動物にとって生まれてからの数か月はとても重要な時期です。
そのため親を失った赤ちゃんには手厚い保護が必要です。
懸命に生きようとする動物の赤ちゃん。
そして野生動物を守り育てようと献身的に取り組む人々がいます。
この子たちは常に愛され守られなければいけません。
紹介するのは遠く離れた2つの地域での取り組みです。
オーストラリアではカンガルーのハリーが野生の群れに入る訓練をします。
この子も仲間に入れてあげて。
生後間もないオオコウモリハンナとバグジーは懸命に生きようとしています。
なかなか体重が増えません。
中米コスタリカではナマケモノのペロータが大自然で生き抜くすべを学んでいます。
どう?野生動物の保護は簡単ではありません。
いい子ね〜。
さまざまな動物の赤ちゃんが野生に戻るまでの日々を追います。
自然豊かな中米コスタリカにはおよそ50万種の生き物が生息しています。
しかし開発が進み車にはねられる動物があとを絶ちません。
KSTR自然保護センターは親を失った動物の赤ちゃんを保護し再び野生に帰す活動をしています。
サム・トラルは飼育部門の責任者です。
要らないの?サムの家には数匹の動物がいます。
ナマケモノです。
ホフマンナマケモノはサムが初めて育てた動物です。
のんびりしていますが育てるのは大変です。
一番年上で一番警戒心が強いのがメスのペロータです。
9か月前にサムの下に来ました。
ペロータはサムや他のナマケモノから離れる事ができません。
サムはペロータに野生で生きていくために必要な事を教えようとしています。
3匹ともホフマンナマケモノで一番大きいのがペロータです。
1歳ちょっとです。
ナマケモノ以上に手がかかる野生動物の赤ちゃんは恐らくいないと思います。
本当に大変です。
野生ではナマケモノの赤ちゃんは生まれてから9か月の間母親と離れる事はありません。
サムはペロータにクマのぬいぐるみを与え安心感を得られるようにしています。
私がいつもくっついている訳にはいきませんからクマのぬいぐるみが母親代わりです。
仲間同士でも抱き合っています。
体を密着させると安心するんです。
ペロータは母親につかまっていた手を離し地面に落ちていたところを保護されました。
敵に襲われる危険があるので母親が子供を助けに木から下りる事はありません。
ペロータが野生に戻るためには木登りが上達する必要があります。
ナマケモノは食事や睡眠交尾も全て木の上で行い地面にはほとんど下りません。
木登りの技術を身につけさせる事はペロータを野生に戻すために絶対に必要な事なのです。
木登りの訓練を担当するのはメアリーとペドロです。
しゃっくりしてるみたいだな。
本当に。
面白いよね。
人間と同じで脅かしたら止まるかな?ちょっと息を止めさせるとかね。
ナマケモノは夜行性なので訓練をするのは基本的に夜です。
ペロータはまだ単独で木に登る勇気がありません。
まず低い木に挑戦させます。
他の2匹エレンとカーミットは平気で木に登っていきます。
最後はペロータです。
前の2匹のあとを追ってくれるといいんですが…。
どうかな…。
あとを追おうとしています。
登れるかな?ためらっています。
木の具合を確かめながらも僕の体から離れません。
おっと決心したかな。
登り始めた。
頑張れよ。
よしその調子だ。
やったわね。
ペロータが木に登るのを初めて見ました。
思ったよりずっと上手です。
下りてきた。
ウンチをするんでしょう。
ナマケモノの性質です。
ナマケモノは排せつの時は地面に下りてきます。
消化器官の構造上排せつは週に1〜2回です。
ナマケモノらしい行動です。
用をたしたらまた木に登ります。
敵に襲われる危険があるためナマケモノは地面に長居をしません。
しかしペロータはなかなか木に登ろうとしません。
もっと木登りがうまくならないと森では生きていけません。
ちゃんと登らないとダメだよ。
よしその調子だ。
あ〜っ!滑ったみたいだな。
これが20メートルもある木だったら命を落としかねません。
自分から木に登ったのは大きな進歩だと思います。
よくやったな。
この調子で頑張るんだよ。
君は強い女の子だからね。
コスタリカからおよそ1万4,000キロ離れたオーストラリア。
メルボルンの近郊でベブ・ブラウンがハイガシラオオコウモリの保護に力を注いでいます。
いい子ね。
コウモリのための設備が整えられています。
コウモリはとても愛情深い生き物で話しかけるととてもうれしそうにするんです。
ベブの役割は親を失った幼いコウモリを育て野生に戻す準備をする事です。
コウモリの赤ちゃんに毎日ミルクを与え毛づくろいをし翼の乾燥を防ぐ処置をしています。
あなたもすぐに大きくなるわよ。
メルボルンにはおよそ3万匹のコウモリが生息しています。
都市に生息するコウモリはしばしば壁や電線などにぶつかってけがをしたり時には命を落とします。
そして子供だけが残される事があるのです。
最近ベブの下に連れてこられたコウモリがハンナとバグジーです。
ハンナはまだ生後1か月でした。
母親は壁に激突して背骨を折っていたので助かりませんでした。
それで私がハンナを引き取ったんです。
母親の翼に包まれている感覚を再現するため特別な毛布がたくさん用意されています。
コウモリの赤ちゃんは生後5週間まで常に母親の乳首に吸いついているので哺乳瓶の乳首を代わりにくわえさせています。
バグジーは母親と一緒に保護されています。
バグジー親子は果樹園を鳥から守るネットにからまった状態で発見されました。
母親はネットのせいでひどい傷を負っていました。
指も痛めて使えず母乳も全く出なくなっていました。
哺乳類のコウモリはけがをすると一時的に母乳の出が悪くなったり全く出なくなる事もあります。
放っておけば母親と一緒にいてもバグジーは飢えて死んでしまいます。
ふだんは親子一緒ですがベブが母親に代わってミルクを与えています。
すぐに返すから。
ベブは毎朝バグジーの体重を量ります。
もし夜の間に体重が増えていれば母親の母乳が出るようになったという事です。
6グラム増えてるじゃない。
すごいわバグジー。
母親の母乳が出るようになった証拠です。
ホッとしました。
一晩で6グラムも体重が増えるなんてすごい事です。
少し太ってきたようにも見えます。
本当に良かった。
母親が確実にバグジーを育てられるようになるまでベブもミルクを与えます。
ゆっくり飲んで。
帰ってきたわよ。
ほらママよ。
赤ちゃんを返すわね。
しっかり抱いて。
頑張ったわね。
偉いわ。
コウモリの世話をするベブの家からさほど遠くない所で親を失ったカンガルーやワラビーが保護されています。
この子なかなかイケメンのカンガルーでしょ?ステラ・リードは25年以上にわたり数百匹のカンガルーを野生に帰してきました。
オーストラリア全域に生息しているカンガルー。
車にはねられる事故が絶えません。
車にはねられて母親が死んでも子供はお腹の袋に守られて助かる事があります。
ステラはそのような子供を育てているのです。
現在ステラは20匹のカンガルーやワラビーを育てています。
その中で一番幼いのが生後8か月のオオカンガルーハリーです。
5か月前ハリーの母親が車にはねられて以来ステラは愛情を込めてハリーの世話をしてきました。
とても優しい子です。
哺乳瓶が大好きで…。
あと7か月は哺乳瓶でミルクを飲む事になると思います。
ステラはハリーに他のカンガルーとのつきあい方を教えようとしています。
ハリーが野生で生きていくためには囲いの外にいる野生のカンガルーの群れに受け入れられなくてはなりません。
他のカンガルーとのつきあい方を学ぶのはとても大切な事です。
一つ間違えば命に関わります。
野生のオオカンガルーは20匹ほどの群れを作り草原や森で草を食べて生きています。
ステラはハリーを1年以内に野生に帰したいと思っています。
手始めに囲いの中で保護しているカンガルーの近くに連れていきました。
いきなり野生の群れに放り込む訳にはいかないので保護している他の仲間に少しずつ慣れさせていきます。
毎日他のカンガルーを観察する事でどう行動すべきかを学ぶ事ができるとステラは考えています。
1か月間毎日外に出ていたハリーはもうステラに抱いてもらう必要はなくなりました。
囲いの中を跳ね回り単独で行動できるようになっています。
独り立ちの準備ができたように見えるハリーですがステラとの絆を断ち切る事はできません。
まだしばらくは母親代わりのステラが必要です。
運動を終え家の中の寝床に戻ります。
まだ独り立ちの最初の段階です。
カンガルーの群れの序列ではハリーは一番下になります。
体が一番小さくきゃしゃで攻撃されやすいんです。
まだまだ手放せません。
完全に独り立ちするには群れの中で他のカンガルーとうまくやっていくすべを身につける必要があります。
一方群れを作らないナマケモノの場合単独で生きていくすべを学ばなくてはなりません。
ペロータの木登りの訓練は順調に進んでいましたが新たな試練が待ち構えていました。
野生で生きていくために仲間と離れる事です。
仲間と抱き合って安心感を得ていたペロータには大きな試練です。
みんないつも一緒です。
食事も寝るのも遊ぶのも木に登るのも目を覚ますのも。
全部仲間と一緒。
1匹だけになった時どんな反応をするか楽しみです。
いつもは木登りの訓練も仲間と一緒に行いますが今日はペロータだけです。
興味津々みたい。
いい感じです。
すごく積極的です。
ぬいぐるみも置いていきました。
期待どおりになってうれしいです。
ペロータがリラックスしている様子なのでサムは外に出てペロータだけにしてみました。
野生で生きていくために必要な訓練です。
夜になるとペロータは次第に不安な様子を見せ始めました。
(鳴き声)この鳴き声ははぐれた母親を呼び戻す時の声です。
もう限界みたい。
ナマケモノはストレスを感じると痛いくらい強い力でしがみついてきます。
でも今は普通にぶら下がっているのでリラックスした状態に戻ったようです。
初めてにしては上出来ですが1匹だけで夜を過ごせるようになるまでにはまだ時間がかかりそうです。
動物を育てる人々が何よりも恐れるのは病気です。
オーストラリアで親を失ったコウモリを育てているベブは深刻な事態に直面していました。
ハンナが体調を崩したのです。
けさこの子を抱き上げたらひどいくしゃみを始めたんです。
呼吸器系の異常は油断ができないのですぐに獣医師に診てもらいます。
悪化しないように急がないと。
もしミルクが肺に入って炎症を起こしたのだとすれば感染症を引き起こす恐れがあります。
最初はくしゃみでそのうちせきまでし始めました。
呼吸器系の感染症じゃないかって心配してるんです。
すぐ診察室へ。
肺の音を聞いて何か問題があるか調べます。
大切なチェックです。
どこが悪いのか正確には分かりませんでした。
くしゃみを抑えるための薬を注射します。
ちょっと我慢して。
はい終わり。
強い子ね。
大丈夫?どうでした?感染症を示す胸の雑音は全く聞こえませんでした。
もし脱水症を起こしたりミルクを受けつけなかったり鼻水が出たりしたらまた連れてきて下さい。
その時はレントゲンを撮るかもしれません。
回復を祈るしかありません。
ベブが世話をしている別のコウモリバグジーにも問題が起きていました。
バグジーの体重がここ数日増えていません。
母親から母乳がもらえていないようです。
ミルクの時間よ。
バグジーをちょっと預からせて。
バグジーの母親はベブを信用するようになっています。
私が飲ませているミルクの量は数日前と変わらないのに体重が思うように増えていません。
また母乳が出なくなったんだと思います。
けがを負った時のショックが癒えていない上に小屋の中にいるストレスもあるんでしょう。
母親をこれ以上小屋の中に入れておけば翼が弱って二度と空を飛べなくなってしまう恐れがあります。
しかし今の状態で親子を一緒に放てばバグジーは死んでしまうでしょう。
2匹とも救うためには親子を引き離し母親だけを野生に帰すしかありません。
今日が親子で過ごす最後の日です。
翌朝ベブはバグジーの母親を多くのコウモリが生息する森に連れていきました。
バグジー親子を引き離す事になりますがベブは正しい選択だと考えています。
母親は少しでも早く自然に帰すのが一番です。
このまま保護していても母乳が出ない状況は変わらないでしょう。
バグジーはもうしばらく私が育てるしかありません。
今森に放てば母親はすぐに野生の生活に戻れるはずです。
準備はいい?バグジーはちゃんと世話するからね。
いい?行きましょう。
さあ広い世界よ。
頑張ってね。
全てが順調に行けばおよそ4か月後にバグジーとハンナもこの森に放つ事ができます。
一方ステラの家ではカンガルーのハリーが順調に成長しています。
しかし野生で生きていくためには学ぶべき事がまだたくさんあります。
オーストラリアの気温は真夏には40度台まで上がります。
幼いカンガルーにとっては厳しい暑さです。
カンガルーの子供は体温調節ができないので放っておけばすぐ熱中症になってしまいます。
母親がいれば体をなめて冷やしますが私は代わりにホースで水をかけます。
カンガルーは汗をかく事ができませんが体を冷やす独自の方法があります。
カンガルーは前足をなめて体を冷やします。
毛皮が薄く皮膚のすぐ下を血管が通っていて体を冷やす効果が高いからです。
野生に帰ればホースで水をかけてもらう事はできません。
ステラはハリーを近くのため池に連れていきました。
ため池は大切な場所です。
キツネや犬に追いかけられた時あるいは山火事が起きた時ため池に逃げ込めば助かるかもしれないからです。
もちろん水を飲んだり体を冷やしたりするのにも使えます。
生きるために欠かせない水ですがハリーは恐がっています。
ステラが根気強く訓練した結果ハリーも次第に水に慣れてきました。
ため池の水をうまく使う事を覚えさせないといけません。
野生に帰った時の命綱ですから。
ため池は家畜と防火用に作られているため農地の近くならどこでも見つける事ができます。
水とのつきあい方を学ぶ事は多くの動物にとって生死を分ける重要な訓練です。
中米コスタリカの熱帯雨林には多くの雨が降るためしばしば洪水が起きます。
ナマケモノは大抵の場合木を伝って移動しますが生き延びるために川を渡らなくてはならない場合があります。
そのため泳ぎを覚えなければなりません。
さあペロータ。
行くわよ。
ほら水に入って。
どう?気持ちいいでしょ?ナマケモノは水中では地上の3倍の速さで動く事ができます。
地上では長い爪が邪魔になり足を自由に動かす事ができませんが水中ではもっと楽に体を動かせるからです。
ペロータは野生に戻るために必要な技術と体力を少しずつ身につけています。
サムはナマケモノの母親がするようにペロータを背負って水に入ります。
どう?わ〜お。
ペロータは上手に泳いで安全な川岸へまっすぐに進んでいきます。
上出来ね。
ペロータは野生で生きていく力が思ったよりあるのかもしれません。
本当にホッとしました。
今日の様子を見ているとペロータはさまざまな危険にうまく対処できる能力がありそうです。
しかしペロータはまだ単独で夜を過ごす事ができずにいます。
この試練を乗り越えなければ野生に戻る事はできません。
ペロータはこの日も仲間と一緒に家の中で夜を過ごします。
動物の赤ちゃんを野生に帰すまでには時間がかかります。
オーストラリアではベブが育てているコウモリに明るい兆しが見られます。
バグジーの体重が順調に増えているのです。
すごい完璧です。
体重表を見てみましょう。
標準を少し上回っていてとても元気に育っています。
病院で診察を受けたハンナも元気になりました。
そこでベブは2匹に空を飛ぶための準備をさせる事にしました。
コウモリの赤ちゃんは生まれてからしばらくは母親の翼に包まれて過ごしますが6週間を過ぎると少しずつ母親から離れ枝を伝って周りを探り始めます。
コウモリの足は人間の手首のように動くので枝から枝へ器用に渡る事ができます。
ハンナもこの動作を覚えなくてはなりません。
まずは家の中にあるものを使って練習です。
洗濯物を干す台を木に見立てて葉っぱとおもちゃで飾り付けをします。
これは「飛ぶ」という本能を目覚めさせるための大切な訓練です。
さあ入って。
翼を広げるのよ。
そうよ。
いい子ね。
すぐに翼をばたつかせました。
翼を広げられる空間を求めていたのかもしれません。
とても楽しんでいるようです。
そのうち物干しの端にぶら下がっていつも翼をばたつかせるようになり少しずつ体が浮き上がっていきます。
そして物干しから離れて飛ぶようになるんです。
その時は本当に感動しますよ。
いい子ね。
コウモリは長い距離を飛べる能力があり食べ物を求めて夜の間に50キロメートル近く飛ぶ事もあります。
コウモリは植物の受粉や果物の種を別の場所に運ぶのに役立ち生態系の維持に欠かせない動物です。
ハンナやバグジーが何十キロメートルも飛べるようになるのはまだ先の事です。
今は逆さまにぶら下がって生活し飛ぶ事と食べ物を取る訓練を始めたばかりです。
少しずつですが2匹が野生に帰る日が近づいています。
ステラが世話をするカンガルーのハリーも野生に帰る準備が進んでいます。
ハリーは屋外での活動にすっかり慣れてきました。
更にもっと幼いカンガルーもやってきました。
ピノは生後4か月。
ハリーと同じように母親が車にはねられました。
この日2匹は初めて顔を合わせました。
ハリーとピノの様子を見て下さい。
お友達よ。
ほらダメよ。
1本はピノの分だから返して。
カンガルーの母親は子供の成長に合わせて2種類の母乳を出す事ができます。
幼児用と赤ちゃん用です。
幼児用は濃く赤ちゃん用はもっと薄いものです。
今ピノには少し薄いミルクを与えています。
自然ってすごいものですね。
ステラはハリーに新たな挑戦をさせる事にしました。
さあ行くわよ。
囲いの外にいる野生のカンガルーの群れに入ります。
大きな子たちと一緒に御飯を食べたいでしょ?ほら「こっちに来て」って言ってるわよ。
暑いから日陰にする?ハリーがこの状況にうまく対応できるかステラは心配しています。
目を離す事はできません。
物音か何かに驚くとカンガルーの群れは一斉に駆け出します。
そうなったら私がハリーを見つける事は不可能です。
自分で元の場所を探して帰って来るか私が呼ぶ声を聞いて戻ってくるのを待つしかありません。
ハリーはまだミルクを必要としています。
もし群れと一緒に駆けだして迷子になったら生き延びる事はできません。
ハリーも入れてあげて。
食べ物を分け合ってね。
初めて野生の群れに加わってハリーは緊張気味だし不安な様子です。
囲いの中とは違う事を分かっているようです。
周囲を見回して様子をうかがっています。
(うなり声)相手を威嚇するうなり声にハリーは慌てて退きます。
長い時間をかけて他のカンガルーの行動を学んできましたがまだ野生の群れには慣れていないようです。
大丈夫?今日はここまでにしましょう。
ハリーが群れに溶け込めるようになればステラの下を離れます。
ハリーは野生のカンガルーとして新たな仲間や家族を作り大自然の中で生きる事になるのです。
中米コスタリカではサムが世話をしているナマケモノのペロータが初めて1匹だけで夜を過ごそうとしています。
ペロータがサムと一晩離れるのは初めてです。
始めるわよ。
準備はいい?無事過ごせればペロータはサムの家を出る事になります。
必ず乗り越えなくてはならない試練です。
そうでないと野生に帰る事はできません。
ペロータは夜を明かすだけでなく食べ物も夜の間に自分で探さなくてはなりません。
サムはおりの中に食べ物を置きペロータに探させる事にしました。
カメラを通してペロータの行動を見守ります。
離れて夜を明かすのがつらいのは実は私の方かもしれません。
でもそんな事は言っていられないし…。
すぐに私から離れていきました。
いい傾向だと思います。
前回ペロータがおりの中で1匹だけになった時ストレスを感じているようでした。
そこで今回は数時間おきにサムたちが様子を見にいきます。
ハンモックから動かない事が気になります。
夜行性だから普通ならもっと動き回るはずなのに…。
何度見にいってもペロータはハンモックにいます。
野生のナマケモノは夜の間に食べ物を探すためこれほど動かずにいると飢え死にしてしまいます。
ペロータの様子はサムの期待を裏切るものでした。
翌朝サムはペロータを連れて戻りカメラの映像を確認しました。
さあ…。
あなたの様子を見るわよ。
サムとペドロが恐れたとおりペロータは全く動いていませんでした。
もっと積極的に食べ物を探さなくては野生で生きていく事はできません。
まだ動かない。
しかし数時間分を早送りすると意外な発見がありました。
あっ。
動いてる。
やったね。
おりの中を動き回っています。
動き出すまでに時間はかかりましたがペロータはサムとペドロが期待した以上に活発に動き回っていました。
おびえてずっとハンモックにいたんじゃないかと心配していたんです。
金網に張り付いて私たちを待つような事もしていないし本当にホッとしました。
ペロータは今後屋外で過ごす事になります。
大きな進歩です。
この調子で続けていけばこの子はいつか必ず野生に帰る事ができると思います。
そう信じています。
花も自分で取れるわね。
オーストラリアでもコウモリのハンナとバグジーが成長しベブの手を離れようとしています。
2匹は木にぶら下がり宙を飛び食べ物を自分で取る事もできます。
こっちに来て。
ハンナとバグジーは数か月間過ごしたベブの家から森の中にある新たな住みかに移る事になりました。
自由に飛び回れる広さがあり野生の環境に少しずつ慣れる事ができます。
この子はロッキーです。
野生に戻る前に他の若いコウモリと一緒にしばらくここで過ごします。
世話した人たちにとっては悲しい日だと思います。
家族の一員として我が子のように育ててきた動物に「さよなら」を言う日なんですから。
まずハンナとの別れです。
野生に返ったらたくさん赤ちゃんを産んでね。
ほらお友達がいっぱいいるわよ。
さあ行って。
さようならハンナ。
ほら上に行って。
みんなの所に行くのよ。
悲しいけどとてもすてきな光景です。
母親と引き離して以来ベブはバグジーに特別な愛情を注いできました。
そのバグジーとも別れなくてはなりません。
準備はいい?森に帰ったら危険な所には近づかないでね。
いい子でいてくれてありがとう。
本当に寂しくなるわ。
行きましょう。
上に上って。
いい子ね。
やっぱり手放すのはつらいけどバグジーが平気そうで何よりです。
今日から寂しい思いをする事になります。
いい子でね。
1か月後ハンナとバグジーは森に飛び立ちました。
ペロータは屋外で自由に食べ物を取っています。
ハリーは野生のカンガルーと過ごす時間が少しずつ長くなっています。
多くの人々の献身的な世話と深い愛情によって動物の赤ちゃんは再び野生に帰る事ができました。
2015/05/09(土) 19:00〜19:45
NHKEテレ1大阪
地球ドラマチック「野生へ!動物の赤ちゃん成長記(3)カンガルー群れデビュー」[二][字]
親を失った野生動物の赤ちゃんを保護し、再び大自然に帰すまでを追う。シリーズ第3回。群れでの行動を学ぶカンガルーや、初めて1匹だけで夜を過ごすナマケモノを紹介。
詳細情報
番組内容
オーストラリアとコスタリカでの野生動物の保護活動に密着する。野生の群れに入るために特訓中のカンガルー。初めは仲間を遠巻きに見ているだけだったが、少しずつ近づく。しかし威嚇されておびえてしまう。オオコウモリは木にぶら下がったり、飛ぶ訓練をする。いつも仲間と抱き合って過ごしてきたナマケモノは、野生で単独で生きられるよう、初めて一匹だけで夜を過ごす…。野生に戻ることはできるのか?(2014年イギリス)
出演者
【語り】渡辺徹
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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