今年2月。
青森県八戸市であるラブレターの発表会が行われました。
妻から夫へ夫から妻へ。
いつも一緒にいても面と向かっては言えない思いを込めた手紙。
東北各地から寄せられました。
「トーさんが逝っちゃったら私生きてゆけない」。
「本当にあなたと結婚して良かったです」。
「じぃじが大好きなばぁばより」。
今は亡き夫へ生前伝えられなかった思いをつづった人もいます。
おじいちゃん…。
楽しい事も苦しい事も共に乗り越えてきた大切な人に送るラブレター。
込められた思いを見つめます。
結婚して42年になる夫へ初めてラブレターを書いた人がいます。
(カヨ子)やっぱり暖冬だからな。
4つ年上の夫の昭一さんと米や野菜を作っています。
じゃ頂きま〜す。
畑でも家でもいつも一緒の2人。
今朝同じカラスだと思うな…。
だけど性格は正反対。
おしゃべりなカヨ子さんと無口な昭一さんです。
3羽仲間連れてきてるの。
黙って見てるもんだから…。
何かしゃべってよ昭一さん。
(笑い声)こんにゃく。
あの…こんにゃく。
んだんだ。
2人が結婚したのはカヨ子さんが21歳の時でした。
お見合いの日ドアを開けた瞬間目に飛び込んできた昭一さんのすらりと背の高い姿。
そして温和な性格に引かれたと言います。
翌年には長女をその後長男も授かりました。
しかし思いもかけない出来事が2人を襲いました。
体の弱かった長女の和子さんが4歳で亡くなったのです。
毎晩眠れず泣いていたカヨ子さん。
支えたのはふだんは寡黙な昭一さんのひと言でした。
その後もつらい事がある度に昭一さんは静かにカヨ子さんを支えました。
カヨ子さんは48歳の時胃ガンを発症。
死の恐怖で涙が止まらないカヨ子さんの手に昭一さんは自分の手を添えて何も言わずそばにいてくれました。
偶然新聞でラブレターの募集を知ったカヨ子さん。
これなんですけども。
おしゃべりなのに直接は言えない思いを1日で書き上げました。
発表会の日。
どうもこんにちは。
会場にはカヨ子さんと同じように自分の気持ちを伝えたいという人たちが集まりました。
ご主人様が来てますのでどうぞこちらへ。
昭一さんはカヨ子さんが書いた手紙の内容を知りません。
拍手お願いします。
(拍手)「4歳の長女を亡くした時もガンで胃を全摘した時も万の言葉より心にしみたよ…。
肩に置かれたこの手の重さぬくもり力強さ忘れはしない。
これからもこの手のあとからゆっくりついていくからね」。
終わります。
(拍手)カヨ子さんから伝えられた思いもかけぬ感謝の気持ち。
昭一さんは黙って受け止めました。
そういう感じする。
この夫婦のラブレター夫たちが12年前妻に感謝の気持ちや愛情を伝えたくて始めました。
これまでにおよそ250通が寄せられています。
中には亡くなった伴侶に宛てたものもあります。
「静かに旅立って3年。
二度惚れしている私」。
「もう一度結婚する人を選ぶとしても私はじいちゃんだよ」。
亡き夫へラブレターを書いた…こっち向いて。
はいポーズ!発表会には孫やひ孫など14人が駆けつけました。
そうです。
フミさんは夫と60年間をここで過ごしました。
夫の與三郎さんは3年前脳内出血で突然倒れ亡くなりました。
(鈴の音)おじいちゃん…。
みんなおじいちゃんのおかげだな。
ありがとうおじいちゃん。
亡くなって以来毎日朝晩與三郎さんに話しかけるのがフミさんの日課になっています。
フミさんが知り合いの紹介で與三郎さんと出会ったのは17歳の時。
その後與三郎さんがプロポーズしました。
男が目に涙をため真剣な表情で言うのだから間違いない。
フミさんは受け入れました。
與三郎さんの口癖は岩手の言葉で「ばばあべ」。
「ばばも一緒に行こう」。
「鼻毛!ハッハ!」。
いつも一緒の2人。
村でも評判のおしどり夫婦でした。
「切れた?鼻毛無くなった?リュウ切るの?おじいちゃんの。
今鼻毛切りしてたの」。
(笑い声)フミさんがラブレターを書こうと思ったのは與三郎さんが亡くなって3年。
ようやく遺品の整理を始めた事がきっかけでした。
一緒に行った旅行の地図や思い出の品を見ているうちに與三郎さんがどれほど自分を大切にしてくれたか胸によみがえってきたのです。
亡くなって改めて気付いた與三郎さんへの思い。
どうしたら伝わるか何度も何度も書き直してひとつきかけてラブレターを仕上げました。
その発表会から2か月。
ただいま。
は〜いお帰り。
與三郎さんの命日を前に孫たちがやって来ました。
こんにちは。
(フミ)待ってたよ〜。
長男の娘理恵さんは独身。
理想のタイプは與三郎さんです。
ちょっといつもの感じで…。
すいません。
(取材者)いつもやられてる?共働きの両親に代わり與三郎さんとフミさんによく面倒を見てもらっていました。
これユイだか誰かが生まれた時のだよね。
何?お祝い?生まれた時に…。
いつもおじいちゃんお酒飲むとさ癖じゃないけどねいつも「う〜んう〜ん」…。
理恵さんは最近結婚について考える事が多くなりました。
與三郎さんの3回目の命日。
それでは乾杯!
(一同)乾杯!およそ50人の親族が集まりました。
與三郎さんへの強い思い。
孫たちにも聞いてほしいとフミさんはラブレターを読む事にしました。
ありがとうございます。
今日はゆっくりして下さい。
(拍手)フミさんから與三郎さんへ初めてのプロポーズでした。
・「私のお墓の前で泣かないでください」お互いを思いやり支え合って歩んできた長い長い道のり。
亡くなった今もなお夫婦の心は寄り添い続けています。
顔を見るとなかなか言えない思い。
あなたも大切な人にラブレターを書いてみませんか。
2015/05/09(土) 11:30〜11:54
NHK総合1・神戸
目撃!日本列島「夫婦のラブレター」[字]
夫から妻へ、妻から夫へ贈る、夫婦のラブレター。片思いの相手でもない、恋人でもない、長年連れ添った人生の伴侶に宛てた手紙には、特別な思いが込められている。
詳細情報
番組内容
青森県八戸市で2月、家族宛のラブレターの発表会が開かれた。東北各地から集まった手紙のほとんどは、夫から妻、妻から夫へと宛てた「夫婦のラブレター」。その1通1通に、ふだんはなかなか伝えられない思いが込められている。人生のつらい時、いつも支えてくれた夫へ感謝の気持ちを伝えたい人。突然亡くなった夫への思いをつづった人。ラブレターを通して浮かび上がる、夫婦の絆を見つめる。【語り】宮本信子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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