地面から激しく噴き出す蒸気。
これは昨日、神奈川県箱根山の大涌谷で撮影された映像。
14年前から大涌谷の調査を続けている火山ガスの専門家、東海大学の大場武教授。
現地調査をして異変を感じたと言う。
先月24日に撮影された60cmほどの穴に湧いていた温泉。
それが、きのうはかれていた。
原因は温泉が蒸発してしまうほど大涌谷の地下で地下水が熱せられる活動が高まっているためだと考えられる。
先月24日と比べると昨日の蒸気の噴出が激しくなっていることがわかる。
また、火山ガスの二酸化炭素濃度が増加していて、地下の浅いところで水蒸気や火山ガスの圧力が強くなっていると見られる。
箱根山をめぐっては、昨日、大涌谷で最大およそ6cmの隆起も確認されている。
今日、箱根の玄関口、箱根湯本駅に到着した観光客。
噴火警戒レベルが引き上げられてから3日、箱根町は初めての週末を迎えた。
危険があったらやめようかなとも思ってたんですけど、箱根湯本辺りは大丈夫そうっていうニュースがあったので。
あまり気になりませんね。
近くに行かないですからね。
立ち入りが規制されたのは大涌谷の半径300mと周辺の遊歩道。
そして、大涌谷を通過する箱根ロープウェイの全線が運休となっている。
中にはロープウェイが動いていないことを知らなかった外国人旅行者も。
一方、仙石原にあるテニスコートでは予約のキャンセルが相次いでいた。
この辺り、2km近く離れておりますのでよほどのことがない限り、安全なんですけれども。
箱根では、大涌谷から離れた旅館やホテルでもキャンセルが相次いでいることから今日、温泉旅館組合は加盟している99の施設を対象に宿泊のキャンセル状況について調査を始めた。
箱根町はこれからツツジや修学旅行シーズンを迎えるが、調査の結果を踏まえ、早急に町と対策を協議する方針。
箱根山です。
現在の大涌谷ですが、雲がかかっています。
ただつい先ほどまで蒸気が激しく噴き上がる様子を確認できました。
神奈川県温泉地学研究所によりますと、箱根山では今日午後時点で154回の火山性地震があったとのこと。
山が膨らむ傾向を示す地殻変動も観測されていて、大涌谷周辺で小規模な水蒸気爆発が起きる可能性も指摘されている。
箱根町は現状のままでは安全を確保できないとして、温泉関連の業者が大涌谷の施設に立ち入ることをあさってまで禁止したが、温泉が通るパイプの掃除ができないと温泉が供給できなくなるおそれがあり、温泉とともに生きる町にとっては一大事。
この業者から温泉の供給を受けている施設や一般家庭はおよそ400もあるとのことで、業者はあさって、町と今後の対策について話し合う予定。
ロシアの首都モスクワに来ております。
70周年を祝う大々的な行事が行われております。
戦争にどう向き合うかは今年、私たちに突きつけられている大きなテーマですが、後ほどの特集でたっぷりとお伝えいたします。
豊島モスクワ支局長が私の後ろに見えますクレムリン宮殿に面した赤の広場の式典会場で取材中です。
早速伝えてもらいます。
日本時間の午後4時から始まった式典ですけれども、たった今、終わりました。
私の後ろでは1万6500人もの兵士が参加して、およそ200台の軍用車が次々と式典会場内に入っていきました。
その式典の中で先ほどプーチン大統領は日本にも言及しまして、次のように演説しています。
今回式典のひな壇を見ると、ウクライナ危機以降、国際社会で孤立したロシアの姿が際立っています。
10年前の60周年式典ではアメリカのブッシュ大統領、日本の小泉総理など欧米諸国の首脳が顔をそろえましたが、今回、G7の首脳は軒並み、出席していません。
こうした中、ロシアは中国とともに世界に新たな軸を打ち出す構えを見せています。
式典ではプーチン大統領の真横に習近平国家主席が座り、昨日の首脳会談ではユーラシア大陸の新経済圏に向けた協力体制で合意したほか歴史の改ざんを許さないと日本を牽制するなど、両国の結束を強くアピールした。
国際社会から孤立し、ロシアの勢いは弱まったように見えますけれども逆に内向きな独自路線に走っていてプーチン大統領の支持率は現在80%を超えています。
街で市民に聞くと軍事パレードを見ると自分が強くなった気がするというふうに言います。
プーチン政権は戦後70周年という節目の式典でさらに国威を発揚し、その勢いを背景に今後も独自の言動を推し進める構えです。
東京のスタジオからお伝えします。
大手電機メーカーのシャープが異例の経営再建策に乗り出す。
シャープは、これまで積み重なった損失を補てんするため1200億円以上ある資本金を1億円に減らす方針を固めたことがわかった。
液晶事業の不振などで厳しい経営が続くシャープは今年3月期に2000億円を超える最終赤字に陥る見通し。
この結果、累積の損失額が想定以上に膨らむ見通しとなったことから、現在、1200億円以上ある資本金を1億円に削減し、削減分を損失に当てる方向で検討していることがわかった。
資本金が1億円になれば、法律上の中小企業とみなされ、法人税の優遇措置などを受けられるメリットもあることから取引金融機関も了承しているとのこと。
この再建策は株式の価値がゼロになる、100%減資とは異なるが経営が破綻していない大企業が99%を超える大規模な減資に踏み切るのは極めて異例なこと。
中谷防衛大臣が沖縄を訪問し、翁長知事と初めて会談した。
辺野古への基地移設に理解を得たい中谷大臣に対し、翁長知事は工事の中止を改めて要請。
会談は平行線のまま終わった。
アメリカ軍が沖縄に駐留し続ける必要性を強調する中谷大臣。
接近阻止・領域拒否と呼ばれる中国軍の対米戦略なども具体的に紹介し、沖縄が戦略的に極めて重要な位置にあるとして新基地建設に理解を求めた。
翁長知事は、日本全体で安全保障を考え負担する努力を怠っていると批判、辺野古での基地建設は不可能だとして工事の中止を要請した。
沖縄でのアメリカ海兵隊の駐留についてそもそも防衛戦略上の疑問も指摘されている。
制海権や制空権を確保する海軍や空軍とは違って、上陸部隊である海兵隊が日本の防衛で抑止力として機能するのか、中国のミサイル技術の進歩によって沖縄が射程に入る中、海兵隊はグアムなどより後方で待機すべきではないのか、政府が沖縄側を説得する上でこうした議論は避けて通れないはずだが、今回の会談では安全保障上の本質的な話し合いの糸口すら見えないまま平行線に終わった形。
トヨタ自動車とマツダが環境技術の分野で提携する方向で最終調整に入った。
トヨタが水素を燃料とする燃料電池車や家庭の電源で充電できるプラグインハイブリッド車の技術をマツダに提供する一方、マツダはガソリンやディーゼルエンジンで高い出力や低燃費を実現している独自の環境技術をトヨタに提供する。
世界的に環境規制が厳しさを増す中で、自動車業界では環境技術の提携を進め生き残りを図ろうという動きが広がっている。
北朝鮮は海中の潜水艦から弾道ミサイルを発射する実験に成功したと発表した。
朝鮮中央通信によると、キム・ジョンウン第一書記が現場で発射の命令を出したとのこと。
北朝鮮による弾道ミサイルの水中発射が伝えられるのは今回が初めて。
発射場所は明らかになっていないが北朝鮮の東部沿岸のシンポに潜水艦の基地がありその付近で発射された可能性が高いと見られる。
7年目ごとに一度の御開帳が開かれている長野県長野市の善光寺で住職らの行列にドローンが落下した。
今日は重要行事である中日庭儀大法要が行われていて境内には大勢の参拝客がいたが人には当たらなかった。
ドローンは横浜市の15歳の少年が飛ばしたもので、再びモスクワです。
ロシアでは今、ウクライナ危機やクリミア編入などで、国際的には欧米諸国や日本との距離がどんどん広がっています。
それと反比例するかのように、国内的には偉大なるロシア、強いロシアを掲げる指導者、プーチン大統領の支持基盤がますます強くなってきています。
プーチンのロシアで今、何が起きているのか、ここモスクワで取材しました。
戦後70年の戦勝記念日を大々的に祝うロシアのモスクワに来ております。
ここは聖ゲオルギー教会といいまして、勝利の神を、聖人をまつっているところなんですけれども、今、この教会の周りにはおびただしい数の人たちが集まっていて祈りを捧げているという状態です。
今週水曜日、モスクワ市内にあるロシア正教の教会で祈りの儀式が行われていた。
この教会は勝利の象徴とされる聖人ゲオルギーを祭る。
祈りの儀式もロシアの対ドイツ戦勝70周年を祝う行事の一環。
プーチン政権になってからはロシア正教は現在の政権と非常に親和的な関係にある、つまり教会を通じて現在のプーチン政権を支えている、支持していると言われています。
ロシアにとって5月9日の戦勝記念日は特別な日。
第二次世界大戦で当時のソ連は多くの犠牲を払ってナチス・ドイツを打ち負かした。
ファシズムに勝利できたのは、ロシア人の力だという自負が強烈な愛国心の源となっている。
対ドイツ戦勝70周年に沸くロシア。
愛国ムードは、メディアの間でも高まっていた。
レポーターの胸には戦勝70周年の記念のシンボル的なものになっているリボンがつけられています。
テレビ局の職員、アナウンサー、キャスター、カメラマンに至るまであのリボンをつけているというのが非常に印象に残っています。
レポーターとか、こういう人たちはこういうのをつけることが義務づけられているんですか?それが望ましいですね、テレビに映るんですから手本を見せないといけません。
リボンは愛国心の象徴です。
愛国心は日本でもロシアでもアメリカでも肯定すべきです。
攻撃的にならない限り、すばらしいものです。
オレンジに黒のしま模様というこのリボンは戦いの勝利を表していると言う。
モスクワ市内の戦勝記念公園では戦勝記念日を前に祝賀行事が行われていた。
愛国心を盛り上げるイベントで目立つのは、若者と子どもたちの姿。
おとといは朝6時からリハーサルが行われた。
モスクワ中心部、赤の広場に通じる大通に戦車や装甲車が列をなした。
街の至るところが全部通行止めになってしまって、まるで戒厳令が敷かれているような、迷彩服姿の警備の人間、あるいは軍の人間、警察官だらけになっていて、非常に物々しい雰囲気になって、それを遠巻きに群衆が囲んでいるという。
市の中心、赤の広場へと続く道には検問所が設けられ、通行が制限される。
ここでは途中まで入れたものの、先へ進むことは許されなかった。
別の場所では、入ることはできたのだが、出ようとすると…何で入れて出られないんだよ、信じられないよ。
これがほら、実際のリハーサルですよ。
通りには、兵士たちの歌声が響きわたる。
これが大体本番さながらの、本番と同じ行進ですね、パレードの式典のリハーサルを見ようと、早朝から多くの人が詰めかけた。
この家族は夫が軍の特殊任務部隊に所属していると言う。
妻も軍人で、娘たちを連れて見に来ていた。
ロシアは平和を愛している。
一度もこちらから攻撃したことはない、ロシア人の魂は負けない。
何があっても大丈夫だ。
70という、70周年にちなんだ。
今日の戦勝記念日にはロシアのほとんどのテレビ局、ラジオ局が史上最大規模の体制で取材に当たりパレードや式典を生中継で伝える。
戦勝記念日をどのように報じるか。
ロシアのメディアにとっては強大な権力者、プーチン大統領への忠誠の度合いを試される踏み絵のようなもの。
プーチン政権になって以降、ロシアのメディアを取り巻く状況はどうなっているのか。
今年2月、プーチン政権に批判的な野党の指導者、ボリス・ネムツォフ氏が暗殺されたその後、ロシアのメディアでは事件の背景よりもネムツォフ氏の愛人スキャンダルが集中的に報じられた。
さらに…ロシアの独立系新聞、ノーバヤ・ガゼータ。
亡くなった記者の机が、そのまま残されている。
アンナ・ポリトコフスカヤ記者。
プーチン大統領の対チェチェン戦争を厳しく批判する記事を書き続けていた。
2006年10月、自宅アパートのエレベーター内で射殺された。
暗殺前にも、命を狙われた経験を語っていた。
4年前にも金平キャスターはノーバヤ・ガゼータを訪れている。
プーチン政権にものを言い続ける数少ないメディアの1つだから。
当時、37人が死亡したモスクワの空港爆弾テロ事件が発生。
詳しく報じないロシアメディアの状況について聞いた。
ロシアのテレビ局はすぐにそういうことを伝えないで、ニュースの時間だけしかやらないでしょ?臨時ニュースでも伝えないし。
何でそんなことになっちゃったんですか?4年が過ぎた今、ウクライナ問題を経てメディアの状況はさらに悪化していると言う。
客観的な報道じゃないんです。
みんなここにリボンをつけて、見ていて、とても愛国的一色に染まってる気がするんですけど。
記念イベントでリボンをつけているのを見たら、普通の人なら気分が悪くなると思います。
批判的な記事も載せるノーバヤ・ガゼータに対しては厳しい監視が行われている。
鍵穴にマトリョーシカが描かれたこの記事は去年9月に掲載された。
当局の検閲を受け、ネット上の記事の一部は黒く塗りつぶされている。
ロシアはヨーロッパやアジアなど様々な文化が混ざり合っているという趣旨の記事だが、混ざった血などの表現が問題視されたと言う。
監視するのはプーチン政権のもとでメディアをチェックする専門機関。
ロスコムナゾールが監視しているのは記事だけではない。
一般の人がメディアのサイトに書き込んだ感想や意見も削除するよう求められることがあり、応じない場合は、メディアに警告文書が送られると言う。
ノーバヤ・ガゼータには、命を落とした6人の記者の写真が並ぶ。
メディアへの監視が強まる中、命がけで政権批判を続けたポリトコフスカヤ記者の遺志は受け継がれているのか。
彼女は戦時下での一般市民の人権保護のために戦いました。
その闘いを私たちは今も続けています。
プーチン政権に批判的な報道を続けている今や唯一と言えるテレビ局がある。
ドーシチというこのテレビ局は、もともとモスクワ中心部にあったが、今年2月、中心部から車で20分ほど離れた場所へ移転を余儀なくされた。
きっかけは、第二次大戦に関する歴史番組だった。
ナチス・ドイツとの戦いで旧ソ連軍がとった戦術とそれに伴う犠牲について検証し、司会者がその是非を問う質問をした。
途端にネットを中心に批判が殺到した。
その質問をしただけで、私たちのテレビ局はナチスを支持しているという批判にさらされました。
スポンサーが次々に降り、多くのケーブルテレビ業者が放送を中止。
視聴者のおよそ80%を失ったと言う。
スタジオのオーナーからは立ち退きを迫られた。
だが、視聴者に対して支援を訴え、匿名の寄付を募ったところ、わずか1週間で日本円にしておよそ2億4000万円の資金が集まり、現在の場所で再スタートを切った。
編集局長のジガールさんはプーチン政権によるメディアへの圧力は強まる一方だと語る。
厳しくメディアを規制する一方で、プーチン大統領はテレビには積極的に出演し続けている。
特に、市民と直接対話するタウンホールミーティング形式の番組を好みこれまで何度も参加している。
ロシアで取材をしています金平さんに聞きます。
実際、国家行事を目にしてどのように感じましたか?戦勝70周年記念というのが国家行事で、ロシアが国を挙げて愛国的なムード一色に染まっているという感じがあります。
今日も朝からクレムリン宮殿に面した赤の広場を中心に偉大なるロシアというような、そういうムードが否が応にも盛り上げられている感じがしました。
海外から招待されている賓客、招待客の中では、中国の習近平国家主席が破格の扱いで、今日の式典でもプーチン大統領のすぐ横の方に座っておりました。
戦後70周年の記念式典というのはこれからアジアとかあるいは欧米諸国でも夏にかけて続々と行われるわけですけれども、今回の式典は夏に予定されている中国での同様の式典のあり方、あるいは規模、内容にも少なからぬ影響を与えるものだと思われます。
ただ、今この今現在、この一色に染まった空気を見ておりますと、私は居間から二十数年前にこのモスクワに、ソ連が崩壊した時代のモスクワに特派員として4年間住んでいたんですけれども、何だか、かつてのソ連に戻ったみたいだなという印象を、正直受けました。
物質的には豊かになりまして社会主義イデオロギーも消滅はしたんですけれども、それに代わって、偉大なるロシアという愛国主義ですとか、極端な国家主義が極端な国家主義が人々の心に浸透してしまっている気がします。
そういう意味ではプーチン大統領の基盤というのは非常に強いものがあります。
ただ、先週この時間でもお伝えしました歴史家のジョンダワー氏も指摘しておりましたけれども、戦争は勝った側にとっても、あるいは負けた側にとっても繰り返してはならないものだと、悲惨な面から目をそらしてはいけないというような、そういう視点が全くありません。
こういう戦争の記念の引き方はどうなんだろうかということを、私自身は感じながら取材を進めてきました。
金平さんは、かつてのソ連に戻ったかのような印象を持ったとおっしゃいましたけれどもこれはメディアにも当てはまるんですか?メディアは全くそのとおり当てはまると思います。
この式典を報じるメディアの姿勢というんですか、それは政権に協力的だというよりもむしろべったりと寄り添って、むしろ一体化している印象も受けます。
今回、私たちが取材したドーシチとかあるいはノーバヤ・ガゼータというメディアは、そういう意味では非常に例外的なメディアで、あとはインターネット系の情報がゲリラ的に報じているのが現状です。
あまりにも強大なメディア、あまりにも強大な政治権力とメディアの関係の行き着いた果てというのを見ているようで、こちらもソ連時代に逆戻りしたような印象を受けます。
けれどもこういう状況は、私たちの足元を見ますと日本も人ごととは言えないわけで、当局がメディアに文書を送りつける辺りはとても人ごととは言えないと思います。
先日来日したポール・マッカートニー、ビートルズのメンバーだった人ですが、これらの名曲で「バック・イン・ザ・USSR」という曲がありますけれども、私はロシアのメディア状況というのは、「バックインザUSSR」という印象持ちました。
学ぶことはたくさんあると思います。
高齢化が進む日本では、介護の負担が重くのしかかり、身も心も疲れ果ててしまう家族が少なくありません。
こうした介護する人たちの心のよりどころになっている場所が兵庫県にあります。
介護を支えるつどいの場。
そこには今失いかけている豊かな人間模様がありました。
朝から台所に立ち、食事の支度に追われる丸尾多重子さん。
愛称はまるちゃん。
介護を受ける人やその家族が交流できる場をつくろうと11年前につどい場さくらちゃんを開き、訪れる人に昼食を振る舞っている。
野菜不足の人、多いでしょう、サラダをたんまり食べてもらおうと思って。
それでイライラ余計するしね。
つどい場さくらちゃんは兵庫県西宮市にある民家を借りて運営している。
昼時になると、いつも食卓は満員。
介護する人や介護される人たちが毎日入れ替わりで集まってくる。
幾ら食べても食事代は500円。
この収入が主な運営資金になっている。
ここをガラッと開けたらいいにおいがしたので、今日は何かな?とか、おいしそうなにおいとか言いながら入ってこれるのがやっぱりうれしいですね。
介護をする人は毎日の世話に追われ自分の食事はおろそかになりがち。
だからこそ、栄養たっぷりのご飯を食べて元気をつけてほしい。
食事には、そんな丸ちゃんの思いが込められている。
在宅で介護する人は精神的に孤立してしまうケースが多い。
つどい場はそういう人たちをつなぐ場所。
大変さとか、笑うこととか、いとおしさとか、そういうのっていうのは何となく、やっぱりわかり合えるんですよ。
この日、突然訪ねてきた女性がいた長年、母親を介護し、最近看取った。
今でも別れを受け止められないと話し、涙を流していた。
つどい場に来る人の多くが悩みを抱え、介護を終えてもなお悲しみを引きずっている。
介護は時に家族関係を複雑にさせる場合がある。
家族の前でも泣き顔を見せられない人は多いのだとまるちゃんは言う。
1時間ほどたった頃には女性の表情は和らぎ笑顔も見られるようになっていた。
私自身が介護者だったときにね、泣ける場所がなかったんですよ。
まるちゃんこと、丸尾多重子さんはかつて地元の兵庫県から単身、上京持っていた調理師免許を生かし長年、食に関する仕事についてきたしかし、母親がガンを患ったために実家に戻ることに。
その後、母親に加え認知症の父親、精神疾患の兄と、家族3人を1人で介護することになった。
過酷な介護生活は父親が亡くなるまで10年間も続いたと言う。
そんな自分の体験から、介護する人同士が寄り添い、励まし合い、そして泣ける場をつくった。
しかし、まるちゃんは介護する人だけが集う場では意味がないと言う。
介護者だけとか、本人だけとか、子どもだけじゃなくて。
この人は西宮市の職員。
市役所から近いため気軽にお昼を食べに来ている。
福祉や地域づくりを考える上でつどい場に大きな意味を見いだしている職員は多い。
介護職の人たちも訪れる。
つどい場での会話はすべてが本音。
まるちゃんは、相手にとって耳の痛いこともズバズバと言う。
医師もやってくる。
在宅医療に精力的に取り組む長尾和宏先生。
往診の途中、腹ごしらえに立ち寄った。
介護、医療、行政、様々な分野の人たちが出入りするつどい場。
みんなにとって、貴重な情報が得られる場所。
さらに、介護する人の知識を深めるため、まるちゃんは介護や医療の専門家から学べる講座、その名も学びタイを定期的に開いている。
介護する人が賢くならんとアカン、これがまるちゃんの口癖。
まるちゃんが情報にこだわるのは、介護をしていた頃、ガンの痛みに苦しみながら亡くなった母親の姿などを見てきたから。
自分に医療や介護の知識がなかったがために親につらい最期を送らせてしまった、まるちゃんは今でも自責の念に駆られている。
私にもっと力があって、知識があって、つなげる力があったら、あんな苦しい最期しなくてよかったんだもん。
こんな後悔をしてほしくないもん。
せっかく介護いうのを家族が与えてくれたチャンスやから、逃げんと利口になって闘わないかんよ。
そんなつどい場を心の支えにしている親子がいた。
まるちゃんのつどい場に毎週来ている親子がいた。
99歳の有岡富子さんと娘の陽子さん。
富子さんは、認知症を患っている。
病気と高齢のために体が不自由で今では会話をすることも難しい。
富子さんは手づかみで食事をする。
以前は娘の陽子さんが食べさせていたが誤って気管に入ってしまうことがあった。
そこでまるちゃんが、手づかみで食べることを勧めたところ自分の手でモリモリ食べるようになり気管に入ることもなくなった。
このおかあちゃんだって自分で食べはるから生きてはる値打ちがある、…申し訳ないな。
食事は食べさせられるのではなく、可能な限り自分でとる。
それが生きる力を生むのだと、まるちゃんは言う。
母親の富子さんは48歳のときに夫を病気で亡くした後、女手ひとつで子どもを育て上げた。
その後は娘の陽子さんと暮らしながら趣味の旅行を楽しむなど充実した人生を送ってきた。
しかし15年前、84歳のときに異変が。
え?と思って、お母さん、私ここにいるよって。
富子さんは認知症を発症した。
日々、変わっていく母親の姿に戸惑い苦しんできた陽子さんだったが、介護を始めて5年目、心を受け止めてくれるまるちゃんと出会った。
あっこれやなと思って、意味あったことやと。
結局、私のためにこの人は認知になったんやというふうに思える。
夜、医師が富子さんの診察にやってきた。
富子さんの主治医は、いつもつどい場に来ている長尾先生。
まるちゃんが娘の陽子さんに紹介した。
長尾先生には富子さんに対する特別な思いがある。
在宅医として、これまで数多くの患者を看取ってきたが、認知症患者の介護についてはあまり考えたことがなかったと言う。
だが、富子さんや娘の陽子さんと出会い、今では認知症医療の第一人者として知られるようになった。
予備群含めて800万人いると言われた方がみんな忘れた、認知症医療、認知症ケア、あるいは家族介護の原型があるわけで、全部あるんですよ。
この人は考えたら、僕の先生ですわ認知症の先生。
100歳まで頑張れよ。
富子さんがつどい場に行った夜はまるちゃんと3人で外出する。
お目当ては、近所の居酒屋。
富子さんが最初に口にするのは、生ビール。
最近では水分もとろみがないと飲み込めなくなっているがビールだけは、なぜかそのまま飲める。
若い頃から外食好きの富子さん。
お酒が入り、食欲のスイッチも入ったよう。
よう食べはったね。
この日、つどい場の仲間たちが空港に集まっていた。
これからお出かけタイが出発する。
お出かけタイは体が不自由でもみんなで街に出よう、遠出もしようというつどい場の名物行事。
99歳の富子さんも参加した。
もともとが旅行がすごく好きな人だから、だからそれこそ生きる、これだけ生きてるけど、生きる長さじゃなくて生きる質かなと思って。
今回は初めての沖縄、2泊3日の旅。
飛行機大好きやから。
ね、おかあちゃん?体が不自由になり、介護が必要になった時点で介助が必要なときは自然に手を差し伸べてくれる。
こうしたサポーターの存在が介護旅行を可能にしている。
そら、ハラハラする場面、ないことはないです。
でも、それをよしとして参加してくださってる方々やからね、みんなで守り合う。
旅行が好きな富子さん。
食欲もあり、旅の雰囲気を楽しんでいるよう。
宴会の途中、参加者には内緒でホテルに駆けつけた人がいた。
長尾先生だ。
だって最後やろうからさ、富ちゃんさ。
富子さんや参加者を楽しませようと飛び入りの歌謡ショーをすると言う。
衣装も自前で用意するほどの熱の入れよう。
これはおらんやろ。
絶対最後までばれんように。
バレるかな…さあ、いよいよ先生の出番。
念入りに変装したものの、すぐにばれた。
長尾先生のステージは30分以上続いた。
長尾先生の熱唱に刺激を受けたのか、認知症の人たちも次々と歌い出した。
要介護5やから外に出て移動して空を飛んで、みんなで歌を歌ったり普通に、わかってんねん。
よかったな、富ちゃん。
思い切って来てよかった。
もうこれで悔いはないな。
そう、悔いはないです、先生。
あとは最期は先生に看取っていただいたら、もう何も悔いはない、幸せです。
旅行から3日後、この日をまるちゃんは心待ちにしていた。
西宮市が補助金を出して開設するつどい場がオープンした。
まるちゃんのつどい場に通っていた職員の姿があった。
まるちゃんの取り組みを参考に、第2のつどい場づくりを進めていた。
やっと子ども、孫が生まれた気がします。
カフェスタイルで地域に開放するこのつどい場は、大人から子どもまで住民自らがスタッフになり、運営する。
住民同士のつながりが希薄になりつつある今、この場所を地域づくりの拠点にしようというもの。
施設や病院任せにするのではなく、地域で見守りながら住み慣れた場所で最期まで暮らせる社会。
それがまるちゃんの理想。
だって地域の中でね、行くとこがデイサービスしかないいうのは、あまりにも寂しい。
ホント、うれしい。
私が望んでたのはこれなんですよ、本当に。
元日のつどい場に、有岡さん親子の姿があった。
ここ数年、年末年始を泊まりがけで遊びに来ている。
富子さんの様子に変化が見られた。
一月ほど前から食事があまりとれなくなり、眠る時間が増えていた。
母ちゃん元気?今日は一日寝てるんですよ、何も食べなくて。
元日から往診に出ていた長尾先生がやってきた。
明けましておめでとうございます。
食べてるよ。
賑やかな雰囲気に刺激されたのか、久しぶりにしっかり食事をとった富子さん。
ところが、トイレに行ったときに突然気を失った。
かあちゃん、わかるか?お母ちゃん?脳に行く血流が減って、心臓は動いてる。
しっかり息もしてるし、心臓も。
富子さんはすぐに意識を取り戻した。
つどい場には医師や看護師がいつもそばにいる。
その安心感が家族の支えになっている。
ベッドの上で換えてあげた方がいいですか?かもしれへんな、寝たきりか、やっと。
富子さんは容体が安定するまでつどい場で過ごすことになった。
翌日もほとんど眠ったままだった富子さんだが、2日後には意識がはっきりするようになり、食事をとることに。
富子さんは、ゆっくりと食べ始めた食べるだけでこんなにみんなから喜ばれて。
おいしいな、口から食べて。
普通はこれ、点滴やで。
元気を取り戻したかに見えたが…この日の夜…おかあちゃん、陽子いるからね。
陽子、大丈夫やから、愛してるよ。
よう頑張りはった。
おかあちゃんの娘で最高や、ありがとう。
娘の陽子さん、まるちゃんとつどい場の仲間たち。
富子さんは大好きな人たちに囲まれ、残された時間を過ごした。
母ちゃん、よう頑張ったなあ。
ありがとうございます、先生。
富子さんは静かに息を引き取った。
すごいね、お母ちゃんね。
肺炎を起こしてない、純粋な老衰。
おしめしたの、一日だけ。
パットはしてても、おしめをしたのゆうべだけですよ。
いや〜、すごいな、それは。
生き切ったんや、すごいな。
生き切りましたよね。
すごいな。
まるちゃん、ありがとうね。
ほんま、よう頑張った。
私の家族にも認知症の者がいるんですが、お酒を飲んだり旅行に行ったりというのはもうできないんだとあきらめてしまっていましたね。
取材した河北ディレクターの話ではこのつどい場に来ている人々というのは、この場所に出会ってむしろ介護する前よりも人生が豊かになったんだとそう話しているそうなんです。
連日見学者も多くて、利用者も2000人に及ぶという話でした。
家族や仲間に看取られて、住み慣れた家で最期を迎えるというのは私が子どもの頃は当たり前のことだったんですね。
それがその後、日本社会の変化、都市化ですとか核家族化の中で人の死というものが非常にプライベートなものになっていったんですね。
そこには家や地域のしがらみから逃れたいという気持ちがもちろんあったわけです。
日本は10年後には認知症の人が5人に1人に達すると推測されているんですけれどもそうした中、国は国家戦略として住み慣れた土地で暮らし続けることができる地域づくりの促進というのを掲げてるんですけれども、ただ制度をつくってシステムを整えるだけではダメで、ご覧いただいたように、一番重要なのは地域の人たちの心のつながり、これが一番難しいんですけれども、大切なことなんですね。
テニスのマドリード・オープンです準々決勝に進出した錦織選手の相手は地元スペイン、クレーコートを得意としているフェレール選手です。
完全アウェーの中、コートの登場した錦織圭。
フェレールには通算7勝4敗とリードしているが、今シーズンは1勝1敗。
さらに相手の得意なクレーコートとあって長いラリーに持ち込ませない速い攻撃を仕掛ける。
積極的なネットプレー。
得意のリターンから角度をつけた強烈なフォアハンド。
貫禄のプレーを見せる錦織に地元のボールパーソンも思わず熱い視線を送る。
第2セットは、さらにギアをアップ世界一と称されるバックハンドのダウンザラインをたたき込めば、今度は回り込んでフォアの逆クロス。
さらに相手の動きを読み切った絶妙なドロップショット。
4ゲームを連取する。
錦織は最後まで攻撃的なテニスを貫きフェレールにストレート勝ち。
次の準決勝では世界ランク3位のマリーにクレーで初めて挑む。
明日のゴールデングランプリ陸上に向け世界のトップアスリートたちが川崎に集結した。
注目は、男子走り高跳びのボンダレンコ。
前回の世界陸上金メダリストがあと3cmに迫った世界記録に挑む。
また、日本のエース・福島千里は200mとリレーに出場。
今シーズンまだ突破していない世界陸上参加標準記録を狙う。
続いてゴルフのプレーヤーズ選手権2日目。
松山選手と石川選手に明暗が分かれた。
日米通じて初のツアー首位スタートを切った松山。
1日目と打って変わって、ショット、パットともに精彩を欠きバーディーを1つも奪えず27位タイに後退。
決勝ラウンドに不安を残す結果となった。
40位タイスタートと出遅れた石川は、4番のセカンドショット、フェアウエーからグリーンに乗せることがカギになると言うとおり、ピンそば2mにつける。
この日、6つのバーディーを奪い、13位タイに浮上した石川。
アメリカツアー初優勝に向け大きく前進した。
メジャーリーグ。
右手首の張りから復帰を目指すヤンキースの田中将大が2日連続のキャッチボールを行った。
マーリンズ・イチローの応援に駆けつけたのは…ダウンタウンの浜田雅功さん。
ところが…スタメンを外され、代打で登場もあえなく凡退。
連続試合安打は8でストップしてしまった。
私、箱根のふもとに育ったので非常に気になるんですけれども、小林さんは取材行かれて、箱根。
取材した限り、揺れなども特に感じず個人的にはこの新緑の時期、ゆっくりと観光に行きたいなと思った限りです。
本当に私は子どもの頃、箱根を見て育ったようなものでね。
2015/05/09(土) 17:30〜18:50
MBS毎日放送
報道特集[字]【ロシア 言論の自由は?▽介護の“つどい場”】
▽戦勝70周年のロシア・言論の自由は?▽地域で介護を支える“つどい場”とは・・・
詳細情報
番組内容
【戦勝70年のロシア 言論の自由は 】
9日に戦勝70周年の記念式典を行うロシアだが、野党指導者が殺害され、ジャーナリストへの圧力も強まっている。プーチン政権下でいったい何が起きているのか。【介護の“つどい場”繁盛記】
介護する人と介護される人、医師も含めた関係者らがともに泣き、笑い、悩みを共有する「つどい場」が兵庫県西宮市にある。地域で高齢者を支える、新たな取り組みに密着した。
出演者
【キャスター】
金平茂紀(TBSテレビ報道局)
日下部正樹(TBSテレビ報道局)
小林悠(TBSテレビアナウンサー)
林みなほ(TBSテレビアナウンサー)
関連URL
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おことわり
番組の内容と放送時間は、変更になる場合があります。
ジャンル :
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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