いやそこまでは…。
(井沢)答えになってない!もう一度!は〜いもう一度!
(荒い息遣い)え〜…え〜無言電話についてですが10日ほど前です。
回数は分かりません。
番号は?「番号」?ナンバーディスプレーを見たのか?見てないのか?もう一度!榎本。
無言電話は公衆電話からだ。
御倉!いい加減にしろ!御倉!見てろよ。
絶対に刑事部長を引きずり出してやるから。
楽しみにしてます。
番号についてです。
(荒い息遣い)公衆電話でした。
無言電話があったのは何時ごろ?その日だけですか?何か背景音は?それは…。
(井沢)もう一度!はいもう一度!・・御倉。
会見を何だと思ってる?人命が懸かってるのはこっちも同じだ!御倉!大丈夫ですか?美雲開けて。
はい。
先ほどの質問に関してはまだ鋭意捜査中で分かりません。
そんな事も分からないのか!県警は十分な情報を公開していない!もう協定を破棄すべきだ!やってられるか!
(記者たち)そうだ!そうだ!待って下さい!皆さんがフリーに取材を始めたら女子高生の命に関わります。
(井沢)このままじゃあんたの命が危ないぞ!私はまだ大丈夫です。
まだやれます。
(井沢)だったらやり直せ!もう一度!はいもう一度!
(記者たちの怒声)・急げ急げ!
(荒い息遣い)水飲みますか?水?水です。
この県警はどうしちゃったんですか?おかしいでしょう。
こうまで情報を出し渋るのは。
広報官。
刑事部は何か隠してるんじゃないですか?俺にも分からんのだ…。
しっかりしてくれよ!たまんないよこんなの!悔しいんですよ!東京のやつらにやられっ放しで…。
うちの県警がばか呼ばわりされるのは耐えられません!悔しくてたまりません。
(すすり泣き)それでは会見を再開します。
間もなく再開します。
席に着いて下さい。
中にお入り下さい。
間もなく再開します。
大丈夫ですか?大丈夫です。
午前6時になりました。
会見を再開します。
え〜やっと脅迫電話の発信場所が分かりました。
2度とも玄武市内からでした。
玄武市内のどこですか?
(落合)それはまだ…。
(どよめき)
(井沢)半径3キロまで絞り込めるはずだろ!あんたまだ分からないのか?我々が求めてるのは具体的かつ正確な情報だ。
(記者たち)そうだ!もう一度!やり直し!
(記者たちの怒声)
(荒い息遣い)
(倒れ込む音)二課長!水持ってきて。
(記者)大丈夫か〜?もういいだろう!これじゃリンチだ。
おい!今何て言った?リンチだと?この名ばかり広報官!お前がこの事態を招いてるんだろうが!
(記者たち)そうだそうだ!もう29回も往復してるんです!一睡もせずに7時間も会見してるんです!こっちだって同じだ!
(記者たちの怒声)会見は中断する。
はあ!?次回会見は午前8時。
その間に事件に動きがあればペーパーを投げ込む!
(井沢)冗談は顔だけにしとけよ!事件の動きを何も知らない広報がどうやって事件が動いた事をペーパーにできるんだ?
(記者たち)そうだ!こんな低レベルな広報は初めてだ!
(井沢)それで?次はどうするんです?何がだ?そのキャリアが倒れたら会見はどなたがおやりになるんですか?しかるべき代役を立てる。
刑事部長だ!今ここで確約しろ!
(記者)そうだ確約しろ!医務室へ連れていけ。
行かすな!確約を取ってからだ!指一本触れるな!公務執行妨害でパクるぞ!粋がるなよ鬼瓦!我々はずっと我慢してきた。
そっちの言い分を信じ事情をくみ取り匿名の茶番劇も許してきた。
だがもう我慢の限界だ!ここの会見は会見として成立していない!こんなデタラメ看過できるか!
(記者たち)できない!だからこの場で決を採る!この異常事態を上級庁に訴える!その上で刑事局のしかるべき人間を特捜本部に据え報道対応を含め指揮監督させる!異議ないか!
(記者たち)異議なし!待て!今後は普通の会見をやる。
情報は全て出す。
それなら文句あるまい。
刑事部長を出すんだな?一課長を出す。
期待してますよ。

(諏訪)どうするんですか?一課長なんて…前線にいる松岡参事官を出すなんて不可能でしょう!何もしない訳にいかない。
俺はもう一度玄武署に行く。
捜査情報ぐらいは送れるかもしれんが時間はかかるだろう。
やれるか?大丈夫です。
行って下さい。
僕はまだやれます。
なんとか粘ってみますから。
諏訪。
はい。
警務課の二渡に協力を申し出るか?いりません。
人事権者に弱みを見せたら将来広報官になれなくなりますから。
そうか。
これからだ。
事件が動き出す。
これから本番だ!おい!広報だ!広報が何の用だ?仕事だ。
広報が何の用…おい!広報の職務として指揮車に同乗させて下さい!朝本部から連絡があった。
美那子さん来てくれた。
あ…。
(松岡)礼を言う。
いいだろう。
乗れ。
いやしかし…!ブン屋が荒れると現場が荒れる。
たらふくネタを食わせて昼寝でもさせとけ。
ただし車内で得た情報は最低20分胸に留め置け。
捜査と報道の間には常にタイムラグが必要だ。
分かりました。
順守します。
閉めます。
まずは被害者の自宅周辺に向かう。
指揮車から本部。
参事官乗車。
ほか5名。
(無線)「本部了解…。
情報の詳細は引き続き報告せよ」。
参事官。
ホシの携帯電話の発信場所は?玄武市常葉町須磨町南木町旭町辺りだ。
(無線の音)
(無線の音)
(無線の音)
(捜査員たちの話し声)発信機の設置オッケーです。
分かった。
目崎さんどうぞ。
食べて下さい。
体力勝負ですから。
俺たちも食うぞ。
頂きます。
(無線の音)
(記者)狂言なんですか?ですからC子は3日前の晩に着替えを取りに戻ってるんですよ。
実名は公表できません。
お金も欲しがってたと言ってるんです。
狂言を疑うのは当然でしょう。
それに納得いく訳ないじゃないですか!え?何ですか?もう一回お願いします。
ホシの携帯の発信場所が割れた。
玄武駅を挟んで西と東だ。
1回目は西側の常葉町内。
アーケード商店街を中心とする繁華街だ。
2回目は東側で須磨町から並木町にかかるエリア。
そっちはどうだ?落合二課長がなんとか持ちこたえてます。
今捜査指揮車の中だ。
え?情報が入り次第どんどん送る。
・自宅に入電!入電入電!逆探要請!モニターします!着信番号目崎歌澄の携帯です!広報官。
何ですか?今の。
言えないんだ。
20分の縛りがある。
また知らせる。
タイムラグか…。
オッケーです!・どうぞ!…もしもし?目崎です。
もしもし?・金は用意できたか?
(無線・目崎)はい。
できました。
用意してあります。
歌澄の声を聞かせて下さい。
お願いします。
どうか声を…。
・今すぐ金と携帯を持って家を出ろ。
11時50分までに葵町の喫茶あおいに持ってこい。
喫茶…あおいですね?・知ってるか?看板を…見た事があります。
その前に歌澄の声を…。
(電話が切れる音)
(目崎)もしもし?もしもし?もしもし?逆探できず。
あなた?目崎さん…。
みーちゃんは?イヤホンつけて下さい。
気を付けて!歌澄の声聞こえた?
(松岡)11時50分か…。
あと34分しかありません。
自宅からだとぎりぎり間に合うかどうか。
しかし正午の期限が前倒しになりましたね。
我々もあおいに向かう。
了解。
指揮車より各局。
喫茶あおいに向かう。
繰り返す。
喫茶あおいだ。
回想追1から本部。
現在県道1号線を葵町方向に進行中。
(テレビ)「『平成』であります」。
(松岡)昭和64年は終わってない。
必ずホシを引きずり戻す!はい!目崎さん。
落ち着いて。
周りは囲んでいます。
マル父の到着予定時刻は12分から13分の遅れ。
全アオで通せ。
了解!こちら指揮車。
県道を全アオにしろ!
(無線)「全アオ了解」。
(無線)「了解」。
(無線)「了解」。
追1から指揮車。
(無線)「指揮車です。
どうぞ」。
(無線)「桑原交差点青。
マル父通過」。
指揮車了解。
携帯の発信場所判明しました。
湯浅アンテナ基地局。
エリアは玄武市内湯浅町および旭町周辺。
参事官。
目崎歌澄の捜索はやってるんでしょうか?狂言の線は潰れたんですか?誘拐中だ。
おおっぴらにはやれん。
彼女たちのたまり場はどこです?知らん。
本件が娘の狂言だとすればそっちを先に抑えるべきじゃないんですか?なぜ捜査もロクヨンを模倣するんです?三上さん!自分の仕事をしろ。
狩りは俺たちがやる。
いいのか?参事官!マル父に抜かれます!右車線に寄れ。
右車線に寄れ。
来るぞ…来るぞ…。
(無線)「片山町3丁目交差点。
青。
マル父通過」。
指揮車了解。
もしもし?三上だ。
目崎の家に3度目の脅迫電話が入った。
え?いつですか?11時13分だ。
ヘリウム声で「金と携帯を持って11時50分までに葵町の喫茶あおいへ来い」との指示だ。
え〜今新しい情報が入りました。
ええっと…じゅうい…午前11時13分にですねええっと…被害者の自宅に3回目の脅迫電話が入電。
え〜ヘリウム声で内容は「金と携帯を持って家を出ろ」。
11時50分…「午前11時50分までに喫茶あおいに来い」。
あと15分もないですよ!もう一度お願いします。
(落合)ごめんなさい。
それでええっと…現在被害者の父親が向かっております。
はい!何ですか?片山町3丁目の交差点を右折して環状線に入れ。
3丁目…?もう過ぎてしまった…。
Uターンしろ。
すぐにだ。
は…はい。
至急至急!追1から指揮車!マル父Uターンしました!ロクヨンのルートから外れたぞ。
(無線・目崎)このまま環状線に入ればいいんですね?
(無線)そうだ。
さっきの3丁目交差点を左折だ。
娘は助けて下さい。
お願いします!歌澄を返して下さい!歌澄…歌澄を…お願いします!
(無線・目崎)お願いします!お願いします!お願いします!回想
(雨宮)翔子を助けて下さい!お願いします!翔子を助けて下さい!お願いします!翔子を助けて下さい!お願いします!助けて下さい!お願いします!お願いします!お願いします!翔子〜!
(水に落ちる音)マル父来ます!
(無線・目崎)お願いします!お願いします!どこだ?ここか?これだ!後ろだ!2台目だ!来た!来た!2015/05/09(土) 22:00〜23:00
NHK総合1・神戸
土曜ドラマ 64(ロクヨン)(4)「顔」[解][字]

ロクヨンに酷似した誘拐事件が発生。三上(ピエール瀧)は、記者クラブとの報道協定締結を目指すが、刑事部は頑として情報の提供を拒む。三上は、捜査の最前線に乗り込む。

詳細情報
番組内容
警察庁長官視察の前日。ロクヨンに酷似した少女誘拐事件が発生。三上(ピエール瀧)は、記者クラブとの報道協定締結を目指すが、刑事部は頑として情報提供を拒む。少女とその家族の名前が匿名のままであることに、記者クラブは大きく反発。三上は、捜査一課長の松岡(柴田恭兵)に会うため、最前線に乗り込む。そして、誘拐犯から、身代金運搬の指令が入る。最初の現場は、喫茶あおい。またしても、ロクヨンと同じ手順だった。
出演者
【出演】ピエール瀧,木村佳乃,新井浩文,永山絢斗,山本美月,萩原聖人,平岳大,吉田栄作,尾美としのり,段田安則,柴田恭兵
原作・脚本
【原作】横山秀夫,【脚本】大森寿美男
音楽
【音楽】大友良英

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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